35 / 102
牢屋脱出
しおりを挟む
「な、なぜお前が『服従』のスキルを使えるんだ……っ!」
使用人は明らかに狼狽していた。
私は淡々と言葉を返す。
「私が『服従』のスキルを使えないなんて、一言も言った覚えはないけど」
正直、『服従』はあまり好きなスキルではない。現に、今までの戦闘でも使おうと思ったことはなかった。
紋章を刻み込むため、至近距離まで接近するのが難しいということもあるが、そもそも他人を無理矢理支配するのは、あまり良くないことだと思っている。
だが、現実ではどんなことが起こるかわからない。
取得可能なスキルは全て取っておくという方針が、今回は役に立った。
私は使用人が自らの犯行を認めた後、こっそりと『スキル解除』を使用して、化け物鳥に刻まれた使用人の『服従』を解除していた。
その時に念のため、私の『服従』の紋章を刻んでおいたのだ。
使用人の力の底が読めなかったため、一応の保険だった。
もちろん事件が終われば、すぐに解除してあげるつもりだったのだが。
結果として、その保険は見事に効果を発揮した。
私は『スキル発動禁止』の牢屋に入れられたが、化け物鳥は外にいたため、その効力を受けなかった。
私はあらかじめ、「自分に何かあったら助けてほしい」という指示だけを与えていた。
そのため、牢獄に閉じ込められた私に気づいた化け物鳥が敵を蹴散らして、ここまで来てくれたのだ。
化け物鳥は使用人の仲間を全て倒し、私たちの牢屋の前まで到達した。
そうして、使用人と対峙する。
「クソ! 私があれだけ使ってやったというのに、飼い主に牙を剥くのか!!」
「今のあなたは、その鳥にとってはもう支配者でもなんでもない。ただの敵の一人よ」
「ク、クソ!!」
すると、使用人は思わぬ行動に出た。
仲間の男たちや、私たちのことを放り出して、自分だけ一目散に逃げ出したのだ。
あまりの逃げ足の早さに、化け物鳥は攻撃を加える暇もなかったようだ。
「化け物鳥……っていうのも、呼び方として酷いわね。アルメダ、このモンスターの種族名を知ってる?」
「これは、ビッグウィングと呼ばれる種ですわ。普段は温厚な性格をしていますが、その体格の大きさから、怖がられることも多いモンスターです」
「なるほど……じゃあ、あなたは今から『ビッグ』ね」
そう名づけると、ビッグは嬉しそうに鳴いた。
「ビッグ、悪いのだけど、この鉄柵を破壊してもらえるかな」
私がお願いすると、ビッグは強力な蹴りの一撃で鉄柵に穴を開ける。
「いくら温厚な性格といっても、これだけ強かったら、みんなから怖がられても仕方ないような……」
そんなことを呟きながら、私は逃げた使用人を追うため、牢屋から出た。
使用人は明らかに狼狽していた。
私は淡々と言葉を返す。
「私が『服従』のスキルを使えないなんて、一言も言った覚えはないけど」
正直、『服従』はあまり好きなスキルではない。現に、今までの戦闘でも使おうと思ったことはなかった。
紋章を刻み込むため、至近距離まで接近するのが難しいということもあるが、そもそも他人を無理矢理支配するのは、あまり良くないことだと思っている。
だが、現実ではどんなことが起こるかわからない。
取得可能なスキルは全て取っておくという方針が、今回は役に立った。
私は使用人が自らの犯行を認めた後、こっそりと『スキル解除』を使用して、化け物鳥に刻まれた使用人の『服従』を解除していた。
その時に念のため、私の『服従』の紋章を刻んでおいたのだ。
使用人の力の底が読めなかったため、一応の保険だった。
もちろん事件が終われば、すぐに解除してあげるつもりだったのだが。
結果として、その保険は見事に効果を発揮した。
私は『スキル発動禁止』の牢屋に入れられたが、化け物鳥は外にいたため、その効力を受けなかった。
私はあらかじめ、「自分に何かあったら助けてほしい」という指示だけを与えていた。
そのため、牢獄に閉じ込められた私に気づいた化け物鳥が敵を蹴散らして、ここまで来てくれたのだ。
化け物鳥は使用人の仲間を全て倒し、私たちの牢屋の前まで到達した。
そうして、使用人と対峙する。
「クソ! 私があれだけ使ってやったというのに、飼い主に牙を剥くのか!!」
「今のあなたは、その鳥にとってはもう支配者でもなんでもない。ただの敵の一人よ」
「ク、クソ!!」
すると、使用人は思わぬ行動に出た。
仲間の男たちや、私たちのことを放り出して、自分だけ一目散に逃げ出したのだ。
あまりの逃げ足の早さに、化け物鳥は攻撃を加える暇もなかったようだ。
「化け物鳥……っていうのも、呼び方として酷いわね。アルメダ、このモンスターの種族名を知ってる?」
「これは、ビッグウィングと呼ばれる種ですわ。普段は温厚な性格をしていますが、その体格の大きさから、怖がられることも多いモンスターです」
「なるほど……じゃあ、あなたは今から『ビッグ』ね」
そう名づけると、ビッグは嬉しそうに鳴いた。
「ビッグ、悪いのだけど、この鉄柵を破壊してもらえるかな」
私がお願いすると、ビッグは強力な蹴りの一撃で鉄柵に穴を開ける。
「いくら温厚な性格といっても、これだけ強かったら、みんなから怖がられても仕方ないような……」
そんなことを呟きながら、私は逃げた使用人を追うため、牢屋から出た。
16
あなたにおすすめの小説
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。
=========================
<<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>>
参加時325位 → 現在5位!
応援よろしくお願いします!(´▽`)
=========================
S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。
ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。
崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。
そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。
今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。
そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。
それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。
ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。
他サイトでも掲載しています。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる