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2 建国の真実
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それは頭の中に無理やりねじ込まれた。
遡ること300年ヘルヴェス王国建国の真実。
ヘルヴェス王国の歴史書によれば、建国王にして英雄と称えられるシルヴィオ王が魔女を滅ぼし国を作ったとされる。
魔女は黒魔術を極め、人々の心を惑わし土地を荒らした悪女であったと…そう伝えられていた。
だが真実は全く異なる。
魔女は正当な血筋の王女でシルヴィオは婚約者だった。
その国の名はシャグリオ王国。
女神を信仰する平和で穏やかな国の優しく美しい第2王女。
建国王シルヴィオは歴史書によれば小国の第2王子で悪しき魔女を倒したことで魔女の領地にヘルヴェスを建国したとされていたが、こちらも全くのデタラメであった。
シルヴィオは悪しきドラゴンを退治した功績で運良く王女の婚約者になれた平民であり高貴な血など引いていない。
それどころか王女の功績を奪い虐げ国を簒奪した大罪人。
「こ…れは」
それは誰の声だったろうか。
ヘルヴェス建国の真実は国に住むすべての者の脳にねじ込まれていた。
記憶を見た多くの人々が、尽くした婚約者に裏切られすべてを失った王女に涙し心を痛めた。
逆に建国王と崇めていたシルヴィオに対して激しい嫌悪感を抱く。
「こんなのデタラメだっ…!」
絞り出すような声でシンが叫ぶ。
その様子に最初とは打って変わって楽しそうな様子でマリンが答える。
「嘘じゃないさ。これは僕が当時集めた土地の記録だからね」
マリンは更に続ける。歌うように舞うように。
「本来であれば真実を知った時点で明らかにするはずだった。だけどもともとシャグリオは災害のせいで荒れていてね…更に簒奪による混乱もあって民衆が限界だったんだよ」
まあ、僕としては民衆なんて王でも良かったんだけどね。
そういうマリンの顔はなぜか泣く直前のようであった。
「民が傷つくことを王女殿下や陛下たちは望まないからね。真実を知ったあとも僕は知らないフリをして国の安定に努めたのさ」
ヘルヴェス歴史書においてマリンの登場は遅い。
辺境の水害対応のために長期出張していたためだ。
歴史書において彼は魔女が倒されたあとに帰還し、魔女の悪事を知ったあとはシルヴィオの親友として建国に尽力したと記載されている。
「僕とやつが親友だなんて冗談じゃない。自分の泊をつけるためにシルヴィオが勝手に言っていただけ。まあ、僕もこの日のためにあえて否定しなかったんだけどね」
マリンは感情の読めない冷たい瞳でシンを見る。
「僕が帰ってきたときは何もかも手遅れで何もできなかった。だから未来のもしものために準備をすることにしたんだよ」
マリンに見つめられながらシンは思う。
捕食される直前のネズミはこんな気分なのかもしれないと。
「現世でも罪をおかすというのなら、前世ごと断罪しよう」
遡ること300年ヘルヴェス王国建国の真実。
ヘルヴェス王国の歴史書によれば、建国王にして英雄と称えられるシルヴィオ王が魔女を滅ぼし国を作ったとされる。
魔女は黒魔術を極め、人々の心を惑わし土地を荒らした悪女であったと…そう伝えられていた。
だが真実は全く異なる。
魔女は正当な血筋の王女でシルヴィオは婚約者だった。
その国の名はシャグリオ王国。
女神を信仰する平和で穏やかな国の優しく美しい第2王女。
建国王シルヴィオは歴史書によれば小国の第2王子で悪しき魔女を倒したことで魔女の領地にヘルヴェスを建国したとされていたが、こちらも全くのデタラメであった。
シルヴィオは悪しきドラゴンを退治した功績で運良く王女の婚約者になれた平民であり高貴な血など引いていない。
それどころか王女の功績を奪い虐げ国を簒奪した大罪人。
「こ…れは」
それは誰の声だったろうか。
ヘルヴェス建国の真実は国に住むすべての者の脳にねじ込まれていた。
記憶を見た多くの人々が、尽くした婚約者に裏切られすべてを失った王女に涙し心を痛めた。
逆に建国王と崇めていたシルヴィオに対して激しい嫌悪感を抱く。
「こんなのデタラメだっ…!」
絞り出すような声でシンが叫ぶ。
その様子に最初とは打って変わって楽しそうな様子でマリンが答える。
「嘘じゃないさ。これは僕が当時集めた土地の記録だからね」
マリンは更に続ける。歌うように舞うように。
「本来であれば真実を知った時点で明らかにするはずだった。だけどもともとシャグリオは災害のせいで荒れていてね…更に簒奪による混乱もあって民衆が限界だったんだよ」
まあ、僕としては民衆なんて王でも良かったんだけどね。
そういうマリンの顔はなぜか泣く直前のようであった。
「民が傷つくことを王女殿下や陛下たちは望まないからね。真実を知ったあとも僕は知らないフリをして国の安定に努めたのさ」
ヘルヴェス歴史書においてマリンの登場は遅い。
辺境の水害対応のために長期出張していたためだ。
歴史書において彼は魔女が倒されたあとに帰還し、魔女の悪事を知ったあとはシルヴィオの親友として建国に尽力したと記載されている。
「僕とやつが親友だなんて冗談じゃない。自分の泊をつけるためにシルヴィオが勝手に言っていただけ。まあ、僕もこの日のためにあえて否定しなかったんだけどね」
マリンは感情の読めない冷たい瞳でシンを見る。
「僕が帰ってきたときは何もかも手遅れで何もできなかった。だから未来のもしものために準備をすることにしたんだよ」
マリンに見つめられながらシンは思う。
捕食される直前のネズミはこんな気分なのかもしれないと。
「現世でも罪をおかすというのなら、前世ごと断罪しよう」
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