カボチャの馬車に乗り損ねたのにはワケがある。

わをん

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偶然の必然

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 はてさて。

 不思議な偶然は続くものだ?

 日曜、午後6時。

 商店街のスーパーにて、いつものルーティンでカップ麺を選んでいたらば。

「お疲れ様です、こんばんは。今日は簡単ゴハンですか?」

 後ろからカゴを持った彼に声をかけられたときは、さすがにバツが悪かった。

「え? あ、いや? 俺、料理は全くできないの。いつもこんなんばっかりで」
「そうなんですか。僕は料理が趣味なんです。初心者でも簡単に作れるレシピを教えて差し上げましょうか。機会がありましたら僕の家に是非」
「え。家に? あ、いやいや?」

 そこまではさすがに。

「はっはっは」
「あは? あはは?」

 もう、この関係は。

 友達、と言っても差し支えないね、と思うようになった頃……。







「本社の営業さんです」

 春もたけなわ。事務所で部長から紹介されたのは。

「えっ」
「またお会いしましたね。ふふ、偶然ですね」
「知り合い?」
「いえ? いやいや、はい、あ、はい」
「はい、ちょっと」

 何なら、今朝も会ってるし。悪いことなんてひとつもしてないのに、動揺してしまった。

 友達か、否か。

「どっちなの。まあ、いいか。彼は海外事業部の神林かんばやし君です。こちらは製造部の刑部おさかべ君です。僕はこれから打ち合わせがあるので、工場はこちらの刑部君が案内します」
「えっ」
「宜しくお願いします」

『神林君』から握手を求められて慌てたところ、

「あはっ」

 いつもの爽やかな笑顔をかまされて、周囲にピンク色の桜が散った気がした。
 
 ほんわかしてしまった。

 2つ年下の神林君は間違いなく、早朝ランニングのロレックスの人だった。

 有り得ない偶然が立て続けに起きてはいたが、30年生きてきたらこんなこともあるかもしれない、騒ぎ立ててもねと、心を平静に保つことを努めた4月から半年後。

「今日からお隣になりました。宜しくお願いします」
「いやいや!? お隣!? さすがに怖い怖い!」
「偶然ですから。あっはっは。寮が空くのをずっと待ってたんですよ」

 ロレックス……。意外と堅実?

 偶然の濫用もここまでくれば怪しく感じる。でも、そういうこともあるかもしれないと自分に言い聞かせた。

 ロレックスと金銭感覚が合うかは未知数だったが、趣味は合ったので。

 互いの部屋に入り浸り、休日は部屋で映画を観るまでの関係に発展した。
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