カボチャの馬車に乗り損ねたのにはワケがある。

わをん

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二人の出会い

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 早朝ランニングの河川敷。

 午前7時。

 スタートから3キロ地点。

 線路の高架下に入り込む直前で必ずすれ違う男性がおり、気になり始めてから1ヶ月経つ頃には無視できなくなって、会釈程度の挨拶をするようになった。

 そのうちに、どちらともなく、

「おはようございます」
「おはようございます」

 息を切らしながら言い合うようになり。

 自宅から五分の最寄り駅のプラットホームで電車を待っているときに、反対側のホームから満面の笑みで手を振られるまでの顔見知りとなった。







 社畜の仕事帰り。

 午後10時。

 駅前のラーメン屋のカウンター。

「あれっ」
「あれっ、どうもどうも」

 気づいたら、隣同士で並んで食べていた。

 醤油豚骨大盛り、全部乗せ。右に同じ。

 見慣れたランナー姿でなくて、仕立てのいいスーツにきっちりネクタイ姿の彼と、くたびれた作業着の俺。

 ステイタスの違いを感じてしまった。

「寒い日はラーメンに限ります」

 彼はそう言って、真っ白いハンカチで優雅に口を拭った。

 えっ、もう食べ終わったのか。早いな。

「実はここでお会いするのは初めてじゃありません」
「えっ」
「あっはっは。冗談です。奇遇ですね」
「あっ、えっ、ん? どっちなの?」

 彼の手首に光り輝くロレックスの腕時計。

 ロレックスが場末のラーメン屋に来る理由は、……痩せ型の見た目に反して、意外と脂ぎったラーメンが好きだから?
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