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エピローグ 学園専門殺人殺人犯X、最後の手紙
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十二月の暮れ、生徒会室にて。
高千穂翠は血まみれになったXの手紙をじっと見る。二ヶ月前の惨劇の結果を生々しく残している、佐久間君の鮮血をたっぷりと吸い込んだ八通目の手紙だ。
Xに関する資料のほとんどは警察と学校に提供した僕達だったが、佐久間君が作ったXの手紙画像のファイルだけは渡さなかった。渡せなかったのだ。僕らふたりのためにも、ウグ先輩のためにも。
血まみれになった佐久間君は、駆けつけた救急隊によって病院に搬送され、一命を取り留めた。
その後、僕の話を聞いた警察は、佐久間君の自宅を家宅捜索。自宅に置いてあった水筒の中から、永谷先生の血液がわずかに出てきたことから、佐久間君を殺人犯Xとして逮捕した。
もっとも、逮捕から数日後、僕の家にやってきた稲田刑事いわく、実は警察も十月末の時点で、Xの正体についてはかなり目星をつけていたらしい。
男子生徒、身長百六十センチ代前半、黒髪、おとなしそうな人物。
すべて佐久間君に当てはまる。なぜ、そこまで分かったのかと言うと、警察はXが二回目の事件で犯行に使った防犯催涙スプレーや水に溶けるティッシュ、強力粘着テープの購入先を徹底的に探したのだ。
ティッシュはともかく、催涙スプレーや強力粘着テープは、そうそう購入されるものじゃない。警察は県内どころか隣県まで足を伸ばし、販売している店舗に聞き込みし、売り上げデータをチェックし、さらに店内の防犯カメラまで視聴して、ついに不審な男子生徒を発見したのである。
「けれど、まだ佐久間君だと確証がもてたわけじゃなかった」
稲田刑事は微笑を浮かべて言った。
「それに相手が未成年では、逮捕はどうしても慎重になる。万が一、誤認逮捕しては大変なことになるからね。警察の捜査では、おそらく逮捕まであと一ヶ月はかかっていたと思うよ。その一ヶ月の間に、新たな犠牲者が出なかった保証はない。学生が捜査をしたことは、肯定できることじゃないけれども、僕個人としては、素晴らしい、と言いたいね。お見事、名探偵!」
稲田刑事はそう言って、それから僕に缶コーヒーを奢ってくれた。
僕は礼を言って、ありがたくコーヒーを味わっていたが、それでも、心の中はそれほど愉快じゃなかった。佐久間君は殺人犯だった。この僕さえ傷つけた。逮捕されるのは当然だ。それなのに、どうしてか心は晴れない。昔、タバコのことで同級生を告げ口しなかったように、最後の仲間意識が僕の中にあるからなのか。
そう言えば、佐久間君はどうして、犯行に使った水筒を処分しなかったのだろう。まだ犯行を重ねるつもりだったのか。
――まだ言いたいことはあるけれども……。
最後の瞬間、佐久間君が発した言葉が気になる。
佐久間君の最終目的、それはうっすらと理解できているつもりだ。
けれども、それは僕の思い上がりかもしれない。僕は結局、彼のことなんてなにも理解できていないのかもしれない。いまとなっては、すべては闇の中だ。
佐久間君、いやX。
君はいったい、なにを、学園に訴えたかったんだ。
「ありがとう。手紙、もういいよ」
高千穂翠が、血まみれの手紙を僕に返してきた。
僕は黙って受け取り、ファイルの中に手紙を戻した。
口中のコーヒーが、ひどく苦く感じる。高千穂翠が淹れてくれたコーヒーなのに、どうしてだろうか。
そう思っていたとき、生徒会室のドアが開いて、
「やあ」
と、ウグ先輩が入ってきた。
「先輩、お久しぶりです。もう身体のほうはいいんですか?」
「おかげさまで。だいぶん回復してきたよ。欠席が増えすぎたから、冬休みは補習出席だ。大学も決まっているのにねえ、はっはっは」
事件の後、精神的なショックから体調を崩してしまったウグ先輩は、欠席が続き、生徒会室にも出てこなくなってしまった。今月上旬になって登校だけはするようになったが、明らかに本調子ではないウグ先輩は、廊下で会うだけでも痛々しかった。
だが今日は顔色も良い。昔よりずいぶん伸びた蓬髪と、白くなった肌に、細くなった頬。けれども表情は昔のウグ先輩に戻っていた。僕はとにかくほっとした。
「良い香りがするね。良かったら、私にもコーヒー、淹れてくれたまえよ。あったかいものが飲みたいんだ。今日はこういうオツマミもあるからね」
そう言ってウグ先輩が、スクールバッグの中から取りだしたのは、一枚の封筒だった。
あて先は安曇学園になっていて、あて名は『安曇学園生徒会御中』となっており、差出人の名前はもう、見る必要はなかった。
「それは、佐久間君からの」
「もちろん。さっき生徒会用のポストを覗いたら、これが入っていてね。いま彼は少年鑑別所にいるらしいけれど、そこから送られてきたんだろう。読むかい?」
「もちろんです」
僕と高千穂翠は、揃ってうなずいた。
佐久間君の手紙が封筒から出てくる。
中身は、そういえばしげしげと見るのは初めてかもしれない、鉛筆で書かれた佐久間君の直筆だった。
『生徒会長、副会長、前生徒会長へ
皆さま、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
特に生徒会長、あなたを襲撃したことはまったくぼくの不徳の致すところでございます。お許しくださいとは言えませんが、改めて謝罪致します。
もうこんな手紙を書く資格など、ぼくには存在しないと分かっていますが、それでも最後の最後に、どうしても書きたくなりました。それはこのぼくがどうして殺人犯Xとなったか、その過程について、話さずにはいられないからです。
まず大前提として、ぼくの家は母子家庭で、あまり豊かではありませんでした。Xの手紙を書いたのは家にあった、型落ちのノートパソコンとプリンターでしたが、紙や封筒に印刷するたびにガタガタとうるさくてたまりませんでした。殺人犯としての手紙さえなんだか安っぽく書いてしまったのが、いまでも悔しくてなりません。水筒の件もそうです。本当は第一の事件のあとに捨てるつもりでしたが、捨てようとすると母親が、その水筒は高かったのに、高校の入学祝いで買ったものを、もったいない、と激怒したために捨てられませんでした。高いといっても三千円ほどだったと思います。こういうところが、泣けてくるほどにうんざりしますし、結局水筒を捨てられなかった自分の甘さも嫌になります。
ぼくは、背が低く、身体も弱く、運動もできず、成績も決して優秀ではない人間でした。そんなことだから、子供のうちからぼくはひどく、教師にも同級生にも、ときには下級生からさえ馬鹿にされる人生を送ってきました。安曇学園においても、永谷や猿田、里村のような人間にいつも蹂躙されておりました。ですから、永谷や猿田の遺族には少し申し訳なく思う気持ちもありますが、永谷や猿田自身を殺したことには、後悔しておりません。たかがハラスメントや、たかがからかいだと思うひともいるかもしれませんが、ぼくにとっては、たまらなく嫌で、嫌で、嫌で、その上、小学生のころから続いてきたいじめられ人生が、高校に入ってまで、まだ続くのかと思い、鬱憤の大爆発でもあった殺害でした。ちょっとした悪ふざけでも、ほんの小さなからかいでも、積み重ねればひとは病んでしまいます。爆発してしまいます。それだけは分かっていただきたいといまでも思っています。
けれども、ただの恨みや、いじめの復讐だけで彼らを殺害したのではない。それは生徒会長も推理された通りです。私には大目的がありました。
そもそもの始まりは、鵜久森前生徒会長が、芸能人RIONを学校に呼んだ瞬間でした。あのRIONという芸能人は、さすがに人生の勝ち組だけあって、実に快活に告げたものです。
高校時代の友達とはいまでも会うし、昔の話をよくする。
実に愕然としたのです。あれほど成功した芸能人でも、昔の友達と会って、学生時代の話をするのです。どんな話をするのでしょうか。ぼくは気になって仕方がありません。
そこでぼくはネットを使って、検索をしていきました。すると、いろんな話が出てきます。学生時代、嫌いだったやつと街で会ったが無視をしたとか、学生時代に変なやつがクラスにいたのでみんなで笑っていたとか。
さらに、こんな話もあります。学生時代にいじめられていたが、同窓会に誘ってもらえなかったとか、あるいは大人になって出世しても、学生時代にダサかったことで未だに馬鹿にされるとか、さらには大人になっても、クラスの一軍のような人間を見かけると未だに怯えてしまう、とか。
一番辛かったのは、学生時代にいじめられていたひとが、三十歳になり四十歳になり五十歳になっても、いまだに当時のことを思い出しては苦しむ、という話を見たときでした。自分は四十歳で結婚もできず、子供もおらず、けれどもある日、地元のスーパーに行ったら昔のいじめっ子が奥さんと子供を連れて楽しそうに笑っていた、自分は歯がゆくて悔しくて吐きそうだった、という話です。
まるで自分の未来を見るようでした。
ぼくの家は貧しく、母親も、ぼくが奨学金を使ってまで大学に行くことは反対しています。ぼくは高卒で就職をすることになるでしょうが、それではどう頑張っても、いわゆる勝ち組にはなれそうもありません。いやあるいは社会に出て勝ち組になったとしても、ぼくはいじめっ子たちから話題にされるのかもしれない。笑われ馬鹿にされ、過去のことを蒸し返される。想像するだけでたまらないのです。
実に、見えすぎてしまうのです。ネットに数多あがっている、敗北者たちの雄叫び。それはどう考えても自分の未来でした。負け犬はいつまでも負け犬の根性を引きずるのです。勝ち組はどんなときでも勝ち組です。
身近な例を見ても、未来は絶望そのものでした。母は父と別れて、毎日不機嫌、貧乏暮らし、いつもヒステリックに僕を怒鳴りまわすだけ。父は養育費を踏み倒して行方不明。延岡先生のような聡明な教師でも、永谷のような男になびく。保健の巽など、生徒相手でも噂話をばらまいて楽しんでいる最低の教師。校長と教頭の関係など最悪そのものです。五十代になっても、小学校時代の関係を引きずっている大人なんて、ぼくから見れば悪夢そのものです。ぞっとしました。五十代になって、猿田が、あるいは猿田のような男が自分の上司になっている姿を想像してしまいました。妄想にもほどがある、と笑われるかもしれません。でもぼくにとっては切実でした。
嫌だ、なにもかも嫌だ。すべて終わってしまえ。消えてなくなれ、安曇学園など。そう思ったとき、殺人の衝動が湧いてきました。それも、恨み重なる永谷と猿田を殺すだけでは済まさない。
安曇学園の生徒の中に殺人犯がいる。
しかしその殺人犯が誰かは分からない。
そういう状態を作り出そうと思いました。
そうすれば、友達同士で集まったり、話をしたりすることがなくなる。卒業したあとでも、RIONのように昔の友達と集まって、過去の話をすることができなくなるでしょう。同窓会だって開かれなくなるはずです。Xの正体が分からないままなら、同窓会で会う相手がXかもしれないとみんな思いますからね。
それでも同窓会が開かれて、過去のことを話したとしても、そのときみんなの頭に浮かぶのは、クラスの中にいた変なヤツ、ダサいやつのことではありません。連続殺人犯Xのことが絶対に浮かぶはずです。佐久間巧の名前など、Xの前には消し飛んでしまうはずです。そうなってほしかったのです。
安曇学園の友情が崩壊し、誰もがただ黙って勉強だけをして、学校を卒業し、卒業したら二度と顔を合わさない。そんな未来を殺人犯Xは望んだのです。
だめでしたね。
ぼくの計画は生徒会長によって破られました。
挫折そのものです。警察に捕まっただけでは、ここまでぼくは落ち込まなかった。生徒会長、あなたによって、決して勝ち組ではなかったあなたによって、仮にも仲間であったあなたによって、ぼくの罪が暴かれる。本当に、世界はぼくに対して冷たいな。
けれども、ぼくの夢は半分は叶ったのです。
Xが登場してからしばらくの間、授業は静かになっていました。いじめやからかいも激減していました。ぼくが逮捕されたとはいえ、一度こうなると、しばらくは学校の雰囲気も真面目になったことでしょう。ぼくが殺人犯となることで、安曇学園の中のいじめが少しは減ると思えば、これはやった甲斐があるというものです。
そしてぼく自身も。
何年も何十年も経って、当時の同級生たちから、佐久間巧、誰だっけ、ああいたね、変なやつだったね、嫌いだった、いじめられていたよね、いまはなにをしているの、さあ分からない、ニートじゃないの、なんて、笑いものにされるくらいならば。ぼく自身が生涯消えない劣等感を抱えて老人になっていくくらいならば、最悪の殺人鬼としてひとびとに忌み嫌われたほうがよほどマシなのです。
ぼくは殺人犯Xになって、良かったと思っています。
けれども生徒会長をあのとき襲ったことだけは、謝罪致します。
副会長、あなたも強かった。お見事でした。生徒会長とこれからも仲良くやってください。
最後に鵜久森先輩。どうしてぼくを生徒会に誘ったのか、いまになっても分かりません。あなたは明るいし可愛いけれど、だから正直、苦手でした。一緒にいるだけで場違いな自分を意識してしまう。なぜ、ぼくのような人間に声をかけてきたのですか。ぼくはあなたのことが、大嫌いではなかったけれど、最後までなにを考えているのか、よく分かりませんでした。
ともあれ、生徒会の皆さん。
一緒に過ごした時期は、楽しかったです。
これだけは本心です。ぼくの心がXになる前に、出会えていればよかったと、いまでも思います。けれども、もうなにもかも手遅れですね。
これからもどうぞ、お元気で。
カフェで一緒に食べたナポリタン、美味しかったです。
佐久間巧 安曇学園専門殺人犯X より』
「辛いなあ」
手紙を読み終えた瞬間、ウグ先輩は生徒会室のパイプ椅子の上に座ると、上半身全体をうなだれさせて、ほとんど突っ伏したような格好で、嗚咽を漏らし始めた。
「そうなんだ。苦手だったか。友情さえ伝わっていなかったか。そっかぁ……」
動きもせずに、ただ涙を流し続けていた。窓から夜空が見えた。驚くほど静まりかえった、午後六時の生徒会室で、高千穂翠が静かに言った。
「先輩。佐久間君のこと、好きだったんですね」
「えっ」
僕は仰天して、高千穂翠に目を向けた。
「そんなに驚くようなこと?」
「いや、だって」
可愛くて、年上で、みんなの人気者のウグ先輩だぜ、と僕は言いたくなった。
それが佐久間君を好きになるっていうのは、あまり想像つかない――
けれども思い返すと、心当たりはある。
ウグ先輩はいつも佐久間君の近くにいた。佐久間君のことならなんでもフォローしていた。そもそも佐久間君を生徒会に連れてきたのも先輩だ。いきなり探偵団をやり出したのも、いまにして思えば佐久間君の前でいいところを見せたかったからじゃないのか。
「佐久間君はね、すごく綺麗な心を持っていたんだよ」
ウグ先輩は、床に目を落としながら、
「佐久間君が宮沢賢治の感想文で賞を取ったの、知ってるよね? 佐久間君はね、宮沢賢治の『よだかの星』という作品の感想を書いたんだ。
よだかは見た目が悪くて、ただそれだけで仲間から嫌われて、馬鹿にされて、生きることに絶望して、太陽からも星からも相手にされず、最後はみずから星になる話。佐久間君はね、その感想を、とても綺麗な文章で書いて。私はその文章が、感想が、そんな心を持った佐久間君が大好きで……」
そのとき、一際大きなウグ先輩の泣き声が、廊下にまで響き渡った。
憤怒と悲哀が、僕の中に湧き上がる。
佐久間君、いやX。君はなにをやってしまったんだ。
こんなにも近くに、君を認めてくれていたひとがいたのに。
少しだけ隣に目を向けて、人間を信じることができていたなら、殺人犯になんかならなくてよかったのに。馬鹿野郎。Xに襲われた足の痛みを思い出した。本当に馬鹿だよ、あいつは。
「わたし、永谷先生とのバスケのことは今日を限りに忘れる」
ふいに、高千穂翠が静かな声で言った。
「辛い過去とか怒りにばかり、目を向けたらいけない。永谷の末路に喜んでいたらいけない。たぶんもっと近くに、ちゃんと見るべきものがあると思うから」
僕に眼差しを向けてくれた高千穂翠の瞳は、光っていた。
「そうだよな。それがいい。悲しいことばかりに思いを馳せてちゃいけない。……」
冬季を帯びた冷たい風が、校舎の窓をカタカタ揺らす。学園の中にぽっかりと、なにか大きな穴が開いたような感覚は消えない。それでも僕は、明日もこの部屋にやってきて、彼女と生徒会の務めを果たそう。
高千穂翠がスクールバッグからミニタオルを取り出し、ウグ先輩に涙を拭くよう促した。僕はXの手紙を九通、すべてを力いっぱいに破り裂き、過ぎ去りしものとして扱うと、机の上に置かれたままの、冷め切ったけれど、それでも彼女の温もりを感じる一杯の残りを口にした。
高千穂翠と眼が合った。
(また明日)
(学校で)
この一瞬の続きにこそ、見るべき自分の未来があるのだと僕は確信した。
(了)
高千穂翠は血まみれになったXの手紙をじっと見る。二ヶ月前の惨劇の結果を生々しく残している、佐久間君の鮮血をたっぷりと吸い込んだ八通目の手紙だ。
Xに関する資料のほとんどは警察と学校に提供した僕達だったが、佐久間君が作ったXの手紙画像のファイルだけは渡さなかった。渡せなかったのだ。僕らふたりのためにも、ウグ先輩のためにも。
血まみれになった佐久間君は、駆けつけた救急隊によって病院に搬送され、一命を取り留めた。
その後、僕の話を聞いた警察は、佐久間君の自宅を家宅捜索。自宅に置いてあった水筒の中から、永谷先生の血液がわずかに出てきたことから、佐久間君を殺人犯Xとして逮捕した。
もっとも、逮捕から数日後、僕の家にやってきた稲田刑事いわく、実は警察も十月末の時点で、Xの正体についてはかなり目星をつけていたらしい。
男子生徒、身長百六十センチ代前半、黒髪、おとなしそうな人物。
すべて佐久間君に当てはまる。なぜ、そこまで分かったのかと言うと、警察はXが二回目の事件で犯行に使った防犯催涙スプレーや水に溶けるティッシュ、強力粘着テープの購入先を徹底的に探したのだ。
ティッシュはともかく、催涙スプレーや強力粘着テープは、そうそう購入されるものじゃない。警察は県内どころか隣県まで足を伸ばし、販売している店舗に聞き込みし、売り上げデータをチェックし、さらに店内の防犯カメラまで視聴して、ついに不審な男子生徒を発見したのである。
「けれど、まだ佐久間君だと確証がもてたわけじゃなかった」
稲田刑事は微笑を浮かべて言った。
「それに相手が未成年では、逮捕はどうしても慎重になる。万が一、誤認逮捕しては大変なことになるからね。警察の捜査では、おそらく逮捕まであと一ヶ月はかかっていたと思うよ。その一ヶ月の間に、新たな犠牲者が出なかった保証はない。学生が捜査をしたことは、肯定できることじゃないけれども、僕個人としては、素晴らしい、と言いたいね。お見事、名探偵!」
稲田刑事はそう言って、それから僕に缶コーヒーを奢ってくれた。
僕は礼を言って、ありがたくコーヒーを味わっていたが、それでも、心の中はそれほど愉快じゃなかった。佐久間君は殺人犯だった。この僕さえ傷つけた。逮捕されるのは当然だ。それなのに、どうしてか心は晴れない。昔、タバコのことで同級生を告げ口しなかったように、最後の仲間意識が僕の中にあるからなのか。
そう言えば、佐久間君はどうして、犯行に使った水筒を処分しなかったのだろう。まだ犯行を重ねるつもりだったのか。
――まだ言いたいことはあるけれども……。
最後の瞬間、佐久間君が発した言葉が気になる。
佐久間君の最終目的、それはうっすらと理解できているつもりだ。
けれども、それは僕の思い上がりかもしれない。僕は結局、彼のことなんてなにも理解できていないのかもしれない。いまとなっては、すべては闇の中だ。
佐久間君、いやX。
君はいったい、なにを、学園に訴えたかったんだ。
「ありがとう。手紙、もういいよ」
高千穂翠が、血まみれの手紙を僕に返してきた。
僕は黙って受け取り、ファイルの中に手紙を戻した。
口中のコーヒーが、ひどく苦く感じる。高千穂翠が淹れてくれたコーヒーなのに、どうしてだろうか。
そう思っていたとき、生徒会室のドアが開いて、
「やあ」
と、ウグ先輩が入ってきた。
「先輩、お久しぶりです。もう身体のほうはいいんですか?」
「おかげさまで。だいぶん回復してきたよ。欠席が増えすぎたから、冬休みは補習出席だ。大学も決まっているのにねえ、はっはっは」
事件の後、精神的なショックから体調を崩してしまったウグ先輩は、欠席が続き、生徒会室にも出てこなくなってしまった。今月上旬になって登校だけはするようになったが、明らかに本調子ではないウグ先輩は、廊下で会うだけでも痛々しかった。
だが今日は顔色も良い。昔よりずいぶん伸びた蓬髪と、白くなった肌に、細くなった頬。けれども表情は昔のウグ先輩に戻っていた。僕はとにかくほっとした。
「良い香りがするね。良かったら、私にもコーヒー、淹れてくれたまえよ。あったかいものが飲みたいんだ。今日はこういうオツマミもあるからね」
そう言ってウグ先輩が、スクールバッグの中から取りだしたのは、一枚の封筒だった。
あて先は安曇学園になっていて、あて名は『安曇学園生徒会御中』となっており、差出人の名前はもう、見る必要はなかった。
「それは、佐久間君からの」
「もちろん。さっき生徒会用のポストを覗いたら、これが入っていてね。いま彼は少年鑑別所にいるらしいけれど、そこから送られてきたんだろう。読むかい?」
「もちろんです」
僕と高千穂翠は、揃ってうなずいた。
佐久間君の手紙が封筒から出てくる。
中身は、そういえばしげしげと見るのは初めてかもしれない、鉛筆で書かれた佐久間君の直筆だった。
『生徒会長、副会長、前生徒会長へ
皆さま、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
特に生徒会長、あなたを襲撃したことはまったくぼくの不徳の致すところでございます。お許しくださいとは言えませんが、改めて謝罪致します。
もうこんな手紙を書く資格など、ぼくには存在しないと分かっていますが、それでも最後の最後に、どうしても書きたくなりました。それはこのぼくがどうして殺人犯Xとなったか、その過程について、話さずにはいられないからです。
まず大前提として、ぼくの家は母子家庭で、あまり豊かではありませんでした。Xの手紙を書いたのは家にあった、型落ちのノートパソコンとプリンターでしたが、紙や封筒に印刷するたびにガタガタとうるさくてたまりませんでした。殺人犯としての手紙さえなんだか安っぽく書いてしまったのが、いまでも悔しくてなりません。水筒の件もそうです。本当は第一の事件のあとに捨てるつもりでしたが、捨てようとすると母親が、その水筒は高かったのに、高校の入学祝いで買ったものを、もったいない、と激怒したために捨てられませんでした。高いといっても三千円ほどだったと思います。こういうところが、泣けてくるほどにうんざりしますし、結局水筒を捨てられなかった自分の甘さも嫌になります。
ぼくは、背が低く、身体も弱く、運動もできず、成績も決して優秀ではない人間でした。そんなことだから、子供のうちからぼくはひどく、教師にも同級生にも、ときには下級生からさえ馬鹿にされる人生を送ってきました。安曇学園においても、永谷や猿田、里村のような人間にいつも蹂躙されておりました。ですから、永谷や猿田の遺族には少し申し訳なく思う気持ちもありますが、永谷や猿田自身を殺したことには、後悔しておりません。たかがハラスメントや、たかがからかいだと思うひともいるかもしれませんが、ぼくにとっては、たまらなく嫌で、嫌で、嫌で、その上、小学生のころから続いてきたいじめられ人生が、高校に入ってまで、まだ続くのかと思い、鬱憤の大爆発でもあった殺害でした。ちょっとした悪ふざけでも、ほんの小さなからかいでも、積み重ねればひとは病んでしまいます。爆発してしまいます。それだけは分かっていただきたいといまでも思っています。
けれども、ただの恨みや、いじめの復讐だけで彼らを殺害したのではない。それは生徒会長も推理された通りです。私には大目的がありました。
そもそもの始まりは、鵜久森前生徒会長が、芸能人RIONを学校に呼んだ瞬間でした。あのRIONという芸能人は、さすがに人生の勝ち組だけあって、実に快活に告げたものです。
高校時代の友達とはいまでも会うし、昔の話をよくする。
実に愕然としたのです。あれほど成功した芸能人でも、昔の友達と会って、学生時代の話をするのです。どんな話をするのでしょうか。ぼくは気になって仕方がありません。
そこでぼくはネットを使って、検索をしていきました。すると、いろんな話が出てきます。学生時代、嫌いだったやつと街で会ったが無視をしたとか、学生時代に変なやつがクラスにいたのでみんなで笑っていたとか。
さらに、こんな話もあります。学生時代にいじめられていたが、同窓会に誘ってもらえなかったとか、あるいは大人になって出世しても、学生時代にダサかったことで未だに馬鹿にされるとか、さらには大人になっても、クラスの一軍のような人間を見かけると未だに怯えてしまう、とか。
一番辛かったのは、学生時代にいじめられていたひとが、三十歳になり四十歳になり五十歳になっても、いまだに当時のことを思い出しては苦しむ、という話を見たときでした。自分は四十歳で結婚もできず、子供もおらず、けれどもある日、地元のスーパーに行ったら昔のいじめっ子が奥さんと子供を連れて楽しそうに笑っていた、自分は歯がゆくて悔しくて吐きそうだった、という話です。
まるで自分の未来を見るようでした。
ぼくの家は貧しく、母親も、ぼくが奨学金を使ってまで大学に行くことは反対しています。ぼくは高卒で就職をすることになるでしょうが、それではどう頑張っても、いわゆる勝ち組にはなれそうもありません。いやあるいは社会に出て勝ち組になったとしても、ぼくはいじめっ子たちから話題にされるのかもしれない。笑われ馬鹿にされ、過去のことを蒸し返される。想像するだけでたまらないのです。
実に、見えすぎてしまうのです。ネットに数多あがっている、敗北者たちの雄叫び。それはどう考えても自分の未来でした。負け犬はいつまでも負け犬の根性を引きずるのです。勝ち組はどんなときでも勝ち組です。
身近な例を見ても、未来は絶望そのものでした。母は父と別れて、毎日不機嫌、貧乏暮らし、いつもヒステリックに僕を怒鳴りまわすだけ。父は養育費を踏み倒して行方不明。延岡先生のような聡明な教師でも、永谷のような男になびく。保健の巽など、生徒相手でも噂話をばらまいて楽しんでいる最低の教師。校長と教頭の関係など最悪そのものです。五十代になっても、小学校時代の関係を引きずっている大人なんて、ぼくから見れば悪夢そのものです。ぞっとしました。五十代になって、猿田が、あるいは猿田のような男が自分の上司になっている姿を想像してしまいました。妄想にもほどがある、と笑われるかもしれません。でもぼくにとっては切実でした。
嫌だ、なにもかも嫌だ。すべて終わってしまえ。消えてなくなれ、安曇学園など。そう思ったとき、殺人の衝動が湧いてきました。それも、恨み重なる永谷と猿田を殺すだけでは済まさない。
安曇学園の生徒の中に殺人犯がいる。
しかしその殺人犯が誰かは分からない。
そういう状態を作り出そうと思いました。
そうすれば、友達同士で集まったり、話をしたりすることがなくなる。卒業したあとでも、RIONのように昔の友達と集まって、過去の話をすることができなくなるでしょう。同窓会だって開かれなくなるはずです。Xの正体が分からないままなら、同窓会で会う相手がXかもしれないとみんな思いますからね。
それでも同窓会が開かれて、過去のことを話したとしても、そのときみんなの頭に浮かぶのは、クラスの中にいた変なヤツ、ダサいやつのことではありません。連続殺人犯Xのことが絶対に浮かぶはずです。佐久間巧の名前など、Xの前には消し飛んでしまうはずです。そうなってほしかったのです。
安曇学園の友情が崩壊し、誰もがただ黙って勉強だけをして、学校を卒業し、卒業したら二度と顔を合わさない。そんな未来を殺人犯Xは望んだのです。
だめでしたね。
ぼくの計画は生徒会長によって破られました。
挫折そのものです。警察に捕まっただけでは、ここまでぼくは落ち込まなかった。生徒会長、あなたによって、決して勝ち組ではなかったあなたによって、仮にも仲間であったあなたによって、ぼくの罪が暴かれる。本当に、世界はぼくに対して冷たいな。
けれども、ぼくの夢は半分は叶ったのです。
Xが登場してからしばらくの間、授業は静かになっていました。いじめやからかいも激減していました。ぼくが逮捕されたとはいえ、一度こうなると、しばらくは学校の雰囲気も真面目になったことでしょう。ぼくが殺人犯となることで、安曇学園の中のいじめが少しは減ると思えば、これはやった甲斐があるというものです。
そしてぼく自身も。
何年も何十年も経って、当時の同級生たちから、佐久間巧、誰だっけ、ああいたね、変なやつだったね、嫌いだった、いじめられていたよね、いまはなにをしているの、さあ分からない、ニートじゃないの、なんて、笑いものにされるくらいならば。ぼく自身が生涯消えない劣等感を抱えて老人になっていくくらいならば、最悪の殺人鬼としてひとびとに忌み嫌われたほうがよほどマシなのです。
ぼくは殺人犯Xになって、良かったと思っています。
けれども生徒会長をあのとき襲ったことだけは、謝罪致します。
副会長、あなたも強かった。お見事でした。生徒会長とこれからも仲良くやってください。
最後に鵜久森先輩。どうしてぼくを生徒会に誘ったのか、いまになっても分かりません。あなたは明るいし可愛いけれど、だから正直、苦手でした。一緒にいるだけで場違いな自分を意識してしまう。なぜ、ぼくのような人間に声をかけてきたのですか。ぼくはあなたのことが、大嫌いではなかったけれど、最後までなにを考えているのか、よく分かりませんでした。
ともあれ、生徒会の皆さん。
一緒に過ごした時期は、楽しかったです。
これだけは本心です。ぼくの心がXになる前に、出会えていればよかったと、いまでも思います。けれども、もうなにもかも手遅れですね。
これからもどうぞ、お元気で。
カフェで一緒に食べたナポリタン、美味しかったです。
佐久間巧 安曇学園専門殺人犯X より』
「辛いなあ」
手紙を読み終えた瞬間、ウグ先輩は生徒会室のパイプ椅子の上に座ると、上半身全体をうなだれさせて、ほとんど突っ伏したような格好で、嗚咽を漏らし始めた。
「そうなんだ。苦手だったか。友情さえ伝わっていなかったか。そっかぁ……」
動きもせずに、ただ涙を流し続けていた。窓から夜空が見えた。驚くほど静まりかえった、午後六時の生徒会室で、高千穂翠が静かに言った。
「先輩。佐久間君のこと、好きだったんですね」
「えっ」
僕は仰天して、高千穂翠に目を向けた。
「そんなに驚くようなこと?」
「いや、だって」
可愛くて、年上で、みんなの人気者のウグ先輩だぜ、と僕は言いたくなった。
それが佐久間君を好きになるっていうのは、あまり想像つかない――
けれども思い返すと、心当たりはある。
ウグ先輩はいつも佐久間君の近くにいた。佐久間君のことならなんでもフォローしていた。そもそも佐久間君を生徒会に連れてきたのも先輩だ。いきなり探偵団をやり出したのも、いまにして思えば佐久間君の前でいいところを見せたかったからじゃないのか。
「佐久間君はね、すごく綺麗な心を持っていたんだよ」
ウグ先輩は、床に目を落としながら、
「佐久間君が宮沢賢治の感想文で賞を取ったの、知ってるよね? 佐久間君はね、宮沢賢治の『よだかの星』という作品の感想を書いたんだ。
よだかは見た目が悪くて、ただそれだけで仲間から嫌われて、馬鹿にされて、生きることに絶望して、太陽からも星からも相手にされず、最後はみずから星になる話。佐久間君はね、その感想を、とても綺麗な文章で書いて。私はその文章が、感想が、そんな心を持った佐久間君が大好きで……」
そのとき、一際大きなウグ先輩の泣き声が、廊下にまで響き渡った。
憤怒と悲哀が、僕の中に湧き上がる。
佐久間君、いやX。君はなにをやってしまったんだ。
こんなにも近くに、君を認めてくれていたひとがいたのに。
少しだけ隣に目を向けて、人間を信じることができていたなら、殺人犯になんかならなくてよかったのに。馬鹿野郎。Xに襲われた足の痛みを思い出した。本当に馬鹿だよ、あいつは。
「わたし、永谷先生とのバスケのことは今日を限りに忘れる」
ふいに、高千穂翠が静かな声で言った。
「辛い過去とか怒りにばかり、目を向けたらいけない。永谷の末路に喜んでいたらいけない。たぶんもっと近くに、ちゃんと見るべきものがあると思うから」
僕に眼差しを向けてくれた高千穂翠の瞳は、光っていた。
「そうだよな。それがいい。悲しいことばかりに思いを馳せてちゃいけない。……」
冬季を帯びた冷たい風が、校舎の窓をカタカタ揺らす。学園の中にぽっかりと、なにか大きな穴が開いたような感覚は消えない。それでも僕は、明日もこの部屋にやってきて、彼女と生徒会の務めを果たそう。
高千穂翠がスクールバッグからミニタオルを取り出し、ウグ先輩に涙を拭くよう促した。僕はXの手紙を九通、すべてを力いっぱいに破り裂き、過ぎ去りしものとして扱うと、机の上に置かれたままの、冷め切ったけれど、それでも彼女の温もりを感じる一杯の残りを口にした。
高千穂翠と眼が合った。
(また明日)
(学校で)
この一瞬の続きにこそ、見るべき自分の未来があるのだと僕は確信した。
(了)
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