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第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか

ヒロインは苛められるもの?

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   アクセサリー製作と魔法付与を同一化させたからか、同学年の高位貴族top3以外の女子とは、親しくして貰ってる状態で、春を迎えようとしていた。

  そう、新年を迎える前に、遠征実習に行くの。

  だけど、日数が少ない事と越境するので、初級ダンジョンに行く事は許可が下りず……

  自分が居るグループは、学園の南にある、もう1つの国境となってる大河沿いに向かう事になった。

  冬になる直前、角牛が移動して行ったのと、同じルートを通るの。

  幼少期の自分を知っていて、後ろ盾になってくれた、今は第1騎士団の副団長になったヴィルジーク様のお父様で、グラディウス公爵家の領地がある森が遠征実習の場所です。

  ちなみに、公爵の爵位は、既にヴィルジーク様のお兄様が継いでるのに、お父様はまだ王国軍の将軍で、バトルホースに乗って、ブイブイ言わせてるんだそうだ。

  そういう場合、ヴィルジーク様には、公爵家三男という肩書きは取れ、グラディウス公爵家が持ってる他の爵位であるウィンドワース子爵などを譲って貰わない限り、第1騎士団副団長が唯一の肩書きなんだ。

  これも辞めちゃうと平民になります。

  次男さんが伯爵家を分けて貰ってるらしいけど、そんな事が出来るのは公爵家だから。

  これが伯爵家の次男、三男であれば、騎士団や王宮文官になり実績功績を残して、国王から叙爵して貰わない限り、暫定貴族の状態です。

  要するに、貴族の出身であるが身分は平民って事。

  なので、ヴィルジーク様が頑張ってるのは、貴族令嬢を嫁に迎えたいからなんだろうね。

  でも、身分第一のご令嬢は、ヴィルジーク様が格好良くても論外なんだってー。

  シビアだねえ。

  と言うか、凛々しいのに、目付きが怖いっていうご令嬢も居た。

  けど、その目が優しく緩む処が素敵なんじゃない!

  まあ、口元が緩まないので、分からないんだろうねえ。

  ヴィルジーク様、意中の人には、ちゃんと微笑んでる?

  でないと、ご令嬢方、現実的でシビアだから、断られちゃうよ。

  そんな事を考え、楽しく学園生活を過ごしてたので、あの日は、青天の霹靂だった。


  「貴女が、ライラ・ドーリッシュでしたかしら?」

  図書館で、魔法陣の本を読みながら、参考になりそうな物を、ノートに描き写していたら、そう声をかけられた。

  顔をあげれば、居たのは、いえ居られたのは、取り巻きの令嬢を連れた公爵家令嬢のクリスティーナ様で!

  今まで、1度も近寄った事ない方だけに、猫が逃げた。

  「はい!」と声を上げ、軍隊的に挙手した自分。

  図書館だった事を忘れた為、周りから叱責の視線が飛んだ。

  という事は、必然的に、声を掛けたクリスティーナ様も目に入るので、クリスティーナ様の目が苛立った様に感じた。

  自分としては、やはり乙女ゲームの矯正力は強く、今より苛めターンに入るのか!?と思ってた。

  「ここでは、お話出来ませんので、場所を変えましょうか」

  クリスティーナ様の提案に、学園内が公平を謳っていても、否やは有り得ないだろう。

  まあ、「少々お待ちください、片付けます」くらいは言わせて貰うけど。

  取り巻き令嬢が、「お早くなさいな」と言うけど、極々、当たり前の事だよね。


  連れて行かれたと言うか、着いて行ったが正しいかな?

  だって、お嬢様方の歩み、確かに優雅だけど、遅いんだもん。

  だから、行きたくなかったら、さっさと逃げれる。

  ただ、そうしたら、後々がめんどくさい事になりそうなので、大人しく着いて行った。


  場所は、初めて入ったサロンで、食堂の2階に位置し、王族と高位貴族、許可された者だけが立ち入れる。

  取り巻き令嬢、伯爵以下の令嬢だったけど、入れるのかな?と思ってたら……

  「ご遠慮なさいな」とクリスティーナ様に言われ、渋々、引き下がった感があった。

  いつもはクリスティーナ様の配慮で入ってるのかな?

  まあ、虎の威を借る狐の連中か。という印象を受けていた。

  サロンは落ち着いた色合いのワイン色の絨毯が敷かれ、重厚なソファが置かれたコーナーもあった。

 前をスタスタと歩くクリスティーナ様の後ろを歩けば、パーテーションがある奥に向かってる様だった。

  ただ……パーテーションの奥が見え、回れ右したくなったのは……

  第2王子が居た。

  クリスティーナ様が、第2王子の使者の様な事を?と思ったんだけど、分からなくはない。

  だって、第2王子のエドワード様が、自分に直接声を掛けたら、どんな噂が立つか。

  理由が、臀を蹴り飛ばした事だとしても。

  いや、臀蹴り自体が、双方に良くないか。

  そう考えてる間にも、クリスティーナ様はエドワード殿下の側に、適度に距離を開けて座った。

  「貴女も、お座りなさいな」

  そう言われるまで立っていれば、クリスティーナ様は機嫌は良さそうだった。

  殿下のなのか、クリスティーナ様のなのかは分からないけど、付き人が、湯気の上がる紅茶を出して、消えるまで、誰も口を開かなかった。


  「最初に言っておくわね、ありがとう」

  クリスティーナ様から出た言葉に、面食らった自分。

  第2王子のエドワード殿下の臀を蹴り飛ばしただけに、謝罪を求められるのは、自分かと思い、どう回避するかの言葉を探してただけに、絶句。

  「以前は、私に応えてくれず、逃げていたのだけれど、貴女に蹴り飛ばされてから、素直になってくれたの、お礼を言うわ」

  クリスティーナ様の言葉に、思わず、目を見て、見なければ良かったと思う、毒を含んだかの様な執着に似た色を目にして、顔が引き攣った。

  病んでるよ~!

  第2王子のエドワード殿下が逃げるのも無理はないけど、自分の臀蹴り飛ばし案件で、物理的に快感を覚えてしまったのか!

  という事は、それまでは物理的毒はなかったと……

  いやいや、王族や高位貴族の個人的性癖に興味ないんですけど~!

  巻き込まないでくださいな~!

  「君に蹴られるのが良かったのか分からず、ティナに相談したら、解決してくれたんだ。済まん」

  やっと口を開いた第2王子に、首を取れるかと思うくらい、横に振ってた自分。

  ドーリッシュ子爵家に、第2王子との接点を気付かれたら、めんどくさい事になるので、止めてください。

  16歳になったら、Aランクの冒険者になって、学園辞めるんです~!



  彼らと別れ、サロンを出るまで、結構、内々の話を聞かされ、口から魂抜けるよ。

  とりあえず、やんごとない方々は、日々、一挙手一投足見られ、ストレスを感じていると、その為、発散方法が要る訳ですね。

  暴走しない程度でお願いします。

  ストレス溜めすぎて、子供が出来ない悪循環に陥る方も居れば、カツラが要る様になる方も居ると……

  国のtopになるのも、大変だけど、頑張ってくださいませ。

  何とか毛生え薬作ってみますんで。

  妊娠薬も勿論、作らせて戴きます!





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