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第22話 暗黒城増築
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「戦略考案魔法具にはまだいくつか機能がありますぞ」
『地獄骸』はそう言って、俺の横から手を伸ばすと、前方に現れたウィンドウに触れた。村のアイコンのようなものをタッチすると、詳細な情報が表示される。
〈ギルダム中央村〉
友好領域。現在、敵性存在からの攻撃はなし。
戦闘系アンデッドの駐在あり。統括者『堕落した王冠』。
「これはまた便利な……」
実際に戦闘が起こった時に知りたい情報はほとんど表示されていた。
さらにタッチすることで、アンデッドの駐在数や村の警備兵たちのアクティブ数も開示された。
もしかして、これは思っている以上に、でたらめに強い魔法具なのでは……と、俺が小さく震えはじめると、『地獄骸』は自慢げに「はっはっは」と笑い、さらなる機能を提示してくる。
「実はですな、ここに触れることによって、現地の実際の様子を見ることもできるのです。範囲はさすがに全体というわけではなく、その地域の統括者の周囲のみですが、これによって直接指示を出すことも可能になります」
「お、マジか。それ試してみたいな」
「では、映し出してみましょう。今は『堕落した王冠』がギルダム中央村の統括者になっておりますので、あやつの様子が映し出されるはずです」
そう言って、『地獄骸』はウィンドウを操作する。
すると、ウィンドウ全体がパッと変化して、そこにはギルダム中央村と『堕落した王冠』の様子が映し出された……のだが。
「うっひょひょ~~~い!! ついに我がアンデッドたちの指揮を執る時代が来たのだぁ~~~!! 『地獄骸』さまもおられない~~~自由~~~!!!」
ウィンドウに表示された映像のど真ん中には、あまりの解放感からキャラ崩壊して小躍りしている『堕落した王冠』が映っていた。
「…………」
「…………」
俺と『地獄骸』はコメントのしようがなく、ただ無表情で沈黙する。
「うっひょ~~~い!!」
「おうさま、さいこ~~~」
「おうさま、この場でいちばんえらい~~~」
部下たちに己を讃えさせ、陽気なダンスを踊る『堕落した王冠』。
「うっひょひょ~~~~~い!! ひょ~~~い――はっ!?」
だが少しして、ウィンドウ越しに俺たちと目が合った。
どうやら、向こうにもこちらと同じようなウィンドウが出現しているらしい。
「…………」
「…………」
「あ、ちが、これはその、えっ、ちょっ、待っ――」
俺は無言で通信を切った。
「あいつ……ストレス溜まってんだな……」
「ですな……」
別に特に怒ることでもない。
ただ、俺たちはなんとなく生温かい笑顔を浮かべたまま、頷き合ったのだった。
「城の周囲を囲む塀は完成したか?」
俺と『地獄骸』は王の間を出て一階へ降りると、玄関広間に待機していたアンデッドたちに問う。
みんな、塀の建築の役目を担っていた者たちだ。外から戻って待機しているということは、仕事は完了したのだろう。
「はっ。こちらへどうぞ。召喚主」
『失敗した錬金術師』が俺たちを誘導する。
『失敗した錬金術師』は見た目だけなら、人間にほど近い容姿をしていた。黒いマントを羽織り、顔はイケメンの二十歳くらいの青年だ。
召喚したのは二体。瓜二つの双子という設定もつけておいたので、全く同じ外見の青年がどこかにもう一人いるはずだった。
彼に案内されて、城の外に出る。
「おお……」
そこに広がる光景に、俺は思わず感嘆の声を漏らした。
暗黒城を囲むように、五メートルほどの石壁が作り上げられていた。
門は東西南北の四か所。城の入り口から見て正面の門は、一際大きな正門となっている。
加えて、暗黒城の外見も少し変化していた。
今までは四角い豪華な邸宅という外見だったが、ファンタジーでよく見る鋭い三角屋根の見張り塔などがいくつか増築され、一気に城っぽくなっていた。
カラーリングも白一色だった以前とは違い、黒を用いた材料を混ぜ合わせることによって、モノトーンのお洒落な雰囲気に変わっている。
「ずいぶん完成度を上げてきたな」
「私にはデザインセンスも組み込まれていますので。侵攻してきた敵に威厳と威圧を与える外見を目指しました。お褒め頂きありがとうございます」
『失敗した錬金術師』は畏まって、称賛に対する礼をした。
ここまで完璧なイケメンだと、金だけ作れないという欠点は可愛く見えてくる。
やっぱり、あの設定を入れたのは正解だった。
「残るは防衛兵器ですが……こちらはまだ時間がかかるかと。ただいま、技術系アンデッドたちが兵器構造の考案会議を行っている最中でございます」
知らないところで会議まで開かれているらしい。
もう立派な一つの組織として、機能しているようだ。
「よし、それじゃあ、その間にこの周辺にあるという村を訪問してくる。『地獄骸』、レーナとアリカを呼んできてくれ。なんか昼寝するとか言ってたから、大方、二階のリビングらへんにいると思う。問答無用で叩き起こしていいぞ」
「わかりました、召喚主」
『地獄骸』は首肯すると、城内に戻っていく。
俺は試しに正門から出て、草原を見回してみた。
遠くに見える峡谷。あの辺りに、村へ繋がる道があるらしい。
見るからに、移動するのが大変そうな地域だ。
村までの道のりは、覚悟しておかないといけなさそうである。
『地獄骸』はそう言って、俺の横から手を伸ばすと、前方に現れたウィンドウに触れた。村のアイコンのようなものをタッチすると、詳細な情報が表示される。
〈ギルダム中央村〉
友好領域。現在、敵性存在からの攻撃はなし。
戦闘系アンデッドの駐在あり。統括者『堕落した王冠』。
「これはまた便利な……」
実際に戦闘が起こった時に知りたい情報はほとんど表示されていた。
さらにタッチすることで、アンデッドの駐在数や村の警備兵たちのアクティブ数も開示された。
もしかして、これは思っている以上に、でたらめに強い魔法具なのでは……と、俺が小さく震えはじめると、『地獄骸』は自慢げに「はっはっは」と笑い、さらなる機能を提示してくる。
「実はですな、ここに触れることによって、現地の実際の様子を見ることもできるのです。範囲はさすがに全体というわけではなく、その地域の統括者の周囲のみですが、これによって直接指示を出すことも可能になります」
「お、マジか。それ試してみたいな」
「では、映し出してみましょう。今は『堕落した王冠』がギルダム中央村の統括者になっておりますので、あやつの様子が映し出されるはずです」
そう言って、『地獄骸』はウィンドウを操作する。
すると、ウィンドウ全体がパッと変化して、そこにはギルダム中央村と『堕落した王冠』の様子が映し出された……のだが。
「うっひょひょ~~~い!! ついに我がアンデッドたちの指揮を執る時代が来たのだぁ~~~!! 『地獄骸』さまもおられない~~~自由~~~!!!」
ウィンドウに表示された映像のど真ん中には、あまりの解放感からキャラ崩壊して小躍りしている『堕落した王冠』が映っていた。
「…………」
「…………」
俺と『地獄骸』はコメントのしようがなく、ただ無表情で沈黙する。
「うっひょ~~~い!!」
「おうさま、さいこ~~~」
「おうさま、この場でいちばんえらい~~~」
部下たちに己を讃えさせ、陽気なダンスを踊る『堕落した王冠』。
「うっひょひょ~~~~~い!! ひょ~~~い――はっ!?」
だが少しして、ウィンドウ越しに俺たちと目が合った。
どうやら、向こうにもこちらと同じようなウィンドウが出現しているらしい。
「…………」
「…………」
「あ、ちが、これはその、えっ、ちょっ、待っ――」
俺は無言で通信を切った。
「あいつ……ストレス溜まってんだな……」
「ですな……」
別に特に怒ることでもない。
ただ、俺たちはなんとなく生温かい笑顔を浮かべたまま、頷き合ったのだった。
「城の周囲を囲む塀は完成したか?」
俺と『地獄骸』は王の間を出て一階へ降りると、玄関広間に待機していたアンデッドたちに問う。
みんな、塀の建築の役目を担っていた者たちだ。外から戻って待機しているということは、仕事は完了したのだろう。
「はっ。こちらへどうぞ。召喚主」
『失敗した錬金術師』が俺たちを誘導する。
『失敗した錬金術師』は見た目だけなら、人間にほど近い容姿をしていた。黒いマントを羽織り、顔はイケメンの二十歳くらいの青年だ。
召喚したのは二体。瓜二つの双子という設定もつけておいたので、全く同じ外見の青年がどこかにもう一人いるはずだった。
彼に案内されて、城の外に出る。
「おお……」
そこに広がる光景に、俺は思わず感嘆の声を漏らした。
暗黒城を囲むように、五メートルほどの石壁が作り上げられていた。
門は東西南北の四か所。城の入り口から見て正面の門は、一際大きな正門となっている。
加えて、暗黒城の外見も少し変化していた。
今までは四角い豪華な邸宅という外見だったが、ファンタジーでよく見る鋭い三角屋根の見張り塔などがいくつか増築され、一気に城っぽくなっていた。
カラーリングも白一色だった以前とは違い、黒を用いた材料を混ぜ合わせることによって、モノトーンのお洒落な雰囲気に変わっている。
「ずいぶん完成度を上げてきたな」
「私にはデザインセンスも組み込まれていますので。侵攻してきた敵に威厳と威圧を与える外見を目指しました。お褒め頂きありがとうございます」
『失敗した錬金術師』は畏まって、称賛に対する礼をした。
ここまで完璧なイケメンだと、金だけ作れないという欠点は可愛く見えてくる。
やっぱり、あの設定を入れたのは正解だった。
「残るは防衛兵器ですが……こちらはまだ時間がかかるかと。ただいま、技術系アンデッドたちが兵器構造の考案会議を行っている最中でございます」
知らないところで会議まで開かれているらしい。
もう立派な一つの組織として、機能しているようだ。
「よし、それじゃあ、その間にこの周辺にあるという村を訪問してくる。『地獄骸』、レーナとアリカを呼んできてくれ。なんか昼寝するとか言ってたから、大方、二階のリビングらへんにいると思う。問答無用で叩き起こしていいぞ」
「わかりました、召喚主」
『地獄骸』は首肯すると、城内に戻っていく。
俺は試しに正門から出て、草原を見回してみた。
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見るからに、移動するのが大変そうな地域だ。
村までの道のりは、覚悟しておかないといけなさそうである。
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