ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

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第3章 聴講生になったので、自由にします!

勇者の剣の余波

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  コーデリアからの返事と一緒に、魔法学園からの親展が、辺境領都ベーゼルのギルドに届いた。

  コーデリアは、現在、両親と南の隣国ローランドに居る様で、残念がって居た。

  と言うのも、ロッテンマイヤー家の領地は、辺境領に向かう道と環状道が交差する場所なので、意外と近いんだ。

  それでも、オークションの話と「勇者の剣」の話は、自分とは別ルートから届いてる様で……

  武の者でもないのに、話のついでにトライして来るそうだ。

  それと「いよいよ乙女ゲームじゃないよ」には、自分も笑ってた。

  もう1つの学園からの手紙は、夏休み中に飛び級の試験を行うと言うものだった。

  ただ、日付けが指定されていて、届いて直ぐだったので、焦ったよ。

  でも、飛び級が出来れば、聴講生扱いにするとの事だったので、学園の図書館に入る事はでき、授業に出席しなくてもよくなるの。

  オークションの当日っていう処だけ、妙に申し合わせた様に感じない訳じゃないけど。



  当日、自分は王都にではなく、魔法学園に直接転移した。

  飛び級試験を受け、採点中は図書館に居り、合格を貰って、聴講生の書類を書き込んで提出して、辺境領に戻ったので……

  王都内を歩く事はなかったんだ。

  まあ確かに、校門前に陣取って待ってる気配があったんで、回避したんだ。

  母を盾にしないと、成人したので、子爵家がどうする事も出来ないんだよねえ。

  ドーリッシュの名前も使ってないんで。

  魔法学園の名簿からも、聴講生になった事もあり、平民扱いにしたので、念を押すなら、王宮名簿から抜く事なんだけど……

  自分じゃ手が出せなくて、家を奪って来ようとした際、ヴィルジーク様に聞けば、名前変更は他家に養子に入る方が容易いそうだ。

  なので、念を押せない状態のままです。



  その後、オークションの値が物凄い金額となって、振り込まれているのを、ギルドで確認したんだけど……

  ギルドに来てたのは、コーデリアから連絡が来てたから。

  別ルートには行かないという約束して、自分へ指名依頼を出して、中級ダンジョンに入るの。

  今日までに、ほぼ毎日、冷凍葡萄と魚の収穫をしに入ってたんだけど……

  結構な数の冒険者も入ってたよ。

  辺境伯爵家から依頼が出てるんで。

  まあ、自分は個人的理由でだけど。

  前回同様、コーデリアが、ロッテンマイヤー家の護衛を2人連れて、やって来てた。

  待ち合わせは中級ダンジョン前だったの。

  「元気にしてた?」

  そう言いながら、白ピヨを撫でてあげ、前回と同じ護衛さんに、頭を下げて挨拶をした。

  それで、早速、中級ダンジョンに潜ったんだ。

  コーデリアは、通常ルートで踏破したいと言ってたので、自分的にも行ってみたかったし、良いかな?と思って。


  1階層に降りたら、夏だと言うのに冷気が漂っていて、随時、氷魔法を掛ける様にと、ギルドからも推奨してるほどに、徹底してるんだ。

  涼しい理由を言えば、「国王陛下を唸らせたワイン」と護衛さんも知っていて……

  興味津々で、全員で摘んでた。

  と言うのも、氷魔法を永続的に掛ける事で、オオトカゲ弱体化してて、多少の警戒は必要だけど、結構、採集に専念出来るほどなの。

  イベルダと一緒になって、タミア嬉しそうに、両手に持って食べてるけど……

  白い毛色が薄紫に染まってる。

  白ピヨもだけど、食い付き具合が凄かったよ。

  コーデリアも、シャーベットの葡萄が気に入った様で、小屋に植えると言ってたので……

  「凍ったままの葡萄を植えると良いよ」

  アドバイスしておいた。

  3階層では、リキュールの隠し部屋があって、ヴィルジーク様、ギルドに教えたからか、数名の者が居て、作業してた。

  コーデリアには、お土産としても渡したんだけど、なんでも、最高級品の顔用クリームに食い付いた母上が、どのルートか知らないけど、1種類1本手に入れた様で……

  護衛さんに、追加依頼を出した様でね。

  ロッテンマイヤー家の紋章が焼きごてされたアイテムボックスの魔法袋を、幾つも背負ってるなあ。と思ってたら、凄い量のガラス瓶を取り出してた。

  コーデリアが唖然とする程の数あって……

  召喚獣達に「食べて来て良いよ」と伝えたからね。

  1階層をギルド依頼の低ランクの者が採集し、
  2階層を辺境伯が長期で採集依頼を出した者が採集。

  3階層ほどになると、常時冷気に晒されて弱体化されてるといっても、突撃されるとまずいので……

  護衛付きもしくは高ランクであれば採集OKというルールが設けられたんだそうです。

  ロートとおたまを出して、掬おうとしてるので、作業してる者に、魔法を教えた。

  入れる瓶を集めて、容量を確かめてから、「350mlパッキング50」と条件を付けるの。

  「何それ?」と、目を丸くして訊くコーデリアに、当たり前の様に教えた。

  「何って、作った薬剤を瓶に容れる魔法だよ。調合師なら、最初に習うの」

  コーデリアは、初めて聞いた。知らない。を繰り返してたけど、「便利だ」と言ってた。

  「手が触れないので、雑菌も入らないしねえ」

  自分の言葉に、気付いたのか顔色が変わってたよ。

  その間にも、自分が唱えたリキュールは、魔法で自動的に入って行き、蓋まで閉めてた。

  なので、終わった瓶の回収と次の瓶の用意が出来るんだけど、問題はアルコールの匂いが濃い洞穴の中で作業をしなきゃいけない事だね。

  護衛さんはアルコールに強い様だけど、コーデリアは赤くなって来たので……

  「お嬢様は外でお待ちください」と言われてた。


  リキュールを詰める作業が終わるまで、召喚獣共々、凍った葡萄を摘んで待ってたので、コーデリアは小屋を出して、植えに行ってた。

  小屋に植えるって事で、白ペア喜んでたよ。

  コーデリアの小屋が、どの程度の規模なのか分からないけど、白ペアの食料になるだけに、色々植えてるみたいだけど。

  小屋の中の家の設備は、前世の記憶が反映されるのか、コーデリアも至れり尽くせりだって。

  ジェットバスがあったって言ってたからねえ。

  それも、露天風呂もあるって話に驚いたもん。

  だから、たまに召喚獣たちと一緒に露天風呂に入る話に、羨ましく思ったんだけど……

  ヤキモチ妬きのレイトルに、露天風呂はねえ。

  今でも、家の中にも巣があるブレンダとイベルダに、少々イラついてる時がある。

  なので、1番強いのはオレで、主を守ってるが著明なんだ。


  リキュールの詰め作業は、魔法を教えた事で、数時間で済み、護衛さんたちホッとしてた。

  一応、コーデリアにはタイムリミットがあるのよ。

  新学年が始まるんでね。

  それまでに帰宅もしないといけないので、潜って居られるのは1週間なんだ。

  なので、渡されてたガラス瓶の数に慄いてた訳。

  さすがに、自分も苦笑する数なので、お手伝いするよ。

  まあ、待ってる間に、かなりの量の葡萄を摘めたから良いんだけどね。

  その後、中ボス部屋に入る前に、隠し部屋のモンスタールームへ。

  隠しルートに行かないので、入らなくても良いんだけど、結構なレアな腕輪なんでね。

  「人魚の腕輪」が得れるって事で、上級ダンジョンに潜ってた連中が、中級ダンジョンに来てたくらいだもん。

  隠しルートに向かう者には必須な代物だし。

  護衛さんも、getする気満載だし、コーデリアも欲しい代物だと言ってたので。

  うちの子たちは持ってるので、コーデリアたち中心で、攻撃して貰ったんだけど……

  レイトルやブレンダが黙って見てる筈がなかった。

  ただ、初級ダンジョンの隠し部屋の虫除け腕輪と違って、攻撃をした者の数、腕輪は出る様だった。

  2つ多かったので、自分がインベントリに収納したんだけど、まさか、フラグになるとは思ってなかった。


  5階層のボスはラウムリザードなんだけど……

  1階層から徐々に強くなって行くオオトカゲ、色が変わって行くんだけど、常時の冷凍で、石礫の魔法でも倒せるくらいになっていたの。

  その為、中ボスのラウムリザードで、本来の強さが分かるものなのに……

  魔石を食べ続けてるレイトルの氷魔法と、ブレンダの雷魔法に削られ、魔法を1つ当てれば、消えます。

  白ピヨが、石礫をいっぱいぶつけた事で、ドロップ品になって、護衛さんが唖然としてた。

  「普通は、こんなに早く倒れませんよ」と言って。


  リキュールの詰め作業が掛かってたとしても、6階層に降りるには、良い時間帯で……

  「大物の釣りタイムまで、後少し」と言えば、護衛さんの方がヤル気出してる。

  自分が森の側に小屋を出せば、コーデリアも横に出した。

  護衛さんたち、その横にテントを張る中、釣りを始めたんだけど……

  既に、大物が釣れる時間帯が夕方だと確証が取れたのか、かなりの人数が陣取ってる。

  釣りを主体に中級ダンジョンに潜る人が居る様で、午後から入り、1夜過ごし、朝釣り後に戻るんだってー。

  まあ、この国では生の魚は高級食材だからねえ。

  コーデリアも、ヤル気で「鮪釣りたい」と言ってる。

  ので、ビー玉サイズの回復薬になる薬草を混ぜた特製の餌を提供。

  「身体強化魔法を掛けておきなよ」

  そう囁いておいてあげれば、護衛さんたちも掛けてた。

  「ライラさん、この餌は……?」には、内緒の仕草。

  さすがに、そこは企業秘密だよ。

  実は、黒魔鮪以外にも、何度も釣りに来てるので、釣ってるのよ。

  カジキマグロにそっくりの青角鮪とか、南大鮪とか、かなりの個体数釣ってるので、一挙手一投足じゃないけど、チェック入れられてるんだよねえ。

  陣取る場所とか、餌とか、釣竿とか、糸とか……

  陣取る場所は関係ないと思うけど、他は工夫してるからねえ。

  糸は普通のシルクスパイダーじゃなくアラクネだし、釣竿は初級ダンジョンにあった竹を削ったし……

  食いちぎられたら悔しいので、釣り針は普通にステンレスだけど、返しを2段付けた形にした型に流すだけで良いようにしたもん。

  コーデリアには、それを渡せば、my竿を持って来てた護衛さんには、マジマジと見てこられた。


  そのコーデリア、ぽいと投げた後……

  「助けてー!引き摺られるー!」

  身体強化しても、お嬢様だけに非力で、念願の鮪は引き当てたけど、ほとんど護衛さんが釣り上げてた。

  ただ、鮪は本当に嬉しそうだったよ。

  鮪の群れでも居たのか?と言うくらいに、自分にも掛かったので、助けられなかった。

  自分の餌を使った護衛の銀髪さんは、自身に掛かったのを自力で釣り上げてたんだけど……

  そうなると、餌が気になるよねえ。

  痛いまでの視線が飛んで来てた。

  以前、辺境伯の依頼を受けてたバズさんが居たので、
ちょいちょいと手招きして……

  「銀1枚で買わない?」と言って、餌15個出せば……

  「高い!」と交渉された。

  それでも良いと言う者が出て来た所為で、その値になっちゃったけど、時間はすぎて行くからねえ。

  ただ、やっぱり検証しただけあって、その餌なら大物が掛かる様で……

  銀1枚でも安いって事になったよ。

  となれば、「沢山売ってくれ!」ってなるよねえ。

  召喚獣の小屋の中で生えてる薬草、巷の物より効果が高いんで、一緒にはならないんだけど、ま、いっか。

  「ギルドにレシピ出しとくから、自分で作って」

  さすがに、Aランク冒険者を、餌作りばかりさせてはおけないとは、理解した様で、了解してくれた。


  赤から紫に水平線が変わって行く中、今日最後の大物を釣り上げられれば……

  小さいカニの大群が現れるんだけど、ブレンダと白ピヨは小屋に戻って行った。

  白ピヨ興奮して、岩場に行ったり、シオマネキと遊ぶタミアと遊んだり、走り回ってたりしてたんだ。

イベルダは、タミアと一緒だったんだけどね。

  レイトルが小さいカニを踏み潰してたりする中、一緒にカニ狩りする者は少なくて、魔法袋を持って居ない者は5階層の帰還の転送陣で戻る様だった。

  コーデリアは、護衛2人の間で、アナゴを釣るんだと言って、座ってたけど、小カニのドロップ品にも、興味津々で、気になってる様だった。

  自分はレイトルが踏み潰して行くので、拾って歩いてたんだ。


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