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第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか
中級ダンジョン6階層〜
しおりを挟む階段を降りたら、そこは浜辺だった。
「海だ!」と叫ぶくらい、潮の香りがする。
小屋を、森の方に出して、浜辺で釣りをしようとしてたら、召喚獣たちは各々楽しんでる。
レイトルは蹄に砂が入るのも気にせず、砂浜を走り回ってる。
ブレンダは岩場の方で、海藻かな?を突っ付いてる。
イベルダは側で、シオマネキとしては大きいヤドカリと殺りあってる。
既に、日は落ちて来てるので、綺麗な夕暮れが見れそう。
そう思ってたのに……
日が暮れて行く余裕などない程に、魚が掛かり、挙句は超大物!
なんで、ダンジョンの中で、目を疑い、鑑定しても「黒魔鮪」と出る物が出るの~!!
身体強化する事で、ようやく釣り上げた物を見て、しばらく唖然として、放心したくらいなんだから!
海に日が落ちる瞬間、見逃したー!
と言っても、ダンジョン内のだけど。
あれ?そう言えば、ダンジョン内では時間帯や気候で、現れる魔物が変わるって話があったな。と思い出した。
小屋は出してあるので、鳥目のフレスベルグのブレンダは、戻って行ったんだけど、あと2匹は興味が尽きない様で、浜辺を楽しんでる。
まあ、海がなく遠い国だけに、初めての経験だろう。
それで、自分は夜釣りしながら、現れ始めた蟹退治。
まあ、2人が大量に現れた蟹をやっつけてるの。
ブイヤベースとスープストックにしてやるー!
昨夜、かなり遅くまで遊んで、小屋に戻ってからも、カニのドロップ品の検証をしてた。
小さい蟹と言っても、体だけで20cmはあるんだけど、そのドロップ品は、砂っぽい小瓶と柏餅状の肉片のどちらか。
検証したら、砂っぽいのは蟹の粉で、そのままだと畑の肥料、茹でて濾すと出汁になったー!
肉片は、蟹フレークにしやすく、使い勝手が良さそうだった。
そうそう、夜釣りの成果はアナゴだよ!
夜行性なのは、某TV番組で見て覚えてたんだ。
後は、イカが釣れた。
ラノベで有名なクラーケンと違い、スルメイカになるイカだと思ってたら、案の定、ドロップ品はスルメイカの干物になった足だった。
それと、しばらく放心した黒魔鮪は、直ぐに死んだ訳ではなく、自分が我に返った頃、死んだ様でドロップ品になって、インベントリにあるけど……
自分が切り分けなくても、各部位となってた。
それで、鮪って寄生虫が居る事多いけど、ダンジョンのドロップ品だからなのか?居なかった。
まあ、居たら、インベントリには入らないけどね。
それで、今朝の食事はマグロ丼です。嬉しい~!
日暮れまでに釣れたのは、アジとか鰆、鯛で、解体され切り身となって、ドロップだった。
このまま、拠点を辺境領に置いておきたくなって来たよ。
ただ……
良い気分で、家から出て、耳を疑ったのは、気の所為だよね?
ダンジョン内、それも階層内で小屋を開けば、同期するの~!?
初級ダンジョンで、アベランたちが入って来ただけに、レイトルを連れ、小屋の中の果樹の奥にある緩やかな広葉樹の山を抜けたら……
浜辺が出来てた……
川に魚が居着いた様に、既に、海の中に魚影が見えるし、岩場もある様で、ベリンダはとうに気付いて居た様で、突っ付いてる姿があった。
これは、コーデリアに報告しなきゃいけない案件だよ。
黙ってたら怒られる!
とりあえず、踏破だと思い、小屋の外に出れば、結構な数の冒険者が釣りしてた。
「おはよう」と言って、近付いて来た男、手にメモを持っていて……
「出来たら、釣れた物と時間帯を教えて欲しい」
そう言われ、目を丸くしてたら、辺境伯の依頼の様だった。
「我が国は海に面してないだろ?なのに、ダンジョン内に海があるのに、何が釣れるか不明で放っておくのは勿体ない。と言われてな」
そう言ってるけど、良い楽な依頼だと言って、喜んでる模様。
放置だったって事は、依頼を出したのヴィルジーク様かな?
そう思いながら、夕暮れ前に来て、こういう物が釣れたと、物を少し出して、報告したら、唸ってたよ。
夕暮れ時に大物かと言って。
「夜釣りすれば、スープの元になるドロップ品を落とす蟹が山ほど出ますよ」
そう言えば、やって見るか!と言ってた。
朝釣りはせず、ブレンダが昨日から居る岩場に行けば……
色んな海藻が生えてる!
海苔の類もあれば、ところてんや寒天になる赤い天草もある!
少し深い処に行けば、ワカメ!
一緒に、ウニ発見!
アワビに、海老も!
小エビの群れが居て、網で掬うくらい大張り切りで、
中々、次に行けなかった。
ウニ、アワビ、海老はドロップ品の中身になったけど、海藻類は薬草や果物と同じ採集品扱いの様で変わらなかった。
それを確かめてから、7階層に向かったんだけど、降りた先も浜辺だった。
違うとしたら、沖に島があるくらい。
島がある事で、海流が出来て、大物は釣れないかな?
そう思いながら、地形把握をしてたら……
ほぉ、あと少ししたら、潮の満ち干きで、島までの道が出来る様だった。
なるほど、隠しルートって訳だね。
通常ルートの8階層に向かう階段が見えてるだけに。
潮の満ち干きは、地球通りだと1日2回で、大概、朝方と日の入りの頃なんだ。
覚えてるのは、出産のタイミングってね、月と潮の満ち干きと関係してるんだよ。
そう、自分が前世でおばちゃんで、子供を産んで育ててた事は覚えてるね。
死んだ際の記憶は薄らで、個人情報は覚えてないと言うか、思い出せない。
まあ、でも生きて行く上で、個人情報は今の処、必要ないかな?
そんな事を考えながら、釣りをして待っていたら……
潮の流れが変わったと思った瞬間、海に道が出来た。
島が手招きしてる様だった。
この道がある状態が、どのくらい続くんだろうか?
そう思いながら、道を歩き出せば、皆着いて来た。
けど、取り残された魚などが居るので、処理しながら向かった。
島に着き、ダンジョンの隠しルートを探すのに、島の周囲を探してたら……
さっきの辺境伯の依頼って人が、7階層に降りて来た様で、道がある事に驚いてる様だった。
「島への道がある!」と言って。
だけど、その時には、潮の流れが変わって来てた様で、海水が道を覆い隠そうとしていた。
手を振れば、「是非帰ったら、報告上げてくれ!」と叫んでた。
島の浜辺には道はなく、島の森の中に入れば、階段の場所が出て来た。
どうやら、森の中にある洞窟に続きがある様だった。
ちなみに、島はセーフポイントなのか、ヤシの木があるだけだったの。
ヤシの実が全てココナッツになる訳じゃないけど、アブラヤシの方も、パームオイルになるのを、精油関連で知っていて、鑑定すれば……
ココナッツの方だった。
ココナッツも、オイルになるし用途が様々だけど、パームの方が、亜空間だけに直ぐに出来ると嬉しいもん。
パームオイルはマーガリンやショートニングになるから、バターや植物性油が高いだけに、ね。
ちなみに、アブラヤシは実を付けるまで10年掛かるんだよー。
ヤシの実は、イベルダとブレンダが取ってくれたんだけど、興味津々だったよ。
洞窟に降りる前に、小屋を出して、種を植えに行ったんだ、4つくらい。
そう言えば、ゲームアプリで、ヤシの実を植えたら、一気に木になって、実が生ったのを思い出しながら、小屋を出て、洞窟に向かった。
洞窟内は薄暗く、何処からか波の音がしている。
ここは7階層?8階層?
そう思いながら、歩いてたら、気配で飛び退けば……
大量のトビウオが飛び込んで来て、地面でピチピチしてる。
直に、ドロップ品の切り身や木の節の様な物に変わった。
木の節?いや、かつお節に似てるけど、ちっちゃい。と思った事で気付いた!
関西より西、高知でトビウオをアゴって呼んで、出汁にしてたの。
かつお節の塊は見た事あったけど、アゴ出汁は粉の物だったり、汁になってる物しか知らなかったので、ビックリだよ。
かつお節より先に、アゴ節?を手に入れるとは。
そう思いながら、拾ってたんだけど……
気配を察知して、尖った口で飛んで来るとは、怖い奴だな。
でも、きっとコーデリアは喜んでくれるだろう。
だから、節になってちょうだいな。
その後、9?階層に降りる頃には、波が掘った青の洞窟の様な処があるのに気付いた。
澄んだ青の海に、光が射し込む事で、荘厳なまでに神秘的な光景に見蕩れるものだけど……
中ボスって10階層だよね?!
というシチュエーションに固まった。
左に綺麗な風景、右手に朽ちかけた幽霊船があって……
固まってたら、カタカタカタカタカタと音がしたと思ったら、骸骨がいっぱい来たー!
スケルトンなんて、冒険者していて、初めて見たよ!
アンデット系に、今まで遭遇してなかったし、冒険者ギルドでも、居るなんて言われてないので、知識はラノベだけ~!
1番効くのが聖魔法なんだけど、ラノベの検証をしよう!
という事で、「ウォーターヒール!」
水系が1番得意だからなんだけど、あれ?
バラバラになった後、ピクリともしなくなった。
さすがラノベ!効いたよ。
その後、骨は硬貨に変わった事に驚きつつ、幽霊船を探索すれば……
船のあちこちに宝箱発見。
おお!と思ったのが、「遠見の望遠鏡」という魔道具で、内緒にしようと思う代物だった。
だって、鑑定分によれば、神話級の魔道具で、どんなに離れた他国でも、見たい状況を見る事が出来るらしい。
更に、時空間魔法を使える者が使えば、未来を見れると言う一文で、秘匿する事を決めた。
絶対に、国に託したとしても、コレを巡って、争いが起きるもん。
見付けたのがパーティーじゃなく、ソロの自分で良かったよ。
意見の統一とかしないで済むし。
とりあえず、宝箱から一緒に出た宝石や貴金属を出すかな。
後は、薬剤にもなる真珠いっぱい箱と、珊瑚いっぱい箱に、大型魔魚の骨がいっぱい箱だった。
幽霊船の探索終えて、次の階層に行こうとして、階段が海に続いていて……
息が出来る腕輪が必須条件のシチュエーション来た!
恐る恐る、青い海に足を進めれば……
ぴちゃぴちゃと音はするけど、波が足に纏わり付く気配がなく、ホッとしながら、大胆に降りて行った。
海の中で泳ぐっていう経験がないだけに、イベルダとブレンダ、くっ付いて来てたけど。
レイトルは?と思えば、アイテムボックスから出して、角にくっ付けて居た。
賢い。と思いながら、宝箱から出た銛を、手に持っていた。
海の中に、中ボスを示す石で造られた大きな扉があって、10階層だとは気付いたけど……
通常ルートの中ボスと違うって事か!
何が出るか聞いて来た意味ないじゃない!
そう思いながら、自分が開ける前に、またレイトルに蹴られてた!
中に居たのは、地球で言うところの人喰い鮫だね。
それも、大きなのが1体、他に6体くらい居る。
息は出来るけど、海の中だけに、魔法はダメか。
火は勿論、雷は自分たちも危険に晒すし、水に対し土は有利だけど……
そう思ってる時には、海中だって言うのに、レイトルとブレンダが動いていて、ボスを残し、氷と雷で圧制。
あれ?と思ってる内に、銛を撃つ事もなく、鮫の群れは、尾びれや肉、歯などに変わってた。
ボスはボロボロだったので、レイトルの蹴りでドロップ品に。
おかしいな?と思いながら、ドロップ品を拾ってたら、魔石をボリボリ齧ってるレイトルが居た。
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