26 / 79
第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか
乙女ゲームとの違い
しおりを挟む学園内は上位貴族に絡まれない限り、実に、有意義な時間を過ごさせて貰ってる。
のだけど、先日、口にしたコーデリアの言葉で、最近身に付いてきた、常に笑顔の猫が逃げていった。
「9月じゃないけど、秋始まりの乙女ゲームってあったっけ?」
既に、1学年の大半が終わり、残すは1年の集大成を示す為の試験が待っているだけだった。
専科コースが違うのに、一緒に勉強していた時の話だった。
まあ確かに、春爛漫の中、入学するのは、乙女ゲームをプレイする者が想像し、感情移入しやすい様に作られるのは常套手段だ。
義務教育が最低でも9年な上に、高校の3年も学生生活している者が大半。
誰もが考え付く学校行事が、好感度アップイベントと重なって行くんだろうね。
だけど、よく考えれば、高等でも専科コースというものがあれば、勉強する場所も、棟ごと違ってしまう。
成績順で、クラス分けされている設定を、ラノベで読んだ覚えはあったけど。
そもそも、コースが違えば、会いに行かない限り、会うとしたら食堂くらい。
だけど、その食堂ですら、あちらはサロンで、第2王子と側近は、クリスティーナ様ととってる様で……
先日の秘匿の王族性癖は、候補になってるコーデリアには耳打ちすれば……
顔色を変え、二の腕を擦り、震えてた程で、クリスティーナ様と良い勝負で、良いカップルだと言えば、頷いてたよ。
だから、第2王子殿下との婚約はないだろうけど、相手を誰にするかは見繕っておきなよ。
そう言えば、頷いてたコーデリアだけど……
ボソッと「2年次に編入して来るって事ないよね」と呟かれ、自分は眉間に皺を寄せてた。
まあ、乙女ゲームと違っていたのだとしても、先日、16歳の誕生日を迎え、成人したので、2年生になるつもりはない。
夏休み直前に申請して、秋から学園に通わないつもりでいるの。
イルラも、コーデリアも、その事知っていて、残念がってるんだけど……
許可が出なかったら、秋に飛び級のテストを受けて、出席不要にするつもりで居る。
というのも、ギルマスの姉のおばさんじゃなく、お姉さんと出した店が、バカ売れしてて……
コーデリアに頼まれて作った髪を巻いたり、ストレートにするアイロンを魔道具で作ったのよ。
欲しい者が山の様に居たので、魔術師塔に申請すれば、早く許可しろ!と言う苦情が、魔術師塔に殺到した代物です。
その商品を作る工場に、魔法学園に行く程でない魔力量の者を雇い、店で売る様にしたら……
化粧品の方と相まって、パンク寸前なんだよ。
幾ら、召喚獣の小屋の中が亜空間で、直ぐに生ると言っても、1日で生る物では、多少が効果が落ちるの。
家から独立したいイルラに、資金を渡すのに、原材料を買い付ける様にしたけど、それでもギリギリに売れて、嬉しい悲鳴です。
そんな中、コーデリアがサロン風の貴族向けの店を出した。
ヘアケア商品と化粧品に、ケーキと紅茶を戴ける店で、予約も出来るけど、侍女と護衛を付け、馬車で来るランクの。
なので大忙し!
そんな中、ヴィルジーク様が、王都にあるダーイン伯爵邸に招待してくれた。
一介のAランクといえ冒険者が来た事に、伯爵家の者、眉を顰めるかな?と思ってたのに……
何故か、にこやかだった。
何でだろう?と思いながら、案内された客間に居たヴィルジーク様に「お招きありがとうございます」と挨拶したんだ。
ただ、執事が居る状態で、ストレートにぶち込んだ。
「早速ですが、辺境領にある邸宅とこちらの間に、空間魔法の門を開きませんか?」
メイドはいなかったけど、執事とヴィルジーク様、ギョッとした顔になった。
「試行錯誤して来た事が、学園に通う事で習得する事が出来ました。既に、実験し成功してます」
そう、実験はコーデリアのロッテンマイヤー家と、イルラのブルックナー家の間でしてみてたんだ。
当人以外は知らないので、既に撤収させて貰ったんだけどね。
「今、こちらの地下の1室に刻ませて貰い、夏休みに、辺境領に稼ぎに行く予定にしてるので、その時に、もう片方を掘る事で稼働します」
目を見開いたまま、固まってた2人だけど……
ヴィルジーク様、大きな息を吐いた。
「そういえば、ライラは規格外だったな」
「ドーリッシュ様が商われてる店は大変繁盛されているそうですな」
執事さんまでが知っている様だった。
「転移陣や門・ゲートは、大変な魔力量が要るので、魔術師塔では机上の空論になってますが、ちょっと弄れば、大変コンパクトになるんです」
そういえば、ふむふむと聞いてくれてたの。
「帝国が、その仕様に気付いてたら、大陸の情勢が変わっておりましたな」
執事さんの言う事に、ギョッとした自分だけど、全く言う通りだね。
「同じ意味で、魔術師塔は勿論、国にも秘匿です」
それには頷いてくれたんだけど……
「魔力量はどのくらいに収まったのだ?」と聞かれ、自分なら1人で枯渇寸前で、魔術師塔に勤務出来る程の魔術師で2人だと言えば、頷いてた。
「何人で移動できる?1人か?」には……
「3人は確実です。それ以上は協力出来、秘密に出来る者がいなかったので、してません」
そう答えれば、「当家ほど適した処はないでしょう」と、執事さんが答えてくれた。
王都までの長距離の移動が必須であるのに、移動手段がなかっただけに。
「しかし、あまりにも早いと訝しがられる」
そう、渋面を作って、口にしたヴィルジーク様。
「そちらは、ワイバーンの飛龍隊を召喚して作る事で誤魔化します」
自分にとっては、いい案だと思ったのに……
また2人固まったあと、笑いだした。
ヴィルジーク様に至っては大爆笑!
お腹を抱えて笑うヴィルジーク様を初めて見たんだけど、嬉しい反面、ちょっとムッとしてたら……
「さすがライラだ。突飛な案ではあるが、出来ない話ではないな」
「そうでございますね。当家は王都では東端に位置しますので、移動手段を伝えておくだけでございます」
2人が同意してくれて、口角が上がって来てた自分。
その後、鍵が掛かる地下の1室を借りて、転移の門の魔法陣を掘り始めたんだけど……
執事さん、魔力量もそこそこの使い手だった様で、亜空間の扉を描いたんだよ。
あのどす黒いペンキを使用して!
あのペンキって、有名なの!?って思ってたら……
「マーゴット様はお元気ですか?」と聞かれ、一瞬、誰か分からなかったんだけど……
婆ちゃんだ!
「お知り合いですか?」と驚いて聞けば、頷いた。
「レヴィアンと言えば、分かられるかと」と、意味深に言われた。
ちなみに、執事さんの名前ではないんだよ。
最初に、「デイビッド・オーネストです」と挨拶されたから。
しかし、婆ちゃんとどういう間柄なんだろうね?
でも、通りで、あのペンキの事を知ってるんだよ!
婆ちゃんの薬屋に、依頼の品を届けに行った際に聞いた後日談
「レヴィアンって人、知っている?」と聞けば、飲んでたお茶で、喉を詰まらせ掛けた。
な!な!という慌てる婆ちゃんを、初めて見たよ。
「ヴィルジーク様が養子に入ったダーイン伯爵の王都の屋敷に居た執事さんが、聞いてみろって。」
そう言えば、何やらブツブツ言ってたよ。
「アイツ、意外に近場に居たんだね」と言って。
だけど、それ以上は話してくれなかったんだけど、やけに嬉しそうで、懐かしそうだった。
執事さん、足音しないし、身のこなしから言って、元冒険者の確率とても高いので、婆ちゃんの元パーティーかなって?
妙にしっくりくるので、そうじゃないかな?
0
あなたにおすすめの小説
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる