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悪役になろうとも
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ファミレスで軽い食事をした後、私は娘の鈴音を連れてファミレスを後にした。
幼馴染のこーちゃんともそこで別れ、私たちは帰路を歩く。
「ぷはぁ~久々の外食だから沢山食べ過ぎてお腹一杯だよ。ご馳走様、お母さん」
「はいはい、どう致しまして。成長期なんだから沢山食べないと大きくならないからね。まあ、痛い出費だったけど……」
ファミレスでの会計は私が全て払った。こーちゃんのも含めて。
最初はこーちゃんが私たちに奢ろうとしたけど、私が断った。
鈴音にとって久々の外食だけど、私は仕事付き合いとかで外食は何回かあって、私の教育係のこーちゃんに幾度か昼食を奢って貰った事がある。上司の面目として。
仕事中であれば部下として謙虚に振る舞ったり、上司の善意は素直に受け取るが、今はプライベートで私とこーちゃんは幼馴染だ。それに、鈴音が沢山迷惑かけたし、お礼のお金も受け取ってくれなかったから、これぐらいはしないと私の気が済まなかった。
当然なのか、不服そうなこーちゃんだったけど最終的には折れてくれて、私が全てを払った。
と言っても、今回の出費の大半は鈴音の分なんだけど……。
「それにしてもさ、お母さんたちは何話してたの? 私がジュース取りに席を離れてた時にさ」
突然と聞かれた事に私はギクッと足を止める。
私の2、3歩先に足を進めた鈴音は振り返り。
「なんだかあの後、康太さんは私に対してどこかよそよそしくなったし。なにか私の恥ずかしい過去とか話してたわけじゃないよね?」
親だから勿論、外に漏らして欲しくない鈴音の恥ずかしい過去を知っているが、話を盛り上げる為に娘を陥れる様な馬鹿な真似はしない。
……いや、もしかしたら鈴音にとっては、そっちの方が良かったのかもしれないね。
ジト目で私を睨む鈴音に額に脂汗を滲ます私はふぅ……と息を吐き。
「そんなんじゃないよ。私とこーちゃんは今は同じ会社の同僚だから、仕事関係の事で相談していただけ」
「ふーん? そうなんだ。まあ、ならいいけどさ」
流石の私も本当の事は話せなかった。
分かっている。本当は言わないといけない事だって。
だけど、少しずつ距離が離れていってからの方がいいよね。
私はあのファミレスで、鈴音が飲み物を取りに行っている間にこーちゃんにお願いした。
こーちゃんは鈴音とあまり関わらないで欲しい、と。
これは別にこーちゃんが鈴音に悪影響を与えるとか、意地悪で言ったわけではない。
鈴音は、父親という存在に憧れを持っている。
幼少の頃からそれは垣間見えていた。
公園で同年代の子と遊んで、その迎えの時、両親揃って一緒に帰る友達を羨ましそうに見ていたあの子の寂しそうな顔は今でも忘れられない。
気づいていたはずなのに、私は気付かないフリをしていた。
本当はこの子に父親が必要なのだろう。だから、私は誰か良い人を見つけて結婚した方がいい。
けど……父親になるって、言葉で言う程簡単じゃないはず。
ましてや義理、血の通ってない子の父親になるのなんて……。
こーちゃんが私に言った言葉を思い出す。
もし仮に自分との関係が無くなっても根本的な解決にはならないという言葉。
私は痛い程それは分かっている。けど……どうしようもない。
あの時、私は言葉を飲み込んだ。だが、これは言ってはいけないと理性が訴えた。
あの時の私が飲み込んだ言葉は—————『なら、こーちゃんが鈴音の父親になってくれるの?』
私は最低だ。
私は昔、こーちゃんを振っている。なのに、今更本当はこーちゃんが好きだとか、付き合ってなんて虫が良すぎる。こーちゃんは私以外の誰かと幸せになって欲しい。昔、私はそう願ったはずだ。
この先鈴音と関わっていけば、鈴音の存在がこーちゃんの大きな弊害となる。
そうなれば、私はまたこーちゃんを傷つけてしまう。だから私はこーちゃんにこれ以上鈴音と関わらないで欲しいと頼んだ。
本当に我ながら反吐が出るよ。自分の娘に親切にしてくれた人に部外者だ、なんて……こーちゃん怒ってるだろうな。
だけど、私が悪役になろうと、鈴音とこーちゃんが幸せになれるならそれを望むよ。
それが私の贖罪。私の願いだ。
けど、私がこーちゃんの傍にいたら今後否応でも鈴音と関わってしまうよね。
……転職を考えないとな。
はぁ……折角、中卒で学歴が無い私を好意的に良い会社に就職出来たのに、けど……覚悟しないといけないな。
「お母さーん! なにボーっとしているの、早くしないと置いていくよ?」
上の空で歩いていた私はいつの間にか先を歩いていた鈴音の声に我に返る。
ぶんぶんと手を振り招く我が娘。少し前まで小さかったはずなのに、ここからでも分かる程に大きくなったんだな……感慨深いよ。
「待ちなさい鈴音。直ぐに行くから」
私は小走りを鈴音の後の追う。
再び並んで歩く私たちだが、無造作に振られる鈴音の手を見て私は思わず握ってしまった。
「ど、どうしたのお母さん? いきなり私の手掴んで?」
「たまにはいいでしょ、親子なんだから」
恥ずかしそうに顔を赤めて顔を逸らす鈴音だが手を放そうとはしなかった。
逆に私の手を強く握る鈴音を私は愛おしく感じた。
「鈴音の引っ越し祝いで、今日は鈴音が食べたい物を作ってあげる。なにが良い?」
「本当に!? なら私はミートスパゲティが良い! お母さんのスパゲティプロ並みに美味しいからさ!」
「ふふっ、ありがとう鈴音。なら沢山作ってあげないとね。けど、その代わりに編入試験の勉強とバイト探しはしっかりしなさいよ」
「うぅ……忘れようとしていた現実が……分かってるよ! 絶対に合格して、いつかお母さんに恩返しができるようになるから! 流石にこのままじゃ、親不孝者過ぎるよね!」
散々迷惑をかけて来た自覚はあるのか、猛省した鈴音は活き込んでもう片方の腕を手を大きく上げる。
微笑ましく思い私の頬をが綻びる。
私の人生はこの子が幸せになる様に費やす。だから鈴音。貴方は本当の意味で幸せになってね。
それなら私は—————自分の幸せはいらないから。
幼馴染のこーちゃんともそこで別れ、私たちは帰路を歩く。
「ぷはぁ~久々の外食だから沢山食べ過ぎてお腹一杯だよ。ご馳走様、お母さん」
「はいはい、どう致しまして。成長期なんだから沢山食べないと大きくならないからね。まあ、痛い出費だったけど……」
ファミレスでの会計は私が全て払った。こーちゃんのも含めて。
最初はこーちゃんが私たちに奢ろうとしたけど、私が断った。
鈴音にとって久々の外食だけど、私は仕事付き合いとかで外食は何回かあって、私の教育係のこーちゃんに幾度か昼食を奢って貰った事がある。上司の面目として。
仕事中であれば部下として謙虚に振る舞ったり、上司の善意は素直に受け取るが、今はプライベートで私とこーちゃんは幼馴染だ。それに、鈴音が沢山迷惑かけたし、お礼のお金も受け取ってくれなかったから、これぐらいはしないと私の気が済まなかった。
当然なのか、不服そうなこーちゃんだったけど最終的には折れてくれて、私が全てを払った。
と言っても、今回の出費の大半は鈴音の分なんだけど……。
「それにしてもさ、お母さんたちは何話してたの? 私がジュース取りに席を離れてた時にさ」
突然と聞かれた事に私はギクッと足を止める。
私の2、3歩先に足を進めた鈴音は振り返り。
「なんだかあの後、康太さんは私に対してどこかよそよそしくなったし。なにか私の恥ずかしい過去とか話してたわけじゃないよね?」
親だから勿論、外に漏らして欲しくない鈴音の恥ずかしい過去を知っているが、話を盛り上げる為に娘を陥れる様な馬鹿な真似はしない。
……いや、もしかしたら鈴音にとっては、そっちの方が良かったのかもしれないね。
ジト目で私を睨む鈴音に額に脂汗を滲ます私はふぅ……と息を吐き。
「そんなんじゃないよ。私とこーちゃんは今は同じ会社の同僚だから、仕事関係の事で相談していただけ」
「ふーん? そうなんだ。まあ、ならいいけどさ」
流石の私も本当の事は話せなかった。
分かっている。本当は言わないといけない事だって。
だけど、少しずつ距離が離れていってからの方がいいよね。
私はあのファミレスで、鈴音が飲み物を取りに行っている間にこーちゃんにお願いした。
こーちゃんは鈴音とあまり関わらないで欲しい、と。
これは別にこーちゃんが鈴音に悪影響を与えるとか、意地悪で言ったわけではない。
鈴音は、父親という存在に憧れを持っている。
幼少の頃からそれは垣間見えていた。
公園で同年代の子と遊んで、その迎えの時、両親揃って一緒に帰る友達を羨ましそうに見ていたあの子の寂しそうな顔は今でも忘れられない。
気づいていたはずなのに、私は気付かないフリをしていた。
本当はこの子に父親が必要なのだろう。だから、私は誰か良い人を見つけて結婚した方がいい。
けど……父親になるって、言葉で言う程簡単じゃないはず。
ましてや義理、血の通ってない子の父親になるのなんて……。
こーちゃんが私に言った言葉を思い出す。
もし仮に自分との関係が無くなっても根本的な解決にはならないという言葉。
私は痛い程それは分かっている。けど……どうしようもない。
あの時、私は言葉を飲み込んだ。だが、これは言ってはいけないと理性が訴えた。
あの時の私が飲み込んだ言葉は—————『なら、こーちゃんが鈴音の父親になってくれるの?』
私は最低だ。
私は昔、こーちゃんを振っている。なのに、今更本当はこーちゃんが好きだとか、付き合ってなんて虫が良すぎる。こーちゃんは私以外の誰かと幸せになって欲しい。昔、私はそう願ったはずだ。
この先鈴音と関わっていけば、鈴音の存在がこーちゃんの大きな弊害となる。
そうなれば、私はまたこーちゃんを傷つけてしまう。だから私はこーちゃんにこれ以上鈴音と関わらないで欲しいと頼んだ。
本当に我ながら反吐が出るよ。自分の娘に親切にしてくれた人に部外者だ、なんて……こーちゃん怒ってるだろうな。
だけど、私が悪役になろうと、鈴音とこーちゃんが幸せになれるならそれを望むよ。
それが私の贖罪。私の願いだ。
けど、私がこーちゃんの傍にいたら今後否応でも鈴音と関わってしまうよね。
……転職を考えないとな。
はぁ……折角、中卒で学歴が無い私を好意的に良い会社に就職出来たのに、けど……覚悟しないといけないな。
「お母さーん! なにボーっとしているの、早くしないと置いていくよ?」
上の空で歩いていた私はいつの間にか先を歩いていた鈴音の声に我に返る。
ぶんぶんと手を振り招く我が娘。少し前まで小さかったはずなのに、ここからでも分かる程に大きくなったんだな……感慨深いよ。
「待ちなさい鈴音。直ぐに行くから」
私は小走りを鈴音の後の追う。
再び並んで歩く私たちだが、無造作に振られる鈴音の手を見て私は思わず握ってしまった。
「ど、どうしたのお母さん? いきなり私の手掴んで?」
「たまにはいいでしょ、親子なんだから」
恥ずかしそうに顔を赤めて顔を逸らす鈴音だが手を放そうとはしなかった。
逆に私の手を強く握る鈴音を私は愛おしく感じた。
「鈴音の引っ越し祝いで、今日は鈴音が食べたい物を作ってあげる。なにが良い?」
「本当に!? なら私はミートスパゲティが良い! お母さんのスパゲティプロ並みに美味しいからさ!」
「ふふっ、ありがとう鈴音。なら沢山作ってあげないとね。けど、その代わりに編入試験の勉強とバイト探しはしっかりしなさいよ」
「うぅ……忘れようとしていた現実が……分かってるよ! 絶対に合格して、いつかお母さんに恩返しができるようになるから! 流石にこのままじゃ、親不孝者過ぎるよね!」
散々迷惑をかけて来た自覚はあるのか、猛省した鈴音は活き込んでもう片方の腕を手を大きく上げる。
微笑ましく思い私の頬をが綻びる。
私の人生はこの子が幸せになる様に費やす。だから鈴音。貴方は本当の意味で幸せになってね。
それなら私は—————自分の幸せはいらないから。
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