クリエイタースキルを使って、異世界最強の文字召喚術師になります。

月海水

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第84話 敵の狙い

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 暗黒城四階の奥の奥。

 そこはとても広く、ほぼ闇に包まれ、普段は倉庫に使われている場所だ。

 今は外見の恐ろしいモンスターたちの待機所として機能している。

 そこに叩き込まれたのは、縄でいっぺんに何重にも縛られた敵文字召喚術師たち。

「ーーさて。それじゃお前たちがどこからやってきたのか、ちゃんと突き止める時間だ」

 表のことは『地獄骸』に任せ、俺はその倉庫に足を踏み入れる。背後には『地獄射手』が万一のためについてくれていた。

 敵文字召喚術師、魔術師たちは、情報を聞き出すためにほとんど傷を負わせていない。

 そのため、俺のことを憎むようににらみつけてくる奴がほとんどだった。その中の一人が唾を周囲に撒き散らせながら叫ぶ。

「誰がお前のような、異端の文字召喚術師に情報をくれてやるものかッ!」

「すんなり教えてくれないものかね…」

「我々は崇高なる団体であり、皆が高い誇りを持っているッ!! 恐怖や暴力には、万に一つも屈しなーー」

「そうか。おい、『暗闇に消えた獣槍』たち」

 俺は自分で聞き出すことを諦めて、早々に奥の手を使う。俺の呼びかけに応えるように、部屋の片隅の闇が震えた。

 そして、そこからゆるりと姿を現したのは、全身の肉が腐り、骨が露出した四足歩行の猛犬『暗闇に消えた獣槍』の集団だ。

 中央村での戦闘では良い活躍を見せた『獣槍』だが見た目がアレすぎなので、隠れてもらっていた。

「ひ、ひぃぃぃぃ!!」

『獣槍』たちはグルルッと唸って、敵を囲い込む。

 牙を剥き出しにし、襲いかかる動作をしてみると、敵の文字召喚術師は命乞いを始めた。

「ま、待て! 条件次第では最低限の情報開示は考えてもーー」

「最低限?」

 俺が指を鳴らすと、頭上から彼の目の前に豪奢な王座が落ちてくる。

 そこに座っているのは、頭蓋骨に王冠を被った、これまた見た目のインパクト強めの『堕落した王冠』である。

 空洞と化した頭蓋骨に無言で顔を寄せられ、敵は音を上げた。

「わ、わかった! 話す! 話すからそいつらをどけてくれ!!」

 アンデッドたちの見た目がこんな形で役に立つとはわからないものである。

 ちなみに演出のために頭上から登場した『堕落した王冠』だが、その仕掛けは例によって天井にへばりついた『雑魚死後』たちに持ち上げられていただけである。

 骨を生成し、それを天井に突き刺して張りついている『雑魚死後』たちはひーひーと荒い呼吸を繰り返している。

 いつもご苦労様、と後で言っておこう……。

 モンスターを下げさせて、床にまとめて座らさせた敵の前に屈む。

「それで、あんたたちはどこから来たんだ?」

「……俺たちは帝国から来た。だが、兵士という訳じゃない。むしろ、軍部とは敵対していると言っていい」

「敵対?」

「ああ。今の帝国中枢は腐り切っている。純粋な文字召喚術師たちは蔑まれ、低級の魔術師はゴミのように扱われる……ッ!」

 饒舌に語り始めた男の瞳が怪しく光る。それは狂気の光だ。

 思ったよりも状況は複雑そうで、今から頭を抱えたくなる。

「虐げられた我々は、帝国に反逆する地下組織に参加した。教祖様は崇高で特別な文字召喚の研究を重ね、完成まであと一歩なんだッ!!」

「それはわかった。別に俺は帝国の内部抗争に興味はない。介入する気もない。なぜ俺を狙った?」

 そう問いかけた俺を見て、男はにたりと笑う。

「特別な文字召喚には核がなければならない。だが、俺たちにはその才能がない。もっと…もっと若い才能が必要なんだ」

じわり、と嫌な空気が漂う。

「……何が言いたい?」

「一番適しているのはアルギア召喚宮殿が集めた、若い才能を持った人間だ。それを贄とする必要がある。だが、宮殿を直接襲撃すれば、我々は戦力を大きく失うだろう」

男は「ははは…」と乾いた笑みを浮かべて小馬鹿にしたように言った。

「ーーだとしたら、狙うのは

 その男の挙動に強い違和感を覚える。

 なぜこの男は作戦が失敗したのにこれほど高揚している?

 まるでこれじゃ、作戦が成功したかのようなーー。

 そこまで考えて気づく。

 俺は青白い顔で、控えていた『地獄射手』に向かって振り返る。

 彼も、もう察したようで苦い顔をしていた。そんな『地獄射手』に俺は問う。

 それは、新たなる騒動の始まり。



「おいーー『地獄射手』。レーナは今、どこにいる?」
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