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光、宝物 〜アルト視点(後編)
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「アルト! ヴェダ!」
ヴェダと2人で夕食の支度をしていると、グードゥヤが珍しく興奮したように僕たちの名を呼んだ。
お湯と石鹸を使って顔に塗ったメラノーの果汁を落としたところ、左頬や唇から硬くなってた火傷の表面が薄く剥がれ落ちたのだという。見た目としては痕がまだ残っているものの、触れてみると肌が柔らかくなっているそうだ。
「色が少し薄くなってるみたい」
ヴェダの言葉通り、痛々しかった濃色が少しだけ明るい色になっている気がした。
こんなに急激な変化、肌が溶けたりしていないだろうか。
「痛くない?」
そっと頬に触れてみると、確かに強張りが改善されているようだった。
「いたく、ない。シュンキ、ぬった、うえに、メラノー、ぬった」
いつものように唇と頬にはシュンキのオイルを塗っていたらしい。その上にメラノーの果汁を塗ったわけなのだが、その部分だけ凹凸が滑らかになり、若干ではあるが柔らかくなったようだ。
例えるなら、硬くなっていた表面が瘡蓋のように剥がれ落ちたみたいな感じだろうか。
こんな奇跡が起きるなんて…。
「グードゥヤ…。よかった」
『ありがと』と嬉しそうに笑んだ唇も、引き攣れが大幅に改善されているように見える。
「今日からスープの具、少しだけ大きくしてみるね」
「うん!」
具が大きい方が食べ応えがあるだろうし、『大きく口を開けなくても食べられるように』と野菜や肉を小さく切っていたのだけど、いつも申し訳なさそうな顔をしていたのが気になってたんだ。
グードゥヤのためなら、そんなの大した手間じゃないのに。
◇
ベッドに座ったグードゥヤと、向かい合うように膝の上へ乗せられた僕。
少しも日に焼けていないどころか、柔らかくなった彼の左頬を親指でスリスリ撫でていると、『アルトも、やわらかい』って僕の頬も撫でてくれる。
興奮してるからかゴリッと硬いものが僕のに当たってきた。
今日は僕がグードゥヤと過ごす夜だ。
本当はヴェダが当番だったんだけど、『今夜はアルトが一緒にいてあげて』って背中を押してもらったのだ。
「ちゅ、」
彼の唇が僕の目蓋に触れた。
「アルトの、め、かみ、やさしさ、すき」
髪を指で梳くように、頭を撫でられると気持ちいい。
僕は彼の右目蓋に、頬に、唇に口付けを返す。
「…アルト、すき、だ」
「うん。僕もグードゥヤのこと、好きだよ」
「うれしい」
琥珀色の瞳も、光に輝く髪も、僕なんかよりずっと優しいところも。
「…でもね、ヴェダのことも好きな僕だけど、いいの?」
「ぼく、ヴェダも、すき。だいじ、だよ」
「うん」
グードゥヤの琥珀色がランプの光にうるりと揺れる。
「アルトイール、ぼくのこいびと、なって」
引き攣れが改善された唇は、僕の真名を滑らかに紡ぐ。グッと目の奥が熱くなった。
僕の名前を正しく呼べなくて泣いていたのを知ってる。
『せめて文字で』と書いてくれた手紙を思い出す。ヴェダと2人、一生懸命練習して文字を覚えてくれた。
だが、一方で僕の頭をリゲルの顔がよぎった。狩りから帰ってきた後、グードゥヤが日の光に当たれるようになっただけでなく、肌の状態も改善したと聞いて喜んでいた彼。
『仕事』としてではなく、『恋人』としてグードゥヤに抱かれてしまったら、彼を裏切ることにならないだろうか。
「…リゲルのこと、グードゥヤはどう思ってる?」
「リゲル?」
どうして彼の名が僕の口から出たのか分からない、という顔をしている。
「ともだち。なかま、だと、おもう」
…そっか。
でもさ、あんなに君のことが大好きなリゲルを、優しい君が『恋人』として大切にしたくなる日がいつか来ると思うんだ。
「アルトイール、ぼくの、こいびとに、なって、ください」
僕がこの想いに応えたら、リゲルを傷付けてしまうだろう。
ヴェダとグードゥヤ。選べない僕を『不誠実だ』と怒るだろうか。
それでも、僕はグードゥヤの隣にいたい。
『その日』が来るまでは、一緒にいさせてほしい。
「うん。グードゥヤ。僕をあなたの恋人にしてください」
「…!!!」
言葉にならない喜び。呼吸を忘れたように目を見開いた君は、カッコいいのにすごく可愛くて。
『好きだなぁ』って心から思うんだ。
うん。僕は、ヴェダとグードゥヤの2人を、同じように大切にする。
唇にキスを受け、そっと口を開いて舌を受け入れた。
「アルト。だかせて」
囁かれた甘い言葉に、胸やお腹の奥がキュッとなった。
「うん。来て」
両腕を開いて言葉を返せば、温かい身体が僕を包み込んでくれる。
「もっと強くしても、僕は壊れないよ」
そう唆せば、ぎゅうっと腕に力が込められた。
「アルト、ぼくの」
「うん。僕はグードゥヤのものだ」
「…うれしい」
左肩にボトボトと熱いものが落ちてきた。じわりと濡れるシャツに、君の想いを実感する。
その震える身体を、僕もギュッと抱きしめ返す。
後頭部に手を伸ばそうとすると、僕がやりたいことを察したグードゥヤが自ら眼帯を外してくれた。
爛れて閉ざされた左目蓋に、そっと唇を触れさせる。
「痛くない?」
これまで何度もしてきたことだけど、毎回聞いてしまう。
頷いてくれたから、舌でちろりと舐めてみる。
この目蓋にもメラノーを塗れば、ゴワゴワが剥がれ落ちるだろうか。
『普段も左目を隠さなくていいんだよ』って言いたいんだけど、グードゥヤは眼帯が似合うんだよね…。悩ましいところだ。
シャツのボタンが外され、肩からずり落とされる。夜の空気に背中の産毛が逆立った。
グードゥヤの親指が僕の鎖骨を撫で、胸を擦り、乳首を左右同時にキュッと摘むから『あぁ…』って声が堪らず漏れてしまう。
背骨に沿って首から腰まで肌を撫で下ろされるのも僕は弱いんだ。
「いい?」
って耳に甘く注がれ、僕はこくりと頷く。はぁはぁと息が荒くなって、たぶん顔は真っ赤になってると思う。恥ずかしいけど彼の膝の上に乗せられたまま自分で服を脱ぎ落とす。
それを見て微笑んだグードゥヤは、すっかり蕩けた僕の身体を抱き上げてベッドに横たえると、急いたように服を脱ぐ。逞しい胸筋や腹筋には火傷の痕が走ったままだ。
いつものように自身の性器へシュンキのオイルを塗りつけ始めるのを見て、僕の喉がゴクリと動いた。
いつもと違って服は畳まずに脱ぎ捨てたまま。僕と『早く繋がりたい』って思ってくれてるのだろう。
「慣らしてあるから、そのまま入れていいよ」
両脚を持ち上げながら僕が囁くと、肉玉状のちんぽが嬉しそうに揺れた。
それを見た僕の後ろも思わずキュンとしてしまう。内部を締めたせいでジュッとその場所から漏れ出したのは白い液体。
「…メラノーの果汁を潤滑液に使ってみたんだ。僕の中に入れたら、グードゥヤのそこも痛まなくなるかと思って」
考えてみたら、そのまま飲むこともできる果汁だ。粘膜や弱いところに使っても問題なかった。
「アルトッ」
ぐぢゅっ!!
一気に全部が入ってきた。
「あぁっ!!」
じゅぷじゅぷ音を立てながら、抽挿が続けられる。
グードゥヤのちんぽは柔らかくなるどころがガチガチに硬くて、イイ場所ばかりをごちゅごちゅ擦られるから堪らない。
「うれしい、アルト」
連なった肉玉のくびれが果汁を掻き出すから、僕の持ち上げられたお尻から腰や背中に向かってトロトロ流れ落ちていく。
「あ、ひぁ、だめ、きもちぃ、」
耳の中、首や喉を熱い舌が這い回り、快感に反らせた顎をかぷりと噛まれる。
勝手にナカが痙攣し始め、キュウキュウと締め付ければ、グードゥヤにずっぷりと奥まで押し込まれたまま『まるで逃がさない』というようにキツく腰を抱きしめられる。
びゅびゅ、どぷり、どぷり、と注ぎ込まれる感覚に、僕も前から放ってしまう。
「…え?」
じんわり腹の中が温かくなり、熱かった身体がさらにカアッと熱くなっていく。
あれ? グードゥヤの、大きくなってない?
「アルト!」
再び動き出す腰。ずちゅずちゅ内部に擦り込まれるのはまるで媚薬。
「ひ…、あ…、ま…、まっへ…、らめ、」
身体がおかしい。熱い。
みっちり満たされたモノに擦られて、過ぎた快感で舌が回らない。
そのまま僕たちは、朝が来るまで交わり続けた。
どうやらシュンキオイルとメラノーの果汁を混ぜ合わせると、血流と代謝を促進する効果があるらしい。
僕の中で磨き上げられたグードゥヤのちんぽは、引き攣れたゴワゴワの肉玉だったものが、柔らかぷりぷりの肉玉に生まれ変わった。あと、肌が伸びるようになった為か、痛みなく膨張できるようになったみたい。
しかも、僕の粘膜も血流が増えたせいで感じやすくなっていたようだ。
「アルトイール」
滑らかに開くようになったグードゥヤの唇は、塞いでいた僕の唇を解放すると、
「あいしてる」
と甘い言葉を囁いた。
口内に注がれた水と彼の唾液をゴクッと飲み込んだ僕は、ぐったりと脱力しながら『僕も愛してる』と伝えた。
声は出なかったけど、ちゃんと伝わったみたい。
幸せそうに笑ったグードゥヤに、優しく抱きしめられて髪を撫でてもらった。
◇
『食事作りとお洗濯は任せて』とヴェダが言ってくれたから、僕は“金貨だったもの”をカンカン叩くことにした。
“宝物”の台座作りだ。
ギーウスたちと狩りに出たグードゥヤからはアガート石を預かっている。僕の髪はヴェダに切ってもらった。
琥珀を3つ使ってヴェダと僕、リゲルの分も一緒に作るつもり。紐に使う髪はグードゥヤから貰ってある。
僕がグードゥヤとも恋人になったことは、まだリゲルに伝えられていない。彼から相談を受けた身として、殴られる覚悟は出来ている。
◇
結論から言うと、僕はリゲルに殴られなかった。
琥珀を嵌め込んだ飾りを僕から受け取ると、『ありがとう!!』と抱きしめられたのだ。
「…オレは知ってる。グードゥヤに“仲間”としか思われてないって。彼はアルトのことが好きだってことも」
リゲルは僕の身体を離すと、『彼のことはずっと見ていたからな』と涙が滲んだ目尻を擦りながら小さく笑った。
「それに、親父にさえこの気持ちを打ち明けられないオレには、彼に告白する権利なんてないだろ」
僕は思わず、その大きな身体を抱きしめていた。
「リゲル。告白するのに“ギーウスの許可”は必要ない」
トクトクと彼の力強い鼓動が胸に伝わってくる。
「…いいんだ。オレは、グードゥヤが幸せに笑っている姿を近くで見られればそれで」
リゲルはグードゥヤと身体を繋げたいんじゃなかったのか? 後ろまで慣らして。
「オレは…アルトとヴェダの身体を通して、彼に触れられるだけで嬉しい。それが分かったんだ」
う…。また変態っぽいことを。そういえばリゲル…、僕の中に出されたグードゥヤの精液を、ちんぽに絡ませて喜んでたっけ。
リゲルにも出された後、グードゥヤのと混ぜ合わせるみたいにグチュグチュ腰を回されるのも堪らないし、ぶっとくて長いので奥へ奥へ押し込まれるのも潮を噴いちゃうくらい気持ちいいんだよな…。うん。…僕も変態かもしれない。
「それに、オレはアルトのことも好きだからな」
「僕のことも?」
「ああ。この琥珀を貰えたのはすっごく嬉しいし、もちろん宝物にする。だけどな、オレはアガート石も欲しいと思ってる」
アガート石?
「グードゥヤが『子どもの頃に川で見つけた宝物なんだ』と見せてくれた。もしオレも石を見つけることが出来たら、アルトの髪をくれないか?」
僕の髪…。僕の色を持った石も手に入れて『宝物にしたい』って思ってくれるのか?
“金貨だったもの”の欠片はまだ手元に残っている。
「いいよ。石を嵌め込む台座も作る」
旅の途中で僕が石を見つけた川は、この山を流れる川が源流になっている筈だ。アガートが見つかる可能性はゼロではないだろう。
「…そうか。ありがとう」
優しい声を耳に注がれながら髪を撫でられると、ホッとする。
グードゥヤの隣にいること、この腕の中にいることを許してもらえた気がした。
僕はリゲルの体温を感じながら、包み込んでくれた大きな身体に身を任せるのだった。
ヴェダと2人で夕食の支度をしていると、グードゥヤが珍しく興奮したように僕たちの名を呼んだ。
お湯と石鹸を使って顔に塗ったメラノーの果汁を落としたところ、左頬や唇から硬くなってた火傷の表面が薄く剥がれ落ちたのだという。見た目としては痕がまだ残っているものの、触れてみると肌が柔らかくなっているそうだ。
「色が少し薄くなってるみたい」
ヴェダの言葉通り、痛々しかった濃色が少しだけ明るい色になっている気がした。
こんなに急激な変化、肌が溶けたりしていないだろうか。
「痛くない?」
そっと頬に触れてみると、確かに強張りが改善されているようだった。
「いたく、ない。シュンキ、ぬった、うえに、メラノー、ぬった」
いつものように唇と頬にはシュンキのオイルを塗っていたらしい。その上にメラノーの果汁を塗ったわけなのだが、その部分だけ凹凸が滑らかになり、若干ではあるが柔らかくなったようだ。
例えるなら、硬くなっていた表面が瘡蓋のように剥がれ落ちたみたいな感じだろうか。
こんな奇跡が起きるなんて…。
「グードゥヤ…。よかった」
『ありがと』と嬉しそうに笑んだ唇も、引き攣れが大幅に改善されているように見える。
「今日からスープの具、少しだけ大きくしてみるね」
「うん!」
具が大きい方が食べ応えがあるだろうし、『大きく口を開けなくても食べられるように』と野菜や肉を小さく切っていたのだけど、いつも申し訳なさそうな顔をしていたのが気になってたんだ。
グードゥヤのためなら、そんなの大した手間じゃないのに。
◇
ベッドに座ったグードゥヤと、向かい合うように膝の上へ乗せられた僕。
少しも日に焼けていないどころか、柔らかくなった彼の左頬を親指でスリスリ撫でていると、『アルトも、やわらかい』って僕の頬も撫でてくれる。
興奮してるからかゴリッと硬いものが僕のに当たってきた。
今日は僕がグードゥヤと過ごす夜だ。
本当はヴェダが当番だったんだけど、『今夜はアルトが一緒にいてあげて』って背中を押してもらったのだ。
「ちゅ、」
彼の唇が僕の目蓋に触れた。
「アルトの、め、かみ、やさしさ、すき」
髪を指で梳くように、頭を撫でられると気持ちいい。
僕は彼の右目蓋に、頬に、唇に口付けを返す。
「…アルト、すき、だ」
「うん。僕もグードゥヤのこと、好きだよ」
「うれしい」
琥珀色の瞳も、光に輝く髪も、僕なんかよりずっと優しいところも。
「…でもね、ヴェダのことも好きな僕だけど、いいの?」
「ぼく、ヴェダも、すき。だいじ、だよ」
「うん」
グードゥヤの琥珀色がランプの光にうるりと揺れる。
「アルトイール、ぼくのこいびと、なって」
引き攣れが改善された唇は、僕の真名を滑らかに紡ぐ。グッと目の奥が熱くなった。
僕の名前を正しく呼べなくて泣いていたのを知ってる。
『せめて文字で』と書いてくれた手紙を思い出す。ヴェダと2人、一生懸命練習して文字を覚えてくれた。
だが、一方で僕の頭をリゲルの顔がよぎった。狩りから帰ってきた後、グードゥヤが日の光に当たれるようになっただけでなく、肌の状態も改善したと聞いて喜んでいた彼。
『仕事』としてではなく、『恋人』としてグードゥヤに抱かれてしまったら、彼を裏切ることにならないだろうか。
「…リゲルのこと、グードゥヤはどう思ってる?」
「リゲル?」
どうして彼の名が僕の口から出たのか分からない、という顔をしている。
「ともだち。なかま、だと、おもう」
…そっか。
でもさ、あんなに君のことが大好きなリゲルを、優しい君が『恋人』として大切にしたくなる日がいつか来ると思うんだ。
「アルトイール、ぼくの、こいびとに、なって、ください」
僕がこの想いに応えたら、リゲルを傷付けてしまうだろう。
ヴェダとグードゥヤ。選べない僕を『不誠実だ』と怒るだろうか。
それでも、僕はグードゥヤの隣にいたい。
『その日』が来るまでは、一緒にいさせてほしい。
「うん。グードゥヤ。僕をあなたの恋人にしてください」
「…!!!」
言葉にならない喜び。呼吸を忘れたように目を見開いた君は、カッコいいのにすごく可愛くて。
『好きだなぁ』って心から思うんだ。
うん。僕は、ヴェダとグードゥヤの2人を、同じように大切にする。
唇にキスを受け、そっと口を開いて舌を受け入れた。
「アルト。だかせて」
囁かれた甘い言葉に、胸やお腹の奥がキュッとなった。
「うん。来て」
両腕を開いて言葉を返せば、温かい身体が僕を包み込んでくれる。
「もっと強くしても、僕は壊れないよ」
そう唆せば、ぎゅうっと腕に力が込められた。
「アルト、ぼくの」
「うん。僕はグードゥヤのものだ」
「…うれしい」
左肩にボトボトと熱いものが落ちてきた。じわりと濡れるシャツに、君の想いを実感する。
その震える身体を、僕もギュッと抱きしめ返す。
後頭部に手を伸ばそうとすると、僕がやりたいことを察したグードゥヤが自ら眼帯を外してくれた。
爛れて閉ざされた左目蓋に、そっと唇を触れさせる。
「痛くない?」
これまで何度もしてきたことだけど、毎回聞いてしまう。
頷いてくれたから、舌でちろりと舐めてみる。
この目蓋にもメラノーを塗れば、ゴワゴワが剥がれ落ちるだろうか。
『普段も左目を隠さなくていいんだよ』って言いたいんだけど、グードゥヤは眼帯が似合うんだよね…。悩ましいところだ。
シャツのボタンが外され、肩からずり落とされる。夜の空気に背中の産毛が逆立った。
グードゥヤの親指が僕の鎖骨を撫で、胸を擦り、乳首を左右同時にキュッと摘むから『あぁ…』って声が堪らず漏れてしまう。
背骨に沿って首から腰まで肌を撫で下ろされるのも僕は弱いんだ。
「いい?」
って耳に甘く注がれ、僕はこくりと頷く。はぁはぁと息が荒くなって、たぶん顔は真っ赤になってると思う。恥ずかしいけど彼の膝の上に乗せられたまま自分で服を脱ぎ落とす。
それを見て微笑んだグードゥヤは、すっかり蕩けた僕の身体を抱き上げてベッドに横たえると、急いたように服を脱ぐ。逞しい胸筋や腹筋には火傷の痕が走ったままだ。
いつものように自身の性器へシュンキのオイルを塗りつけ始めるのを見て、僕の喉がゴクリと動いた。
いつもと違って服は畳まずに脱ぎ捨てたまま。僕と『早く繋がりたい』って思ってくれてるのだろう。
「慣らしてあるから、そのまま入れていいよ」
両脚を持ち上げながら僕が囁くと、肉玉状のちんぽが嬉しそうに揺れた。
それを見た僕の後ろも思わずキュンとしてしまう。内部を締めたせいでジュッとその場所から漏れ出したのは白い液体。
「…メラノーの果汁を潤滑液に使ってみたんだ。僕の中に入れたら、グードゥヤのそこも痛まなくなるかと思って」
考えてみたら、そのまま飲むこともできる果汁だ。粘膜や弱いところに使っても問題なかった。
「アルトッ」
ぐぢゅっ!!
一気に全部が入ってきた。
「あぁっ!!」
じゅぷじゅぷ音を立てながら、抽挿が続けられる。
グードゥヤのちんぽは柔らかくなるどころがガチガチに硬くて、イイ場所ばかりをごちゅごちゅ擦られるから堪らない。
「うれしい、アルト」
連なった肉玉のくびれが果汁を掻き出すから、僕の持ち上げられたお尻から腰や背中に向かってトロトロ流れ落ちていく。
「あ、ひぁ、だめ、きもちぃ、」
耳の中、首や喉を熱い舌が這い回り、快感に反らせた顎をかぷりと噛まれる。
勝手にナカが痙攣し始め、キュウキュウと締め付ければ、グードゥヤにずっぷりと奥まで押し込まれたまま『まるで逃がさない』というようにキツく腰を抱きしめられる。
びゅびゅ、どぷり、どぷり、と注ぎ込まれる感覚に、僕も前から放ってしまう。
「…え?」
じんわり腹の中が温かくなり、熱かった身体がさらにカアッと熱くなっていく。
あれ? グードゥヤの、大きくなってない?
「アルト!」
再び動き出す腰。ずちゅずちゅ内部に擦り込まれるのはまるで媚薬。
「ひ…、あ…、ま…、まっへ…、らめ、」
身体がおかしい。熱い。
みっちり満たされたモノに擦られて、過ぎた快感で舌が回らない。
そのまま僕たちは、朝が来るまで交わり続けた。
どうやらシュンキオイルとメラノーの果汁を混ぜ合わせると、血流と代謝を促進する効果があるらしい。
僕の中で磨き上げられたグードゥヤのちんぽは、引き攣れたゴワゴワの肉玉だったものが、柔らかぷりぷりの肉玉に生まれ変わった。あと、肌が伸びるようになった為か、痛みなく膨張できるようになったみたい。
しかも、僕の粘膜も血流が増えたせいで感じやすくなっていたようだ。
「アルトイール」
滑らかに開くようになったグードゥヤの唇は、塞いでいた僕の唇を解放すると、
「あいしてる」
と甘い言葉を囁いた。
口内に注がれた水と彼の唾液をゴクッと飲み込んだ僕は、ぐったりと脱力しながら『僕も愛してる』と伝えた。
声は出なかったけど、ちゃんと伝わったみたい。
幸せそうに笑ったグードゥヤに、優しく抱きしめられて髪を撫でてもらった。
◇
『食事作りとお洗濯は任せて』とヴェダが言ってくれたから、僕は“金貨だったもの”をカンカン叩くことにした。
“宝物”の台座作りだ。
ギーウスたちと狩りに出たグードゥヤからはアガート石を預かっている。僕の髪はヴェダに切ってもらった。
琥珀を3つ使ってヴェダと僕、リゲルの分も一緒に作るつもり。紐に使う髪はグードゥヤから貰ってある。
僕がグードゥヤとも恋人になったことは、まだリゲルに伝えられていない。彼から相談を受けた身として、殴られる覚悟は出来ている。
◇
結論から言うと、僕はリゲルに殴られなかった。
琥珀を嵌め込んだ飾りを僕から受け取ると、『ありがとう!!』と抱きしめられたのだ。
「…オレは知ってる。グードゥヤに“仲間”としか思われてないって。彼はアルトのことが好きだってことも」
リゲルは僕の身体を離すと、『彼のことはずっと見ていたからな』と涙が滲んだ目尻を擦りながら小さく笑った。
「それに、親父にさえこの気持ちを打ち明けられないオレには、彼に告白する権利なんてないだろ」
僕は思わず、その大きな身体を抱きしめていた。
「リゲル。告白するのに“ギーウスの許可”は必要ない」
トクトクと彼の力強い鼓動が胸に伝わってくる。
「…いいんだ。オレは、グードゥヤが幸せに笑っている姿を近くで見られればそれで」
リゲルはグードゥヤと身体を繋げたいんじゃなかったのか? 後ろまで慣らして。
「オレは…アルトとヴェダの身体を通して、彼に触れられるだけで嬉しい。それが分かったんだ」
う…。また変態っぽいことを。そういえばリゲル…、僕の中に出されたグードゥヤの精液を、ちんぽに絡ませて喜んでたっけ。
リゲルにも出された後、グードゥヤのと混ぜ合わせるみたいにグチュグチュ腰を回されるのも堪らないし、ぶっとくて長いので奥へ奥へ押し込まれるのも潮を噴いちゃうくらい気持ちいいんだよな…。うん。…僕も変態かもしれない。
「それに、オレはアルトのことも好きだからな」
「僕のことも?」
「ああ。この琥珀を貰えたのはすっごく嬉しいし、もちろん宝物にする。だけどな、オレはアガート石も欲しいと思ってる」
アガート石?
「グードゥヤが『子どもの頃に川で見つけた宝物なんだ』と見せてくれた。もしオレも石を見つけることが出来たら、アルトの髪をくれないか?」
僕の髪…。僕の色を持った石も手に入れて『宝物にしたい』って思ってくれるのか?
“金貨だったもの”の欠片はまだ手元に残っている。
「いいよ。石を嵌め込む台座も作る」
旅の途中で僕が石を見つけた川は、この山を流れる川が源流になっている筈だ。アガートが見つかる可能性はゼロではないだろう。
「…そうか。ありがとう」
優しい声を耳に注がれながら髪を撫でられると、ホッとする。
グードゥヤの隣にいること、この腕の中にいることを許してもらえた気がした。
僕はリゲルの体温を感じながら、包み込んでくれた大きな身体に身を任せるのだった。
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