おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。

月海水

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ベルドロール家

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昨日さくじつ、ベルドロール家に雇われたと話す酒場の男たちに襲われたのですが、それは本当でしょうか?」

 襲われた次の日。

 私はエルバルク家に勤めてくれている護衛役二人を引き連れ、ベルドロールの豪邸に乗り込んでいた。

 正面から私が訪問すれば、表向きは断ることはできない。

 そこで拒否すれば、何かあるということを、他の貴族たちに広く周知してしまうことになるからだ。

 ならば、ここは攻めに出るべきだった。

 私は親交を深めるためと言って、お父様から公認訪問の許可をもらい、そうしてベルドロールの応接の間に通された。

 そこにやってきた当主、バルゴ・ベルドロールに開口一番問いかけたというわけだ。

「……荒唐無稽なお話ですな」

 バルゴは六十過ぎの男で鋭い目をしている。

 約束もせずにきたので、てっきり息子や側近の類が出てくるかと思ったが、現れたのはベルドロール家の当主。

 私がエルバルクの人間だからか、それとも誘拐に失敗したからか。

 どちらにせよ、警戒されていることは確かだった。

「本日はその真偽をお確かめにいらっしゃったということですかな?」

「いえ、これは冗談のようなものですよ。そもそも、誇り高きベルドロール家の人間が、そのような下劣な行為を行うとは思っていません」

 ベルドロール家が誘拐の指示を出したのはほぼ確実。

 だが、そうやって言うことで相手の苛立ちを誘ったが、バルゴの表情は変わらなかった。

 さすがにこの程度の挑発で顔に出ていては、当主としてやってこられなかったということか。

 私は話題を変える。

「ところで、ベルドロール家は近頃黒装束の人間たちと親密なようですが、彼らの正体はなんなのです?」

「なんのことやら。当家はそのような人物たちには覚えがありませんな」

「そう答えるしかないでしょうね。私の個人的な感想を述べるのであれば、あれは外部の人間ではなく、ベルドロール家の色々な仕事を行う方々だと思っています。身分を明かすと都合が悪いので、黒装束を纏っているのでしょう」

 冒険者の時は、私も赤フードを着ているわけだし。

「お話はそれだけですかな? ならば、そろそろお帰りいただきたい。妄言ばかりを吐かれては、こちらも時間の無駄なのでね」

「それじゃ、始めましょうか」

「……?」

 もちろん、口で言っても、相手がボロを出さないのはわかりきっている。

 だから、ベルドロール家はここまで大きくなったのだ。

 私は懐に手を伸ばす。

 今こそ、ベルドロール家の暗部を明らかにする時だ。
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