おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。

月海水

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雇われた冒険者たち

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「冒険者たちがいなくなる、ですか?」

 受付のお姉さんは首を傾げる。

「ええ。その方たちには各市場で揉め事が発生していないかの見回りをお願いしていました。暴力沙汰が起きていても、冒険者さんたちなら止められますので」

「私たちのギルドも、アルトバルト家からの依頼で、冒険者向けの長期仕事募集の張り紙を掲載していましたよね。仕事内容は警備等と書かれていましたけど、そういうことだったんですね」

「はい。ですが、その冒険者さんたちはある日突然姿を消してしまいました。雇っていた十人の方、全員です」

「うーん、冒険者はある意味自由な存在ですからね。いきなり依頼を放り出すことがないとも言えないですが……」

 お姉さんは色々な冒険者を見てきたのだろう。

 私としても同じ意見だ。もちろん、しっかりと働く冒険者は多い。

 だが、力自慢だけが取り柄だったり、危険な依頼を受ける代わりに足元を見てきたりと、なまじスキルレベルが高い人間が多いせいで、自分勝手な振る舞いをする輩もいる。

 だが、ルールを守らないからといって、そういった人間を放り出すわけにもいかないのが現状だ。

 彼らは一般人では相手にできないモンスターをいとも簡単に倒すことができるのだから。

「報酬面などで不満があったのかもーー」

 お姉さんがそう言おうとすると、

「それはあり得ませんっ。きちんと日給で適正な報酬をお渡ししていましたし、待遇に不満がないかも定期的に確認していました。それに、どなたもみんな誠実で、とても急に姿を消すような人じゃ……!」

 リンは珍しく怒りの感情を表に出した。

 それだけ信頼していた冒険者たちだったのだろう。

「し、失礼しました!」

 受付のお姉さんは自分が失言を口にしたことに気づいたようで、すぐに謝罪する。

「……でしたら、冒険者たちが自らの意思でいなくなったわけではないという方向で考えてみましょう。彼らが消えたその日、なにか特別なことはありましたか?」

 リンは自分が声を荒らげてしまったことを恥じたように少し顔を赤くして、そして思わぬ名前を口にした。

「その日、彼らはーーグラズ家の魔法アイテム市場の見回りに行ったんです」
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