ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

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第4章 学園卒業しました!同時に結婚しました

レイリア神聖国

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  お荷物とも言える聖女の依頼を何故か、受ける気になったのは、予感の所為。

  とりあえず、情報を得て直ぐに、町を出た。

  後を着いて来てるのは、帝国の影くらいで……

  ギルドの中には入って来てないので、会話は知らないだろう。

  影はよく天井裏に潜んで、忍者の様に会話を聞くシーンがあるけど、今の屋敷建築では忍び込める空間はないです。

  空調設備や電気の配線の加減で作られるのかはわからないよ?

  ただ、隠し部屋、隠し通路を作る様な屋敷にはあるかもだけど。

  影とすれば、ギルドに入り情報を得たのくらいは分かるだろうね。

  それでも、首都に向かうんだろうと思ってると思われる。

  だけど……門を出て直ぐに、ブレンダを呼んで、空に飛び立ったとなれば……

  援軍を呼ぶのと、ギルドに顔を出すだろう。

  ただ、フォーセルダまでの情報が欲しいとは言ったけど……

  街道で行くんじゃないんだよねえ。

  帝国とフォーセルダを分ける天然の要害、魔の森ほど広くないけど、高い山々があるんですよ。

  その山々に雲が当たって、よく雨が降り、緑豊かな森がフォーセルダ側の麓に広がっていて、急流に近い川が流れてる。

  我が国の側を流れる頃には、イメラルダ大河になるんだけど、合流するのはフォーセルダ国と我が国の国境付近。

  初めて行った初級ダンジョンのあった山を降りた先に、大きな湖があるんだけど、そこに流れ込むんだ。

  そう意図的に、街道をゆくと思わせる様に、情報が欲しいと言ったんだ~ふふ。


  頑張って探して~と思いながら、森の奥で、小屋を展開。

  中に入れば、イベルダとミュルの追いかけっこを見ながら、微笑んでた聖女が居た。

  「遅くなってごめんね。色々と仕込んで来た」

  そう言いながら、近付けば緊張した模様。

  「ロッジに案内するわ。それから、説明もするけど、事情も話してね。国に戻って、どうするか決めないといけないから」

  そう言って歩き出せば、着いては来てるけど、マントのフードは下ろしていない。


  ロッジの中に入って、目を見開いて固まってたけど、靴を履き替えて貰わないと!

  婆ちゃん達も、めんどいのぉと当初言ってたけど、室内に居る時間が多いと、ブーツより楽だと気付くの。

  まあ、聖女の足元はブーツではあったけど、新品なんで履きなれてない。のが見てとれる。

  きっと歩いての逃走劇なら、足を引っ張ったであろう事は、簡単に予想が着いた。

  柔らかい皮で作った試作品のバレエシューズを渡せば、ベンチに座って履き替えてくれた。

  んだけど、履き心地が良かったのか、強ばった顔が少し緩んだ。

  中に案内すれば、初冬の頃なので、暖炉に火がついていて温かいので、更に、安堵した模様。

  暖炉を向いて置かれた、3人がけのソファに掛けられてるシルバーウルフの毛皮を撫でた後、座ったので、インベントリから果実水を出した。

  自分は膝置き、背持たれありの1人用ソファに、腰を掛けてる。

  「ありがとう」と言いながら、やっとマントのフードを下ろしたんだけど……

  コーデリアの銀髪よりも白い、雪の白銀の髪に薄い水色の瞳で、聖女というより、雪の女王ぽい。

  儚げな美貌で、思い浮かんだのがエイドリアン公爵。

  ただ、この方って実は平民出身なんだよね。

  だから、魔王討伐の最前線に行かされる事になったみたいなの。

  「わたしは…」と言って、名乗りだしたジル。

  使い魔の猫とカラスから聞いて、知ってるけど、本人の口から語られないとねえ。

  噂と真実は違うかもしれないじゃない。

  だけど、名前から言っても、平民だね。


  魔王に生贄として捧げられる聖女ってなんだよ!

  魔王討伐で、勇者の横に立ち、支援するんじゃないの!?

  最前線に出向かなかったので、どうなってるのか分からないけど……

  とりあえず、召喚獣の小屋には、本来、所有者と身内以外は入れないのが、建前になってる事など、彼女が知らないであろう事を教えた。

  それから、入れる場所と入れない場所、好きにしてくれて良い事なども。

  特に、食事なんて、毎回、小屋の中に戻って食べてる訳じゃないので、自分で作って食べる様に言えば……

  元々平民で、日常の事は自身で出来るそうだ。

  8歳の頃に発現して、神殿に入ったそうだけど、平民ゆえに除け者にされていたらしい。

  その為、掃除は元より、何でも自身でせざるを得なかったって、聖女になっても。

  そう言えば、ラノベの中に、平民聖女が神殿を出て、幸せになる話があったなあ。と思い出した。

  けど、自分、ヒーローじゃないよ!

  まあ、自身の身を守る為、逃げ出すのも致し方ないでしょ。


  とりあえず、その日はそのまま、その場所で過ごして、次の日から、山越えしてフォーセルダに向かう事にした。



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