それなりに怖い話。

只野誠

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でんわ

でんわ

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 いつの頃からか、電話がかかって来る。それも夜中にだ。
 スマホにではなく家の電話にだ。

 電話に出るとすぐ切れる。
 いたずら電話かもしれない。
 けど、犯罪に使われる電話で留守かどうか、もう寝ているのかどうか、などを確かめる電話もあるという話だ。
 男はそれを思い出して一応電話には出るのだ。

 その日の電話は、少し変わっていた。普段は十時くらいなのに、零時過ぎにかかって来たのだ。
 男ももうベッドに横になってはいたが、わざわざ起きて電話の受話器を取る。

 そして、もしもし、と返事をして、どうせすぐに切れるのだろう、そう思いながらも電話に出たのだ。
 だが、その日の電話はすぐには切れなかった。

 ただ何か言ってくる事もない。

 男も、もしもし、と何度か繰り返すが返事はない。
 もう切ろうと男も思った所で気づく。

 受話器からかすかにだが、息遣いが聞こえて来る。
 少なくとも誰かが受話器の向こう側にいるのだと気づいた。

 そこで男は、いつも夜中に電話してくるのはあんたか? と聞いてみる。
 そうすると、少し息遣いにビクッとした反応があった。
 小さな反応だったが、静まり返った真夜中だと、その反応すら気づくことができた。

 男はそれに確信し、おまえなんだな? と、きつめに言葉を発する。
 そうすると、大きく息を吸う音が聞こえた後、うううううううぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、というサイレンのような人の声が聞こえ始める。
 男はなんだ? と思いつつも、その奇妙な声は続く。

 男が何を言っても、そのサイレンのような声が途切れることはない。
 息が続かなくなると、一休みし、また大きく息を吸い込み、その声を発するのだ。

 男もこの電話の相手は、おかしい相手なんだと思い、電話を切ろうとする。
 すると、その行動をまるで見ているかのように、サイレンのような声が大きくなる。

 だが、男も付き合ってられないと、電話を切る。
 何だったのだろうと、そう思っていると、男は異変に気付く。
 周囲がどうもきな臭いのだ。

 しばらくすると、外から本物の消防車のサイレンの音が聞こえて来る。
 しかも、男の家のすぐ近くでその音が止まるのだ。
 慌てて男が家の外に出ると、隣の家から夜でもわかるほど煙が上がっている。

 で、問題はここからだ。

 隣の住人の話だと、変な電話が来てそれで起きて、本格的な火事になる前に気づけた、という話だ。
 出火元は煙草の不始末だそうだがそれは関係ない。

 男が興味本位で隣人に話を聞くと、男が出た電話と全く同じものが隣人にもかかって来たというのだ。

 それからという物、夜の無言電話はかかって来なくなったが、あれは火事を知らせてくれていたのだと、そう思うようになった。
 結局はあの電話が何だったのか、男にはわからないままだ。





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