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日常編
7ドSって何?
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休日、陽波はアストと共に動画を見るのが習慣になっていた。スマホを手に言う。
「今日も何か見る? 映画とかどう?」
「映画……フリキュアの?」
「あ、いやフリキュアの映画もあるけど、アニメじゃない映画とかだよ」
休日の度にフリキュアを見ていたので、アストの中では動画=フリキュアになりかけている。これはいけない。フリキュアも面白いが、地球には面白い映画がたくさんあるのだ。とはいえ陽波もあまり映画を見ないので詳しくは知らない。
折角配信サイトにお金を払っているのだから色々見なければ勿体ない。陽波は貧乏精神から、見慣れない邦画の一覧を眺めた。
「アスト、気になるのとかある?」
「俺はよく分かんないから、陽波が決めていいよ」
「んー、じゃあこれとか?」
何となく名前を聞いたことがある映画だ。ジャンルは恋愛。複雑なものより分かりやすいだろうと陽波は思った。
「これ恋愛映画なんだけど。あー、アクションとかの方がいいかな。こう、戦うやつ」
「戦うやつはいいかな……」
「そうだよねー」
いつも戦っているのにそれを映画でまで見たくはない。よく考えてみると、恋愛というのは陽波たちから最も遠くかけ離れた非日常だ。普通は身近なものなのに。陽波は虚しくなった。
「この際だし、多少は恋愛心というものを思い出していきたい所存」
「恋愛心?」
「ごめん、今適当に作った言葉だから気にしないで」
陽波は映画の再生ボタンを押して、アストと身を寄せ合った。小さな画面なので集中しないとよく見えない。
「そういえば、アストって恋愛したことある?」
「無いなあ。小さい頃はあったかも」
「へー。つまんない」
思わず本音が漏れた。この際アストのちょっと恥ずかしい恋愛話とかを肴にしたかったというのに。陽波はアストに文句を言われるのを見越してフォローに入った。
「でもアストはまだ若いし、これからも色々経験出来るよ。うん」
「若いって……俺、陽波より年上だよ」
「は? え、ちょっと待って。一回止めていい?」
映画を一時停止する。アストと見つめ合った。どう見ても、陽波より年下だ。二十一か二。下手したら未成年でも通りそうなくらいだ。
「いやいや。アスト、どう見ても私より年下じゃない?」
「言ったことなかったっけ? アニムスの人はみんな長生きなんだよ」
「歳いくつ?」
「実は正確には覚えてないんだけど……二百ちょっとくらい?」
「大先輩じゃん!!」
大先輩じゃん。二百? 突拍子もない数字に陽波は固まった。
「ま、待って。アニムスと地球は時間の流れが違うとか?」
「一緒だよ。俺たちは成長がゆっくりなんだ。この地球で見るお年寄りは、俺たちからすると千歳とかそれくらい」
「うわ。感覚が狂う。よくそんなに長く生きられるね」
「それが普通だしなあ」
アストの横顔が大人びて見えた。まさか百年以上大先輩とは。アラサー魔法少女で悩んでいた自分が馬鹿馬鹿しくなるほどである。しかし。
「でも恋愛経験は無いんだ?」
「な、無いわけじゃない。大体、陽波はどうなんだよ」
「私は……学生の時は、先輩に憧れたりとか、ちょっとヤンチャなクラスメイトにときめいたりとかはあったけど、それくらいかなあ」
陽波は懐かしく思い返した。思えば割とすぐにときめくタイプの人間だったかもしれない。アストは「ふーん」と鼻を鳴らしてから言った。
「見境ないの?」
「何だと! それは聞き捨てならない。恋多き乙女と言って欲しい」
「それなら今も好きな人とかいるんじゃない?」
「今はー……いや無い。無いです」
一瞬黒須部長の顔が浮かんだが、陽波はすぐに頭から追い出した。想像の部長も麗しい顔をしている。彼は上司としては好ましいが、異性として見るのは何となく躊躇われた。
アストは気になったのか、陽波に詰め寄った。
「いるんだ?」
「いない」
「どんな人?」
「い、いないってば。ほら、映画の続き見よ!」
無理矢理話を打ち切った。アストはこういう時はしつこい。陽波は身を持って知っているので動画の再生ボタンを押した。
「今日も何か見る? 映画とかどう?」
「映画……フリキュアの?」
「あ、いやフリキュアの映画もあるけど、アニメじゃない映画とかだよ」
休日の度にフリキュアを見ていたので、アストの中では動画=フリキュアになりかけている。これはいけない。フリキュアも面白いが、地球には面白い映画がたくさんあるのだ。とはいえ陽波もあまり映画を見ないので詳しくは知らない。
折角配信サイトにお金を払っているのだから色々見なければ勿体ない。陽波は貧乏精神から、見慣れない邦画の一覧を眺めた。
「アスト、気になるのとかある?」
「俺はよく分かんないから、陽波が決めていいよ」
「んー、じゃあこれとか?」
何となく名前を聞いたことがある映画だ。ジャンルは恋愛。複雑なものより分かりやすいだろうと陽波は思った。
「これ恋愛映画なんだけど。あー、アクションとかの方がいいかな。こう、戦うやつ」
「戦うやつはいいかな……」
「そうだよねー」
いつも戦っているのにそれを映画でまで見たくはない。よく考えてみると、恋愛というのは陽波たちから最も遠くかけ離れた非日常だ。普通は身近なものなのに。陽波は虚しくなった。
「この際だし、多少は恋愛心というものを思い出していきたい所存」
「恋愛心?」
「ごめん、今適当に作った言葉だから気にしないで」
陽波は映画の再生ボタンを押して、アストと身を寄せ合った。小さな画面なので集中しないとよく見えない。
「そういえば、アストって恋愛したことある?」
「無いなあ。小さい頃はあったかも」
「へー。つまんない」
思わず本音が漏れた。この際アストのちょっと恥ずかしい恋愛話とかを肴にしたかったというのに。陽波はアストに文句を言われるのを見越してフォローに入った。
「でもアストはまだ若いし、これからも色々経験出来るよ。うん」
「若いって……俺、陽波より年上だよ」
「は? え、ちょっと待って。一回止めていい?」
映画を一時停止する。アストと見つめ合った。どう見ても、陽波より年下だ。二十一か二。下手したら未成年でも通りそうなくらいだ。
「いやいや。アスト、どう見ても私より年下じゃない?」
「言ったことなかったっけ? アニムスの人はみんな長生きなんだよ」
「歳いくつ?」
「実は正確には覚えてないんだけど……二百ちょっとくらい?」
「大先輩じゃん!!」
大先輩じゃん。二百? 突拍子もない数字に陽波は固まった。
「ま、待って。アニムスと地球は時間の流れが違うとか?」
「一緒だよ。俺たちは成長がゆっくりなんだ。この地球で見るお年寄りは、俺たちからすると千歳とかそれくらい」
「うわ。感覚が狂う。よくそんなに長く生きられるね」
「それが普通だしなあ」
アストの横顔が大人びて見えた。まさか百年以上大先輩とは。アラサー魔法少女で悩んでいた自分が馬鹿馬鹿しくなるほどである。しかし。
「でも恋愛経験は無いんだ?」
「な、無いわけじゃない。大体、陽波はどうなんだよ」
「私は……学生の時は、先輩に憧れたりとか、ちょっとヤンチャなクラスメイトにときめいたりとかはあったけど、それくらいかなあ」
陽波は懐かしく思い返した。思えば割とすぐにときめくタイプの人間だったかもしれない。アストは「ふーん」と鼻を鳴らしてから言った。
「見境ないの?」
「何だと! それは聞き捨てならない。恋多き乙女と言って欲しい」
「それなら今も好きな人とかいるんじゃない?」
「今はー……いや無い。無いです」
一瞬黒須部長の顔が浮かんだが、陽波はすぐに頭から追い出した。想像の部長も麗しい顔をしている。彼は上司としては好ましいが、異性として見るのは何となく躊躇われた。
アストは気になったのか、陽波に詰め寄った。
「いるんだ?」
「いない」
「どんな人?」
「い、いないってば。ほら、映画の続き見よ!」
無理矢理話を打ち切った。アストはこういう時はしつこい。陽波は身を持って知っているので動画の再生ボタンを押した。
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