それなりに怖い話。

只野誠

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ねこ

ねこ

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 窓の外に猫がいる。
 窓の外から少女の部屋を見ている。

 まるで獲物でも狙うかのように見ている。
 
 それは黒猫だ。
 立派で、まだ若い猫だ。
 ギラギラした目で少女を見る。

 少女は窓の外の野良猫を見つけると窓を開ける。
 そして、手招きする。
 家に来るように招き入れる。

 だが、黒猫はねっからの野良猫だ。
 そんな誘いを受けない。

 少女は用意していたミルクの入った皿を窓の外に出しておく。
 それで窓を閉めて、部屋の中から様子を伺う。

 黒猫は、そうしてやっと皿のミルクをゆっくりと飲み始める。
 少女は黒猫を撫でたくなるのを我慢しながら、黒猫の様子を見守る。

 少女が黒猫を見るのに夢中になっていると、少女の部屋の中で音がする。
 ゴトッと、何かを落とすような音が。
 少女が振り返ると、そこには黒い塊が居た。

 それは黒い塊が蠢いていた。
 大きな、大型犬のような黒い固まがりが少女の部屋にいた。
 それは少女に襲いかかる。

 少女が逃げようとして窓に手がかかり、窓が少しだけ開かれる。
 その瞬間、黒猫が少女の部屋に素早く入り込む。

 そして、ミギャァァァァァと鳴き声をあげて、黒い塊に襲いかかる。

 黒猫が襲いかかると黒い塊は霧散していく。
 蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。

 黒猫がなにかを咥えて少女の前に立つ。
 黒猫は大きな鼠を一匹咥えて、少女の前に立つ。
 そして、一瞬の間を置いて、黒猫は鼠を咥えたまま凄い勢いで少女の部屋から出ていった。

 その後、黒猫が少女の部屋の窓から見える位置に現れることはなくなった。



 
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