ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

文字の大きさ
24 / 79
第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか

遠征実習、初日

しおりを挟む




  楽しみだったと聞かれれば、楽しみだったんだろう。

  騎獣に乗れなくても。

  ちょっと考えれば、生徒の大半が騎獣を持っていないんだから、一緒のグループが全員騎獣を持っていたとしても……

  許可されないか。

  ただ、第2殿下であったとしても、王族が居ると第3じゃなく第1騎士団が出てくるんだあ。

  そう思っていたのは、例年、第3騎士団からの監視の者が参加すると聞いてたからなんだけど……

  副団長のヴィルジーク様が来るとは……いや、見送りだけかも。

  なんて思いながら見てたら、「ライラ」と声を掛けられた。

  「お久しぶりです、ヴィルジーク様」

  そう言って、頭を下げたら、コーデリアとイルラが何やら驚いてる。

  「お見送りですか?」と聞けば、驚いたのが……

  「親父に、1度領地に顔を出しておけと言われてね」

  ヴィルジーク様の答えで、分かった事が2つ。

  「まさか、私のグループの監視者、ヴィルジーク様ですか?!」

  「そうだよ」と言って、笑ってるんだけど……

  後ろに居るグループの令嬢、コーデリア、イルラだけでなく、息を飲んだだけじゃなく、黄色い声が上がった。

  もう1つは、辺境領のダーイン伯爵家に養子に入るのが決まったんだろう。

  そう、夏休みに、辺境領にある中級と上級のダンジョンに行きたくて、情報を集めてたら……

  後継者がひ弱なのしか居ないダーイン伯爵が、王家に依頼して居たのか、騎士団で次男・三男で、辺境領を御せる者という事で、ヴィルジーク様に白羽の矢が立った様なのよ。

  ただの他家への養子であれば、王都でのパーティーで顔を合わせられるけど、辺境領では、度々出て来れないだろうからねえ。

  その為のお里帰りだと察し、
小声で「おめでとうございます」と口にしておいた。

  ちょっと驚いた顔をしてるので……

  「王都のダーイン伯爵家には、もう入られてます?」

  そう言えば、息を飲んだヴィルジーク様。

  「情報通だな。Aランク確定の冒険者だけある」

  そう言って、破顔し、幼少期の様に、頭を撫でて来た。

  「ヴィルジーク様!もうちっちゃくないんです!」

  そう言って、抗議してたんだけど、相変わらず、はははと笑う声は重低音で、破壊力満載。

  他のグループに付く騎士団員が、驚いた顔をしているとは思ってなかった。



  その後、遠征実習の担当教官が挨拶をし、グループに分かれて、出掛けて行くんだけど……

  幌馬車に、お嬢様ばかり乗り、御者がヴィルジーク様っていう贅沢なシチュエーションに、ぐったり。

  あのさあ、有り得ない御者だけど、一応、遠征実習だよ。分かってる?

  「後ろをレイトルに乗って、警備します」

  そう言えば、頷いてくれた。

  殆ど、街道で行くけど、遠足じゃないんだよ。

  出発の処から、実習なんだと分かってくれ。

  まあ、余程の事がない限り、お嬢様は冒険者しないんだろうけど。



  学園の南口から出れば、王都外なので、レイトルを出して騎乗し、幌馬車の後ろに着く。

  それと共に、通常の索敵よりも、薄く広範囲に流して行くのは、冒険者にとっては基本中の基本。

  1人で行動する時も、必ず、忘れずにするもの。

  そりゃ、別に、ナーフと呼ばれる索敵専門の遠距離攻撃を持つ者が居るのなら、任せても良いんだけど……

  事前に、担当を決めれば、重要性を分かっていなかった。

  うん、確かに、学園で習うのは攻撃魔法が大半だからねえ。

  戻ったら、レポートの課題提出があるから、奏上しよう。

  でないと、監視し、点数を付ける者が、索敵をしなくちゃいけなくなるよ。

  まあ、日頃から守られているから、空気の様で気付いていない可能性の方が高いんだろう。

  初級ダンジョンに行ったコーデリア、イルラでも、護衛も居たので、分かって居ない。

  ただ、自分がフレスベルグのブレンダを出して、「前方周囲の確認して来てくれる?」と頼めば……

  やっと気付いた模様。

  イルラが、「マイルにも偵察行かせようか?」と言って来た。

  「午後、お願いしてもいい?」と言えば、頷いた。

  ブレンダは、勿論、小鳥サイズで行かせたんだけどね。

  そうそう、召喚獣は喋れないと思ってたんだけど、体の何処か触れてる状態だと、念話が出来ると判明。

  教えてくれたのは、コーデリアで、白ピヨがお喋りらしい。

  うちの子は重要な事しか伝えて来ない無口です。

  イベルダはたまに、愚痴ってるけど、野ブタに木の実を取られたと。


  その後、街道沿いにある休憩所で、お昼休憩を予定通りに入れた。

  行程は、遠征実習の上で要で、学園が決めるんじゃなく、生徒達で組んで、学園に提出し、許可が出て、実習と言う事になっている。

  なので、余程の無茶でなければ、生徒が決めたってことで、実行出来るんだ。

  日頃から、馬車といえば、転生者が弄った揺れが少ない物に乗っているだろうからと思い、昼休憩を入れたんだ。

  実際、お尻が痛いと口にしてるし。

  だって、この世界、貴族は別として、太陽と共に生活するから、夕暮れに食すの。

  だから、昼休憩は入れても主食じゃなく、オヤツ程度。

  貴族においては、お茶会などがあるから、お昼は平民と違う意味で同じくお菓子。

  まあ、冒険者はお昼も食べて休まないと、体が持たないので、しっかりと食べるけど。

  ただ、決めてた休憩所には、先に休憩してる者が居たんだよねえ。

  王都に行くのであれば、ここでは休憩せずに向かうので、チェックを入れておく案件。

  だって、今晩は休憩所で野営になるんでね。

  ご令嬢が多いだけに、注意しておかないといけない。

  付けて来る場合もあるんで。

  実際、今、ヴィルジーク様が幌馬車を止めれば、ご令嬢方が馬車から降りて来たんだけど……

  索敵が一気に赤くなったのが数名。

  自分がレイトルと入って来たら、バトルホース狙いか、更に数が増えた。

  ので、1発かましておくか。


  「お休みの処、横を失礼します。予め、言っておかないと、死人が出ては困りますので」

  にこにことしながら、地面に、毛皮を敷いて、休憩する商人と思われる馬車3台に、護衛6人のパーティーに声を掛けた。

  「私が乗っていたバトルホースは、デュラハンギャロップ、近付けば首を噛みちぎりますので、お気を付けください。今までに、12名あの世に送っています」

  休憩所では、忠告する様に、ギルドから言われております。とまで言えば、気付いた模様。

  「冒険者なのか?」ってね。

  「はい。3ヶ月経って16になりましたら、Aランクに上がる事になってます」

  そう言って、にっこりと微笑めば、数名、赤が黄色になった。

  それでも、赤いままなのは、商人の方だね。

  それも、ご令嬢方をロックオンしてるって事は、コイツ奴隷商人の可能性が高いね。

  「あ!もう1つ、魔法学園の遠征実習中ですので、高位貴族を敵に回すのは、如何かと思いますよ」

  そう言って、商人を睨み付ければ、顔色を変えた。

  だけじゃなく、「ほぉ。ジェレミー商会じゃないか」と、馬の世話をしてたヴィルジーク様が出て来た。

  第1騎士団副団長の肩書きは有能で、あっという間に、赤は消え、黄色も消えてた。

  ヴィルジーク様じゃない団員だったなら、どうだっただろうな。と思いながら、グループに戻った自分。

  「ライラ、お前、優秀だな。交渉も出来るのか」

  そう言って、ヴィルジーク様戻って来た。

  「1つの言葉で、表と裏がある会話をする令嬢方の方が優秀ですよ。猫は逃げるし」

  そう言って、溜息を吐いてた自分。


  自分たちが出発する前に、奴隷商人と思われる車列出て行った。

  だって、馬車が木の箱型で、出入口に鍵が掛かってるし、糞尿垂れ流しなのか、すえた臭い匂いがしてたし。

  ただねえ、その匂いがしてるのは、魔物を呼びやすいので、非常に不味いんだ。

  自分が顔を顰めてる理由が、コーデリアでさえ分かっていない様だったけど、ヴィルジーク様は分かってる模様。

  だけど、監視者だけに、助言を与える訳には行かない。

  自分1人であれば、気にせずに行くよ。

  出くわせば、討伐するだけだから……

  攻撃魔法は知ってるけど、ほぼ初心者に、遭遇する可能性が高い魔物の襲撃に遭わせるのか。

  「説明するね。さっきの商会の馬車から、荷物は奴隷なの。」

  そう言えば、全員の顔が引き攣った。

  「到着地に着くまで、馬車の鍵は開けられない為、糞尿はその場で垂れ流し。その匂いで、魔物が襲撃して来る。このまま、出発すれば、こっちの馬車の方が軽いので追い付く。」

  そこまで口にして、出発するか否かを問われてると分かったみたい。

  「襲撃に遭遇し、助けられるのなら、出発する」

  そう言ったのは、出発が遅れると行程が狂う以前に、遭遇した時点で狂うから。

  「追い抜くのは?」と聞かれ……

  「うーん、ここから先、道が狭くなるからなあ」

  そう言えば、「その場所が襲撃地になる?」と聞いたのは、コーデリア。

  「盗賊なら、その場所だけど、魔物に知恵はないからねえ、匂った時点が襲撃時」

  6人も護衛が居たんだから、大丈夫じゃない?と言う者はいなかったので、そこまで頭は回ってないと思う。

  ほぼ初心者の学園の遠征実習ではなく、冒険者パーティーなら、助けに行った可能性はあった。

  女子ばかりのグループではなく、男子ばかりのグループであれば、尚のこと、頭でっかちになって、突っ走った可能性があったけど……

  結局、少し時間を置いて、出ようと言う事になった。


  この判断をどう感じるかは、個々だけど、ヴィルジーク様に守って貰って、行程通り先に進もうと言う者がいなかった事には、ホッとした。

  この遠征実習の視点を理解していない者が陥りがちな点に、行程を組む際に、釘を刺しておいて良かったよ。

  行程通りに進まないのは失敗ではないんだ。

  予定通りに行く事の方が少ないだけに、遭遇した事にどう対処したのかの方が重要なんだ。

  だから、グループ行動を乱す行為は厳禁なんだよ。

  それで、案の定、奴隷商人の隊列は襲われた様だけど……

  護衛が強いのか、ゴブリンが6体死んでたんだけど、後始末して行け!

  3頭の狼が貪っていて、レイトルが蹴り入れる羽目になった。

  「先に進んでいて下さい。始末して追い付きます」

  そう言って、ヴィルジーク様には先に進んで貰った。


  レイトルが魔石を食べると言うので任せ、その後、消失魔法を行使してから、追い掛けた。

  レイトルが駆けたら、あっという間に追い付いた。

  その後、野営する予定の場所まで、魔物が出くわさず、奴隷商人にも追い付かなかった。

  たぶん、襲われた事で急いだんだろう。

  野営の予定地には、またしても、先乗りの者が居たので、安堵は出来なかったんだけど……

  ご令嬢方は安堵したみたいだよー。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

処理中です...