17 / 124
第二章
消えた少女
しおりを挟む
辺りはすっかり暗くなり、虫の鳴き声が耳に入る。この時間帯にもなれば、昼間のように働く者は少ない。大抵の村は自分の家に帰って静かに家族と過ごすものが多い。この村も一部の例外を除いて静かだ。
村に一つだけ残った明かりが目に入る。
それは、酒場だ。村の仕事を終えた男たちがここに集まり、酒を飲み話し合う。それがこの村での定番だった。
ここ周辺で唯一の宿屋があるこの村を訪れる商人たちは多い。人が訪れれば交流があるものだ。その影響でこの村は潤うようになった。帝国にある高級宿屋とは比べるほどではないが、それでも長く馬車で座ってきた商人や徒歩で移動してきた者たちにとって疲れを癒やすには十分だ。
シグルドたちが訪れた時、他にも訪れた者がいた。最近は武闘大会が開かれるとあって腕に自信のある者がここに訪れることが多いらしい。
そんな訳で、酒場には夜遅くまで明かりが付いていることが多いのだ。
「それにしても、遅くなったな」
気付けば夜遅くまで話し込んでいたことに頭を抱える。というか実際に森の中にまで行ってトレント(樹木の妖精)を見せてくれるとは思わなかった。
近くで見ようとした結果、シグルドの流れ出る魔力に警戒した樹木の妖精がバマの実を落としてきたこともあったが、無事に鍛冶屋の家まで戻ってくることができていた。
ちなみに、樹木の妖精が流れ出る魔力に反応して攻撃してきたと分かった時は、これをコントロールする術を学ぼうと土だらけになった強く決心したのはシグルドだけの秘密だ。
樹木の妖精との一件もあって本格的に魔力をどうするべきかを考える。
ミーシャは魔力の流れを感知できるのは魔力感知に特化した魔物か、樹木の妖精と同じ種族である妖精だけだと言っていた。ただの人間や獣が気付くのは難しく、操ることもできない。人間が流れ出る魔力に気付くには、魔術師の訓練を受けるしかないが、素質がなければそれも意味がないらしい。
そこら辺の人間に魔力操作について教えてくれと言ったとしても無駄だろうし、魔術師に教えを乞うのは難しい。そもそも、魔術師は血統に拘ると言われている。弟子も血族しかおらず秘術は自分の身内のみにしか明かさない輩だ。そんな奴らの元に見ず知らずの男が一人で行けばどうなるか……想像するのは難しくない。
頭の中に身近にいる幼い少女の顔が浮かぶが、直ぐさま頭から消し去る。その少女のことで頭を悩ましているというのに、また別の問題を持って行きたくはない。
大きく溜息をつく。
この一週間、返事を遅らせてきたがそろそろ決めなければならない。少女の復讐が達成される見込みはないに等しい。例え成功したとしてもそこは敵地、生き残る確率は限りなく低い。もし、奇跡が起きて生き残ったとしても皇帝に手を掛けたお尋ね者だ。
普通に考えるならば、断るべきだ。大金を渡すと言っていても沈みかけている船に喜んで乗りこもうとする者はいない。
酒場の扉を開けて中へと進む。
酒場には村の男達、そしてこの村に訪れた商人などが酒を飲み、疲れと乾いた喉を癒やしていた。扉を開けて新たに入ってきたシグルドに目を向けるが、直ぐに自分の酒へと目を戻していく。シグルドもそれほど気にせず酒場を素通りし、二階へと向かう。
扉の前に来たシグルドはまだ答えを用意していない。だが、話さなければならない。せめて逃げるように説得でもしなければいけないと思ったからだ。
「――入るぞ」
ノックをしてしばらく経っても返事がないのを不思議に思い、声を掛けて扉を開く。少女とは言え、女性。ノックもせずに扉を開けることなどしない。
部屋には明かりすらない。寝ているのかと思ったが、ベッドが膨らんでいないのを見て部屋にいないことに気付く。
部屋の窓際にある蝋燭台に火が灯った様子もなく長さが変わっていない所を見ると、明るい内に部屋を出たらしいが、酒場にでもいたのだろうか……。
再び一階の酒場でミーシャを探そうと部屋を後にする。そして、廊下ですれ違った商人たちの話しがシグルドの耳に入った。
「いや~……全く、騎士団の奴らはこっちのことお構いなしかい」
「仕方ないさ、彼らにとってはあれが仕事だ」
やれやれと言ったように悪態尽く中年の男とそれを宥める初老の男。その身なりは綺麗で農夫でないことが分かる。
「そうは言ってもねぇ……真面目に仕事して疑われるのは勘弁だよ」
素通りしようとしたシグルドも騎士団という言葉が出てきては無視できなかった。
「少し、良いだろうか?――騎士団と言ったか?」
「ん?あぁ……そうだが、それがどうしたんだ?日が暮れる前に来ていただろう?」
日が暮れる前……自分が鍛冶屋と一緒に樹木の妖精に会いに言っている最中だ。部屋を捜索したと言っていたが、まさかミーシャがいないのは……
シグルドに嫌な汗が流れる。
「いや、自分は鍛冶屋に行っていてな……騎士団が訪れているのは知らなかったんだ。それで、騎士団は何をしに来ていたんだ?」
「さぁて、何だったかな……あぁ、確か賊がこの辺りに侵入しているからってそれを捕まえに来たらしい」
「賊が……」
それはミーシャのことだろうか。それとも全く別の……。
情報が足りないと判断したシグルドは商人の男の話しに耳を傾ける。
「まぁ捜索しても捕まらなかったんだけどよ。でもアイツら部屋の中まで調べるもんだからな……荷物をひっくり返すのは勘弁して貰いたかったぜ」
せっかく整えていたのに……そう言いつつ男は肩を落とす。そんな男を宥めるように初老の男が背を叩いていた。
誰も捕まっていないということは、ミーシャは上手く逃げ出したのだろう。商人たちには気付かれないように、小さく息を吐き出す。
ミーシャが捕まっていないとは分かった。――では、あの子は一体何処へ行ったのだろうか。
窓から外に視線を向ける。そこには何もない。ただ暗闇のみがあるだけだった。
少女は夜の草原を駆ける。暗闇を照らすためのルーンがほんの少し先の道を照らす。少女が追いかけているのはもちろん騎士団の連中だ。ミーシャには彼らがどこに向かっているかを知らない。ただ、自分が指輪の発した魔力痕を追ってただ走っている。
大切な指輪――幼い頃、父親が大切に手入れをしていたのを一目見て気に入った。でも自分には身に付けることを許されていないからとその時は我慢した。
それでも忘れる事はできないミーシャに秘密で母親が身に付けさせてくれたことがある。
自分の薬指には大きすぎるサイズだったが、それでも嬉しかった。嬉しくて、嬉しくてその日は指輪を外した後も、薬指をずっと眺めていた。まるでそこにあるかのようにしているのをお母様に笑われて顔を赤くしたのを覚えている。
大切な指輪、王家の秘宝だからという理由ではない。家族の形見である指輪。それを自分の家を、家族を踏みにじった帝国騎士が手に持っている。
――そんなことは許さない。そんなことがあってはいけない。
スルーズ領の領主が住む館、足跡の先はそこへと続いている。少女はその足跡がどこへと続いているかを把握してはいない。頭の中にあるのは指輪が盗まれたこと、そしてそれを持って行ったのは帝国騎士だということだけだ。
「絶対に、絶対に取り戻すから……」
取り返すことを強く決意し、少女は走り続ける。
村に一つだけ残った明かりが目に入る。
それは、酒場だ。村の仕事を終えた男たちがここに集まり、酒を飲み話し合う。それがこの村での定番だった。
ここ周辺で唯一の宿屋があるこの村を訪れる商人たちは多い。人が訪れれば交流があるものだ。その影響でこの村は潤うようになった。帝国にある高級宿屋とは比べるほどではないが、それでも長く馬車で座ってきた商人や徒歩で移動してきた者たちにとって疲れを癒やすには十分だ。
シグルドたちが訪れた時、他にも訪れた者がいた。最近は武闘大会が開かれるとあって腕に自信のある者がここに訪れることが多いらしい。
そんな訳で、酒場には夜遅くまで明かりが付いていることが多いのだ。
「それにしても、遅くなったな」
気付けば夜遅くまで話し込んでいたことに頭を抱える。というか実際に森の中にまで行ってトレント(樹木の妖精)を見せてくれるとは思わなかった。
近くで見ようとした結果、シグルドの流れ出る魔力に警戒した樹木の妖精がバマの実を落としてきたこともあったが、無事に鍛冶屋の家まで戻ってくることができていた。
ちなみに、樹木の妖精が流れ出る魔力に反応して攻撃してきたと分かった時は、これをコントロールする術を学ぼうと土だらけになった強く決心したのはシグルドだけの秘密だ。
樹木の妖精との一件もあって本格的に魔力をどうするべきかを考える。
ミーシャは魔力の流れを感知できるのは魔力感知に特化した魔物か、樹木の妖精と同じ種族である妖精だけだと言っていた。ただの人間や獣が気付くのは難しく、操ることもできない。人間が流れ出る魔力に気付くには、魔術師の訓練を受けるしかないが、素質がなければそれも意味がないらしい。
そこら辺の人間に魔力操作について教えてくれと言ったとしても無駄だろうし、魔術師に教えを乞うのは難しい。そもそも、魔術師は血統に拘ると言われている。弟子も血族しかおらず秘術は自分の身内のみにしか明かさない輩だ。そんな奴らの元に見ず知らずの男が一人で行けばどうなるか……想像するのは難しくない。
頭の中に身近にいる幼い少女の顔が浮かぶが、直ぐさま頭から消し去る。その少女のことで頭を悩ましているというのに、また別の問題を持って行きたくはない。
大きく溜息をつく。
この一週間、返事を遅らせてきたがそろそろ決めなければならない。少女の復讐が達成される見込みはないに等しい。例え成功したとしてもそこは敵地、生き残る確率は限りなく低い。もし、奇跡が起きて生き残ったとしても皇帝に手を掛けたお尋ね者だ。
普通に考えるならば、断るべきだ。大金を渡すと言っていても沈みかけている船に喜んで乗りこもうとする者はいない。
酒場の扉を開けて中へと進む。
酒場には村の男達、そしてこの村に訪れた商人などが酒を飲み、疲れと乾いた喉を癒やしていた。扉を開けて新たに入ってきたシグルドに目を向けるが、直ぐに自分の酒へと目を戻していく。シグルドもそれほど気にせず酒場を素通りし、二階へと向かう。
扉の前に来たシグルドはまだ答えを用意していない。だが、話さなければならない。せめて逃げるように説得でもしなければいけないと思ったからだ。
「――入るぞ」
ノックをしてしばらく経っても返事がないのを不思議に思い、声を掛けて扉を開く。少女とは言え、女性。ノックもせずに扉を開けることなどしない。
部屋には明かりすらない。寝ているのかと思ったが、ベッドが膨らんでいないのを見て部屋にいないことに気付く。
部屋の窓際にある蝋燭台に火が灯った様子もなく長さが変わっていない所を見ると、明るい内に部屋を出たらしいが、酒場にでもいたのだろうか……。
再び一階の酒場でミーシャを探そうと部屋を後にする。そして、廊下ですれ違った商人たちの話しがシグルドの耳に入った。
「いや~……全く、騎士団の奴らはこっちのことお構いなしかい」
「仕方ないさ、彼らにとってはあれが仕事だ」
やれやれと言ったように悪態尽く中年の男とそれを宥める初老の男。その身なりは綺麗で農夫でないことが分かる。
「そうは言ってもねぇ……真面目に仕事して疑われるのは勘弁だよ」
素通りしようとしたシグルドも騎士団という言葉が出てきては無視できなかった。
「少し、良いだろうか?――騎士団と言ったか?」
「ん?あぁ……そうだが、それがどうしたんだ?日が暮れる前に来ていただろう?」
日が暮れる前……自分が鍛冶屋と一緒に樹木の妖精に会いに言っている最中だ。部屋を捜索したと言っていたが、まさかミーシャがいないのは……
シグルドに嫌な汗が流れる。
「いや、自分は鍛冶屋に行っていてな……騎士団が訪れているのは知らなかったんだ。それで、騎士団は何をしに来ていたんだ?」
「さぁて、何だったかな……あぁ、確か賊がこの辺りに侵入しているからってそれを捕まえに来たらしい」
「賊が……」
それはミーシャのことだろうか。それとも全く別の……。
情報が足りないと判断したシグルドは商人の男の話しに耳を傾ける。
「まぁ捜索しても捕まらなかったんだけどよ。でもアイツら部屋の中まで調べるもんだからな……荷物をひっくり返すのは勘弁して貰いたかったぜ」
せっかく整えていたのに……そう言いつつ男は肩を落とす。そんな男を宥めるように初老の男が背を叩いていた。
誰も捕まっていないということは、ミーシャは上手く逃げ出したのだろう。商人たちには気付かれないように、小さく息を吐き出す。
ミーシャが捕まっていないとは分かった。――では、あの子は一体何処へ行ったのだろうか。
窓から外に視線を向ける。そこには何もない。ただ暗闇のみがあるだけだった。
少女は夜の草原を駆ける。暗闇を照らすためのルーンがほんの少し先の道を照らす。少女が追いかけているのはもちろん騎士団の連中だ。ミーシャには彼らがどこに向かっているかを知らない。ただ、自分が指輪の発した魔力痕を追ってただ走っている。
大切な指輪――幼い頃、父親が大切に手入れをしていたのを一目見て気に入った。でも自分には身に付けることを許されていないからとその時は我慢した。
それでも忘れる事はできないミーシャに秘密で母親が身に付けさせてくれたことがある。
自分の薬指には大きすぎるサイズだったが、それでも嬉しかった。嬉しくて、嬉しくてその日は指輪を外した後も、薬指をずっと眺めていた。まるでそこにあるかのようにしているのをお母様に笑われて顔を赤くしたのを覚えている。
大切な指輪、王家の秘宝だからという理由ではない。家族の形見である指輪。それを自分の家を、家族を踏みにじった帝国騎士が手に持っている。
――そんなことは許さない。そんなことがあってはいけない。
スルーズ領の領主が住む館、足跡の先はそこへと続いている。少女はその足跡がどこへと続いているかを把握してはいない。頭の中にあるのは指輪が盗まれたこと、そしてそれを持って行ったのは帝国騎士だということだけだ。
「絶対に、絶対に取り戻すから……」
取り返すことを強く決意し、少女は走り続ける。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
後悔などありません。あなたのことは愛していないので。
あかぎ
恋愛
「お前とは婚約破棄する」
婚約者の突然の宣言に、レイラは言葉を失った。
理由は見知らぬ女ジェシカへのいじめ。
証拠と称される手紙も差し出されたが、筆跡は明らかに自分のものではない。
初対面の相手に嫉妬して傷つけただなど、理不尽にもほどがある。
だが、トールは疑いを信じ込み、ジェシカと共にレイラを糾弾する。
静かに溜息をついたレイラは、彼の目を見据えて言った。
「私、あなたのことなんて全然好きじゃないの」
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる