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作戦会議
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レストラン、エポロの台所の亭主リーは今日も、料理人としての腕を振るう。エポロの台所、こんなたいそうな名前だが実はこの名前、通称である。元はカゼンという国の料理しか出しておらず、正式名称は「リーの店」という単純なものなのだ。
実はカゼンの国の人々の多くは様々な理由でソール国に訪れる。技術を学ぶためだとか、学問を修めるためだとか。リーはそんなカゼンの人々のためにカゼン料理をソール国でも食べられるようにと、このレストランを開いたのだ。
当初はそう言った理由からカゼン料理しか売ってなかったが、しかしある日1人の冒険者がこう言った。
「パエリアが食べたい。」
リーはその冒険者があまりにもボロボロだったため、親切心が働き、ソール国で祝い事の時に食べられているパエリアを作ってやったのだ。
問題はその後だ、その冒険者から口伝てで広まったのか、リーの店はいつのまにかどんな料理でも出してくれる店とした有名なっていったのだ。いつしか「エポロの台所」とまで呼ばれるようになり、様々な料理を出す店として様変わりしてしまった。それに加え、リーはある言葉が口癖になってしまったのである。
来客を知らせるベルが鳴る。「おやっさーん!」リーの聞いたことのある声だ、あの元凶の冒険者の、今は遍歴の騎士をやっているというあいつの声だ。
「おやっさん、いつものパエリア頼むね。」
「ドンキホーテ…いや!カゼン料理を頼めぇ!」
それがリーの口癖であった。
エイダ達はリーの店に入るとマリデの要望で個室風の席を使用することにした。そこでどうやら話したいことがあるらしい。
「よいしょと、確かにここなら話もしやすいね」
マリデは椅子に腰をかけた。そこはコの字型の部屋となっており、真ん中にテーブル、そのテーブルにはちょうど4つの椅子が備わっていた。こんな上等な空間が使えるのもリーの店が繁盛しているのと、まだ混むような時間帯ではなかったおかげだろう。
「さてと、せっかくだから料理が来る前に作戦会議と行こうか。」
「えーいいじゃねぇか宿屋に戻ってからでよー」
マリデのとなりのドンキホーテは不満げに口を尖られる。
「いいじゃないかここの料理は料理は時間がかかるその間だけだ。」
マリデは地図を広げた。
「アレン先生、結界を一応貼ってくれるかい?」
「あいよ、少し待っておれ」
そうアレン先生が言うと個室に見えない透明な膜が張った。
「いつ誰かに聞かれてるかわかったもんじゃないからね。」
「この結界はなに?アレン先生?」
エイダはアレン先生に好奇心から聞く
「遮音の結界じゃ、あとで教えてやろう。」
「じゃあ改めて」とマリデは地図を広げる。
「僕たちの目指す所はファファンの村だこの付近でグレン卿らしき人を見たと騎士団からの報告があったらしい。騎士団からの報告のその後に脅迫を受け今は騎士団は動けない。」
「そこで俺たちの出番て訳か。」
ドンキホーテが言う。
「ああ、恐らくグレン卿の脅迫はあくまでも騎士団を動かさないための脅迫、僕たちがグレン卿を追っても問題はないはずだ。」
「逆に言えば騎士団以外なら完封できると思ってるんじゃろうなぁ。グレン卿は。」
アレン先生の言葉は、的を得ていた。グレン卿には絶対の自信があるのだ。騎士団さえ動かなければ絶対に負けるはずがないと。
「元より謀反の噂が流れていたグレン卿だ、なにを企んでいるかわからない以上少々手荒な真似はしてもいいと言われている。どんな形でもいい捕縛してれ。」
マリデの言葉に各々が肯定の返事を投げかける。
「アレン先生あとで捕縛の呪文も押してね」
エイダはそっとアレン先生に耳打ちをした。
「わかった、飯が終わってからでのぅ。」
その言葉でエイダはふと廊下側を見ると、青筋を浮かべたリーが立っていた。
「ごめんなさい!あ、聞こえないんだ!アレン先生結界を切って!」
エイダの呼びかけに答えてアレン先生は慌てて結界を切る。
「初めてだぜこんなに無視されたのは…」
リーは料理の皿をカタカタと揺らしている。
「すまねぇおやっさん、話し込んでた。あ、あと追加注文でスペアリブね」
「いやだから、カゼン料理を頼めー!」
リーの咆哮がレストラン中に響き渡った。
「ふー食った食った。」
ドンキホーテは腹を叩きながら、満足げに歩く。
「いやーそれにしても相変わらずうまいな、おやっさんの店は。」
「最後の方すごい怒られてたけどね。」
エイダは少々疲れ気味にそう言う。その疲れを引きずりながらエイダ一行はそのまま歩いて行きマリデが事前に予約を入れてあった宿へと到着した。
「部屋は2つ取ってあるからドンキホーテと僕、アレン先生とエイダ君で泊まってくれ」
マリデがそういうとエイダは「わかりました。」と言いいち早く部屋に向かう。今日は色々なことがあり疲れていた寝る支度を終えるとエイダはベットに身を沈めた。ベットに寝転がりながら考える。明日はいよいよグレン卿を追い詰めに行くのだ。
(何かわかるのかな?)
自分自身の謎、自分の兄弟のホムンクルス、考えてもしょうがないと思いつつ考えずにはいられなかった。そのうちエイダは深い眠りについた。
実はカゼンの国の人々の多くは様々な理由でソール国に訪れる。技術を学ぶためだとか、学問を修めるためだとか。リーはそんなカゼンの人々のためにカゼン料理をソール国でも食べられるようにと、このレストランを開いたのだ。
当初はそう言った理由からカゼン料理しか売ってなかったが、しかしある日1人の冒険者がこう言った。
「パエリアが食べたい。」
リーはその冒険者があまりにもボロボロだったため、親切心が働き、ソール国で祝い事の時に食べられているパエリアを作ってやったのだ。
問題はその後だ、その冒険者から口伝てで広まったのか、リーの店はいつのまにかどんな料理でも出してくれる店とした有名なっていったのだ。いつしか「エポロの台所」とまで呼ばれるようになり、様々な料理を出す店として様変わりしてしまった。それに加え、リーはある言葉が口癖になってしまったのである。
来客を知らせるベルが鳴る。「おやっさーん!」リーの聞いたことのある声だ、あの元凶の冒険者の、今は遍歴の騎士をやっているというあいつの声だ。
「おやっさん、いつものパエリア頼むね。」
「ドンキホーテ…いや!カゼン料理を頼めぇ!」
それがリーの口癖であった。
エイダ達はリーの店に入るとマリデの要望で個室風の席を使用することにした。そこでどうやら話したいことがあるらしい。
「よいしょと、確かにここなら話もしやすいね」
マリデは椅子に腰をかけた。そこはコの字型の部屋となっており、真ん中にテーブル、そのテーブルにはちょうど4つの椅子が備わっていた。こんな上等な空間が使えるのもリーの店が繁盛しているのと、まだ混むような時間帯ではなかったおかげだろう。
「さてと、せっかくだから料理が来る前に作戦会議と行こうか。」
「えーいいじゃねぇか宿屋に戻ってからでよー」
マリデのとなりのドンキホーテは不満げに口を尖られる。
「いいじゃないかここの料理は料理は時間がかかるその間だけだ。」
マリデは地図を広げた。
「アレン先生、結界を一応貼ってくれるかい?」
「あいよ、少し待っておれ」
そうアレン先生が言うと個室に見えない透明な膜が張った。
「いつ誰かに聞かれてるかわかったもんじゃないからね。」
「この結界はなに?アレン先生?」
エイダはアレン先生に好奇心から聞く
「遮音の結界じゃ、あとで教えてやろう。」
「じゃあ改めて」とマリデは地図を広げる。
「僕たちの目指す所はファファンの村だこの付近でグレン卿らしき人を見たと騎士団からの報告があったらしい。騎士団からの報告のその後に脅迫を受け今は騎士団は動けない。」
「そこで俺たちの出番て訳か。」
ドンキホーテが言う。
「ああ、恐らくグレン卿の脅迫はあくまでも騎士団を動かさないための脅迫、僕たちがグレン卿を追っても問題はないはずだ。」
「逆に言えば騎士団以外なら完封できると思ってるんじゃろうなぁ。グレン卿は。」
アレン先生の言葉は、的を得ていた。グレン卿には絶対の自信があるのだ。騎士団さえ動かなければ絶対に負けるはずがないと。
「元より謀反の噂が流れていたグレン卿だ、なにを企んでいるかわからない以上少々手荒な真似はしてもいいと言われている。どんな形でもいい捕縛してれ。」
マリデの言葉に各々が肯定の返事を投げかける。
「アレン先生あとで捕縛の呪文も押してね」
エイダはそっとアレン先生に耳打ちをした。
「わかった、飯が終わってからでのぅ。」
その言葉でエイダはふと廊下側を見ると、青筋を浮かべたリーが立っていた。
「ごめんなさい!あ、聞こえないんだ!アレン先生結界を切って!」
エイダの呼びかけに答えてアレン先生は慌てて結界を切る。
「初めてだぜこんなに無視されたのは…」
リーは料理の皿をカタカタと揺らしている。
「すまねぇおやっさん、話し込んでた。あ、あと追加注文でスペアリブね」
「いやだから、カゼン料理を頼めー!」
リーの咆哮がレストラン中に響き渡った。
「ふー食った食った。」
ドンキホーテは腹を叩きながら、満足げに歩く。
「いやーそれにしても相変わらずうまいな、おやっさんの店は。」
「最後の方すごい怒られてたけどね。」
エイダは少々疲れ気味にそう言う。その疲れを引きずりながらエイダ一行はそのまま歩いて行きマリデが事前に予約を入れてあった宿へと到着した。
「部屋は2つ取ってあるからドンキホーテと僕、アレン先生とエイダ君で泊まってくれ」
マリデがそういうとエイダは「わかりました。」と言いいち早く部屋に向かう。今日は色々なことがあり疲れていた寝る支度を終えるとエイダはベットに身を沈めた。ベットに寝転がりながら考える。明日はいよいよグレン卿を追い詰めに行くのだ。
(何かわかるのかな?)
自分自身の謎、自分の兄弟のホムンクルス、考えてもしょうがないと思いつつ考えずにはいられなかった。そのうちエイダは深い眠りについた。
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