鎖でつないで、ここにとどめて

青埜澄

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3話 

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 靖一は正座したノラの頭を片手で掴み、逃げ場を奪った。狭い浴室で、冷たいタイルの上にひざまずくその姿は、まるで靖一に捧げられた生け贄のようだった。濡れた髪が頬に張り付き、伏せたまつ毛が小さく震えている。
 
「口を開けろ」
 
 低く冷たい声で命じる。ノラは喉をわずかに鳴らしたが、逆らわずに唇を開いた。湿った音とともに、その温もりに触れた瞬間、靖一の中の何かがぞくりと反応した。
 
「動くな」
 
 唇を割り、ずるりと奥へ侵入させる。舌先をかすめ、さらに奥を目指す。最奥に届くと、ノラの喉が小さく震え、涙がひと筋、頬を伝った。それでも靖一は構わず押し込んだ。喉奥を叩く感触、わずかに手の中で揺れる頭。逃げようとする力を簡単に押さえつけ、さらに深く突き立てる。
 
「……っ、ん……!」
 
 むせるような声を、靖一は喉元を軽く押さえて封じた。潤んだ瞳が苦しげに見上げてくる。だが、その奥にあったのは拒絶でも嫌悪でもない。従順と、微かな熱。まるで主人の命令を待つ犬のような目だった。
 
「……お前、こういうの好きなんだな」
 
 囁きながら、靖一は喉奥を何度も突き上げる。浴室に湿った音が響き、ノラの顎が震え、後ろ手で握りしめる指先が白くなる。熱が高まり、靖一は奥に吐き出した。
 ノラの体がかすかに震えた。靖一はすぐには抜かず、喉奥を塞いだまま数秒留まった。そして、ゆっくりと腰を引き、手を離す。唇の端から熱が一筋垂れ落ちるのを、ただ見下ろした。
 
 沈黙のまま、靖一はノラの耳元に口を寄せた。
 
「ほら……お前も、自分で触りたいんだろ?」
 
 指先で示すと、ノラは羞恥に頬を赤くし、返事をする代わりに「ふふ」と小さく笑って視線を逸らした。震える指が、ためらいがちに脚の間へ伸びていく。
 
「……ちゃんと見せろ」
 
 ノラの手が触れた瞬間、小さな声が漏れ、肩がわずかに揺れた。靖一は無言でその様子を見つめる。熱の余韻を感じながら。
指が動くたびに吐息が洩れ、頬の赤みが濃くなる。やがて肩を震わせ、途切れた声とともに果て、力なく指が落ちた。
 だが、靖一はそこで終わらせなかった。伸ばした手が、まだ熱を残すそこに触れた。
 
「や……やめ……っ」
 
 ノラが身を引こうとする。だが逃げ場はない。手のひらで敏感なところを何度も刺激してやる。
 
「……っ、いや、待って待って……!」
 
 泣きそうな声。必死で靖一の手首を押さえる小さな力が、余計に興奮を煽った。触れるたび、反射みたいに小さく漏れる声。ノラは次第にもぞもぞと身体を動かした。
 
「出せよ」
 
 そう言うと、ノラの体は小さく跳ね、声にならない声が熱と一緒に零れた。
水音が床に落ちる。ノラは膝を折り、荒い息を繰り返す。靖一は立ち上がり、濡れた頬と髪を無表情で見下ろした。
 
「どうだ?俺のこと知れてよかったか?」
 
 靖一の問いかけに、ほとんど放心状態のノラは「ん……」とだけ答えた。
 
「こういう時は『よかったです。ありがとうございます。ご主人様』だ」
 
 靖一がノラの頬を持ち上げるように掴んでそう言うと、ノラは「こんなのは初めて」と言った。それから一瞬、ためらうように目を泳がせたが、頬を赤らめて靖一の方をまっすぐに見た。
 
「……よかったです。ありがとうございます。──変態の、ご主人様」
 
 そう言って、にんまりと笑った。
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