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一話
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南ヨーロッパに位置する共制国家『ギリシャ』
そこへ一人の日本人が降り立った。青年の名前は速水律佳。名前だけでは女性と間違えられるが、彼は男性だ。
黒髪に細身な体格。これといって特徴もない平凡な大学生である。
律佳は荷物が詰め込まれたリュックを背負っていた。首にはデジタルカメラを下げ、片手には古びた手帳を持っている。
空港の前。太陽の日差しに目を細め、青空を見上げた。
「来ちゃったな」
周囲からは多言語が聞こえ、異国の地へ降り立ったことを実感する。
おもむろに古びた手帳を広げた。黄ばんだページには、とある一文が刻まれているのだ。
『約束の地 ここで』
律佳は万年筆で書かれた文字を優しく撫でる。
「じいちゃん……」
暫くページを眺めると、決心したように前を向く。
そして青年は、異国の大地を踏みしめた。
◇
律佳がギリシャへ降り立つ三ヶ月前。
──大学の講義室。
大きなスクリーンを前に、中年男性が教壇に立って話している。
広々とした階段教室では、後列の生徒は机に突っ伏して寝ていたり、スマホの画面に夢中になっていた。前列では真面目に講義を受けている生徒たちで固まっている。
律佳もまた、真面目な生徒たちに混ざり、前列で板書をしていた。スクリーンに映し出されたスライド資料と、それに合わせた教授の解説を聞いている。
民俗学──今日の議題は『人と妖精信仰について』だ。
マイクを通して教授の声が講義室に響く。
「──このように、妖精信仰というものが根付いている国もあるんだ」
教授の話を聞いていると、不意に視線があった。
「そこの青のTシャツの君。そうそう、君だよ」
まさか声をかけられるとは思わず、律佳は困惑げに頷く。
「君は、妖精を信じてる?」
その一言で、律佳の頭の中は真っ白になった。
周囲の視線が刺さる。心拍数が跳ね上がり、手の平には汗がにじむ。ペンを強く握りしめ、瞬きをした。やっとの思いで喉から声を出す。
「……信じて、ないです」
「もう少し、大きな声で言ってもらえる?」
少し間をおいて、声を張る。
「信じてないです」
すると教授は、うんうんと首を縦に振る。マイクを握り直し、話し始めた。
「そうだね。今は“妖精を見た”と言う人は滅多にいないからね。それには理由があって、産業の発展や土地開発によって自然が少なくなったからだ。妖精っていうのは自然を好み、自然を愛す。だから街中では見かけない──」
教授の声は遠ざかっていく。
律佳の頭の中では、あの頃の言葉たちが蘇っていた。
『妖精なんて、いるわけねーだろ』
『こいつ、嘘つきだよ』
小学生のクラスメイトから投げかけられた、純粋な悪意の言葉たち。それは今でも心の奥深くに刺さっている。
それと同時に、大好きだった祖父との思い出も、静かに息づいていたのだ。
祖父母の家は自然豊かな田舎にある。小学生の夏休みは毎年、祖父母の家で過ごしていた。
その夏の日々も、胸の中で生きている。
「大丈夫か?顔色悪いぞ」
隣に座る友人が、小声で聞いてきた。
「うん、平気」
そう返事をすれば、友人は『そうか』と講義に向き合う。
律佳も気を取り直して教授の解説に集中する。
いつもと変わらない時間が過ぎ去っていった。
──講義終了のチャイムが鳴り響く。
生徒たちは一斉に席を立ち上がった。律佳もノートを閉じ、リュックに詰めていく。
すると、隣から声をかけられる。
「律。この後、女子も呼んでカラオケ行くんだけどさ、お前も来る?」
友人の誘いに、律佳は首を横へ振った。
「悪い、今日は用事があってさ。また今度な」
そう言ってリュックを背負う。
友人は諦めた顔をしつつ、こちらを気遣うように聞いてくる。
「……いつもの老人ホーム?」
「今日、面会日なんだよ」
「そっか……また今度な」
友人は律佳の肩を叩くと、その場を離れていく。
その背中を見送ると、律佳は振り返ることなく講義室を出て行った。
大学を出る前に寄らなければならない場所がある。
他の生徒たちとすれ違いながら、律佳は足早に向かうのだった。
正直、大学の雰囲気はあまり好きではない。勉強をすることに苦手意識はないのだが、どうにも同年代の学生との付き合いが難しかった。
そんな律佳にも優しく接してくれる友人も少なからずいる。しかし、広いキャンパスと学生の人数を考えると、律佳は交友が狭い。
サークルの所属もなく、趣味もなく。かといって遊ぶわけでもない。
律佳が唯一、興味を惹かれていたのは『民俗学』だった。
人々の営み、それに基づく伝承や文化。妖怪や都市伝説といった未知の領域。それらは彼の心に好奇心の種を落としてくれるのだ。
階段を降りて、目的の場所へ辿り着いた。
教授室──
律佳はそのドアを叩く。部屋の奥から『どうぞ』と声がし、そっとドアを開けた。
「失礼します」
椅子に座る中年男性の背中が部屋の奥に見える。
ゆっくりと椅子ごと、こちらに振り返った。
「ああ、君か」
教授は律佳の顔を見るなり椅子から立ち上がる。
民俗学教授──熊谷豪志。
その容姿は名前から受け取れる印象とは真逆に、華奢で柔らかな雰囲気をまとった中年男性だ。
講義中にも朗らかに微笑むような人だった。物腰柔らかで、声色も落ち着いている。
中学校の国語教師のような語り口で、講義を受けた生徒は「熊谷教授の講義は眠くなる」と言われるほど。
律佳はそんな熊谷を教授として好いていた。
「速水です。卒論の件でご相談がありまして」
熊谷は眼鏡を押し上げた。
「なにかな?」
「卒論のフィールドワークのために、ギリシャへ行こうと思っています」
律佳が言うと、熊谷は眉をひそめて首を傾げる。
「なぜ、ギリシャに?」
「それは……」
律佳は手を揉み、熊谷から視線を外して両目を泳がせた。
「まぁ、座って。コーヒーでも飲むかい?」
熊谷は瓶入りのインスタントコーヒーを手にし、律佳の返事を聞く前に作り始めた。
律佳は肩からリュックを下ろすと、パイプ椅子に座る。
「ギリシャには妖精信仰がありますよね。ケット・シーも多いと聞いたので」
熊谷の背中越しに声をかけた。彼は電気ケトルのお湯をマグカップに注ぎ、こちらへ振り返る。
「ミルクと砂糖は?」
「あー……砂糖でお願いします」
「角砂糖いくつ?」
「えっと……二つで」
陶器の容器から角砂糖が取り出され、ひとつ、ふたつと入れられる。
くるくると木のスプーンでかき混ぜられたコーヒーが、律佳の前に置かれた。
白い湯気が立ち上り、深いコーヒーの香りがする。
「君は、『妖精は信じてない』言っていたのに、妖精探しのためにギリシャまで行くのかい?」
「それは──」
「君を責めるつもりはないんだ。ただ、どうしてなのかと思ってね」
律佳の言葉を遮るように熊谷が言った。それから彼は続ける。
「“ケット・シー”が何か知ってる?猫の妖精だよ。そして、ケット・シーはケルトやアイルランドの妖精のはずだけど」
律佳は頷く。
「そうです。確かにケット・シーはケルト神話やアイルランドの妖精として知られてます」
そう前置きをして律佳は語る。
「でも疑問なんです。ギリシャは猫の国と言われるくらい猫が多い。それなのに“猫の妖精”って聞きませんよね」
こちらの話に耳を傾ける教授は、律佳の話を真剣に聞いているようにみえた。
「だから、そこには理由があるんじゃないかって。それと──」
律佳は言葉を濁した。
熊谷は椅子に座り、律佳が言葉を紡ぐのを静かに待っている。
少し間を置いて、しっかりと熊谷の目を見て言った。
「ギリシャにもケット・シーがいるかも。日本だって、猫又や化け猫がいますから」
すると熊谷はテーブルに腕をつき、前のめりになる。
「それで、ギリシャに猫を見に行って、どんな卒論を書くつもりなんだい?」
聞かれた律佳は、床に置いていたリュックを膝の上へ持ち上げた。それからチャックを開き、中を漁る。
そこから一冊のリングノートを取り出すと、熊谷へ手渡した。
『卒論』と書かれたノートの表紙を教授は捲り、そこに書かれたタイトルを読み上げる。
「……人と妖精の共存のあり方について」
熊谷は無言でノートのページを捲る。その音だけが部屋に響く。
律佳は緊張しながら沈黙の時間を耐えた。
暫くすると、熊谷がノートから視線を外し、こちらに視線を合わせてくる。
「これを君が?」
「あの……さっきの授業ではすみません。本当は妖精を信じてます。でも、どうしても言えなくて」
「みんなに馬鹿にされると思ったから?」
律佳は俯き、そのまま沈黙した。膝の上で拳を握りしめる。
熊谷の問いには返事をせず、その沈黙が律佳の答えだった。
「僕は良いテーマだと思うけどね」
恐る恐る顔を上げれば、熊谷は目尻に皺をつけて笑っていた。
「行っておいで、ギリシャ。写真の提出も忘れずに」
熊谷からノートを手に取り、律佳はその場で会釈する。
つきものが落ちたような、心の軽さを感じたのだ。
「ほら、コーヒーが冷めてしまうよ。このインスタントが一番美味いんだ」
律佳はぎこちなくマグカップを手にし、コーヒーを口へ運んだ。柔らかな苦味と、濃い香りがする。
それは間違いなく、他のインスタントコーヒーより何倍も美味しかった。
そこへ一人の日本人が降り立った。青年の名前は速水律佳。名前だけでは女性と間違えられるが、彼は男性だ。
黒髪に細身な体格。これといって特徴もない平凡な大学生である。
律佳は荷物が詰め込まれたリュックを背負っていた。首にはデジタルカメラを下げ、片手には古びた手帳を持っている。
空港の前。太陽の日差しに目を細め、青空を見上げた。
「来ちゃったな」
周囲からは多言語が聞こえ、異国の地へ降り立ったことを実感する。
おもむろに古びた手帳を広げた。黄ばんだページには、とある一文が刻まれているのだ。
『約束の地 ここで』
律佳は万年筆で書かれた文字を優しく撫でる。
「じいちゃん……」
暫くページを眺めると、決心したように前を向く。
そして青年は、異国の大地を踏みしめた。
◇
律佳がギリシャへ降り立つ三ヶ月前。
──大学の講義室。
大きなスクリーンを前に、中年男性が教壇に立って話している。
広々とした階段教室では、後列の生徒は机に突っ伏して寝ていたり、スマホの画面に夢中になっていた。前列では真面目に講義を受けている生徒たちで固まっている。
律佳もまた、真面目な生徒たちに混ざり、前列で板書をしていた。スクリーンに映し出されたスライド資料と、それに合わせた教授の解説を聞いている。
民俗学──今日の議題は『人と妖精信仰について』だ。
マイクを通して教授の声が講義室に響く。
「──このように、妖精信仰というものが根付いている国もあるんだ」
教授の話を聞いていると、不意に視線があった。
「そこの青のTシャツの君。そうそう、君だよ」
まさか声をかけられるとは思わず、律佳は困惑げに頷く。
「君は、妖精を信じてる?」
その一言で、律佳の頭の中は真っ白になった。
周囲の視線が刺さる。心拍数が跳ね上がり、手の平には汗がにじむ。ペンを強く握りしめ、瞬きをした。やっとの思いで喉から声を出す。
「……信じて、ないです」
「もう少し、大きな声で言ってもらえる?」
少し間をおいて、声を張る。
「信じてないです」
すると教授は、うんうんと首を縦に振る。マイクを握り直し、話し始めた。
「そうだね。今は“妖精を見た”と言う人は滅多にいないからね。それには理由があって、産業の発展や土地開発によって自然が少なくなったからだ。妖精っていうのは自然を好み、自然を愛す。だから街中では見かけない──」
教授の声は遠ざかっていく。
律佳の頭の中では、あの頃の言葉たちが蘇っていた。
『妖精なんて、いるわけねーだろ』
『こいつ、嘘つきだよ』
小学生のクラスメイトから投げかけられた、純粋な悪意の言葉たち。それは今でも心の奥深くに刺さっている。
それと同時に、大好きだった祖父との思い出も、静かに息づいていたのだ。
祖父母の家は自然豊かな田舎にある。小学生の夏休みは毎年、祖父母の家で過ごしていた。
その夏の日々も、胸の中で生きている。
「大丈夫か?顔色悪いぞ」
隣に座る友人が、小声で聞いてきた。
「うん、平気」
そう返事をすれば、友人は『そうか』と講義に向き合う。
律佳も気を取り直して教授の解説に集中する。
いつもと変わらない時間が過ぎ去っていった。
──講義終了のチャイムが鳴り響く。
生徒たちは一斉に席を立ち上がった。律佳もノートを閉じ、リュックに詰めていく。
すると、隣から声をかけられる。
「律。この後、女子も呼んでカラオケ行くんだけどさ、お前も来る?」
友人の誘いに、律佳は首を横へ振った。
「悪い、今日は用事があってさ。また今度な」
そう言ってリュックを背負う。
友人は諦めた顔をしつつ、こちらを気遣うように聞いてくる。
「……いつもの老人ホーム?」
「今日、面会日なんだよ」
「そっか……また今度な」
友人は律佳の肩を叩くと、その場を離れていく。
その背中を見送ると、律佳は振り返ることなく講義室を出て行った。
大学を出る前に寄らなければならない場所がある。
他の生徒たちとすれ違いながら、律佳は足早に向かうのだった。
正直、大学の雰囲気はあまり好きではない。勉強をすることに苦手意識はないのだが、どうにも同年代の学生との付き合いが難しかった。
そんな律佳にも優しく接してくれる友人も少なからずいる。しかし、広いキャンパスと学生の人数を考えると、律佳は交友が狭い。
サークルの所属もなく、趣味もなく。かといって遊ぶわけでもない。
律佳が唯一、興味を惹かれていたのは『民俗学』だった。
人々の営み、それに基づく伝承や文化。妖怪や都市伝説といった未知の領域。それらは彼の心に好奇心の種を落としてくれるのだ。
階段を降りて、目的の場所へ辿り着いた。
教授室──
律佳はそのドアを叩く。部屋の奥から『どうぞ』と声がし、そっとドアを開けた。
「失礼します」
椅子に座る中年男性の背中が部屋の奥に見える。
ゆっくりと椅子ごと、こちらに振り返った。
「ああ、君か」
教授は律佳の顔を見るなり椅子から立ち上がる。
民俗学教授──熊谷豪志。
その容姿は名前から受け取れる印象とは真逆に、華奢で柔らかな雰囲気をまとった中年男性だ。
講義中にも朗らかに微笑むような人だった。物腰柔らかで、声色も落ち着いている。
中学校の国語教師のような語り口で、講義を受けた生徒は「熊谷教授の講義は眠くなる」と言われるほど。
律佳はそんな熊谷を教授として好いていた。
「速水です。卒論の件でご相談がありまして」
熊谷は眼鏡を押し上げた。
「なにかな?」
「卒論のフィールドワークのために、ギリシャへ行こうと思っています」
律佳が言うと、熊谷は眉をひそめて首を傾げる。
「なぜ、ギリシャに?」
「それは……」
律佳は手を揉み、熊谷から視線を外して両目を泳がせた。
「まぁ、座って。コーヒーでも飲むかい?」
熊谷は瓶入りのインスタントコーヒーを手にし、律佳の返事を聞く前に作り始めた。
律佳は肩からリュックを下ろすと、パイプ椅子に座る。
「ギリシャには妖精信仰がありますよね。ケット・シーも多いと聞いたので」
熊谷の背中越しに声をかけた。彼は電気ケトルのお湯をマグカップに注ぎ、こちらへ振り返る。
「ミルクと砂糖は?」
「あー……砂糖でお願いします」
「角砂糖いくつ?」
「えっと……二つで」
陶器の容器から角砂糖が取り出され、ひとつ、ふたつと入れられる。
くるくると木のスプーンでかき混ぜられたコーヒーが、律佳の前に置かれた。
白い湯気が立ち上り、深いコーヒーの香りがする。
「君は、『妖精は信じてない』言っていたのに、妖精探しのためにギリシャまで行くのかい?」
「それは──」
「君を責めるつもりはないんだ。ただ、どうしてなのかと思ってね」
律佳の言葉を遮るように熊谷が言った。それから彼は続ける。
「“ケット・シー”が何か知ってる?猫の妖精だよ。そして、ケット・シーはケルトやアイルランドの妖精のはずだけど」
律佳は頷く。
「そうです。確かにケット・シーはケルト神話やアイルランドの妖精として知られてます」
そう前置きをして律佳は語る。
「でも疑問なんです。ギリシャは猫の国と言われるくらい猫が多い。それなのに“猫の妖精”って聞きませんよね」
こちらの話に耳を傾ける教授は、律佳の話を真剣に聞いているようにみえた。
「だから、そこには理由があるんじゃないかって。それと──」
律佳は言葉を濁した。
熊谷は椅子に座り、律佳が言葉を紡ぐのを静かに待っている。
少し間を置いて、しっかりと熊谷の目を見て言った。
「ギリシャにもケット・シーがいるかも。日本だって、猫又や化け猫がいますから」
すると熊谷はテーブルに腕をつき、前のめりになる。
「それで、ギリシャに猫を見に行って、どんな卒論を書くつもりなんだい?」
聞かれた律佳は、床に置いていたリュックを膝の上へ持ち上げた。それからチャックを開き、中を漁る。
そこから一冊のリングノートを取り出すと、熊谷へ手渡した。
『卒論』と書かれたノートの表紙を教授は捲り、そこに書かれたタイトルを読み上げる。
「……人と妖精の共存のあり方について」
熊谷は無言でノートのページを捲る。その音だけが部屋に響く。
律佳は緊張しながら沈黙の時間を耐えた。
暫くすると、熊谷がノートから視線を外し、こちらに視線を合わせてくる。
「これを君が?」
「あの……さっきの授業ではすみません。本当は妖精を信じてます。でも、どうしても言えなくて」
「みんなに馬鹿にされると思ったから?」
律佳は俯き、そのまま沈黙した。膝の上で拳を握りしめる。
熊谷の問いには返事をせず、その沈黙が律佳の答えだった。
「僕は良いテーマだと思うけどね」
恐る恐る顔を上げれば、熊谷は目尻に皺をつけて笑っていた。
「行っておいで、ギリシャ。写真の提出も忘れずに」
熊谷からノートを手に取り、律佳はその場で会釈する。
つきものが落ちたような、心の軽さを感じたのだ。
「ほら、コーヒーが冷めてしまうよ。このインスタントが一番美味いんだ」
律佳はぎこちなくマグカップを手にし、コーヒーを口へ運んだ。柔らかな苦味と、濃い香りがする。
それは間違いなく、他のインスタントコーヒーより何倍も美味しかった。
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