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結婚生活③
私の気持ちが
しおりを挟む熱に浮かされながら、シャルロットはメイドの話し声を聞いていた。
「旦那様が、あの病院へ」
「まぁ。奥様が熱を出されているというのに?まだあの方が忘れられないのかしら」
ヒソヒソ話はよく聞こえる。ゼイルドがあの病院へ、フィリアに会いに行ったのだということはすぐに分かった。もう終わったと言っていたのに、とシャルロットは自嘲気味に笑う。
「…痛い……」
まるで心臓が締め付けられるような感覚に、シャルロットは胸を押さえた。
「…シャルロット」
次に目覚めたとき、目の前にゼス様がいた。
「……ゼス、様?」
「大丈夫か?」
「どうしてここへ…」
起き上がろうとすると、静かに制される。隣ではナカバが赤ちゃんを抱いている。
「…可愛いな」
「そう……思われますか…」
「ーーお前は、この子が嫌いか」
「そんなことありませんわ…」
シャルロットは思った。もしも、フィリアが生きていたら。きっとこの人は私に見向きなどせず、フィリアを愛していたのだろう。幸せな家庭を築いていたのかもしれない。
「…貴方が」
「ん?」
「この子を、愛せはしないでしょう?」
「……何故そんなことを言う?そんなはずないだろう、これ以上ないほど愛しいよ」
そう言って自分の頭を撫でてくるゼス様の手を、払う。
「…部屋から、出ていってくださいませ!!」
「え、シャルロット?」
よくもまぁ、白々と!私のことを愛しているといいながら、結局忘れられないんじゃない!
「ナカバ、早くその人を追い出して!」
「お、追い出す?おい、シャルロット!?」
「シャルロット様!?」
「ナカバ!」
シャルロットが怒鳴るのは余りにも珍しいことで、限界が来ない限り早々怒鳴りはしない。つまり今は限界だということだ。
ナカバの雇い主こそはゼイルドだが、仕えるのはシャルロットである。主人が病み上がりにこうして怒りをぶつけることはナカバにとっても本意ではなかった。
「…申し訳ございません、旦那様。今日は部屋へお戻りください」
「だ、だが…」
「申し訳ございません」
深々と頭を下げたナカバに、ゼイルドは仕方なく従った。
「…何かあればすぐに呼んでくれ」
「っ……!」
頭に浮かぶのは、この人がフィリアにゆっくりと笑いかける姿。考えるだけで頭が痛い。
私の気持ちが、分からない。
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