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スキルと魔法
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魔法がスキルのように普遍的なものになれば、この世界の常識は根底から覆る。
なぜなら、スキルと違って枠の制限がないからだ。
才能を持つ者であれば、誰でも大量の魔法を使うことができる。
しかし、魔法がなぜ今のような立場にあるかと言えば、それは才能を持つ人間の絶対数が少ないからだった。
「ーー僕はね、ベルドロール家によって作られた人工的な魔法使いなんだよ」
だからこそ、タルクのその言葉は私に衝撃を与える。
「ベルドロール家の真の目的は、魔法の普遍化だったというわけね……」
「惜しいね。魔法の普遍化は目的の道中にすぎない。最終的には独占した魔法戦力で、誰も逆らえない貴族となることだよ」
確かに、魔法を一般に普及させたいというだけなら、グラズ魔法工場で大量の魔法鎧を作らせたり、透明化石粒のような魔法兵器を生み出す必要はない。
「ただの才能のない子どもだった僕は、ベルドロール家の魔法戦力増強計画の目玉として、色々な細工を施され、こうして魔法が使えるようになった」
「色々な細工……」
私は少し引っかかったが、タルクは続ける。
「これで僕は存在意義を見つけ、ベルドロール家は覇権を握ることができる。ですよね、父上」
「ああ、その通りだ。もう準備は整ったということにしよう。そこのエルバルクの令嬢を魔法で殺すことによって、我々は全ての貴族家や王族に対しての力の誇示を開始する」
バルゴは笑う。
狂っている。
王国を敵に回しても勝てると本気で思っているようだ。
それほどまでに魔法使いは強力だと思っているようだが……実際は私と能力的に大差はないはずだ。
魔法に対する防御スキルがほとんどないため、ダメージは貫通するだろうが、こちらもスキル枠は無限。
つまり、一方的には勝てないとしても、私とタルクは対等な力関係にある。
もちろん、向こうはそんなこと知らないだろうけど。
私も考えたことはある。
自分のスキル枠無限を悪用したら、どこまで世間を揺るがしてしまえるのか、と。
もしかしたら、本当に国と戦うことができるかもしれない。
しかし、そんなことをしても、誰も幸せにはならない。
だから、私は赤フードの冒険者としてみんなのために力を使うことにしたのだ。
目の前にいるのは、私と似ているようで、全く異なった存在。
絶対に倒さなければならない存在だった。
なぜなら、スキルと違って枠の制限がないからだ。
才能を持つ者であれば、誰でも大量の魔法を使うことができる。
しかし、魔法がなぜ今のような立場にあるかと言えば、それは才能を持つ人間の絶対数が少ないからだった。
「ーー僕はね、ベルドロール家によって作られた人工的な魔法使いなんだよ」
だからこそ、タルクのその言葉は私に衝撃を与える。
「ベルドロール家の真の目的は、魔法の普遍化だったというわけね……」
「惜しいね。魔法の普遍化は目的の道中にすぎない。最終的には独占した魔法戦力で、誰も逆らえない貴族となることだよ」
確かに、魔法を一般に普及させたいというだけなら、グラズ魔法工場で大量の魔法鎧を作らせたり、透明化石粒のような魔法兵器を生み出す必要はない。
「ただの才能のない子どもだった僕は、ベルドロール家の魔法戦力増強計画の目玉として、色々な細工を施され、こうして魔法が使えるようになった」
「色々な細工……」
私は少し引っかかったが、タルクは続ける。
「これで僕は存在意義を見つけ、ベルドロール家は覇権を握ることができる。ですよね、父上」
「ああ、その通りだ。もう準備は整ったということにしよう。そこのエルバルクの令嬢を魔法で殺すことによって、我々は全ての貴族家や王族に対しての力の誇示を開始する」
バルゴは笑う。
狂っている。
王国を敵に回しても勝てると本気で思っているようだ。
それほどまでに魔法使いは強力だと思っているようだが……実際は私と能力的に大差はないはずだ。
魔法に対する防御スキルがほとんどないため、ダメージは貫通するだろうが、こちらもスキル枠は無限。
つまり、一方的には勝てないとしても、私とタルクは対等な力関係にある。
もちろん、向こうはそんなこと知らないだろうけど。
私も考えたことはある。
自分のスキル枠無限を悪用したら、どこまで世間を揺るがしてしまえるのか、と。
もしかしたら、本当に国と戦うことができるかもしれない。
しかし、そんなことをしても、誰も幸せにはならない。
だから、私は赤フードの冒険者としてみんなのために力を使うことにしたのだ。
目の前にいるのは、私と似ているようで、全く異なった存在。
絶対に倒さなければならない存在だった。
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