ボディガードはオジサン

しょうわな人

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第19話 面接(1)

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 本屋から戻った私は戦利品を並べてこんな顔は人に見せられないなと思いながらもニヤニヤしていた。
 暫くそうして戦利品を眺めていたのだが、そこで私はハッとした。いかん、先ずは仕事関係の知識を詰め込まねば。
 そう思い、私は探偵業務のアレコレを教えてくれる本を開いて読み始めたのだった……

 1時間後、読み終えた私はこんなものかと思っていた。日本では浮気調査がメインのようだ。もちろん、盗聴器を調べたりするのも仕事としてあるようだが……
 書かれていたのは主に上手な尾行の仕方だった。私はスキルでバレないように尾行が出来る。うん買ってまで読む必要は無かったな。ちょっと無駄遣いをしてしまった気分になってしまった。

 それから私は楽しみにしていたライトノベルに手を伸ばして、落ち込んだ気分を上向きにするべく読み始めたのだった……

 好きな事に没頭していると時間というのはこんなにも早く過ぎてゆくのか、と思った時には午後10時をまわっていた…… うん、読みすぎたな。私は反省しながら明日は朝から教習所に行き教習を受けるのだからと思い晩飯も食べずに風呂に入って早々に眠りについた。

 朝はいつも5時に目が覚める。これは異世界アチラに居た頃にできた習慣だった。何時に寝ても5時には一度は目が覚めるようになったのは必要に駆られてなのか年齢の所為なのかは定かではないが。年を取ったからだとは思いたくはないが……

 起きて先ずはトイレに行き、顔を洗って完全に目を覚ますと朝食の準備を始めた。昨夜は食べずに寝たので自分の腹が抗議してくるのだ。そこで手早くトーストを焼いて、目玉焼きを作りパパッと朝食を済ませた。
 それから転移して東京のマンションに行きランドールの2人に異常がない事を確認する。守ると誓ったのだから送った時計の機能を過信する事なくこれからも実際に確認はしようと思っている。

 確認を終えてまた転移して自宅に戻った私は時間がまだあるので昨日のラノベに手を伸ばす。今朝はちゃんとスマホのアラームをセットしておいた。
 これで教習所に行く時間を忘れる事はない…… 筈だ。

 良かった。ちゃんとアラームに気がつけたぞ。

 私は準備をして教習所に向かう。教習所に着くと真理ちゃんが笑顔で出迎えてくれた。

「おはようございます、タケフミさん。今日から準中型免許の教習を受けられるんですね」

「おはよう、真理ちゃん。そうなんだ。次の仕事まで3週間ほど時間が出来たんでね。今のうちに受けられる教習は受けておこうと思ってね」

 私がそう言うと真理ちゃんがそれならほとんどの教習を受けられますね。と言ってから私がビックリする事を話し始めた。

「実は私、今月末でこの教習所を辞める事にしたんです。元々、事務仕事が好きで始めたんですけどこうして受付業務もあるからちょっと私の思ってるのと違うなと思って…… そしたら弥生さんの事務所で事務員を募集してるのを見つけて。募集内容は事務仕事兼電話番だったし、誰かと相対しての受付なんかは無いという事だったので思い切って受けて見ることにしたんです。もしも受かったらタケフミさんとは同僚とは違いますけど、一緒にお仕事する機会も増えそうです。そうなった時はよろしくお願いしますね」

 との事だった。本当にビックリしたよ。しかし、真理ちゃんはまだ若い。自分のやりたい仕事が明確に決まっているならばそれに向って挑戦するのも良いことだと思った。

「そうなんだね、分かったよ。もちろん、同僚という訳ではないけれど、真理ちゃんが事務員として就職したならばむしろ私の方がお世話になると思うから、その時はよろしくお願いします」

 と私は頭を下げた。すると真理ちゃんが笑ってこう言った。

「ウフフフ、父の言った通りですね」

 うん? タケシが何か私について言ったのかな? 私の不思議そうな顔を見て真理ちゃんが答えを教えてくれた。

「父は私が今の仕事を辞めて弥生さんの事務所の事務員応募を受けてみると言ったら、『おう、それならタケフミに頼んでやろう。俺から言えば動いてくれる』なんて私に言ってきたんですけど、私がそんなコネ入社なんてしたくないって断ったんです。すると、父が『そうか…… まあ真理なら実力で通るだろうから良いか。だけど、タケフミに受ける事だけは伝えておけ。なに、心配するな。アイツは真理が受けるからといって真理が負担に思うような行動はしないさ。俺が頼まない限りな』って言ったんですよ。事実、タケフミさんは事務所の社長さんや弥生さんと親しいのに、私に口利きしようかとはおっしゃいませんでした。父が言うようにタケフミさんは私の実力をちゃんと計って余計な事は言わないでおくという優しさなんだと思ってます」

 そこまで持ち上げてもらうと気恥ずかしいが、確かに私は真理ちゃんならば私がタカシさんや弥生に口利きせずとも受かるだろうと思っている。余計な口利きをしてそれが真理ちゃんの負担になる方が悪いと思ってるのも事実だ。
 ただ、もしもタケシから頼まれたならばタカシさんに口利きはしていただろうとも思う。そこまで親友に読まれていたかと思うと嬉しくもあり、やはり友には性格がバレているんだなと感心もしたりしていた。

「ハハハ、まあタケシの言う通りだね。ただ私は真理ちゃんならば私がへんな口利きをしなくても受かると思ってるよ。だから、安心して面接に行けばいいと思うよ」

 私の言葉に少しは安心してくれたのだろう。ホッとした顔をして真理ちゃんは言う。

「安心しました。タケフミさんにそう言われたら通る自信が湧いてきました。それじゃ、教習についてご説明しますね」

 と言って真理ちゃんは準中型免許の教習予定について説明をしてくれた。これなら真理ちゃんがこの教習所を辞めるまでに何とか卒業できそうだ。それを目標に私は頑張る事にした。


 そして早くも3週間が過ぎた。今日は4人の面接がある。私は朝早めに新事務所に向って既に中に入っていた。もちろん、タカシさんも既に来ている。時刻はまだ午前8時だ。1人目の面接が9時からだから1時間の余裕がある。

「タケフミさん、今日はよろしくお願いします」

 タカシさんからそう言われ、私は頷いた。そして面接を受けに来る人たちを待つ。8時30分になると4人とも揃っていたので、時間を繰り上げて面接をする事にタカシさんは決めたようだ。

 私は1人ずつ面接の時に魔視で視てみた。

 1人目は男性でまだ年若く、23歳だ。事務員募集に応募してきたが、今までコンビニバイトの経験しかなく、内心で採用されても勤まるだろうかと不安に思っているようだ。
 
 2人目は女性で、この人はダメだと思う。ミーハー気質な上に、事務員になったら知り得た事を週刊誌やワイドショーに売って小銭稼ぎをするつもりでいるようだ。

 面接を終えたタカシさんに私は知り得た事を伝えた。

「そうですか。男性の方は保留で、女性の方は今日の夕方にでもお断りの連絡を入れる事にします。タケフミさんあと2名これから面接しますのでよろしくお願いします」

 そうタカシさんに言われて頷く私。だがそこで私は一つの提案をした。

「面接の時間を少しずらして貰えますか? ちょっと気になる魔力を拾ったので」

 私がそう言うと残り2人にタカシさんが、面接は30分後に始めますと伝えに行った。

 それを確認してから私は外に出た。結界に引っかかった魔力を追跡しながら歩いている。近くに居るのは分かっている。そして見つけたのは作業服を着た男だった。何と面接に来ていた2人目の女性と一緒に居る。
 どうやら電気工事業者のようだ。仕掛けた盗聴器が作動してないのを訝しく思っているようだ。

「クソッ、何でだ? バレる事はないと思ったんだが…… 」

「えー、何も受信してないの? それじゃ、困るわ。もしも私が面接に落ちても盗聴器で仕入れた情報を売ればいい小遣いになると思ったのに」

「うるさい! なーにまた不備があったとか言って中に入って仕掛けてやるさ。今度は1個だけじゃなくて、5個ぐらい仕掛けてやる」

 そこまで聞いて私は2人に魔法をかけた。【闇魔法】と【光魔法】を組み合わせた【方向音痴】を。
 この魔法により2人は新事務所にも弥生の自宅にも行けなくなる。本人たちは正しい道を進んでいるつもりでも、無意識に必ず違う道を選ぶという魔法だ。これは誰かに案内されてもその案内を無駄にする様になる。何故ならば正しい道を間違っていると認識してしまうからだ。
 これでこの2人についてはもう悩まされる事もないと私は思い事務所に戻る事にした。

 私が戻るとタカシさんは面接を始めた。私は面接されてる女性を視た。
 可もなく不可もなくという感じの女性で、今回のこの面接に落ちても他にも何社かの面接を予定しているようだ。
 その女性の面接が終わり、私はその事をタカシさんに伝えた。

「そうですか。分かりました。一応保留にしておきます。受答えもちゃんとしていたし、常識もあるような方だったので」

 そう言うと本日最後の1人の面接に向かうタカシさん。だが結局最後の人は自分から辞退しますと言って事務所を出ていった。
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