クリエイタースキルを使って、異世界最強の文字召喚術師になります。

月海水

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第82話 格の違い

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「召喚主。敵の顕現待ち終了まで、おそらくあと十数秒ほどです」

『姿を呑まれた者』からの報告を受け、俺はラングリアに言う。

「ディスプレイを見ていろ。そろそろ敵の配下モンスターが召喚される。加えて、敵の文字召喚術師の姿がないことから、奴らは城内に潜伏していると見ていい」

 俺は王座の手もたれを操作して、さらに複数の映像を表示する。今度は城内の観光客が密集しているエリアだ。

「俺の予想では、モンスターが召喚されたことを感じた文字召喚術師、あるいは同行の魔術師たちが同時に行動を起こす」

「な、なら早く対応しなさいよ! なぜ何もしないの!」

 いい加減、ラングリアのヒステリックに付き合うのが面倒になってきた俺は、顔をしかめて言葉を返す。

「顕現待ちに入った羊皮紙には祈りの力が込められている。無駄に羊皮紙を破ったりして、そのエネルギーが暴走する方が怖い。よって、召喚された瞬間に倒す」

 続いて、俺は城内の映像に視線を移す。

「城内の敵については誰が敵なのかわからない以上、どうしようもない。こちらも相手が行動を起こしてから対応する」

「ひ、被害者が出たら全てあなたの責任ですからね! それを忘れぬように!」

 魔王の城に来るという時点で、観光客には一定のリスクがあるということを理解してほしいところだが、あいにく俺は人間側に被害を出させる気など端からない。

「――さあ、時間だ」

 俺の言葉と同時、城の周囲を映す映像たちが強烈な茶色の輝きに包まれる。顕現待ちの羊皮紙が文字召喚に成功した証だ。輝きの中から現れたのは、四本の腕を持つ大型で二足歩行の狼頭のモンスターたち。

 茶色の光ということは地属性といったところだろう。システム的なゲームとは違って水に弱そうでもなく、明確な弱点属性がないという万能属性だ。

 だが、そんなこと、俺たちの前には関係ない。

 全身が顕現され、狼頭は鋭い牙と真っ赤な舌を剥き出しにして、暗黒城へ駆け出そうとし。

 その全ての個体が突如、身体に大きな斬撃を受け、数歩も進まず地に伏した。

 村長たちはその様子を唖然と見ている。

 周囲には何もいない――ように見えて、全ての羊皮紙は『姿を呑まれた者』たちに監視されていた。そして、その透明な刃によって、無防備な狼頭たちはその身体に一閃を浴びたのだ。

「『天使翼』を使うまでもなかったか……」

 もう少し強力なモンスターが出てくるようであれば、『姿を呑まれた者』たちには足止めをしてもらい、上空の『天使翼』で一掃するつもりだった。しかしそれすら必要ないレベルとは、敵がこちらを侮っているのか、俺たちが規格外すぎるのか、判断に困る。

「敵モンスターはそのまま殺さず回収してやれ。さて、次は――」

 と、城内の映像に目を向けて、俺は思わず苦笑する。

 見ると、敵の文字召喚術師と魔術師と思われる十人ほどが『地獄骸』の食堂の一角にまとめて捕縛されていた。その周囲を『地獄射手』、『地獄暴食』が取り囲み、あとは『雑魚死後』たちが挑発するように踊っていた。

 観客たちの様子を確認してみれば、誰も襲撃の事態には気づいていないようで、普通に文化祭は続いている。
 大方、行動を起こそうと不審な動きをした瞬間に、配下たちに捕らえられたのだろう。

「どうですか、ラングリア。これが俺たちの実力――」

「ま、待ちなさい! 一人、私たちのいる五階に駆け上がってくる人物が残っているわ!!」

 ラングリアの悲鳴を受け、映像を確認してみると、必死な様子で片手にナイフを持ち、五階の王座の間を目指す敵――おそらくは文字召喚術師――の姿が視界に入った。

 俺はため息を吐く。ここまで順調だったのに、王座の間に敵を通すとは。

 あとで皆と反省会が必要なようだ。

 敵は五階に到達し勢いよく王座の間の扉を開け放つ。村長たちの悲鳴。

 ――だが。

「――それで、そんなナイフ一本でお前に何ができると思う?」

 瞬間的に移動した俺は敵文字召喚術師の目と鼻の先にいた。

 左手に顕現した『邪神剣』を敵の喉元に突きつけて。

 冷や汗を流した敵は腰を抜かしたのか、その場に崩れ落ちる。

「これで制圧完了だな」

 俺は恐怖に震える敵を見下ろす。そして、ラングリアたちに笑顔を向けた。

「どうでした? これでもまだ、俺たちの戦闘力に異論が?」

 誰もその問いに異議を唱えるものはいなかった。
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