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第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか
中級ダンジョン11階層〜
しおりを挟む10階層の中ボスの宝箱は、鮫の歯を使用したという短剣で、自分が作って貰ったミスリルの短剣よりも良い物らしいけど……
売り案件だな。と思ったのは、伝説級の武器の様だったので。
ただ……
11階層に降りても、通常ルートと合流する様な処がなくて、このままボスだと、海のAランクの魔物だよね。と思ってた。
今日中に、ボスに辿り着けるとは思えないので、何処にセーフポイントがあるかで、小屋を出した方が良いよね。
そう思いながら、ダンジョンという箱庭の中の海の中で、上を見上げれば、息の泡が上がって行く。
太陽の光が地上に届く距離って、確か、何mだっけ?
昆布の柱が並び、刈り取って、インベントリに収納する作業を一旦止めて、見上げてた。
たまに、昆布の柱に隠れて、魔魚が襲って来るので、要注意ではあるの。
昆布の収穫が済んだら、11階層のmapは出来たので、12階層に行くつもりで居る。
魚はタラに、鮭を取ってたら、ニシンの群れが居た。
それを追う様に、カツオが居て、割と沖合の海の中の様だった。
まるで、海中の水族館の中に、ダイバー姿で居るみたいだったよ。
襲って来ても、単体が多く、銛で対応出来るもん。
12階層も、海の中だったんだけど……
隠れる場所が多い岩場、岩礁地帯で、索敵をちゃんとしてないと、潜んでいて襲われる。
海中のギャングと呼ばれてた2m近いサイズのウツボや、同サイズのタコとか……
そうそう、驚きだったのが、タコの鑑定が、「クラーケンの雌」になって、「はあ?!」だよ。
意味がわかんないよ!
ちっちゃいタコは、オクパーでタコ認定の様だったけど。
あと、3mサイズの蟹は、どうみてもタラバガニで!
ただ、ドロップ品になるので、蟹味噌はなかった。
まあ、直ぐに食べれる加工になってるのは、good jobだよ。
13階層にセーフポイントがあって欲しいなあ。
あったら、夕飯で蟹食べる~!
そう思ってたのに、今の処、13階層も海の中で、セーフポイントは見付からず。
12階層同様、岩場が多いなあと思ってたら……
あちこちに散って、追いかけたり、食べたりしてた従魔が寄って来た。
何やら、強い魔力で覚えがあると思ってたら、やっぱりか。
シーサーペントのお出ましだよ。
ウミヘビというより、海蛇の方だね。
それより、シーサーペントってAランクでしょ、何でボスじゃないのよ!
レイクサーペントは紺色に近い青い蛇皮だったけど、シーサーペントと同類ではないんだねえ。
感心してる場合ではないけど、海の様に青い、それも南国の海のエメラルドグリーン色よりも濃い色の皮の上に、やや虹色がかってる鱗があるみたいなんだもん!
討伐しちゃったら、直ぐにドロップ品に変わっちゃうから、じっくり見ておきたかったの。
だから、自分が動かず、シーサーペントが動いた事で、レイトルやブレンダが範囲魔法を撃てずに居た。
自分を締め付ける様に囲み、口を大きく開けたので……
口の中に、大きな土球を突如出して、放りこんだ。
モゴモゴ言って、暴れるシーサーペントに、採集用のミスリルのナイフを取り出して、鱗を採集。
やはり、とても綺麗な虹色の鱗で、魔力も充分に籠っていて、生きてる内は採集品扱いなので、沢山毟っていた。
土球を噛み砕く気配がした処で、雷魔法を触れてる状態で出せば、術者は勿論、他に影響は与えない。という記述があったのを思い出し、放出。
ビクビクと震えた後、姿が消えて、ドロップ品に。
案の定、鱗が付いていない大きな青緑色の蛇皮と、何キロあるのか分からない、たぶん1t以上はある肉塊があった。
前回のレイクサーペントでも、2t以上あって、結局、王家が買い取ったらしいんだよねえ。
あれから1年だけど、買い取ってくれるかな?
ダメなら、小分け対応しようかねえ。
そう思ってたら、召喚獣たちから呆れてる様な感情が伝わって来た。
だって、魔石を食べて強くなろうとしてるレイトルが固まってるんだよ。
さてさて、エメラルドグリーンに近い鮮やかな青緑色の皮は、おいくらになるんだろうねえ。
うふふ。オークションが楽しみだよ。
そう思いながら、14階層に向かえば……
ようやく、海の中から出るようで、ホッとした。
14階層に降りる処に、セーフポイントの開けた岩場があって、小屋を出して、中に入った。
海の中が、外気温より温かめだとしても、ずーっと海の中にいれば、体は冷える。
ので、フレスベルグのブレンダまで、小さいサイズで、家の中に設けた巣に入り込んだ。
イベルダは、ちゃっかり果樹を採ってから、家の中。
レイトルだけは、元々体温高めなので、そういう心配はしなくても大丈夫。
さあ!蟹!焼くか、煮るか!
うきうきしながら、夕飯の用意をしたんだけど……
ダンジョン内だって言うのに、ベッドで寝れるって、召喚獣の小屋、万歳だ。
次の朝、小屋の中の海をチェックをしてから、小屋を出たんだけど、昨日とった魚介類の大半が居た。
まあ、大型魔魚は見てないけど。
今日には、ダンジョンを出る予定だけど、出張所じゃなく、領都ベーゼルのギルドに行った方が良いだろうな。
そう思いながら、14階層に降りれば、水が流れる音がするって事は、海に流れ込む地下水路がある様だった。
まだ目にはしてないけど。と思った瞬間、トビウオの時と同じ気配がして、飛び退けば……
トビウオ以上に長い魚が暴れてる。
この形の魚って、アマゾン川流域のガーじゃなかった?
あ、そっか、海水から真水になったのか!
そう思ってる時には、ガーは切り身になってるけど、飛び込んで来る気配は消えない。
従魔も、前回で学んだのか、無茶に前に進まず、止むのを待ってる。
止んでから、先に進めば、地底湖らしき物が見えて来た。
ただ、ガー処じゃない大物が居る気配がする。
そう思っていれば、水弾が飛んで来た。
水の中から放てるって事は、魚系だなと思いながら、同じ水弾で併殺させた。
見渡す限りの地底湖であれば、考えなかったけど、それほど大きくなく、川の流れが急流の音じゃなかったので……
「グレイシアス!」氷河で覆った自分。
魚が打ち破ろうとしてるのか、ドンドンと音がしてるが、レイトルが上書きしたので、氷の厚さが一段と増えたよ。
氷魔法の氷は、消さないと消えないので、自分は時間設定して掛けるのよ。
討伐で使う時は、対象が死ぬまで。
なので、死んだのか、氷の厚さがボコって、いきなり減ったので、レイトルの代わりに、氷を除くのに、土球を放って、氷を砕いた。
そうしたら、ドロップ品が水面に浮かんでる。
沈んでいそうな大きな肉の塊までが!
どういう仕組みだ。と思いながら、ドロップ品を風魔法で集めて、インベントリに入れてた。
あれ?だけど、魔石は沈むんだ。
そう思ったのは、魔石を探したレイトルが、深そうな湖に飛び込んだから。
大きな個体だけでなく、ガーもいっぱい居たのか、切り身もいっぱい浮いてたの。
その分の魔石も底にあって、魔石で埋め尽くさんばかりで、苦笑したんだけど……
中々、幻想的な光景だったよ。
カメラがあれば、是非とも残して置きたい1枚だね。
そう言えば、イルラが自分の影響で、魔道具作りにのめり込んでいて、カメラモドキを作ろうとしてたな。
そう思い出しながら、今、自分が出来る事をした。
「フレーム」
指で枠を決め、その中の光景を絵として、記憶する魔法で、魔法学園の図書室にあった魔導書の中にあったの。
複合魔法で、光と風と無の魔法を使用してて、理解出来ないと、成功しない括りがあるので、難しいんだよ。
ボス部屋に入るまでに、魔石を食べ尽くそうとするレイトルとひと騒動あっただけじゃなく、湖の底の片隅に宝箱があったの!
ひっそりとあったけど、木の箱だったので、気にしてなかったら、中にあったのは、一見干からびた木。
宝箱に入る様な代物なのかな?
そう思いながら、鑑定すれば、香木だった!
冷たく湿気た環境なので、近付かなきゃ香りはしなかったけど、確かに、薫香と言えそうな匂いがする。
この世界でも、伽羅や白檀、黒檀という木の香りはあって、上流貴族では香合とかいう遊戯が嗜みであるそうなのだけど……
うん、知識としては知ってるけど、した事ない。
精油関係が趣味だったので、乳香没薬などと同列で知ってただけで、詳しくはないけど、龍仁香と呼ばれるマンゴー大の楕円形の石?でも、5000万円の値になったとニュースになってた。
あれは、鯨の吐瀉物が海水で洗われて出来た物らしいけど、一時期CHANELNo.5に入ってたと聞いた覚えもあった。
そう、香合はした事はないけど、調香には手を出してたと思い出した。
通りで、コーンタイプの虫除け香を作るのが上手かったのか、理解した。
ちなみに、この世界でも香水はあり、貴族の女性では必須の様になってるけど、一応TPOはあるの。
使って良いのは夜会の時だけって
午後のお茶会では、お茶の香りを妨げる物はルール違反になるの。
そのくらいのルールなら、ちょっと考えれば分かるルールだし、ラノベから教わったルールも覚えてるけど……
香と呼ばれる物は、国王陛下が下賜する様な1品だった気がしないでもないんだよねえ。
その様な品が、伽羅の香木が10gで数万円した日本の記憶が残ってるだけに、ずっしりと重い、コレは幾らになるのか、判断がつかない物だった。
インベントリに入れる段階で、その香木の下にも色々入っていて、鑑定する前に、箱ごとインベントリに収納した。
だって、鑑定してたら益々、ボス部屋に行くのが遅くなるじゃない!
それに、自分が呆然としてる間にも、魔石を食べるのを止めないレイトルも居るし!
心残してるとばかりに、後ろを振り返るレイトルを連れて、ボス部屋の土壁を触れた。
だけど、気だけが急いてたのか、ボスだと言うのに、緊張感がなかった。
でも、開けた瞬間、ボスの威圧で我に返った。
たださあ、中級ダンジョンだよねえ?
なんで、大きさによれば、Sランクにもなるバジリスクが居るんでしょうか?!
目を見たら石化するので、バリア替わりにミラーの反射魔法を、全員に掛けた。
自分は、更にミラー反射の眼鏡を掛けた。
妖精の羽根を使用した物は、更に幻惑魔法が掛かるって話だけど、妖精たちを狩るのは禁忌なので、似せた物を作ったの!
姿は子供中は大人な探偵が掛けてた眼鏡ほど高性能ではないけど、この世界では高性能だとは思う。
そんな事を考えてる間にも、レイトルは氷、ブレンダは雷、イベルダは風魔法による防御と、攻撃が始まっていた。
自分が「アイスランス!」で、腹側が柔らかい弱点の地面から氷の槍で突き刺した。
容赦なく攻撃するのは、ダンジョンゆえ。
死ねば、ドロップ品になるから。
それに、バジリスクの肉は毒を含んでるので食用不可なだけに、切り刻んでも大丈夫!
バジリスクはトカゲ系なので、寒さに弱いけど、大きさによればSランクだけに、しぶとい。
氷と風と雷の魔法が飛んでるので、更に上書きして、「ブルームストーム!」
春の嵐は、雪と春雷に暴風なんだよ!
桜散らしの嵐とはよく言ったもんだ。
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