ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

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第4章 学園卒業しました!同時に結婚しました

7ヶ月と5日ぶりに帰国

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  以前に初級ダンジョンに訪れた頃より、1ヶ月遅れで、雪が止み、晴れ渡って青空が見え、やっと動き出した。

  スキーという概念がなかった事を思い出して、スマホで作り方を探して、せっせと作ったブーツと板。

  まあ、自分が作った程度なので、素晴らしい出来ではないけど、滑れない訳じゃない。

  雪駄も作ってみたんだけど、雪で歩けなかった。

  ブレンダに飛んで貰う事も考えてたんだけど……

  調子が悪いのか、巣に籠ってるので、諦めたの。

  さすがに、レイトルでも、雪深すぎて無理なので、スキー。


  ワックスをもっと掛けないとダメだなと思ったけど、歩くよりは早い。

  風魔法も掛けて、50キロ移動は中々だと思うんだ。

  また雪が降ってきたら、足止めされるので、少しでも距離を稼ぎたかった。

  さすがに、夜には寝るのに、小屋の中に戻ったけど。



  オーディナルは、大きな湖の向こうに見える山を越えたらってところまで、ようやく来た。

  大きな湖があるので、迂回しないといけないんだけど、こればかりは仕方ないと諦めてる。

  だって、イメラルダ大河を渡る石の橋があるのは1箇所なんだもん。

  それでも、気は急くの。

  だけど、人通りのある街道をゆく事になるんだよねえ。

  さすがに、スキー姿で居るとマジマジと見てくる者が居るので、脱いだ。

  んだけど、「それは魔道具か!?」と聞く者が居るので、作ってみたと答えた。

  「ただ、完成品じゃないよ。とりあえずの試作品。もっと改良しないとダメだと思う」

  そう言ったんだけど、食い付きが凄かった。

  結局、湖の近くにある町マギノビで、売る事にした。

  だって、オーディナルに戻ったら使わないもん。

  それに、木と湖の町でなければ完成しない気もするし。

  更に、マギノビの町を過ぎたら、ずっと上り坂だし。

  ちなみに、ソリはあるので、足に履く事で操作しやすくしてみたんだって、言ってはおいたよ。



  マギノビで1泊した後、再び天候が悪化しやすそうだったので、大急ぎで国境越えするのに、ソル召喚。

  この世界に、バイクがあれば、じゃなく帝国にあったわ。

  とりあえず、走り屋が好きなスピンカーブ続きの道なので、初級ダンジョンに行く道との分岐点まで急ごうかと。

  そこからは、山間の5合目辺りの谷間なのと、気候が変わるのか、雪の量が減るのよ。

  で、ブレンダの様子がおかしいので、ソルで。

  その後はレイトル召喚で走り抜けるの!


  国境を抜けた先にある平といえる場所で、夜になったんだけど……

  驚きが、エイドリアン公爵が自ら出迎えに来てた!

  え?何で?

  エイドリアン公爵の領地って、アゼリア王国に入る街道だよね?

  まさか、フォーセルダ王国との国境の辺りもエイドリアン公爵領なの!?

  ビックリしてたら……

  「無事の帰着か。あやつから連絡が来るくらいだ。して、聖女様は?」

  そう言いながら、キョロキョロ見回してる。

  「公爵家?に着いてから」

  小声でそう言えば、理解してくれた。

  「確かに、この様な場で、とは思ったが…」

  少し考えて、気付いた様だよ。

  レイトルを見てるんでね。

  だけど……どうやって?とは思ってるだろうね。

  召喚獣の小屋に入れるのは、主っていう認識の筈だから。

  入れられるとなったら、色々と不味い事になる件案なので、さすがに、エイドリアン公爵、口にしなかった。

  しかし、王太子様って腹黒だったんだね。

  平民出身ではあるけど、薄幸の儚げな美人で、勘づかれたとしても、後見出来る身分の者をって事でしょ。

  そう思いながら、暗くなってる中を、公爵家の別宅?の屋敷に急いだ。


  考えた様に、エイドリアン公爵領のフォーセルダ側の別宅だった様で、さほど時間は取られず、周りが見えなくなる頃には着いた。

  エイドリアン公爵と側近の従者だけになってもらい、屋敷の裏で、召喚獣の小屋を出した。

  聖女を、ジルを小屋の外に出した。

  一応、オーディナルには入った事は告げた。

  エイドリアン公爵家の屋敷で、国の保護下に入れば、後は困らない。とも告げた。

  それでも、怯えるよねえ。

  ただ、風貌の色合いも、儚げ印象な上、心細げで、「ご迷惑をお掛けします…」と告げる声も……

  エイドリアン公爵の好み、ストレートど真ん中だった模様。

  「私めにお任せください。不安にはさせません」

  騎士の様に跪いて、手を差し出した!

  高慢な公爵様が!跪いた~!

  その時には、小屋をさっさとしまっていた自分だけど、ビックリしてた。

  いや、側近たちも驚いてたか。



  その後、聖女様は粛々と丁重に扱われる様なので……

  王都の辺境伯邸に、ヴィルジーク様が居るって話なので、急いだ。

  と言っても、1泊はさせて貰ったよ。

  でないと、ギルドの依頼達成のサインも貰ってないし、直ぐに姿を消して不安を覚えさせるのもなんなので。

  公爵様の話によると、落ち着いたら王都に連れて行くそうだ。

  そこで、王宮で謁見する予定になってるんだって。

  まあ、その前に、エイドリアン公爵の事だから、聖女を口説き落としてるでしょ。

  前回のミリノリア嬢と同じ事には陥らないと思う。

  何でも、ヴィルジーク様が言うには、エイドリアン公爵の初恋だったみたい。

  初恋は実らないっていうけど、遅くない?!

  でも、多くの子息が居る王都に行けば、きっと彼らの目を惹き付けるのは確かだからねえ。

  「心労を充分に取ってから、王都に来られる事をお勧めしますよ」

  意味深に、そう言えば、含み笑いしてたよエイドリアン公爵様。






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