ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

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第4章 学園卒業しました!同時に結婚しました

山越えのフォーセルダ王国

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  聖女ジルを拾いはしたけど、自分の行動は変わりはない。

  森の奥となれば、薬草の採集、果物やキノコなどの収穫をするんだけど……

  ふと初冬だった事を思い出し、眉を寄せてた。

  オーディナルよりも北にあり、寒くなって来てた帝国よりも北西なのに、秋の始めの頃の様な気候。

  帝国をこのタイミングで離れた理由が冬!

  オーディナルでも、雪が降って積もるんだよ!

  帝国で越冬となれば、帰国が更に3ヶ月伸びるって事で、やや遅めだけど、動いたんだから!

  そう、普通、初冬になる果物なんて、温室でないとないよ!

  何か、気流や海流の様なもので、レイリア神聖国は気温は高めなのかな?

  そういう違和感を覚えながらも、生ってるんだから、収穫するよね。

  でも、予感が、止めて歩き出せと言うので、止めておいた。

  違和感が、嫌な予感にならないと良いんだけどなあ。

  そう思ったんだけど、フラグの様な気もする。

  国境で、レイリア神聖国の結界が張られてるっていう。

  もし、それが事実なら、ショートカットは不可能。

  レイリアとフォーセルダとの国境の関所に行かなくてはいけなくなる。

  ジルに聞けば、分かる事だったけど……

  聞かなくても、森の現状から理解した!


  聖騎士は居るけど、明らかに戦力の足らないレイリア神聖国が、国として成り立ってる理由。

  ラノベでも、聖女を追い出したが為、結界が維持出来なくなって、崩壊したって言う話があったじゃない!

  自分ったら馬鹿じゃない!?

  間抜けよ、間抜け!

  自分を叱咤しながらも、街道になんて戻らないよ。

  だけど、南西方向にある関所に向かって、レイトルで激走。

  森の上をブレンダで飛ぶ事も考えたけど、フレスベルグって、遠目からでも見てとれるので、レイトル。

  森の中を駆け抜けるのなら、夜の方が良いから、昨夜の内に動けば良いのに、なにグッスリと寝てるのよ!

  本当に馬鹿だわ!

  フォーセルダに入ってから、安心しなさいよね!


  山の中なので、2日掛かるかも?と思った距離を、さすがレイトル、1日で駆け抜けた。

  関所を抜けたら、一安心。

  そう思ってたのに……

  出国審査が厳しい様で、長い行列が出来ていた。

  人が1人入れそうな入れ物を乗せてる馬車のチェックは特に厳しいみたいだった。

  あー帝国に向かう聖女が失踪したのが知れたのか。と合点はいったんだけど……

  早くない?

  失踪から2日しか経ってないのに……

  さも他人事の様に、「何かあったの?」と前に並んでる人に訊く。

  「詳しくは分からないけど、何か探してるみたいだよ」

  そう言いながら、振り返ったオジサンが、レイトルを見て、ギョッとした。

  ので、小屋に送り返そうとして、止めた。

  んだけど、召喚獣の小屋の中には、身内以外は入れないのは常識。

  「あー、ごめんなさい。レイトル、戻っていようか。また呼ぶから」

  そう言って、鼻面を掻いて、送り返した。

  「魔馬の召喚獣でしたか!」

  そう言ってるオジサン、デュラハンギャロップを知らないんだねえ。

  でも、召喚獣に付いては知ってる様で……

  「召喚獣の譲渡はおろか、奪う事も無理なんですよね!」

  だけど、いやに大声なのは、誰かを牽制してる?

  「そうですね。ギルドにある召喚の魔法陣で、魔力に合う魔獣を呼んで契約するんですからねえ」

  自分も呼応して、話をしながら索敵したら……

  意外とたくさんの赤点!

  「という事はテイマーですか?」と聞かれた。

  「本職は違いますよ」と言って、杖を見せれば……

  「魔道士様でしたか!」と勘違いした。

  けど、この国では魔術師じゃなく、魔道士って呼ぶんだね。

  「という事は、移動手段として召喚されたんですか!さすが、魔力量が豊富な魔道士様ですね」

  やけに興奮して、大きめの声で、話すのを止めない。

  という事は、この行動には理由があるんだろうね。

  特に、周りが赤点だらけだし。

  まあ、この関所前では動かないだろうけど。

  あ、でも、彼らが奴隷商人だとは思わないよ。

  だって、拘束した者を入れて運ぶ特有の馬車じゃないから。

  となれば、もしかすると、聖女の失踪は漏れてたんじゃないかな?

  聖女って、称号の有無だけじゃないからね。

  それなりの教えを受け、修得して初めて、治癒士以上の事が出来る様になると、自分は考えてる。

  その修得や行いで、ラノベじゃないけど、称号は変わるから。

  それゆえ、聖女の称号がある者が、身を隠そうとしてると聞けば、良からぬ事を考える者がいない筈がない。

  だけど、空ぶった。

  まさか、自分が手を貸したと気付いてる?

  でも、連れていない=何処かに逃がしたって?

  有り得なくはないな。と思ってたら……

  順番が来た模様。

  自分にじゃなく、赤点の彼らに。

  なら、拘束されたら良いんじゃない?

  という事で……


  一時後、自分は意気揚々と、関所の砦を抜けていた。

  彼らが、門番の兵に身分証を見せてる時に、魔法を掛けたの。

  それも誰もが分かりやすい言葉「解除!」  で。

  彼らが偽装してるのは確実だったので、全ての偽装を解除した訳。

  当然、「てめえ!」と声をあげて殴りかかって来たけど、Aランクの冒険者を舐めるな!

  魔法のロープで拘束して、門番の兵に引渡したの。

  まあ、少々は聞かれたけど……

  「嫌な目線を感じて、鑑定したら、偽装してたけど、盗賊ってなってたから」

  そう言って、Aランクの冒険者タグを出せば、真偽の水晶玉を出されたけど、反応する訳がない。

  その為、自分は解放されて、彼らは手引きで脱走しない限り、犯罪奴隷だねえ。


  フォーセルダには入ったからか、やはり冬だった。

  雪は降ってるし積もってる!

  だからと言って、街道をゆく気はない。

  そりゃ、普通は雪山の中を移動するのは頭がおかしい者のする事だけど。

  雪山だからこそ出来る採集があるんですよ!

  水辺が多いフォーセルダだけに、氷華草が採れるの!

  雪苺もあると良いなあ。

  そんな事をしながら、オーディナルの方に南下して行こうと思ってるんだ。

  


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