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番外編その2 愛しい猛獣の作り方
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(……出したい)
仕事に集中していれば無視出来るほどの、小さな疼き。
けれど、渇望はふとした隙を狙って、新太の心を苛んでくる。
「んっ…………ちょっと、だけ……」
トイレを装って個室に入った新太は、がばりと下着を下ろすと厳つい指をそっと中心へと伸ばす。
何とか隙間から良いところを触れられないかと悪戦苦闘し、けれど格子は体積を増した膨らみに軽く触れることは出来ても、決して今一番欲しい快楽――射精に繋がる刺激は決して通してくれない。
そうこうしているうちに更なる膨張を始めた屹立は檻に食い込み、カテーテルを食い締め、装着以来毎朝のようにやってくる地獄が頭に過って……新太は仕方なくぐっと手を握りしめ、落ち着く時を待ち続けるのである。
「はぁ、出したい……」
何ともすっきりしない重さを抱え、熱の籠ったため息を一つ。
一体どれくらい、無為な時間をここで過ごしてしまったのだろう。これはもう仕事に集中して乗り切るしか無いなと新太は諦め、ズボンを上げて何食わぬ顔をして自分の机に戻る。
――その瞳には、隠しきれない情欲が灯っていた。
雄芯がこの小さな檻の中に閉じ込められて、3日目。
元々それほど性欲は強い方では無いし、今までの経験から辛くなるのは5日目くらいからかな? と踏んでいた新太は、この2年に渡る神様との甘い生活をすっかり失念していた事に今更ながら気付かされる。
初夜こそ二人で寝込んだお陰で間が開いたものの、新太が穏やかな交わりを心がけるようになってからは大体週に4日ペースである。
なんなら神様が「まだ足りぬのう……ほれ、もっと食べぬか」とすっかり淫らに綻んだ下のお口で屹立をもぐもぐした暁には、次の日目の下に隈が出来るくらいには搾り取られるわけで。
(よく考えたら俺、ムシュカ様がこの世界に来てから自慰したの、出張に出てるときだけじゃん!)
――そんな過酷な扱いに何とか適応していた健気な息子さんからすれば、いきなり狭苦しい檻に閉じ込められて精を吐き出すな! なんて言われたら、文句の一つも付けたくなるであろう。
「3日目でこれか……ちょっと先が思いやられるな……ああでも、早めに神様の望みを叶えれば……いやいや無理無理! 理性の飛ばし方なんて分からないし!!」
装着前に言い渡された、今回の「猛獣ヴィナ降臨作戦(なんて酷い名前だ!)」には、二つの解錠ルールが定められている。
一つ、装着から10日後、すなわち来週の金曜の夜を迎えること。
一つ、明らかに新太が理性を失い、目的が達せられるとムシュカが判断すること。
このどちらかの条件を満たした段階で、射精管理は終了。その後は……まあ、言うまでも無いだろう。
わざわざ3連休の前夜を解放日とする辺り、神様の本気が透けて見えて非常に恐ろしい。多分次の日の自分は、風が吹いたら空も飛べそうな抜け殻になっているに違いない。
「そりゃ俺だって神様を笑顔にしたいし……ちょっとだけ、ああ言うのも良いかなって思うけど……いやいや、いくら最推しの頼みだからって、酷く抱き潰すなんて出来るわけないじゃんか!!」
理性と、本能と。
3日目にして早々に負け戦の葛藤に放り込まれた新太は、何はともあれ早く家に戻ろうと、運転席で揃いのイヤリングを身に付け……その音にうっかり元気になった中心に「いやそこ反応しすぎっしょ!」としばし悶絶するのであった。
……新太は、気付いている。
神様の笑顔は、自分がひたすらに推し続ける――まだその行為を愛と素直に受け入れるのは難しいけど――ことで維持され、輝くものなのだと。
だから最推しを喜ばせるためなら、ちょっと酷い抱き方をするのも悪くない……そう心の片隅でちょっとだけ主張している。
けれど「ヴィナ」は頑なに信じている。
殿下の笑顔を自分が作れるなどうぬぼれてはいけない、ただその笑顔を守ることこそ己に課された使命だと。
故に、新たな生を得て芽生えた小さな泡のような欲望は分不相応かつ不埒であると、鋼の自制心を発揮して叩き潰すのだ。
遠い過去に囚われているのは自分もだったと気付いていながら、いまだ振り払えない臆病さを、この小さな金属が全力でぶち破るまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
◇◇◇
どうにも長かった昼間を乗り越え、今日も神様の膝で癒やして貰おうとようやく家に辿り着いた新太は、局部の締め付けられる痛みと共に予想外の事態に戸惑っていた。
「んっ……今日も大義であったな、ヴィナよ……ふぅっ……さっき夕食も出来上がったところなのだ、さぁ早く着替えて食事と相成ろうではないか……」
「いやいやちょっと待った、何で夕食と一緒に神様まで出来上がっちゃってるんですか!?」
玄関のドアを開ければ、いつものようにエプロン姿のムシュカが出迎えてくれる。
しゃらん、と揃いの耳飾りを鳴らしながら満面の笑みで帰宅を喜んでくれる我が推し神様は、しかし初手から新太の脳みそと股間をバズーカで撃ち抜いてきた。
「は、は……裸、エプロンってえぇぇ! ? え、まさか神様そのっ、下着も着けてないとか」
「案ずるな、調理中に抜けては困るから下着は装着済みだ」
「もっと酷かった!!」
思わず前屈みになって痛みに目を潤ませる新太の前で、麗しの人はくるりと背を向ける。
そこには使い慣れた革製の下着――大切なところが隠せてないが――と、それにより押さえつけられている極太ディルドをやわやわと食む肉の綻びがあって……新太は思わず「ムシュカ様っ、こっち向いてえぇ!!」と叫び床に崩れ落ちた。
「……ぬ、どうしたヴィナ……ふふ、今日のお主は殊更可愛らしく見えるな……」
「神様、それ絶対だめなパターンです」
よろよろと座り込んだ食卓に用意されていたのは、あんかけ揚げ麺だった。
細めの麺を揚げ、その上から海鮮たっぷりの餡をかけてフォークで崩しながら口に運べば、最初はサクサクした、そして次第にしっとりした食感に変わる様を楽しめる故郷の辛くない麺料理は、今日という日を耐え抜いた愛し子に贈られる神様からの恩賜だ。
……そう、恩賜ではあるけれども。
目の前の姿はどう見ても、新太の死亡フラグである。
「あのっムシュカ様、またどうしてそのようなとんでも無いお姿に」
「いやな、最初は裸であったのだが……麺を揚げていたら跳ねてちょっと痛かったものでな」
「まずどうして裸で料理をしようと思ったのかを、全力で問い詰めたいんですけど」
「ぬぅ、お主今日は妙に勢いがあるな……」
自家製の生唐辛子醤油漬けを麺にかけて「このくらいの辛さは欲しいところよな」ともぐもぐ口を動かすその唇さえ、今夜は何だか艶めかしい。
これは貞操具のせいじゃない、完全に神様のせいだと確信を持って尋ねれば、潤んだ瞳がすっと細められた。
「実はな、重大な事実が発覚したのだ」
「……はい」
「ヴィナ、お主が貞操具を着けている間はまぐわうことが出来ぬ」
「…………はい?」
何を今更、と突っ込みかけたが、どうやらこの神様は煩悩に脳を焼かれてこのような所業に出ただけあって、そんな基本的なことすら忘れてしまっていたらしい。
実に大真面目な顔で「お主が出張の時は平気だったのだが……」と首を傾げている。
「ヴィナがもうすぐ帰ってくると思うと、我慢が効かなるようだな。なるほどこれは新しい知見」
「ぐはっ! その言葉は股間に効き過ぎるぅ……その、ムシュカ様は別に……ええと、だっ、出して頂いていいんですよ?」
「出したところでお主の立派な剣で貫かれねば、私は到底満足などできぬぞ。ヴィナよ、お主この二年でどれだけ私の身体をお主専用に染め上げたと思っている」
「ひいぃ……尊さと痛さで墓が二ついるぅ……」
まあこれも愛し子を堪能するためだ、仕方が無いな! とあっけらかんと笑う神様の頬が、ほんのり染まっていて。
どんぶりを拭き上げながら漏れるため息はどこまでも艶めかしく、胸元には小さな飾りが浮き出て、うっかり目を下に降ろそうものなら……エプロンを持ち上げる不自然な膨らみと、まろい尻から突き出た突起が新太を全力で誘う。
(ちょ、暴力反対っぐぅぅ……痛ったい……)
「神様……俺は理性を吹き飛ばされる前に、息子さんが息絶えそうです」
「これはまた随分と元気であるな……しかし貞操具の力とは凄いものだな、たった3日でここまでお主を苦しめるとは」
「むしろ俺を苦しませてるのは、裸エプロンなんですけどね! 何その色気の暴力!!」
その後。
推しの尊さゆえの苦悩(物理)と、この世界の男性にとって裸エプロンが如何に魅力的であるかを切々と語った甲斐あって、神様の忠実なる愛し子は「新太が在宅時は目の前であられも無い格好をしない、まして穴の手入れは論外」という約束を取り付けたのである。
仕事に集中していれば無視出来るほどの、小さな疼き。
けれど、渇望はふとした隙を狙って、新太の心を苛んでくる。
「んっ…………ちょっと、だけ……」
トイレを装って個室に入った新太は、がばりと下着を下ろすと厳つい指をそっと中心へと伸ばす。
何とか隙間から良いところを触れられないかと悪戦苦闘し、けれど格子は体積を増した膨らみに軽く触れることは出来ても、決して今一番欲しい快楽――射精に繋がる刺激は決して通してくれない。
そうこうしているうちに更なる膨張を始めた屹立は檻に食い込み、カテーテルを食い締め、装着以来毎朝のようにやってくる地獄が頭に過って……新太は仕方なくぐっと手を握りしめ、落ち着く時を待ち続けるのである。
「はぁ、出したい……」
何ともすっきりしない重さを抱え、熱の籠ったため息を一つ。
一体どれくらい、無為な時間をここで過ごしてしまったのだろう。これはもう仕事に集中して乗り切るしか無いなと新太は諦め、ズボンを上げて何食わぬ顔をして自分の机に戻る。
――その瞳には、隠しきれない情欲が灯っていた。
雄芯がこの小さな檻の中に閉じ込められて、3日目。
元々それほど性欲は強い方では無いし、今までの経験から辛くなるのは5日目くらいからかな? と踏んでいた新太は、この2年に渡る神様との甘い生活をすっかり失念していた事に今更ながら気付かされる。
初夜こそ二人で寝込んだお陰で間が開いたものの、新太が穏やかな交わりを心がけるようになってからは大体週に4日ペースである。
なんなら神様が「まだ足りぬのう……ほれ、もっと食べぬか」とすっかり淫らに綻んだ下のお口で屹立をもぐもぐした暁には、次の日目の下に隈が出来るくらいには搾り取られるわけで。
(よく考えたら俺、ムシュカ様がこの世界に来てから自慰したの、出張に出てるときだけじゃん!)
――そんな過酷な扱いに何とか適応していた健気な息子さんからすれば、いきなり狭苦しい檻に閉じ込められて精を吐き出すな! なんて言われたら、文句の一つも付けたくなるであろう。
「3日目でこれか……ちょっと先が思いやられるな……ああでも、早めに神様の望みを叶えれば……いやいや無理無理! 理性の飛ばし方なんて分からないし!!」
装着前に言い渡された、今回の「猛獣ヴィナ降臨作戦(なんて酷い名前だ!)」には、二つの解錠ルールが定められている。
一つ、装着から10日後、すなわち来週の金曜の夜を迎えること。
一つ、明らかに新太が理性を失い、目的が達せられるとムシュカが判断すること。
このどちらかの条件を満たした段階で、射精管理は終了。その後は……まあ、言うまでも無いだろう。
わざわざ3連休の前夜を解放日とする辺り、神様の本気が透けて見えて非常に恐ろしい。多分次の日の自分は、風が吹いたら空も飛べそうな抜け殻になっているに違いない。
「そりゃ俺だって神様を笑顔にしたいし……ちょっとだけ、ああ言うのも良いかなって思うけど……いやいや、いくら最推しの頼みだからって、酷く抱き潰すなんて出来るわけないじゃんか!!」
理性と、本能と。
3日目にして早々に負け戦の葛藤に放り込まれた新太は、何はともあれ早く家に戻ろうと、運転席で揃いのイヤリングを身に付け……その音にうっかり元気になった中心に「いやそこ反応しすぎっしょ!」としばし悶絶するのであった。
……新太は、気付いている。
神様の笑顔は、自分がひたすらに推し続ける――まだその行為を愛と素直に受け入れるのは難しいけど――ことで維持され、輝くものなのだと。
だから最推しを喜ばせるためなら、ちょっと酷い抱き方をするのも悪くない……そう心の片隅でちょっとだけ主張している。
けれど「ヴィナ」は頑なに信じている。
殿下の笑顔を自分が作れるなどうぬぼれてはいけない、ただその笑顔を守ることこそ己に課された使命だと。
故に、新たな生を得て芽生えた小さな泡のような欲望は分不相応かつ不埒であると、鋼の自制心を発揮して叩き潰すのだ。
遠い過去に囚われているのは自分もだったと気付いていながら、いまだ振り払えない臆病さを、この小さな金属が全力でぶち破るまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
◇◇◇
どうにも長かった昼間を乗り越え、今日も神様の膝で癒やして貰おうとようやく家に辿り着いた新太は、局部の締め付けられる痛みと共に予想外の事態に戸惑っていた。
「んっ……今日も大義であったな、ヴィナよ……ふぅっ……さっき夕食も出来上がったところなのだ、さぁ早く着替えて食事と相成ろうではないか……」
「いやいやちょっと待った、何で夕食と一緒に神様まで出来上がっちゃってるんですか!?」
玄関のドアを開ければ、いつものようにエプロン姿のムシュカが出迎えてくれる。
しゃらん、と揃いの耳飾りを鳴らしながら満面の笑みで帰宅を喜んでくれる我が推し神様は、しかし初手から新太の脳みそと股間をバズーカで撃ち抜いてきた。
「は、は……裸、エプロンってえぇぇ! ? え、まさか神様そのっ、下着も着けてないとか」
「案ずるな、調理中に抜けては困るから下着は装着済みだ」
「もっと酷かった!!」
思わず前屈みになって痛みに目を潤ませる新太の前で、麗しの人はくるりと背を向ける。
そこには使い慣れた革製の下着――大切なところが隠せてないが――と、それにより押さえつけられている極太ディルドをやわやわと食む肉の綻びがあって……新太は思わず「ムシュカ様っ、こっち向いてえぇ!!」と叫び床に崩れ落ちた。
「……ぬ、どうしたヴィナ……ふふ、今日のお主は殊更可愛らしく見えるな……」
「神様、それ絶対だめなパターンです」
よろよろと座り込んだ食卓に用意されていたのは、あんかけ揚げ麺だった。
細めの麺を揚げ、その上から海鮮たっぷりの餡をかけてフォークで崩しながら口に運べば、最初はサクサクした、そして次第にしっとりした食感に変わる様を楽しめる故郷の辛くない麺料理は、今日という日を耐え抜いた愛し子に贈られる神様からの恩賜だ。
……そう、恩賜ではあるけれども。
目の前の姿はどう見ても、新太の死亡フラグである。
「あのっムシュカ様、またどうしてそのようなとんでも無いお姿に」
「いやな、最初は裸であったのだが……麺を揚げていたら跳ねてちょっと痛かったものでな」
「まずどうして裸で料理をしようと思ったのかを、全力で問い詰めたいんですけど」
「ぬぅ、お主今日は妙に勢いがあるな……」
自家製の生唐辛子醤油漬けを麺にかけて「このくらいの辛さは欲しいところよな」ともぐもぐ口を動かすその唇さえ、今夜は何だか艶めかしい。
これは貞操具のせいじゃない、完全に神様のせいだと確信を持って尋ねれば、潤んだ瞳がすっと細められた。
「実はな、重大な事実が発覚したのだ」
「……はい」
「ヴィナ、お主が貞操具を着けている間はまぐわうことが出来ぬ」
「…………はい?」
何を今更、と突っ込みかけたが、どうやらこの神様は煩悩に脳を焼かれてこのような所業に出ただけあって、そんな基本的なことすら忘れてしまっていたらしい。
実に大真面目な顔で「お主が出張の時は平気だったのだが……」と首を傾げている。
「ヴィナがもうすぐ帰ってくると思うと、我慢が効かなるようだな。なるほどこれは新しい知見」
「ぐはっ! その言葉は股間に効き過ぎるぅ……その、ムシュカ様は別に……ええと、だっ、出して頂いていいんですよ?」
「出したところでお主の立派な剣で貫かれねば、私は到底満足などできぬぞ。ヴィナよ、お主この二年でどれだけ私の身体をお主専用に染め上げたと思っている」
「ひいぃ……尊さと痛さで墓が二ついるぅ……」
まあこれも愛し子を堪能するためだ、仕方が無いな! とあっけらかんと笑う神様の頬が、ほんのり染まっていて。
どんぶりを拭き上げながら漏れるため息はどこまでも艶めかしく、胸元には小さな飾りが浮き出て、うっかり目を下に降ろそうものなら……エプロンを持ち上げる不自然な膨らみと、まろい尻から突き出た突起が新太を全力で誘う。
(ちょ、暴力反対っぐぅぅ……痛ったい……)
「神様……俺は理性を吹き飛ばされる前に、息子さんが息絶えそうです」
「これはまた随分と元気であるな……しかし貞操具の力とは凄いものだな、たった3日でここまでお主を苦しめるとは」
「むしろ俺を苦しませてるのは、裸エプロンなんですけどね! 何その色気の暴力!!」
その後。
推しの尊さゆえの苦悩(物理)と、この世界の男性にとって裸エプロンが如何に魅力的であるかを切々と語った甲斐あって、神様の忠実なる愛し子は「新太が在宅時は目の前であられも無い格好をしない、まして穴の手入れは論外」という約束を取り付けたのである。
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