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第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか
初級ダンジョン・後半
しおりを挟む前回と違い、左からの階段を下り、7階層に向かえば……
「帰り、滝裏に行けるかな?」と呟いたイルラ。
全員、ギョッとしたんだけど、洞窟側から入れるかな?
自分の考えてた疑問には、イルラの方の護衛が答えてくれた。
「ギルドが確かめたそうで、可能だそうです」
「じゃ、帰りに行って見る?勾配がキツくないのが良い点かなあ」
そう言えば、頷いてた。
きっと、レイクサーペントが出る確率は低いと思ってるんだと思う。
7階層に下りれば……
1面ピンク色のウィルダーフラワーのお花畑。
女子なら興奮する光景で、今も、コーデリアとイルラが目を輝かせている。
けど、最凶の蜜蜂の魔物が居るので、声は出してない。
「さあ、花に水やりをしてみて」と言えば……
2人顔を合わせ、頷いたと思ったら、イルラが手を挙げた。
護衛には、なるべく離れていてくれと頼んでたので、花畑の縁を通って、8階層に行くルートの方で待って貰ってた。
自分自身の魔力が籠った水でないと、蜜蜂は小屋の中に入って来てくれないと思うんだ。
検証はしてないけど。
花畑の隅に、小屋を出してから、大きく息を吐いて、花畑の中に入ったと同時に、羽ばたき音がして、バレーボール球の大きさの黒い蜜蜂が現れた。
イルラが水やりを始めれば、蜜蜂は近付いて行く事なく、待っている様だった。
イルラがもういいかと思ったのか止めた後、ウィルダーフラワーを小屋の中に移植しようとして、摘んでたら、ゆっくりと花畑に入って来たのは1匹。
種や蕾の花などを持って、イルラが小屋の中に入って行けば……
黒い蜜蜂を置いて、通り越して追い掛けて行ったのは、ピンク色の縞のアベランだった。
それも1体ではなく、数匹の群れが、小屋の中に溶け込む様にして、入って行った。
コーデリアとハイタッチしてたら、満面の笑みで戻って来たイルラ。
小声で、「種を撒いて、花も植えてきたわ」と言った後、胸を撫で下ろし、ホッとしてた。
その後、水魔法が得意ではないと言っていたコーデリアも、無事に、ピンク色の縞のアベランが入って行ったの。
自分は小屋は出してないけど、レイトルがムシャムシャと花を食べてるので、水やりをすれば、大量の蜜蜂が出て来て、ホバリングしてるのが、踊ってる様だった。
いや、白ピヨも花食べるんだねえ。
と言うか、うちのイベルダも、ブレンダも食べてるよ~!
あ!そっか、ウィルダーフラワーが咲いてるのは、花畑の亜空間の方だ。
それなら、家がある方にも植えるか。と思い、摘んでたんだ。
急ぎ気味に、小屋を出して、植えに行けば……
ピンクの縞アベランとゴールドアベランが一緒に入って来た。
湖の南のほとりに植えて行ってたので、驚いたよ。
小屋から出て来れば、「凄くいっぱい入って行ったけど、大丈夫?」と聞かれた。
たぶん大丈夫と頷いてたんだけど……
騎獣達には「植えた処だから、いっぱい食べちゃダメよ」と言ってたんだ。
それから、来た道を戻るんだけど……
6階層の滝の前で、お昼にしようと言って、出立したんだけど、それまでにも、護衛の人達も、ウィルダーフラワーを摘んでたよ。
「水が潤沢なほど襲われないんだな」と言いながら。
ただ……
引き運、強いんだねえ。
6階層の階段を上がり、洞窟に足を入れたら、濃厚な魔力と濁った臭い匂いがし、2人を止めた。
顔色を変えた護衛が、前に出て来てた。
ただ、暗闇の中に光る目は一対ではなく、3対で……
「3体か?」と呟いた護衛の声が震えてる様に思った。
無詠唱で、ただの光ではなく、太陽光を出せば……
眩しさから、キエエエー!と叫んで、身を晒したのは、前回のレイクサーペントほど大きくはないが、レイクサーペントはレイクサーペントだった。
戻って来てから調べれば、弱点は光と寒さ。
なので、「グレイシアス!」と氷河を打ち込めば……
前回ほど大きくなかったので、10秒後、全て消えて残ったのは、蛇皮と肉の塊が3つずつだった。
「凄いな」「判断早いな」と言われながら、洞窟を抜けたんだけど……
途中の広場に宝箱があり、大きめの魔石がいっぱい。
今回は、小屋に戻してなかったレイトルが首を突っ込んで食べようとするので……
「待て、待て」と押し留めるのに必死だった。
滝の前で、襲って来るのは滝壺に居る奴だけなので……
少し奥で、お昼にする事にしたら……
フレスベルグのブレンダと白ピヨが、魚取りに奮闘し、フェレースの白猫が、魚をくれとお強請りしてた。
いや、イルラの鷹のホークも、滑空して、自力で取ってた。
イベルダとコーデリアのタミアは、魚よりも川沿いの崖にある蔓に付いたアケビの様な物を、取りに行って、地面で後ろ足で立ち、両手で持って齧っていて可愛いかった。
自分は、岩ミズゴケの採集などする事があったので、食事は後回しにして、採集してたんだ。
イルラとコーデリアは、宝石の様な魔石の宝箱を、自分たち女の子で分けるから、レイクサーペントの子供だったと思われる3体のドロップ品を護衛にって言ってたの。
だけど、4人固まって動けなかったから。と言って、頭数で割りましょう。っていうんだよ。
その後、3階層にあった民家で1泊したので、コーデリアが1番喜んでいた。
だって、全員が個別で寝てたので、ダンジョンに入ってる気がしなかったそうだ。
出立する前に、もう1度採集した後、王都に戻って行ったんだけど……
もう1泊する前に、暮れなずむ中、王都に着いた。
行きと違い、慣れもあるのか……
日程より早く帰ったので、ギルドへの報告は自分が纏めてする事にした。
護衛は、ご令嬢を無事に送り届けるまでが仕事なんでね。
ただ、そうした事で、小振りだけどレイクサーペントの皮と肉は、ギルドに卸して、現金割りする事になってね。
折れて了承したんだけど、宝箱の魔石は自分たちの物で良いって言うの。
その魔石で、アクセサリーの魔道具を作ってみたいっていう理由で、欲しかったのよ。
なのに、レイトルったら齧ろうとするから、困っちゃった。
ギルドで7人分の帰着報告をして、小さいながらも、藍色、青、水色の3色の蛇皮と100キロサイズの肉3つを出したら、大騒ぎになった。
小さいから、騒ぎにはならないと思ってたので、驚いた。
「まーた出くわしたのか!」と言われるし。
「パーティとして行ったので、均等割したいの」
そう言えば、何故か、ギルマスのおっちゃんが居て、「任せとけ!」だって。
ただ、「今回の蛇皮も良い色だな」と言ってたよ。
冒険者ギルドを出る前に、商業ギルドのサブマスが飛び込んで来たので、びっくりしたけど。
その後、その皮の件で喧々諤々があったそうだけど、1週間後には、頭数割になって、振り込まれてた。
初級ダンジョン後の顛末は、イルラとコーデリアに、白金貨2枚分の顔用クリームの作り方を教え……
ついでに、蜂蜜の方でも、ザクロとイチジクのジュースに入れたら、美容と滋養に良いと言っておいたんだ。
特に、女性にはホルモンバランスに最適。
お疲れな方には、リンゴの様な香りがし、胃に優しいカモミールティーだね。
それから、宝箱の魔石を山分けし、それでアクセサリー作りと、魔法陣による付与を教えてたら……
いつの間にか、自分たちの周りに、ご令嬢方がいっぱいになって、教え合う様になってた。
そのせいで、魔法陣や魔術の教官には感謝された。
小難しいと敬遠されて、熱心に勉強する者いなかったんだって。
特に、魔道具製作となれば、オタクの様な男性しかいなかったみたい。
それが、身を守るオシャレなアクセサリーを作れるってなったらねえ。
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