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3 真の断罪
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パチン
マリンは再び指を鳴らす。
次の瞬間新たな記憶が人々の脳にねじ込まれる。
それは現在・王太子シンの罪の真実。
「俺達を騙してたのか!」
「ソフィア様がかわいそう!」
「悪魔のような王子め!」
王太子には怒りを公爵令嬢には同情を。
少し前までシンといっしょにソフィアを責めていたことなど忘れてしまっているようだ。
「まるでシルヴィオと王女様のようだろう?」
国民たちの脳にマリンの言葉が響く。
「シルヴィオは生まれ変わっても再び王女を虐げたんだよ」
ホールにいた貴族たちは一斉にシンとソフィアの方を見た。
誰もが言葉を発せないまま時が過ぎる。
静寂を打ち破るように扉が開いた。
「結局こうなってしまったか」
入ってきたのはなぜか到着が遅れていた国王と王妃、第2王子と第1王女であった。
「ち、父上…」
すがるように手を伸ばすシンを無視して王はソフィアの方を見た。
「ギリギリになるまで息子を信じたかった私の愚かさのせいでそなたをずいぶんと苦しめた。謝っても許されることではないがどうか謝罪をさせてほしい」
王の謝罪にソフィアはなんと答えたらいいかわからず無言になってしまう。
「だめですよ王様。こんなところで言われても彼女が混乱するだけでしょう?」
「マリン殿…それもそうだな。配慮が足らず重ねて申し訳ない」
王は一度目を閉じてからシンの方をようやく見た。
「簒奪者シルヴィオにして罪人シン。マリン殿が与えたチャンスを無下にしたのだ。前世の罪ごと償うが良い」
王が片手を上げると兵士たちがホール内に入ってくる。
シンは大人しく捕まっているが、その目にまだ力があることをマリンは見逃さなかった。
「…今年で建国祭は廃止し、来年以降は慰霊祭と名を改め不当に国を奪わあれ名誉えお怪我されたシャグリオ王国王家のために鎮魂の行事とする」
王のその言葉でパーティは解散となった。
今回の一件でヘルヴィス王家は簒奪者の一族として大きく支持を下げることになった。
シン以外の王族はまともであるので、ある程度回復できるだろうが全盛期を超えることはもはや難しいだろう。
シンは冷たい牢屋の中で必死に現状を打破する術を探していた。
本来なら入れられるはずの貴族牢ではなく、国家反逆レベルの大罪人用の牢屋にシンは入れられている。
通常の牢屋との違いはその強固さだ。
二重扉に二重鍵、そして5重にかけられた魔法に隊長レベルの実力を持つ兵士が常に10人見張っている。
そんな牢屋内にすんなりと入ってきた人物が一人。
マリンだ。
「やあ、元気かい?シン元王太子」
「一体何のようですか…」
僕の真実を話すために来たんだよ。
そう言ってマリンは話し始める。
「僕はね善人じゃないんだ。だからいつか君に復讐するって決めてたんだよ」
「私はシルヴィオではない…!」
「うん。わかってる。君はシルヴィオだったけど、今はシンだ」
「だったら…」
「大罪人シン・ヘルヴィスだ」
シンは大きく目を見開く。
その姿がどこか滑稽にみえて思わずマリンは思わず笑ってしまう。
「僕はね君の汚れた魂はきっとまた罪を犯すと信じてたんだ。だからシルヴィオの生まれ変わりが再び罪を犯したら全てを明らかにする魔法をこの国に仕掛けておいたんだよ」
だからね
「もし今の君が真っ当に生きて彼女が幸せなら復讐はしないつもりだったんだ」
罪を犯してくれてありがとう
「心置きなく復讐できる」
後に出版されるヘルヴィス歴史書に置いて、旧歴史書の記載は間違いだったとし真実の歴史が記載されるようになる。
またシン・ヘルヴィスについても多く記載があり、簒奪者シルヴィオの生まれ変わりであることや彼自身の罪についても事細かく書かれている。
しかしながら、彼の最期についての記載については曖昧で秘密裏に処刑されたとも魔物の群生地帯に追放されたなどの噂があるとしか書かれておらず謎のままだという。
マリンは再び指を鳴らす。
次の瞬間新たな記憶が人々の脳にねじ込まれる。
それは現在・王太子シンの罪の真実。
「俺達を騙してたのか!」
「ソフィア様がかわいそう!」
「悪魔のような王子め!」
王太子には怒りを公爵令嬢には同情を。
少し前までシンといっしょにソフィアを責めていたことなど忘れてしまっているようだ。
「まるでシルヴィオと王女様のようだろう?」
国民たちの脳にマリンの言葉が響く。
「シルヴィオは生まれ変わっても再び王女を虐げたんだよ」
ホールにいた貴族たちは一斉にシンとソフィアの方を見た。
誰もが言葉を発せないまま時が過ぎる。
静寂を打ち破るように扉が開いた。
「結局こうなってしまったか」
入ってきたのはなぜか到着が遅れていた国王と王妃、第2王子と第1王女であった。
「ち、父上…」
すがるように手を伸ばすシンを無視して王はソフィアの方を見た。
「ギリギリになるまで息子を信じたかった私の愚かさのせいでそなたをずいぶんと苦しめた。謝っても許されることではないがどうか謝罪をさせてほしい」
王の謝罪にソフィアはなんと答えたらいいかわからず無言になってしまう。
「だめですよ王様。こんなところで言われても彼女が混乱するだけでしょう?」
「マリン殿…それもそうだな。配慮が足らず重ねて申し訳ない」
王は一度目を閉じてからシンの方をようやく見た。
「簒奪者シルヴィオにして罪人シン。マリン殿が与えたチャンスを無下にしたのだ。前世の罪ごと償うが良い」
王が片手を上げると兵士たちがホール内に入ってくる。
シンは大人しく捕まっているが、その目にまだ力があることをマリンは見逃さなかった。
「…今年で建国祭は廃止し、来年以降は慰霊祭と名を改め不当に国を奪わあれ名誉えお怪我されたシャグリオ王国王家のために鎮魂の行事とする」
王のその言葉でパーティは解散となった。
今回の一件でヘルヴィス王家は簒奪者の一族として大きく支持を下げることになった。
シン以外の王族はまともであるので、ある程度回復できるだろうが全盛期を超えることはもはや難しいだろう。
シンは冷たい牢屋の中で必死に現状を打破する術を探していた。
本来なら入れられるはずの貴族牢ではなく、国家反逆レベルの大罪人用の牢屋にシンは入れられている。
通常の牢屋との違いはその強固さだ。
二重扉に二重鍵、そして5重にかけられた魔法に隊長レベルの実力を持つ兵士が常に10人見張っている。
そんな牢屋内にすんなりと入ってきた人物が一人。
マリンだ。
「やあ、元気かい?シン元王太子」
「一体何のようですか…」
僕の真実を話すために来たんだよ。
そう言ってマリンは話し始める。
「僕はね善人じゃないんだ。だからいつか君に復讐するって決めてたんだよ」
「私はシルヴィオではない…!」
「うん。わかってる。君はシルヴィオだったけど、今はシンだ」
「だったら…」
「大罪人シン・ヘルヴィスだ」
シンは大きく目を見開く。
その姿がどこか滑稽にみえて思わずマリンは思わず笑ってしまう。
「僕はね君の汚れた魂はきっとまた罪を犯すと信じてたんだ。だからシルヴィオの生まれ変わりが再び罪を犯したら全てを明らかにする魔法をこの国に仕掛けておいたんだよ」
だからね
「もし今の君が真っ当に生きて彼女が幸せなら復讐はしないつもりだったんだ」
罪を犯してくれてありがとう
「心置きなく復讐できる」
後に出版されるヘルヴィス歴史書に置いて、旧歴史書の記載は間違いだったとし真実の歴史が記載されるようになる。
またシン・ヘルヴィスについても多く記載があり、簒奪者シルヴィオの生まれ変わりであることや彼自身の罪についても事細かく書かれている。
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