冒険者の幼馴染と、ずっとその隣にいたい男の話

くろねこや

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「急に森へ行くだなんて、一体何があったんだ?」

2人で湯浴みを終えて服を着替えた後。

火魔法で沸かしたヤカンのお湯でお茶を淹れてくれるウェスト。

受け取ったカップの温かさにホッとして、乾きかけていた涙が再び零れた。


オレは、占い師のばあさんとの出会いから彼女に聞いた話まで、全てを話した。

力を使ったら植物たちが動き出したこと。

魔法の代わりに蔓草で獣や魔物を捕まえられるようになったこと。

オレがずっと魔法に憧れ、冒険者になりたがっていたのを知っていたから、ウェストは『すごいじゃないか!』と我が事のように喜んでくれた。


彼は、オレが“古代種”という生き物で、『数千年生きるらしい』と伝えると、ショックを受けた顔をした。

それはそうだよな。幼馴染が化け物ってことだもの。


うっかり『子を成す』とか、『番』とかの話までしてしまったあたりでウェストの顔が真っ赤になってて、オレも気付けば顔が熱くなっていた。


「お前、子どもを産めるのか」

「ああ。…そうらしい」


「なぁ。蔓草を操れるようになって嬉しかったのは分かるが、何故森にひとりで入ったんだ? オレに声をかけてくれたら一緒に行ったのに」

「それは…」

「それは?」

「…お前に内緒で美味しい料理を作って、喜ばせたくて…」

「…料理?」

「森で香草や香辛料を手に入れたかったんだ」


「はぁぁぁぁ…」

お腹の中の空気を全部吐き出したのか、ってくらいすごいため息を吐かれた。

「お前なぁ…」


怒られるんだろうなぁ。


「お前さぁ。……可愛すぎるだろ」

「へ…?」

「バァカ」

持っていたカップを奪われ、長くて広い腕の中に包み込まれる。

やっぱりいい匂い。

あ、身体が離れて…、もっと抱いててほしいのに。

ちゅ。

え…?

顔が近すぎて、ぼやける。

唇に、柔らかい、あたたかい、ものが。

キス…されてるのか。


嬉しい。




「なぁ、イスト」

「何?」

「オレの子を、産んでくれないか?」


なんて…?

都合のいい幻聴だろうか?

もしくは、

オレ、実はオークに食われて死んでる、とか?

神様が魔法を授かれなかったオレを哀れんで、オレが死ぬ前に都合のいい幸せな夢を見せてくれているのだろうか。


「なんて顔してやがる。…なぁ、返事は?」

目の奥がジンと熱くなって、鼻の奥がツンと痛くなって、視界がじわじわと滲んで、目の前が…ウェストの顔が見えなくなる。


「ウェスト。オレ、お前のことが好きだ」

「おう。オレもお前のこと好きだぞ」

「お前の子ども、産みたい」

「おう。頼む。一緒に育てような」

「お前と一緒に歳をとって、生きていきたい」

「だな。オレの隣には、お前がいてくれねぇと。オレがジジイになって死んだ後、まだ若いままのお前が別の誰かと一緒にいるところなんか想像したくねぇし」

「うん」

「オレと結婚してくれ。もうお前が作ってくれた飯しか食える気がしない」

オレはいつの間にか、大好きな幼馴染の胃袋を掴んでいたらしい。

「へへ…。嬉しい」

プロポーズしてもらっちゃった。


「もういっかい、今度はちょっと深いキスをするぞ」

「うん」

「顔を傾けて、口を開け」

「ん…?」

首を傾げて口をパカッと開けてみる。

何故か『くっ、』とうめくウェスト。

「…可愛いけどちょっと違う」

違う?

ウェストの手のひらがオレの頬を包む。

「角度はこう…。ほら、」

親指に導かれるままに唇を開くと…。

オレと逆に傾けられた凛々しい顔が近づいてきて、

大きな口に食われるみたいにオレの口が塞がれて、

熱い舌がオレの…なかに…。

くちゅっ、くちゅ、ぐちゅ、

エッチな水音が口の中から頭の奥に伝わって、ぼうっと酒に酔った時みたいになる。

上顎の裏とか、絡めた舌とか、歯茎の裏とかが全部気持ちいい。

「ん…、んん…、」


舌が引き出されて、ウェストの口の中に招かれる。気持ちいいところをお前にも返してあげる。

「ふ…、んぅ…、」

鼻から苦しくて熱い息が漏れて恥ずかしい。



唇が離れても、透明な糸がつうっとオレたちをしばらく繋いでた。



「なぁ…。抱いていいか?」

「うん。…初めてだから優しくしてくれ」

「オレも初めてだから、上手くできるかわからねー」

「そっか」

ウェストも初めてなんだ。嬉しい。

「…はぁ。あんな豚にヤられなくてよかった…」

「は…?」

「オークに孕まされてたら、オレの寿命が3年くらいになるところだったよ」

ピシリと空気が変わる。


「あんの豚野郎、もっと苦しめて、クソきったねぇ男根ブチッと引き抜いて、生きながらグチャグチャのミンチにしてやればよかったなぁ…」

「オレが自分でアイツの急所にナイフを刺したから大丈夫」

「…そうかよ」

「うん。…お前が戦うところを初めて見たけど、首をスパンてするの凄かったな」

『カッコ良かったよ』と口に出せば、一気に張り詰めていた空気が弛むのを感じた。


「煽りやがって…。今すぐ抱かせろ」

オレが頷く前に既に抱き上げられていて、ウェストのベッドの上。もうシャツのボタンは外され始めてる。

「抱いて」

ウェストの服をオレも脱がせようとするけど、緊張からか指が震えて上手くいかない。

そうこうしている間に、オレはすっかり裸にされていて、ウェストも自分ですぱんと服を全て脱いでしまった。
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