おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。

月海水

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魔法使い

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「ベルドロール家はエルバルク家を敵対視している……だが、普通の方法では、今の貴族界でエルバルク家の権力を上回ることはできぬ……」

 苦々しい表情でバルゴはつぶやく。

 問い詰めている私がエルバルクの人間だということは、もうどうでもいいようだ。

「ならば、私たちは新たな戦力、新たな時代の先駆者になるしかないのだ。このスキル社会を根底から壊し、新たな世界でベルドロールは最大勢力の貴族となる……」

「でも、ここでその企みが露見した。もう終わりよ」

 決着はついた。あとは王国騎士団にでも任せるとして、私は事後処理を始めよう。

 そうして、一瞬油断した時だ。

 死角から殺気を察知し、私はギリギリのところで飛んできた攻撃を避ける。

「おお……間に合ったか。我が息子よ」

 バルゴの目に希望が戻る。私が振り向くと、そこには黒装束の男がいた。

 だが、フードを被っていない彼の顔ははっきりと確認することができる。

 かなり若い。十代後半だろうか。

 バルゴは息子と言った。ベルドロール家は優秀な後継ぎを選ぶため、かなりの数の子どもがいるという話を聞いたことがある。

 正妻以外の子も多いようだ。その話を考慮すると、バルゴの年齢から考えて、ベルドロールの子どもの中ではかなり若い部類に入るだろう。

「父上。なぜエルバルクの娘一人に、ここまで追い詰められてしまったのです?」

「わ、私にもわからんよ。護衛の黒装束たちは全く役に立たなかった。今もそこで固まったままだ」

「ふむ。スキルの類……か。ただの娘でも、スキルの一つや二つは持っていておかしくないかもしれないですね」

 黒装束の少年は状況を見てそう言った。

「タルク、早くこいつを始末するのだ! 何やら危険な予感がする……!」

 タルクと呼ばれた少年は、私に対して杖を振りかざす。

 そこで、気づく。

「杖……?」

 そういえば、先ほどの攻撃もスキルの攻撃とは違う感覚があった。

 バルゴはにやりと笑って告げる。

「私の自慢の息子タルクは、今のスキル至上主義の世界を変えるために生まれた、この王国で初と言える使なのだよ」
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