おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。

月海水

文字の大きさ
54 / 102

進展

しおりを挟む
 金貨が大量に入った袋を見て、受付のお姉さんは目を輝かせる。

「このお金欲しい……じゃなくて、これは今日、赤フードさんにお渡しした報酬袋……」

「あの、さっきから仰っている赤フードさんって……?」

「ああ。うちのギルドの中でも最強クラスの冒険者さんなんですよ。リンさまと関係のあるところだと、エルスさまのスキル研究所、アルメダさまのランガ山道事件なんかを解決していますね」

 その説明で、リンはお茶会でのエルスとアルメダの話を思い出したようだった。

「お茶会で話に出ていたあの方ですか……! ご活躍は聞いています! 私も一度会ってみたいです」

 というリンだが、いつも会っているし、なんなら今ここにいる。

「それで、ですね。今の会話の流れから、赤フードが机の上に現れ、私が『誰かいるか』と尋ねたら、今度は私の大好きなお金……すみません、本音が出ました。赤フードさんにお渡ししたギルドの報酬袋が出てきました。ということはーー」

 受付のお姉さんは私の姿が見えていないはずだが、こっちの方向を見て。

「そこにいますね、赤フードさん」

 ご名答。さすが受付のお姉さんだ。

「え? え??」

 リンは目を白黒させているが、お姉さんは話を進める。

「あの依頼があった草原近くで、赤フードさんは透明になってしまった。しかも、意志疎通ができないみたい。しかも、冒険者が消えた話をしていた時に介入してきた。となると、赤フードさんとアルトバルト家の冒険者は同じ状況に?」

 私はもう一つ、懐からアイテムを取り出した。

 ダンジョン探索用として予備で持っていたグラズ家製の魔法照明だ。

 机の上に置くと、魔法照明は二人に見えるようになる。

「これは……よく見るタイプの魔法照明ですよね?」

 お姉さんはその意図に気づかなかったようだが、今度はリンが気づく。

「グラズ家……」

「え?」

「これはグラズ家が生産しているものです! そして、冒険者の方たちはグラズ家の市場に行って姿を消しました!」

「なるほど……」

 受付のお姉さんは頷く。

「赤フードさんが訪れた草原の周辺とグラズ家の調査を行いましょう。事情を説明して、王国騎士団の助力を得ます」

 事態は動き出した。これで透明化鉱石が発見され、事件の全貌も掴めてくるだろう。

 あとは……私自身の透明化を解く方法を探すだけだ。たぶん、あまり時間は残されていない。

「赤フードさんは待機しててください。どうにかして、元に戻す方法を……って、どこ行くんですか!?」

 私は部屋を出ていく。二人には扉が自動で開いたように見えているに違いない。

 事件の解明は冒険者ギルドと王国騎士団に任せた。

 私は元に戻る手がかりを掴むため、これからグラズ家の魔法工場に潜入する。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。 ========================= <<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>> 参加時325位 → 現在5位! 応援よろしくお願いします!(´▽`) =========================  S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。  ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。  崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。  そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。  今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。  そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。  それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。  ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。  他サイトでも掲載しています。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

処理中です...