47 / 79
第3章 聴講生になったので、自由にします!
上級ダンジョンへの道
しおりを挟む辺境領都べーゼルの北西に、上級ダンジョンでNo.101「ブリュンヒルデの隠れ家」フィールド系があると、ギルドに報告に出向いたのは次の日だった。
辺境伯から自分に、ギルドを通しての依頼だったので、報酬を貰いに行かないといけない。
となれば、当然、新しいダンジョンの話ってなるよねえ。
まあ、冒険者とすれば、そのネタで食べてるんだから、重要だし、ギルドは管理を委託されてるから……
だけど、直ぐに、冒険者を探索に下ろせる状態じゃないんだよね。
昨日の今日で、ダーイン伯爵は直ぐに現地の状況把握に向かう様だけど……
降りる手段を付けるのか、降りる時以外は外せる梯子を使うのかを、領主として決めないといけないんでね。
管理を委託するギルドの手も借りるが、スタンピードの事を考えれば、領兵にも慣れさせないとねえ。
だから、ギルドに入れば、直ぐに執務室に連れて行かれた。
隠す必要もないので、新しい見付けた北西の情報を開示したんだけど……
ダーイン伯爵と違い、ブリュンヒルデと言う名に覚えはなさそうなギルマスだった。
ただ、上級ダンジョンなのに、30階層と少ないって事は魔物ランクは高そうって事だ。
ギルマスが嫌な顔をしたのは、落とし穴タイプでの出入口で、管理するとしたら、常設の階段を設けたい処だけど、設ける訳には行かない。
階段を使用して、魔物が上がってくる可能性があるから。
現場検証に、今日行ってると言えば、頷いたけど、ギルマスの眉間の皺は取れそうになかった。
冒険者たち、それも自分の様なソロではなく、高位ランクが多く居るクランに、調査を兼ねトライして貰ってからしか、潜れないから……
潜れるとしたら、いつかなあ?
冬場は、依頼がないと潜らない者も居るからなあ。
まあ、エンデの森の中級とウプラムの園庭は、比較的温暖な気候のダンジョンなので、通年でも潜れるだろうけど……
となったら……
潜れる様になるまで、もう1つの上級ダンジョンに行って来るか。
居所を不明にするのに、エイドリアン領にある上級ダンジョンに行く届けと許可証は、ギルドに出してあるので、何時でも行けるのと……
ヴィルジーク様たちはしばらく新しい上級ダンジョンで忙しいので……
とっと行こうと決め、一旦、王都のグラニエール薬屋、婆ちゃんの処に転移した。
「婆ちゃん、エイドリアン領の上級ダンジョンに行くけど、何か欲しい物ある?」
そう言いながら、店内に入れば……
「北西の森の調査はもういいんか?」と聞かれた。
ので、新しいダンジョンを見付けたけど、自分はまだまだ入らせては貰えないから。と伝えれば、納得してくれた。
「それならのぉ、冬も近いんで、ダンジョンに入る前に、風邪薬の材料を取って来ておくれ」
そう言いながらも、引出しを開けながら、在庫を確かめてた婆ちゃん。
恨めしそうに、ノアがこっちを睨んで来てるけど、無視!
ちなみに、ノア以外にも孤児院のチビッ子が数名、婆ちゃんに弟子入りして、一生懸命に作業してる。
自分が弟子入りした頃は、自分しか居なかったけど、直ぐに、数名の男の子が入ったのに、すぐ居なくなっちゃうんだよねえ。
ノアくらいだよ、長く続いてるの。
大人で弟子入りを願いに来る人も居るけど、婆ちゃんお断りしてる。
なんでも、婆ちゃんが言うには、癖があると受け入れられないんだって、調合方法が。
婆ちゃんの教え方しか、自分は知らないから、よく分からないけど、そんなに違ったかなあ?
「蒼き鋼」のミリアさんの調合とあまり変わらないと思うんだけど?
婆ちゃんから頼まれたリストをインベントリに直したら、王都の外のマーカーに転移した。
王都の門番に、王都に出入りしてるなんて証言されたら、面倒なんでね。
そこで、召喚獣たちを呼んで、北に向かったんだ。
辺境領とほぼ同じ緯度だけど、やや寒く感じるのは、遮るものがないからかな?
そう思いながら、歩いてた。
レイトルは乗れって、鼻で突っついて来てるけど、乗る気はない。
急いでないし、寒くなると魔力を多く含む薬草以外は枯れちゃうので、生えてる内に戴いておかないと。
1年草や2年草のものは、夏に種を付け落としてるのと、そのタイプで薬草はほとんどない。
薬草の大半が冬になると、枯れて葉を落として越冬するの。
なので、自ら枯れてしまうので、刈り取ってあげると早く越冬準備に、薬草も入れるのよ。
そのお手伝いの意味でも、採集して歩く訳。
まあ、イベルダとフレスベルグ夫婦は、秋の森の中、ドングリだとか、栗、アケビなどを見付けては、食べてもいるけど、直して行ってる。
レイトルとすれば、リンゴ、梨があれば目敏く見付けて食べてるけど、そうそうにないんで……
鬱憤を、襲って来る魔物で晴らしてる。
ボアやディアなんかとは、餌が一緒な事もあって、出くわすんで。
蛇系も冬眠前の食い溜めなのか、襲って来るし。
栗鼠系は、イベルダの方をチラッチラッと気にはしてるけど、あくまで餌が気になってるんだろうね。
今の処、タミアの群れには遭遇してないんだよねえ。
ブレンダがソルを見付けられたのは、飛行による移動手段があって、テリトリーが広かったんだよ。
餌だけ貰って逃げて行くので、気が強い筈のイベルダの背中が……
その内、いい子に会えるよ。と思いながら、イベルダを撫でてやると、肩に上がって来た。
エイドリアン領内に入るのに、さほど日数は掛からなかった。
ただ、領都がほぼ領地の中央に位置しているのは、国境の砦が北の端にあり、何かあれば駆け付けられる距離だから。
この地域でダンジョンが見付かったのが後だった為、領都よりも迷宮都市の方が大きくなってしまうのは、致し方ない。
更に、ダンジョンがある=魔素が多い=周辺部でも魔力が多い魔物が居るって事なので……
以前に狩ったクリムゾンディアも、この地域にはいっぱい居るの。
ディア以外にも、牛系のブルとかベア・熊とか。
群れで居る事は少ないけど、群れてると厄介な惨事になるので、群れでいるのを見付けた場合は、狩るように。というのが、ギルドからの通達事項。
特に、今から餌になる草などが減って行く時期に、群れでいたら、その地域一帯が木の皮までが食い尽くされてしまうので、数を減らしておくか、散らさないといけない。
という事で、今、インベントリにはクリムゾンの名がつく魔物がいっぱい。
婆ちゃんが喜びそうな熊は、クリムゾンだけでなくレッドも、ブラックも入ってる。
どのくらい、ギルドに卸すかなあ?
そう思いながら、見えて来た迷宮都市の城壁を見ていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる