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  ドンキホーテが影に気づいた次の瞬間雲の中から巨大な細長い生き物が勢いよく姿を現した。それは飛空挺と同じぐらいの大きさを誇り、背に3人の黒ずくめの人間を乗せていた。

(まずい!)

 ドンキホーテは咄嗟にそう判断すると、ドンキホーテは、精神を集中させた。ドンキホーテの体が淡い光が灯る。
   それとほぼ同時だったその生き物の全身が光り、光弾が発射されたのは。光弾はドンキホーテ達のいるフロアを襲い吹き飛ばしたかに思えた。
  フロアは壁が吹き飛んだだけでフロア自体は破壊されていない。ドンキホーテは咄嗟に自身の闘気と呼ばれる。特殊なエネルギーにより防御したのだ。
   壁を破壊されたお陰で、飛空挺内と空を隔てるものはなくなり、飛空挺内の空気が外に追い出される。するとシャボン玉のような膜が、再び空と室内を分断させた。どうやらこの飛空挺に常備されてある機能のようだ。

「助かったさすが観光用飛空挺だぜ。」

 ドンキホーテは胸をなでおろした。
 飛空挺内は当然騒ぎが起こっている。

「ドンキホーテ!」

 エイダが心配して駆け寄る。

「エイダ!先生と一緒にいろ!」

 ドンキホーテは外の生物を観察する。その生物にドンキホーテは見覚えがあった。龍と呼ばれる東方の伝説の生物だ。確か神に類する生物であった。

「先生、召喚された分霊だ!それも軍事用の可能性が高い!」

  分霊、それは召喚魔法を得意とする聖職者が祈りによって召喚する神の力の一部である。姿は召喚するもの達のイメージによって変わり、様々な姿と、なって現れるのだ。中でも軍事用の分霊はその神の荒々しいイメージを具現化したものでありとてつもない強力な力を有しているのだ。

「なんじゃと?!エイダとりあえずここから離れるぞ!」

「どこに行くの?!」

「とりあえず避難じゃ!避難した先で結界を張る!」

 アレン先生はエイダを連れて避難誘導に従い、船の飛空挺の避難区域に指定された場所に移動する。
  全員の避難が完了し残るのはボディガードの傭兵と冒険者だけになった。ドンキホーテは空中にいる、例の分霊である龍の様子を見た。
   どうやら騒ぎを軍事用の飛空挺が気づき龍に対して攻撃を仕掛けているようだ。
  龍はそれを回避し観光用飛空挺の真上にとどまる。
  
  (デッキから乗り込む気か?)

  混乱の中適切に動けるのはドンキホーテのみだった。ほかのボディガード達は自身の依頼主を守るために遠くにはいかない。そして何よりこの飛空挺内では冒険者や傭兵以外での戦闘員はおそらくいないだろう。なにせこの船はそのボディガード達にこの船の問題を対処してもらうように考えられていたのだから、どういう状況かわからないままボディガード達は迂闊に動けない。
  しかしドンキホーテだけはわかっているおそらくエイダが目的なのだろう。ならばボディガード達には上流階級のいる避難場所を固めてもらった方が逆にエイダも安全だ。
  そう考えたドンキホーテは急ぎ飛空挺のデッキへ向かった。



  ドンキホーテがデッキへ向かうと、真上には例の龍が佇んでいた。その龍から2人の人影が飛び降りてくる。1人はエイダと同じぐらいの年齢の長い黒髪の少女、もう1人は身の丈ほどある巨大な鎌を背負った短い黒髪で肌が褐色の青年だった。青年は少女を抱き抱えながら降りてくる。

  「ヘヘッこれはこれは1人かい?賢いねぇ俺たちが乗り込んでくるのを知ってたみたいだねぇ、お兄さん?」

 青年はそういって笑う、実に気味が悪い。
  ドンキホーテはその表情に、物怖じすることなくこう言った。

「ああ、母さんにも言われたもんさ、アンタは先見の明があるってね。ところでこれは無賃乗車ってやつだぜ、行けねぇなぁ。」

「ヘヘッ面白いこと言う、兄さんだな。」

「ああ、それもよく言われるぜッ!」

 ドンキホーテは左手に隠していた回転式弾倉の拳銃を取り出し、青年に向けて放つ。とっさに青年は左手で受ける。当たった弾は弾け飛び火花を起こした。そのまま2発3発と続けざまに撃ち続ける。青年は全ての球を体で受けるが火花が飛び散るり衝撃に仰け反った。
  ドンキホーテはそのまま空間をテレポートし青年と少女の背後とり、そのまま剣を振るった

「ジャン!」

  少女は青年の名を呼ぶと、青年は、ジャンは背中の大鎌をとっさに引き抜き、ドンキホーテの剣を止める。
 2人はそのまま得物を弾き合い距離をとった。

「アンタ騎士みたいな見た目をしといてやることが不意打ちかよ。面白いなアンタ。リーダーこいつは俺がやるぜ。」

「チッ少なくとも、腕は持っていけると思ったんだがな。」

 飛空挺での戦いが幕を開ける。
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