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第74話 贖罪
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各々が御一行様をもてなすための改築作業を続けて、日は暮れ始めていた。
俺は『地獄骸』に抱えられて、草原から常人の数倍以上のスピードで暗黒城に戻ってくることができたが、歩みの遅い歩行者と馬車で構成されたご一行様は進行スピードが遅いようで、未だその姿は見えない。
だが、さすがにそろそろ到着する頃だ。あまり準備時間は残されていないだろう。
作業時間、約半日。
ハリボテでも、なんとなく観光地感が出ればいい……くらいに考えていた俺は、暗黒城の正門に立ち尽くし、眼前の光景に唖然としていた。
日が傾き、薄暗くなった城の周囲をきらびやかに照らし出すのは、各精霊たちが内側に入ることによって輝きを放つ優美なランタンの数々。
空に浮かぶ巨大で神々しい『天使翼』は城全体を温かみのある優しい光で包んでいる。
城の外壁は『失敗した錬金術師』の指揮のもと、期間限定のカラフルなカラーリングに変えられ、見た目だけでも充分に楽しむことができる。
「想定以上だ……」
俺がそんな感嘆の呟きを漏らすのも無理はないだろう。
その光景はさながら、元の世界に存在した豪華なテーマパークのようだ。
「本気出しすぎじゃね……?」
うちのモンスターたちはなぜか暗黒城の建築には妙に力を入れる傾向がある。
あまりのクオリティに慄く俺のすぐ横を、森の方から調達してきたのか、大量の食材を抱えた『地獄暴食』が通りかかった。
「召喚主さま~、これだけで驚いてたらダメだよ~? 内装はもっとすごいから~」
「ああ、予想はできてる……さっき見回っていた時は全員総出で城の内装作っていたからな……」
「そろそろ出来上がる頃だろうから、見に来て~。たぶんすごくなってるよ~」
そう言って『地獄暴食』は上機嫌で身体でリズムを取りながら城の中に入っていった。
「楽しそうだな、おい……」
俺もちょうど内装のチェックをしようと思っていたため、『地獄暴食』のあとをゆっくりと追い、正面玄関へと向かう。
その途中で目に入るのはたくさんの旗。
城の全方位、また付近の草原の至るところに巨大な旗が立てられていた。
その旗には一度却下した「歓迎! 話題の魔王様、ここにいます!」というレーナ考案のキャッチコピーがでかでかと書かれている。
……どう考えても、たくさんの敵が引きつけられてくる気がする。
だが、俺はもう強く言わないことにした。
逆に、この状況を生かすべきだと考え、一部の新たに文字召喚しておいた配下モンスターには、秘密裏にある工作を進めてもらっていた。あまりにも無防備かつ、無邪気な仲間たちが万が一にも傷つかないよう、しっかりと手だけは打っておく。
それこそが正しい魔王の在り方である。
「召喚宮殿襲撃の件、レーナたちや配下には迷惑をかけたからな。今回のお祭り騒ぎを無事楽しんでもらえば、少しは気分転換にもなるだろう」
レーナたちの前では決して言うつもりはないが、俺がこんなお祭り状態を許すことにしたのは、贖罪の意味もあった。
血溜まりを踏みつけ、どこまでも進軍を続ける俺に付き合わせてしまったその贖罪。
無論、この程度で許されるとは思っていない。あいつらは優しいから何も言わないだけで、かなりの苦痛を受けていたはずだ。そのことを十分承知の上で、俺はあの時前に進んだはずだ。
俺は自分勝手でひとりよがりな行動をして、レーナたちを傷つけた罪をこれから償っていかなくてはならない。
召喚主として。
魔王として。
彼女らを守る者として。
俺はただ一人、夕暮れの何もない草原の丘の上、場違いに輝く城を見上げてから正面玄関口の扉を開いた。
俺は『地獄骸』に抱えられて、草原から常人の数倍以上のスピードで暗黒城に戻ってくることができたが、歩みの遅い歩行者と馬車で構成されたご一行様は進行スピードが遅いようで、未だその姿は見えない。
だが、さすがにそろそろ到着する頃だ。あまり準備時間は残されていないだろう。
作業時間、約半日。
ハリボテでも、なんとなく観光地感が出ればいい……くらいに考えていた俺は、暗黒城の正門に立ち尽くし、眼前の光景に唖然としていた。
日が傾き、薄暗くなった城の周囲をきらびやかに照らし出すのは、各精霊たちが内側に入ることによって輝きを放つ優美なランタンの数々。
空に浮かぶ巨大で神々しい『天使翼』は城全体を温かみのある優しい光で包んでいる。
城の外壁は『失敗した錬金術師』の指揮のもと、期間限定のカラフルなカラーリングに変えられ、見た目だけでも充分に楽しむことができる。
「想定以上だ……」
俺がそんな感嘆の呟きを漏らすのも無理はないだろう。
その光景はさながら、元の世界に存在した豪華なテーマパークのようだ。
「本気出しすぎじゃね……?」
うちのモンスターたちはなぜか暗黒城の建築には妙に力を入れる傾向がある。
あまりのクオリティに慄く俺のすぐ横を、森の方から調達してきたのか、大量の食材を抱えた『地獄暴食』が通りかかった。
「召喚主さま~、これだけで驚いてたらダメだよ~? 内装はもっとすごいから~」
「ああ、予想はできてる……さっき見回っていた時は全員総出で城の内装作っていたからな……」
「そろそろ出来上がる頃だろうから、見に来て~。たぶんすごくなってるよ~」
そう言って『地獄暴食』は上機嫌で身体でリズムを取りながら城の中に入っていった。
「楽しそうだな、おい……」
俺もちょうど内装のチェックをしようと思っていたため、『地獄暴食』のあとをゆっくりと追い、正面玄関へと向かう。
その途中で目に入るのはたくさんの旗。
城の全方位、また付近の草原の至るところに巨大な旗が立てられていた。
その旗には一度却下した「歓迎! 話題の魔王様、ここにいます!」というレーナ考案のキャッチコピーがでかでかと書かれている。
……どう考えても、たくさんの敵が引きつけられてくる気がする。
だが、俺はもう強く言わないことにした。
逆に、この状況を生かすべきだと考え、一部の新たに文字召喚しておいた配下モンスターには、秘密裏にある工作を進めてもらっていた。あまりにも無防備かつ、無邪気な仲間たちが万が一にも傷つかないよう、しっかりと手だけは打っておく。
それこそが正しい魔王の在り方である。
「召喚宮殿襲撃の件、レーナたちや配下には迷惑をかけたからな。今回のお祭り騒ぎを無事楽しんでもらえば、少しは気分転換にもなるだろう」
レーナたちの前では決して言うつもりはないが、俺がこんなお祭り状態を許すことにしたのは、贖罪の意味もあった。
血溜まりを踏みつけ、どこまでも進軍を続ける俺に付き合わせてしまったその贖罪。
無論、この程度で許されるとは思っていない。あいつらは優しいから何も言わないだけで、かなりの苦痛を受けていたはずだ。そのことを十分承知の上で、俺はあの時前に進んだはずだ。
俺は自分勝手でひとりよがりな行動をして、レーナたちを傷つけた罪をこれから償っていかなくてはならない。
召喚主として。
魔王として。
彼女らを守る者として。
俺はただ一人、夕暮れの何もない草原の丘の上、場違いに輝く城を見上げてから正面玄関口の扉を開いた。
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