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第3章 聴講生になったので、自由にします!

コーデリアと中級ダンジョン

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  昨夜は、通常の野営より遅くに、小屋に入ったんだけど、カニのドロップ品を少し、コーデリアに分けて上げたんだ。

  ま、それでもきっとコーデリアのご飯は、鮪だったと思うけど。

  そういう自分も、今朝はネギトロ丼だけど。

  大真面目に、中級ダンジョンに、海のフィールドがあって良かったよ。

  食材が一気に増えたからねえ。

  レイトル達が好きな果樹を食べ、日課を終えて出て来れば……

  既に、コーデリアは白ペアと岩場で収穫してた。

  朝方が摘むには良いよって言ったからだろう。

  護衛さんは手伝い1人、もう1人の銀髪さんは朝釣りしてる。

  朝は小魚が多く動いてるので、餌はHランクのミミズを切って付けるんだけど、撒き餌をすると良いんだ。

  「おはよう」と声を掛ければ……

  やはり「小屋の中に海が出来てた!ありがとう!」と、満面の笑みを浮かべて、言って来てた。

  良かったと言って、微笑み返して、自分も採集。

  「浜辺を掘ったら、貝類取れるかな?」

  コーデリアの言葉で、忘れてた事に気付いた。

  「掘って見ようか!」

  そう提案して、バケツとショベルを出してた。


  7階層に向かう時には、かなりの量のアサリが取れた。

  さすがに、全部は食べれないけど、海水に浸けて、砂吐きさせるのに、小屋の中に入れておいた。

  生きてるので、インベントリや魔法袋には入れられないんだもん。

  ハマグリの方は岩場がある磯で砂を掘ると出て来てたの、それでスッカリ潮干狩りを忘れてた。

  ムール貝っていうのか?紫色の細長い貝も岩場に張り付いてたし。

  それで、7階層に行けば……

  ちょうど、道が出来てる時間で、待ってた冒険者たちが島に向かって行ってる。

  「あ!そうだ!コーデリア、ヤシの実だけ取りに行こう!」

  思い出して、そう言ってた自分。

  「ココナッツの方なので、マーガリンは作れないんだけど」

  そう言ったけど、「ココナッツ!」と喜んでる。

  道は2時間程度で消えるので、悠長な事してられないので、大急ぎで島に渡って……

  採集して戻って来たけど、ココナッツを知らない護衛さんに、この為に作ったドリルで穴を開け、節のない細い竹をストローとして、突き刺して渡した。

  ココナッツミルクって代物なんだけど、熟成期間が要るので、取って直ぐの物じゃないよ。

  「直ぐに飲みたい時は、熟成魔法を掛けてね」

  そう言ってる時には「美味しいな」と言って飲んでた。


  7階層と6階層はさほど変わらないので、8階層に向かったんだけど、隠しルートに行く者多いんだねえ。

  8階層に冒険者の姿がなかった。

  隠しルート一応、Sランクの魔物が出るから上級なのに。

  8階層は今までと同じ海なんだけど、何が違うんだろう?と首を傾げてたら、コーデリアも考えてた様だ。

  けど、コーデリアは気付いた様で……

  「深さじゃない?」

  「なるほど!遠浅じゃなかったものね」

  とは言ったものの、なら、何故、鮪などの大物が釣れたんだろう?

  自分の疑問に、コーデリアも気付いたけど……

「不思議なダンジョンなんだし、しょうがないよ」で終わらせた。

  とりあえず、違う物が釣れるかな?と言うことで、糸を垂らしてみたんだ。

  けど、昼時は魚が掛かりにくい事もあって、早々に諦めて、9階層に移動した。

  だって、浜辺に面した森の方にも採集品はないし、魔物の気配もないし。

  本当に中級ダンジョン?8階層自体がセーフティポイントみたいな状況だった。

  んだけど、自分が海の中に入る気がなかったので、気付かなかっただけだとは!

  後々に、珊瑚礁がいっぱいある事に気付く事になったの。

  と言うのも、8階層を見渡していて、気付いたのが……

  塩の精製するのに最適の広さがあるなあって思う浜辺だったんだ。

  と言うのも、ダンジョンの中で天候が変化する階層というのはないので、雨に降られず天日干しが出来る環境は、塩精製などを始め、大変重宝できるものだったんだ。

  だって、冷凍は勿論、冷蔵も日常ではない、この世界では塩は必要不可欠。

  干物にするにも、燻製にするにも、塩は要るの。

  腐らせる要因は水分なので、水分を抜く作用のある塩は必須なのです。

  戦国時代の頃の話でも、相手に塩を送るっていう謙信と信玄の逸話が残ってるくらい、塩は重要なんだよ。

  ただ、ナメクジに塩と勘違いしたのか、傷口に塩ととって、嫌がらせだと思ってたって……

  あれは誰だったんだろうなあ?

  全く思い出せないや。

  いや、それより塩を征す者は何とかって言うんだから、ヴィルジーク様に報連相だ!

  そんな事を考えながら、9階層に向かってた。


  9階層では、海はあるけど、浜辺ではなく、岸壁の下で、森はあるけど、草丈がある草原が広がってた。

  日常的に、鑑定を掛け、緯度的に生えていない、育たない代物だけに……

  「ええー!」と叫んでた自分。

  「何、何?!」というコーデリアに、
  「サトウキビ!」と言いながら、走ってた。

  護衛さんたちよりも高い草丈で、サトウキビ畑というより、林だね。

  コーデリアも目を輝かせ、護衛さんも、目を丸くしてた。

  「これがですか?」と言って。

  1本刈り取って、途中で折れば、液体が出て来た。

  「この汁を絞って、煮詰めて灰汁を取らなきゃいけないけどね」

  そう言って、舐めてみれば、やっぱり甘いのは甘いけど、甘さが足りない。

  コーデリアも、ちょっと舐めて頷いてる。

  「南のローランド王国では産業になってるよ」

  そう教えてくれたんだけど、さすが不可思議ダンジョンだよ。

  「今まで、サトウキビを見た事ない人ばかりだったのかな?」

  1番古いダンジョンと聞いてたのに、気付いていないって、どれだけ勿体ない事か。

  「だけど、この丈の物を刈り取って、持ち帰って精製って、かなり大変だよ」

  コーデリアに、そう言われ、それもそうか。と納得した。

  「それもそうだね。初級ダンジョンでも、収穫出来る状態のお米が放置だもんねえ」

  うんうんと頷いてたコーデリアだけど、自分も刈らずに次に行く事はない。


  コーデリアと自分が刈る中、護衛さんも少し刈ってたけど、基本、周囲の警戒。

  8階層までと違って、魔物の赤い点があるんだもん。

  それで、刈ると言っても、悠長に鎌でなんか刈らない。

  刈ると言えば、婆ちゃんの大鎌の出番です。

  魔法も掛ければ、広範囲に刈り取れるので、コーデリアは収納する係。

  ちなみに、コーデリアに空間魔法を教えてるので、インベントリ使える様になってるの。

  まあ、1部にしか教えてないらしいけど。

  と言うのも、人によって出来る人と出来ない人居るんでね。

  ただ、自分とコーデリアが詰め込んでも、半分もなおせないと思うくらいに、サトウキビがあるの。

  その作業中に襲って来て、護衛が倒したのはエイプだね。

  テナガザルってヤツで、吠えてるので、ホエザルが加わってる猿だね。

  飛び跳ね回り、群れで襲って来ると言われいて、この国には居ない魔物だったんだけど、ギルドで聞いたんで、弱点は知ってる。

  風魔法を使うっていうので、同じ風魔法で相殺させた。

  攻撃でも使ってる様だったけど、自身も浮かせてるみたいだったんで。

  つむじ風・旋風で巻き上げて、叩き落とした処を護衛さんたちに、始末して貰ったの。

  過剰な風になって、対応出来なくなって貰ったんだよね。

  コーデリアには「相変わらずの力技だよね」と苦笑されたけど。

  一応、召喚獣たちも居たんだけど、氷と雷での攻撃は止めて欲しかったんだよねえ。

  寒いのも、火が発生も、サトウキビが影響を受けたら、困るもん。

  それなら、サトウキビを齧ってる方がマシ。

  レイトルなんて見向きもしなかったのに、折った物を差し出して、イベルダが先に齧って、「キキ!」と鳴いたら、齧り始めて……

  甘い草なんてあるのか!とばかりに、むしゃむしゃと食べてたのよ。

  馬って甘いもの大好きなんでね。


  取れるだけ取って、小屋に生やすかとなったんだけど……

  「サトウキビって、種だったよね……?」

  覚えがなくて、そう言えば、コーデリアも首を傾げてた。

  「まあ、とりあえず、成長促進させるか!」

  そう言って、スライムゼリーの希釈液3倍を取り出せば……

  「何それ?」と訊くよねえ。

  「スライムゼリーの検証実験で出来た物」

  そう言えば、コーデリアには思い当たるんだろうけど、護衛さんたちは目を白黒。

  種を取れる状態にするには、濃度は高めなんだ。

  糊にするには等倍だけどね。

  他の使い方するには、粉にしてから熱や魔力を通すんだけど、「レポートにしてるけど、要る?」と言えば、コーデリアに大爆笑された。

  「イルラにあげたら?」と言われた。

  「魔道具に使うには、粉にしてゲルだね。色々と使えるよ」

  壊れないガラスになるけど、着色出来ないのが難点なんだ。


  結局、種も取ったけど、小屋を出す事で同期させ、小屋の中にサトウキビ畑を作ってから、10階層のボス部屋に。

  「一応、グラスクラブっていう地中に住む蟹って事になってる。全長、手足を入れて4mサイズで、1m前後の子分を連れて出て来るって」

  そう中ボスの説明を、ボス部屋の手前の踊り場で、昼食を兼ねてしてる。

  自分が食べてるのは、鍛冶屋のおっちゃんに作って貰ったホットサンドメーカーで作ったサンドイッチ。

  かなり以前に作って貰い、商業ギルドに上げろと言われたんだけど、昔に他国で上げられてたんだよねえ。

  なので、失効もしてたから、売買契約だけしたんだ。

  冒険者の携帯食に、ピタパン、おむすび、バーガー同様、最適だと思い、常備してるんだけど……

  干し肉と堅パンが常備だと言う冒険者の方が多いです。

  今も、コーデリアの護衛は干し肉とパンだったけど、コーデリア自身は、おにぎりを食べてた。

  そうそう、コーデリアと、「勇者の剣」の話に始まり、サロンの話やら色々とおしゃべりしたんだけど……

  コーデリアの店って事は、ロッテンマイヤー侯爵家がバックなんでね。

  サロン形式の店は、貴族界隈にある元男爵の屋敷を買い取って、少し改築し、玄関ホールに受付。

  1階で、メイドがヘアアイロンの使い方などの実演や化粧品のレクチャー。

  2階で、紅茶やケーキを出す形態なの。

  来られる方の人数、年代、性別などで、案内する部屋を変えれる様に、部屋の壁紙やテーブルや椅子を1つずつ変え、部屋の大きさなども構成の1つに。

  なので、出すケーキや紅茶なんかには、コーデリアも現代知識を出してるけど、自分も出してあげてるので、貴族の女性が好む流行りの場所なんだよ~。

  特に、前世の自分、アンチエイジングが必要な年代だったんだと思う。

  やけに詳しいから。

  なので、コーデリアやイルラの母とも話が合うんだろう。

  そのサロン、招待式にしたので、招待されたいご婦人、ご令嬢方は、今、コーデリアや母親のアンジェラ様に媚びを売る状態なんだって。

  なので、万が一、編入ヒロインが居たとしても、コーデリアは大丈夫!

  そう、一応、万が一を鑑みて、策を練ってたんだ。

  自分は、もう学園に行く気がないだけに。



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