7 / 86
第7話 クリエイトゲージ
しおりを挟む
「ほう、我らは召喚主の手によって顕現した『天使翼』によって苦しめられていたのですな」
『天使翼』の聖なる加護によって傷ついた『地獄骸』が、俺の目の前で嫌味っぽくそう呟いた。
さっきまでの畏まった態度は一体どこにいってしまったのか。
しかし今回の件は完全に俺が悪いので、何も言う事ができない。
「そ、それより本当の敵襲が近いんだ。お前たち、防衛体制を取ってくれ。敵はこの世界の文字召喚術師だ。暗黒城への到達はあと十五分、いや十分だと思って行動しろ」
「ぬ、それは急がねばありませんな。しかし、何故そのようなことに?」
さっきの嫌みな態度は、『地獄骸』流の不満の表明だったようで、緊急事態であることを知ると、元の恭しい言葉遣いに戻ってくれた。
よかった。あのまま一生、膨れたままじゃなくて……。
とりあえず、ほっと胸を撫で下ろした俺は『地獄骸』の疑問に答える。
「ここにいるバカがバカなことをしたせいでな……」
「わたし、バカじゃないですよー!」
レーナが頬を膨らませて反論するが、聞き入れずに無視する。今はモンスターたちへの指示出しの方が優先だ。
「敵とはいっても、こいつの知り合いだ。相手が好戦的だったらある程度は仕方がないが、最初は手を出さないでほしい。殺すのは厳禁だ。そこで疲弊しているお前の部下のアンデッドたちにもしっかり伝えておいてくれ」
「了解しました。では、聖なる光の加護も弱まったようなので、暗黒城の防衛にあたるとしましょう」
そう言って、『地獄骸』はいつものように激しい号令をかけながら、配下を従えて颯爽と外に出ていく。本当に頼れる部下である。
「さて、俺たちは暗黒城の上階から相手の様子を見つつ、対話の道を探るぞ」
俺がそう言いながら振り返ると、
「むー」
無視されたレーナは頬を赤らめて、まだ怒っているようだった。怒ったところも可愛い。
「正直、一連の原因であるお前を叱りたいところだが、まあ、可愛いから許そう」
「なっ! そんな言葉でごまかす気ですか!」
「みっちり叱ってもいいんだぞ?」
「うぐぅ……。そ、それは勘弁してくださいぃ~」
涙目になって首を横にふりふりするレーナを見て、俺はため息をつく。
だが、彼女のおバカな振る舞いにも慣れてきた。俺は頭を切り替える。
「ほら、行くぞ。お師匠さまのお迎えはおそらくもうすぐだ」
「……本当に来ますかね」
さっきまで怒っていたのに、すっと不安げな表情を浮かべ、レーナは俺を上目遣いで見上げた。
瞳は若干潤んでいる。惚れる。
じゃなかった。レーナのこの反応から推測するに、彼女の師匠は普段、愛情表現が下手な人間なのだろう。
師匠がレーナを本当に嫌っている可能性もなくはないが、さっき送られてきた文面からして、たぶん違うと思う。
人間関係は難しい。元の世界で仕事している時もよく感じたことだ。
俺たちは螺旋状の階段を上って、暗黒城の五階、つまりは最上階に移動した。
五階は一つの大きな部屋になっていて、巨大な玉座が置かれている。床には高級そうな絨毯が敷かれており、ここだけ見れば本物の城のようだ。
誰を座らせるために、あの玉座があるのかは考えたくないが。
そして、その大部屋には拠点入り口を見下ろせる大窓と外に出ることができるテラスが備えられていた。
アンデッドたちの働きを見守るにはここがちょうどいい。
「行動も王様みたいになってきたな……」
知らないうちに本当に魔王になってそうで怖い。
誰かに止めてほしいが、隣にはレーナしかいないし、多分彼女は魔王の側近とかに率先してなりたがりそうである。バカだし。
「……なんか今、わたしの方を見て、失礼なこと考えませんでした?」
「そんなわけないだろ。レーナは可愛いなぁと思っていたんだよ」
「きゃっ」
真顔で大嘘をついておく。
レーナは両手で真っ赤になった頬を包み込んで、もじもじとしている。
普通に可愛いので、別に嘘でもない気がしてきた。
それはさておき、そろそろ襲撃を警戒しなくてはならない。
レーナの師匠が好戦的であるかどうかはわからないが、いきなり不意打ちを食らって、暗黒城が壊滅したら目も当てられない。
「とりあえず、さらなる戦力をいまのうちに召喚しておくか……」
俺の文字召喚には顕現待ちが存在しないことは検証済みだ。それは『天使翼』のような大型モンスターを召喚し放題ということである。
俺は再び魔法の羊皮紙と万年筆を出現させ、とりあえず強そうな設定を山盛りにしたモンスターを召喚しようとした――が。
「……何も、起きない?」
なぜか先ほどと違って、記述した文字列は光らないし、強力なモンスターが出現する気配もない。
「レーナ、これはどういうことだ?」
俺は首を傾げてレーナに訊ねるが、彼女もふえ? と?マークを頭に浮かべていた。
「さあ? シュウトさまは全てがわたしたちの常識と違うので、何とも言えないですよぉ~~」
「ふむ……俺の文字召喚にも何か条件があるのかもしれないな……」
敵襲が迫る中、原因不明の問題に悩まされ、左手で額に流れる冷や汗を拭おうとした時。
「あれ、シュウトさま? なんですか、その左手首の……紋様?」
「ん?」
レーナに指をさされて、俺は自分の左手首に視線を落とす。
そこには、見覚えのない黒く太い線が走っていた。それはシャツで隠れた内側まで続いている。
まさか、と思って、シャツを乱暴にめくると、そこには黒いバーのようなものが出現していた。
元々は肘の辺りまで伸びていたのか、肘の内側には最大値を示しているかのような縦線が一本。そこから、大幅にバーが減少したのか、現在は手首付近まで短くなった黒いバーがある。
「これはもしや……」
俺は一つの仮説に行き着き、試しに何の能力も持たない『ゴースト』というモンスターを記述する。
すると、羊皮紙は最初と同じく光り出し、目の前には何の役にも立たない『ゴースト』が顕現した。
「ォォォ……!」
なんだか不気味な声を上げるだけの無害な『ゴースト』。
文字召喚に成功した俺は左腕のバーを確認する。すると、
「やっぱりな……」
さっき見た時よりも、ほんの少しだけバーが短くなっていた。
これでこのバーの正体がわかった。
「ォォォ……!」
これは残りどれくらいのモンスターを召喚できるかを表すゲージだ。
ゲージの減る量は、召喚するモンスターの強さに左右される。
顕現待ちがないという圧倒的なチート能力は持ち合わせているものの、その代わりに俺には、召喚できるモンスターの量が決められているというわけだ。
「ォォォ……!!」
よく見ていると、時間経過とともにゲージは徐々に回復している。つまり、一定時間待てば、また強力な文字召喚が可能だということだ。
「ォォォ……!!!」
「だああ!! うるせえ!」
俺が思考している間、隣でずっと唸っていた『ゴースト』を一喝すると、『ゴースト』と、ついでに関係ないレーナまでびくっと身体を震わせる。
俺はため息をついて、優しくフォローを入れておく。
「……大事な考え事の最中だ。大人しくな」
ひとまず、俺はその左腕のゲージを『クリエイトゲージ』と呼ぶことにした。
このゲージの管理が今後の異世界での生活を左右するだろう。
『天使翼』の聖なる加護によって傷ついた『地獄骸』が、俺の目の前で嫌味っぽくそう呟いた。
さっきまでの畏まった態度は一体どこにいってしまったのか。
しかし今回の件は完全に俺が悪いので、何も言う事ができない。
「そ、それより本当の敵襲が近いんだ。お前たち、防衛体制を取ってくれ。敵はこの世界の文字召喚術師だ。暗黒城への到達はあと十五分、いや十分だと思って行動しろ」
「ぬ、それは急がねばありませんな。しかし、何故そのようなことに?」
さっきの嫌みな態度は、『地獄骸』流の不満の表明だったようで、緊急事態であることを知ると、元の恭しい言葉遣いに戻ってくれた。
よかった。あのまま一生、膨れたままじゃなくて……。
とりあえず、ほっと胸を撫で下ろした俺は『地獄骸』の疑問に答える。
「ここにいるバカがバカなことをしたせいでな……」
「わたし、バカじゃないですよー!」
レーナが頬を膨らませて反論するが、聞き入れずに無視する。今はモンスターたちへの指示出しの方が優先だ。
「敵とはいっても、こいつの知り合いだ。相手が好戦的だったらある程度は仕方がないが、最初は手を出さないでほしい。殺すのは厳禁だ。そこで疲弊しているお前の部下のアンデッドたちにもしっかり伝えておいてくれ」
「了解しました。では、聖なる光の加護も弱まったようなので、暗黒城の防衛にあたるとしましょう」
そう言って、『地獄骸』はいつものように激しい号令をかけながら、配下を従えて颯爽と外に出ていく。本当に頼れる部下である。
「さて、俺たちは暗黒城の上階から相手の様子を見つつ、対話の道を探るぞ」
俺がそう言いながら振り返ると、
「むー」
無視されたレーナは頬を赤らめて、まだ怒っているようだった。怒ったところも可愛い。
「正直、一連の原因であるお前を叱りたいところだが、まあ、可愛いから許そう」
「なっ! そんな言葉でごまかす気ですか!」
「みっちり叱ってもいいんだぞ?」
「うぐぅ……。そ、それは勘弁してくださいぃ~」
涙目になって首を横にふりふりするレーナを見て、俺はため息をつく。
だが、彼女のおバカな振る舞いにも慣れてきた。俺は頭を切り替える。
「ほら、行くぞ。お師匠さまのお迎えはおそらくもうすぐだ」
「……本当に来ますかね」
さっきまで怒っていたのに、すっと不安げな表情を浮かべ、レーナは俺を上目遣いで見上げた。
瞳は若干潤んでいる。惚れる。
じゃなかった。レーナのこの反応から推測するに、彼女の師匠は普段、愛情表現が下手な人間なのだろう。
師匠がレーナを本当に嫌っている可能性もなくはないが、さっき送られてきた文面からして、たぶん違うと思う。
人間関係は難しい。元の世界で仕事している時もよく感じたことだ。
俺たちは螺旋状の階段を上って、暗黒城の五階、つまりは最上階に移動した。
五階は一つの大きな部屋になっていて、巨大な玉座が置かれている。床には高級そうな絨毯が敷かれており、ここだけ見れば本物の城のようだ。
誰を座らせるために、あの玉座があるのかは考えたくないが。
そして、その大部屋には拠点入り口を見下ろせる大窓と外に出ることができるテラスが備えられていた。
アンデッドたちの働きを見守るにはここがちょうどいい。
「行動も王様みたいになってきたな……」
知らないうちに本当に魔王になってそうで怖い。
誰かに止めてほしいが、隣にはレーナしかいないし、多分彼女は魔王の側近とかに率先してなりたがりそうである。バカだし。
「……なんか今、わたしの方を見て、失礼なこと考えませんでした?」
「そんなわけないだろ。レーナは可愛いなぁと思っていたんだよ」
「きゃっ」
真顔で大嘘をついておく。
レーナは両手で真っ赤になった頬を包み込んで、もじもじとしている。
普通に可愛いので、別に嘘でもない気がしてきた。
それはさておき、そろそろ襲撃を警戒しなくてはならない。
レーナの師匠が好戦的であるかどうかはわからないが、いきなり不意打ちを食らって、暗黒城が壊滅したら目も当てられない。
「とりあえず、さらなる戦力をいまのうちに召喚しておくか……」
俺の文字召喚には顕現待ちが存在しないことは検証済みだ。それは『天使翼』のような大型モンスターを召喚し放題ということである。
俺は再び魔法の羊皮紙と万年筆を出現させ、とりあえず強そうな設定を山盛りにしたモンスターを召喚しようとした――が。
「……何も、起きない?」
なぜか先ほどと違って、記述した文字列は光らないし、強力なモンスターが出現する気配もない。
「レーナ、これはどういうことだ?」
俺は首を傾げてレーナに訊ねるが、彼女もふえ? と?マークを頭に浮かべていた。
「さあ? シュウトさまは全てがわたしたちの常識と違うので、何とも言えないですよぉ~~」
「ふむ……俺の文字召喚にも何か条件があるのかもしれないな……」
敵襲が迫る中、原因不明の問題に悩まされ、左手で額に流れる冷や汗を拭おうとした時。
「あれ、シュウトさま? なんですか、その左手首の……紋様?」
「ん?」
レーナに指をさされて、俺は自分の左手首に視線を落とす。
そこには、見覚えのない黒く太い線が走っていた。それはシャツで隠れた内側まで続いている。
まさか、と思って、シャツを乱暴にめくると、そこには黒いバーのようなものが出現していた。
元々は肘の辺りまで伸びていたのか、肘の内側には最大値を示しているかのような縦線が一本。そこから、大幅にバーが減少したのか、現在は手首付近まで短くなった黒いバーがある。
「これはもしや……」
俺は一つの仮説に行き着き、試しに何の能力も持たない『ゴースト』というモンスターを記述する。
すると、羊皮紙は最初と同じく光り出し、目の前には何の役にも立たない『ゴースト』が顕現した。
「ォォォ……!」
なんだか不気味な声を上げるだけの無害な『ゴースト』。
文字召喚に成功した俺は左腕のバーを確認する。すると、
「やっぱりな……」
さっき見た時よりも、ほんの少しだけバーが短くなっていた。
これでこのバーの正体がわかった。
「ォォォ……!」
これは残りどれくらいのモンスターを召喚できるかを表すゲージだ。
ゲージの減る量は、召喚するモンスターの強さに左右される。
顕現待ちがないという圧倒的なチート能力は持ち合わせているものの、その代わりに俺には、召喚できるモンスターの量が決められているというわけだ。
「ォォォ……!!」
よく見ていると、時間経過とともにゲージは徐々に回復している。つまり、一定時間待てば、また強力な文字召喚が可能だということだ。
「ォォォ……!!!」
「だああ!! うるせえ!」
俺が思考している間、隣でずっと唸っていた『ゴースト』を一喝すると、『ゴースト』と、ついでに関係ないレーナまでびくっと身体を震わせる。
俺はため息をついて、優しくフォローを入れておく。
「……大事な考え事の最中だ。大人しくな」
ひとまず、俺はその左腕のゲージを『クリエイトゲージ』と呼ぶことにした。
このゲージの管理が今後の異世界での生活を左右するだろう。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる