きんいろの太陽がもえる朝に

八木山

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生徒面談記録

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■2年2組出席番号5番
坂絵梨奈(さか えりな)

■備考
合唱部所属。
交友関係が広く、流川の率いる一軍と朝日の率いる二軍の橋渡し役で、カラオケによく行っている。
理数系が苦手。

■調査結果
1. クラスの二重構造
坂の証言により、クラスには大きく分けて2つのグループが存在し、彼女がその「架け橋」となっていたことが判明しました。

・「一軍」: 
カリスマである流川を中心とした、三井、二俣、坂の4人組。
崇拝に近い結束がある。

・「二軍」: 
川中のTikTokアカウントを中心とした、朝日、馬淵、坂の4人組。
山中の誘いに乗った「ノリ重視」の集団。


2. 「アイツ」の正体:三井紗英
・執拗な攻撃:
 流川を神聖視する三井が、アイドル俳優に目をかけられた二俣に対し、「流川の顔を潰した」とヒステリックに攻撃。

・精神的追い込み: 
三井は二俣に対し、「いつ黒髪を染めるのか」と日常的にプレッシャーをかけ続けていた。


3. 坂の「金髪提案」の真意
・逃げ場としての提案: 
ギスギスした「一軍」の空気から二俣を救い出し、比較的気楽な「二軍(TikTok層)」へ引き込もうとして金髪を勧めた。

・結果: 
二俣には「三井と同類(追い込み側)」と誤解されてしまったが、坂自身は人間関係の破綻を防ごうとする「調整」の意図であった。

4.考察:善意の「板挟み」が招いた不信
坂の証言により、二俣が抱えていた「ムカつく」という感情の正体がより鮮明になりました。

・「調整役」の限界: 
坂は三井を宥めるために三井と行動を共にし、二俣を救うために二俣に染髪を勧めました。
しかし、被害者である二俣から見れば、それは「加害者(三井)の側に立ちながら、自分に屈服を迫る行為」に見えてしまった。
これが二俣の言った「お前が言うな」の真意です。

・三井紗英の孤立: 
流川は二俣に謝罪し、坂は二軍へ逃避(あるいは移籍)しようとしています。
流川のために動いたはずの三井だけが、結果として流川を悲しませ、友人たちからも「引かれている」状態にあります。

・「二軍」という安全圏: 
山中の「政治的な抗議」や一条の「個人的な決着」といった重い動機を、川中や朝日のグループが「金髪ウェーイ」という軽薄なノリに変換したことで、クラスに「逃げ場(安全圏)」が生まれました。
坂はこの「軽さ」を利用してクラスの崩壊を防ごうとしたようです。


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■2年2組出席番号17番
馬淵八鹿(まぶち ようか)

■備考
4人兄弟の次女。
そこまで成績がいいわけではないが、キャンパスライフに強い憧れがあり大学には通いたがっている。
兄弟のために学費は自分で稼ごうとしており、高校に通いながらもバイトをかけ持っている

■調査結果
1. 「赤髪」事件の真相
・動機: 
悪意やミスではなく、単に「金髪集団の中で一番目立ちたい(リーダーっぽく見せたい)」という馬淵らしい無邪気な目立ちたがり精神によるものだった。

・その後:
朝日に叱られたこともあるが、後述する「ある人」との約束のために、結局金髪に染め直した。


2. 教師をも巻き込んだ「救済」の提案
・遭遇: 
バイト先のカフェで、深刻に悩み突っ伏している「ある人」を目撃。

・提案: 
相手の「自分を変えたい」という悩みに共鳴し、自分も赤から金に染め直すから「一緒に金髪にしよう」と提案。
相手は最終的に笑って賛同した。

・対象の示唆: 
馬淵は相手を「先生が先生だから言えない」「生徒だけじゃなくて別の人を思い出して」と強く示唆。
既存情報(朝日の証言「弓削センセも金髪にした」)と照らし合わせれば、この相手は弓削先生であると断定できる。


3. 事件の性質の反転:教師の側のドラマ
・悩みの中身: 
弓削先生が悩んでいた理由は「生徒への指導」ではなく、「渡辺先生(担任)のごく個人的な話」に関連している。
しかし「渡辺先生も悪くない」と馬淵はフォローしている。


4.考察:弓削先生の「覚悟」と渡辺へのメッセージ
馬淵の証言により、事件のパズルはついに「教師たちの過去と関係性」という最終盤のピースを嵌める段階に来ました。

・弓削先生を救った馬淵の「軽さ」:
 一条が若林を救おうとし、山中が中山を救おうとして金髪になったのに対し、馬淵は「悩んでいる弓削先生」を救おうとしました。弓削先生が金髪にしたのは、抗議や流行ではなく、「今までの自分(渡辺を支えきれない、あるいは見守るだけの自分)を変えたい」という個人的な決別の儀式だった可能性があります。

・渡辺先生の「個人的な話」とは何か: 
一条が語った「金髪狩り事件」と、その被害者・代永裕子と渡辺の関係。
弓削先生はこの「14年前の呪縛」に苦しみ続けている渡辺を、最も近くで見てきた人物です。
彼女が金髪にしたのは、「私もその呪縛(金髪への忌避感や過去の痛み)を一緒に背負う」という、馬淵から教わった「一緒に染めよう」という共感の形だったのではないでしょうか。

・「馬鹿四天王」の功績: 
川中や馬淵たちが「金髪ウェーイ!」と騒ぎを大きくしたことで、結果的に弓削先生のような「個人的な理由で染めたい大人」が紛れ込むための、巨大な「隠れ蓑」が完成しました。


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■2年2組出席番号19番
代永美夕(よなが みゆう)


■備考
若林教諭が顧問を務めている剣道部の所属。
「金髪狩り事件」の被害者である代永裕子の姪。
親から護身術として剣道を習わされていた。
特技は手品と麻雀。文字がきれいで、英語が大の苦手。

■調査結果
1. 事件への「回答」としての金髪
・動機:
 一条から犯人逮捕の知らせを受け、彼女の「過去を終わらせる」という決意に共鳴。

・目的: 
被害者である伯母(裕子)に対し、自分が金髪で元気に過ごす姿を見せることで、14年前の事件がもう自分たちを縛っていないことを証明しようとした。


2. 周囲への観察眼
・三井紗英の変貌: 
中学からの知人である代永の目から見て、三井は「とんでもない勘違い」を後悔し、ひどく落ち込んでいる。

・弓削先生の「上書き」: 
三井がようやく染めてきた日に弓削先生がより鮮烈に染めてきたため、三井のドラマ(あるいは目立ちたい欲求)が完全にかき消されてしまった。


3. 未確認の連鎖:中川と南原
・波及: 
代永自身は誘っていないが、親友の南原が誰よりも明るい色に染め、さらに中川も陸上部の制約がある中で染めてきた。
これは「親友を一人にしない」という、流川と二俣の間で起きたものと同様の友情の連鎖と推測される。


4.考察:三井紗英の「孤独な自爆」と収束
代永の証言により、クラスの「一軍」で起きていたトラブルの末路が見えてきました。

・三井紗英の「勘違い」: 
彼女が後悔していた「勘違い」とは、恐らく「二俣を排除・攻撃することが、流川のためになる」と信じ込んでいたことです。
しかし、流川が二俣を守るために自分も染め、さらに一条や代永といった「正当な理由」を持つ者たちが金髪になったことで、自分の私怨による攻撃がどれほど醜く、的外れだったかを思い知らされたのでしょう。

・弓削先生による「慈悲深い処刑」: 
馬淵の証言と合わせると、弓削先生が三井と同じ日に染めてきたのは、偶然ではない可能性があります。
三井の「不純な動機(攻撃や目立ちたがり)」を、教師である自分がより目立つ形で染めることで「話題を奪い、うやむやにする」という、三井をこれ以上悪役にさせないための、あるいは渡辺クラスの崩壊を防ぐための、弓削先生なりの「身体を張った事態収拾」だったのかもしれません。

・「金髪狩り」の終わり:
若林、一条、代永、そして渡辺。14年前の事件に囚われていた主要人物たちが、それぞれ「金髪」という形をとることで、皮肉にも事件の象徴だったその色を「日常」へと塗り替え、呪縛を上書きすることに成功しました。
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