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第十四話 十月二十九日――学園専門殺人犯Xの正体
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「その正体は?」
高千穂翠の問いかけに、僕ははっきりとその名を告げた。
「残念だけど、言いたくないけれど。Xの正体は、……佐久間巧君。君だ」
僕の指摘を受けた佐久間君は、ただ無言。
むしろ高千穂翠と、かたわらにいるウグ先輩のほうが呼吸を止めて、瞳を見開いたくらいだった。
「なにを言ってるんだい? なにを言ってるの、会長。なんで、どうして佐久間君がX、嘘だろう、ふざけないでくれ!」
「本当です、鵜久森先輩。ふざけてなんかいません。殺人犯Xは紛うことなく、佐久間君なんです」
「そんなことあるもんか! だって、佐久間君は――」
「すべての事件でアリバイがありません。すべての事件に動機があります。そしてXである証拠も」
「証拠!? どんな証拠があるんだい? 言ってごらん、佐久間君がXなんて、そんな証拠、いったいどこに」
「ぼくも聞きたいですね、会長。どういう理由でぼくをXだと言うんです?」
佐久間君は、穏やかな声だった。
「じゃあひとつずつ、話していこう。佐久間君。君はある目的を達成するために殺人犯Xとなった。その最終目的はまた後で語るとして、さしあたっての目標は永谷先生を殺すことだった。理由は君自身がすでに語っていた通りだ。永谷先生は、運動が苦手な君を嫌っていたし、君もまた永谷先生を嫌い、恨んでいた。
そのために君は殺人を計画し、コーヒーや空き瓶など必要な道具を買い集めた」
第一の殺人で、コーヒーを使ったトリックで殺害時刻をごまかしたことを、僕は語った。
「永谷先生を殺し、トリックで殺害時刻をごまかした君は、殺人犯Xとしての手紙を残した。これにより『殺人犯Xは学校の中にいる』と人々に思わせることに成功した。と同時に、生徒会として犯行を検証することで『犯人は自分ではない』とすることにも成功した。
『殺人犯Xは学校の中にいるとみんなに思わせる』
『だが犯人は佐久間巧ではない』
この二点が殺人犯Xの根底に流れる行動動機になる。君はそのために手紙を何度も書くことになるんだけど、それもまた後で語ろう。
うまく永谷先生を殺した君だったが、計算外の出来事として、犯人は教師だ、あるいは外部犯だという流れになってしまった。これではいけないと思った君は、手紙で何度も、自分は学内の人間だとアピールした。と同時に、猿田君を殺害することに決めた。
猿田君を殺した理由は、Xを内部犯だと思わせたいためだが、もうひとつ。手紙からも分かるが、きっと恨みもあったんだろう。君と猿田君は一年生のときにクラスメイトだった。だが職員室で猿田君と君が会ったとき、君はお世辞にも友好的な態度をとらなかった。猿田君の親友だった里村君も、君に対して『なんで同級生に敬語なんだ』と、君の性格を気に入らないような態度をとっていた。こういった感情的な嫌悪感と恨み、そしてXとしての最終目的を達するために君は猿田君を殺した」
「……お、おっしゃる通り。ぼくは猿田君が、いや猿田が、嫌いでした」
佐久間君は、伏し目がちに答えた。
「一年生のときから、なにかにつけてぼくをからかってきて、授業中では僕が答えるたびに笑って、女子の前で僕をからかいの道具にして、体育の時間ではわざとボールをぶつけてきたり、最悪、もう、最悪でした」
「そんなことをしていたのか。猿田く、……猿田は」
ウグ先輩が、拳を握りしめる。
「で、でも、だからって殺すとなると、別じゃないですか。僕が猿田を殺した証拠が、あ、あるんですか」
「最終的には、ある。あるけれど、まず僕の推理を話そう。猿田君に狙いを定めた君は、事件当日の朝、公衆電話を使って猿田君の家に電話をかけた。携帯にかけなかったのは、猿田君の携帯の番号を知らなかったからだ。だけど家の電話番号なら分かった。
生徒会は、生徒全員の住所と保護者の電話番号を知ることができるからだ」
「……!」
高千穂翠とウグ先輩が、揃って息をのんだのが分かった。
「恐らく君は、猿田君の両親には猿田君の友達だと名乗り、猿田君本人にはXだと名乗ったんじゃないか。そしてこう言った。『雨合羽を着て、なるべく防犯カメラに写らないようにしながら、学校の屋上にすぐ来い』と。
雨合羽を着させた理由は、猿田君本人よりも君のほうにある。猿田君に雨合羽を着させて、自分も雨合羽を着る。そうすることで、防犯カメラに顔が映らないようにするんだ。
さて、君がどうやって猿田君を誘ったかは、想像になるが……。
君と猿田君は一年生のときにクラスメイトだった。猿田君は一年生のときに、同じクラスの女の子と付き合っていたらしい。思うに、その女の子を人質に取った、くらいのことは言ったかもしれない。元カノの命が惜しければ警察に誰にも言わずにすぐ来い、と。
君は、呼び出した猿田君と校舎の前で合流した。君はこう言ったことだろう。ぼくもXに呼び出された、一緒に行こう、と。猿田君は、まさか佐久間君をXだと思わなかっただろうから、ふたりで屋上に出向いただろうね。
そして屋上に着いたとき、君は猿田君をスプレーで襲撃し、殺した。ティッシュのトリックで、何時に殺害したのか、その殺害時刻をうまくごまかすことで、当時学校にいた生徒の大半を容疑者とした。
第一の事件のときもそうだったが、君は自分のアリバイを作らない。その代わりに、生徒の大多数が犯行可能な状態で事件を起こすことで、自分に疑いがあまり来ないようにしている。
『殺人犯Xは学校の中にいるとみんなに思わせる』
『だが犯人は佐久間巧ではない』
この思考は、第二の事件でも貫かれていることが分かる。
……そう、猿田君を屋上で殺したのは、雨のティッシュで時間をかけて鼻を詰まらせるだけじゃなく、屋上はふだん施錠されているから、ひとが滅多に来ないからだ。だから遺体発見は掃除時間になると確定的に予想できる。
そうそう、そう言えば、Xはどうやって屋上の鍵を開けたのか。数日間、Xが出てこず平和な時期があったね。あのとき僕らは、ごく普通の生徒会活動をしていたが、あのときさ。
君は生徒会の活動をするふりをして、雨の日の前日に職員室からカギを借りて、屋上に出るドアの鍵を開けたんだ。例えば旧視聴覚室など、他の特殊教室の鍵を借りるついでに屋上の鍵も借りたんだろう」
「ま、待ちたまえ、会長。里村君の家でも話題になったけれど、ビニールの雨合羽や手袋は、どこに消えたんだい。第一の事件でも第二の事件でも、行方不明になったけれど。家に持って帰ったのかい?」
「最終的にはそうしたと思います。ただそれまでの間、つまり犯行から帰宅までの間は、血まみれの雨合羽、水に濡れた雨合羽、痕跡まみれのビニール手袋。隠し場所は、……佐久間君。君が持っていた、あの大きな水筒はどこに行った?」
「えっ……」
佐久間君は、露骨に目を逸らした。
「初めて会ったときからずっと持っていた、あの水筒だよ。思えば君があの水筒を使っているのを見たことがない。まさにあれが、ビニール合羽とビニール手袋の隠し場所だったんだ。コーヒーのトリックと同じだ。あの水筒の中にあらかじめコーヒーを入れておいて、合羽と手袋を詰め込めば、水筒を開けたって分からない」
「…………」
佐久間君は、何度もまばたきを繰り返した。
「……そ、それじゃ会長。会長を襲ったのもぼくだと言うつもり、ですか?」
「もちろんそうだよ。全校集会で演説をした僕に対して腹を立てた君は、殺そうと思って僕を襲撃した。副会長に邪魔をされて、目的は達成できなかったけれどね」
僕は高千穂翠の横顔に目を向けた。
高千穂翠は無言のまま、絶句しているように見えた。
佐久間君は、僕の推理を聞いて、あちらこちらへと視線を飛ばしていたが、やがて、
「くっ」
と、口元に微笑を浮かべ、
「それで終わりですか、会長。本当に? し、証拠は。なんの証拠もないじゃないですか。馬鹿馬鹿しいですよ。ちょっと大きな水筒を持っていたからって、今日は持ってきていないからって、そんなの。水筒なら、い、家にありますよ。僕がXだという証明は、どこにあるんですか。全部、想像じゃないですか。……」
「そう、ここまでだと推測に過ぎない。だが証拠はある。残念だけど、ちゃんとあるんだ」
「どこに!」
「ここに」
僕は、まさに佐久間君自身が作った、Xの手紙を印刷したファイルを掲げた。
「その手紙がなんだっていうんですか。そ、そのファイルが、いったい」
「ふたつ、ある。まず一つ目を言おうか。このファイルはXから送られてきた手紙を、順番通りに並べたものだね?」
「そうですよ!」
「それがまずおかしいんだ。このファイルの四通目、五通目、六通目。十月八日に発見された、Xから来た手紙だ。順番通りに並べたというけれど、その順番がおかしい。テレビやネットに掲載された手紙とは、その順序が違うんだ」
「……なんですって!?」
佐久間君は、仰天の眼差しでファイルを見つめる。
僕は続けた。
「いいかい。十月八日に発見されたXの手紙三通は、テレビでもネットでも、この順番で掲載された。【私は本当にどこからでも現れて】、【昨日のニュースをご覧になりましたか】【昨日のニュースを見たのですか、みんな見ましたか】。なんでこの順番なのか。発見されたのがこの順序だからだ。
けれどもこのファイルでは、順序が【昨日のニュースをご覧になりましたか】【昨日のニュースを見たのですか、みんな見ましたか】【私は本当にどこからでも現れて】になっている。なんでこうなったのか。それは発見された順序ではなく、書いた順序に君が並べてしまったからだ。
手紙をよく読み返すと、君が書いた順番のほうで読んだほうがしっくり来る。バァーッと、のくだりなんか特にそうだ。君は思わず、自分が書いた順番に手紙の画像を並べてしまった。それができるのは、手紙を書いたX本人だけだ」
「なにを、なにを言うんですか、会長。ばか、馬鹿げている。そんなの、ちょっと間違えただけじゃないですか。そんなので証拠だって言われちゃ、た、たまらないですよ」
「そうだ、これはあくまでも状況証拠のひとつに過ぎない。だが、ここにもうひとつある。君が犯した命取りのミスが」
「ど、どんな!」
「思い出してくれ。
佐久間君だけじゃない、副会長も、鵜久森先輩も。
十月八日のXの手紙三通が、生徒みんなのSNSを駆け巡り、共有されたときのことを。みんなSNSで、Xの手紙三通を共有した。僕も鵜久森先輩から送られてきた。副会長は陰山さんから送られてきた。
さて佐久間君、君もあのとき、Xの手紙の内容を知っていたね。
ところで君は、誰から画像を送られてきたんだ?」
そのとき佐久間君の顔が、はっきりと歪んだ。
全身を硬直させている。ぴくり、ぴくりと顔全体が引きつっていた。
ウグ先輩も高千穂翠も、揃って佐久間君の顔に視線を送る。
「あのとき、僕は小さな違和感を抱いた。それがなんなのか、さっきまで分からなかったが、いまはもう理解した。
Xの手紙を撮影した画像はSNSによって学生みんなが共有した。けれどもSNSをやっていないひとや、SNSで友達が少ないひとには、当然だけど画像は回らない。佐久間君、君は普段から、友達がいない、友達がいないと連呼していたな。実際、SNSでも友達として繋がりがあるのは、僕と副会長と鵜久森先輩だけだと言っていた。
じゃあ、あのとき、十月八日の放課後――Xの手紙を君はどこで見たんだ?
手紙は発見されたばかりだった。まだテレビにもネットにも情報は上がっていなかった。僕も副会長も君に手紙の画像を送っていない。
じゃあ鵜久森先輩かというと、それも違う。あの直後、鵜久森先輩は君に対して『私からメッセージなんて普段はしない』と言っていた。君もスマホの操作には慣れていないようだった。
それなのに君はXの手紙の内容を知っていた。
なぜか。
もう分かるよね。
Xの手紙を書いたのが、君だからだ。
君が、殺人犯Xだからだ」
宣告。
深い深い、海の底にでも沈んだかのような沈黙が訪れた。
高千穂翠は暗い眼をしてうつむき、ウグ先輩はただ小さな身体を震わせ、佐久間君は、いやXは、首を何度も左右に揺らす。錆び付いたロボットのような、ぎこちない動きで。
「……SNSか。……繋がりか。そうか、結局そういうので、ぼくは負けるのか。そういう、もので」
「佐久間君。違うよな。違うなら違うと言ってくれ。ねえ――」
「……鵜久森先輩。……あのとき、ど、どうして、ぼくに、Xの画像を送ってくれなかったんです、か? そうすればこんなことに、ならなかったのに。ぼくは友達でも、なんでもなかったんですよね。分かってます、分かってます。だけれど」
「ち、違うよ。私は、ただ、君と普段、そういうことをしないから、最初のメッセージがいきなりXの手紙だなんて、失礼かなって思って、それで。本当にそれだけなんだ。だからその後には普通のDMも送っただろう?」
「さ、猿田君とは、あんなに楽しそうに話すのに、ですか」
「猿田なんかどうでもいい、あんなひとは好きでも嫌いでもなかった。だからポンポン話ができるんだよ。でも、でも君は違う。私は君のことを大切に思っているから、簡単にはできないよ。女の子から連絡なんて、本当に勇気がいるから。だから最初はXの手紙じゃなくて、もっと、こう、気軽な感じのDMにしたいと思って。……佐久間君、本当に? 本当に君がX――」
「ああ、そうですよ!!」
佐久間巧は。
殺人犯Xは、救いようがないほどの甲高い声で絶叫した。
「ぼくだ。ぼくがXだ。永谷も猿田もぼくが殺した。会長もぼくが襲った。手紙もみんな、ぼくが書いた! 全部、ぜえんぶ、ぼくがやったんだよ!!」
「そう、だったんだ……」
佐久間君の雄叫びを聞いても、高千穂翠はさほど驚いた顔を見せない。
ただ、悲しそうに目を背けた。
愕然としていたのは、ウグ先輩だった。
どうして、と、痛々しい声でうめいた。なんで、とつぶやいた。
「なんで佐久間君がXなんだい? 分からないよ。そんなに永谷先生や猿田が嫌いだったのかい? いや、それだけじゃないよね。目的があるって会長も言っていたものな。でもその目的って、いったいなに……」
「先輩。目的は手紙に書いてあります。特にこの八通目の手紙に。『会うな、会うな、一生会うな。安曇学園の人間とはもう会うな』。ここにXの、佐久間君の目的があります」
「……どういうことだい。まるで分からない」
「Xの目的は、安曇学園の生徒たちが、全員、お互いのことを殺人犯かもしれないと思うことにあったんです。
クラスメイトが殺人犯かもしれない。殺人犯かもしれない人間と仲良くなる人間はいない。ふたりきりになる人間はいない。休日に遊ぼうという人間はいない。Xの目的はそうだったんです。Xは、安曇学園の生徒たちの、友情なり仲間意識なり、そういった関係をすべて、永遠に断ち切るために、殺人事件を巻き起こしたんです。
この僕を襲ったのも、あの全校集会の演説が、Xにとって邪魔だったからです。あのとき僕はアドリブですが、こう言いました」
『卒業して何年か経ったら、あんなこともあったね、と振り返って、永谷先生や猿田君のことを悼みながらも、幸せな人生を送って、友達同士でまた集まることができる、そんな未来が必ずやってくる』
「そんな未来、Xにとってはたまったものじゃなかったんです。はらわたが煮えくり返る思いで、聞いていたと思います。そうだろう、X?」
「そうだ……」
佐久間君は、薄い笑みを浮かべながら言った。
「まだ言いたいことはあるけれども、ほぼ正解だ。よくそこまで、ぼくのことが分かったな」
「推理力より共感力とか想像力の問題。君が言った通りだよ。自慢じゃないが、僕も大概、友達が少ないからな」
「ふうん。そのわりには、……まあ、もう、どうでもいいか……」
「敬語を使わなくなったね、佐久間君」
「そういえば。どうしてかな」
佐久間君は、やけくそみたいに笑った。ウグ先輩は、その場にぺたりと座り込んでしまった。高千穂翠はくちびるを噛みしめて、眉間にしわを寄せて、肩を震わせている。どういう顔をしていいのか分からない、といった様子だ。
「そんな顔をしないでくださいよ、副会長。そんなに驚くほど、ぼくと副会長の間に友情や、良い思い出はないでしょう。まさにそういうところに、うんざりする。で、でも、それも、もうどうでもいい。……会長、僕が書いた手紙の八通目、そう、印刷したやつ。ちょっと、見せてくれないかな。……」
僕は少し迷ったが、持っていたファイルの中から八通目の手紙が印刷された紙を取り出すと、佐久間君に手渡した。佐久間君は、白昼夢でも見ているかのようなぼんやりとした眼差しで、その八通目を眺めると、
「これでおしまい」
それだけ言って、急に右手を、制服のふところに入れて――まずい!
「やめろ、佐久間君!」
僕が叫んだが早いか、佐久間君が早いか。
彼は右手にカッターナイフを握りしめ、刃を出すと、一気に自分の腹部を突いた。僕は飛びかかったが、間に合わなかった。だが僕よりも先に、高千穂翠が動いていた。佐久間君は自分の、胸と腹の中間あたりを刺していたが、さらに奥深くへ刃物を進める直前に、高千穂翠によって激しく頬を平手打ちされ、さらにその、右手に持っていたナイフを思い切り蹴り飛ばされたのである。
「ずるい!」
高千穂翠は、吠えた。
「そんなのずるい、佐久間君!」
彼女が流した涙を見て、そうか、高千穂翠もまた、佐久間君の、つまりXの行動動機を、その最終目的を、本能的に察したのだと僕は理解した。
佐久間君の、Xの、本当の目的。
絶望。殺人の動機。それは――
そのときウグ先輩がスマホを取り出して、電話をかけ始めた。
「救急車、お願いします。安曇学園です。怪我人です。はい、そうです。
……友達が。
はい、友達が怪我をしているんです!
早く来てください!!」
高千穂翠の問いかけに、僕ははっきりとその名を告げた。
「残念だけど、言いたくないけれど。Xの正体は、……佐久間巧君。君だ」
僕の指摘を受けた佐久間君は、ただ無言。
むしろ高千穂翠と、かたわらにいるウグ先輩のほうが呼吸を止めて、瞳を見開いたくらいだった。
「なにを言ってるんだい? なにを言ってるの、会長。なんで、どうして佐久間君がX、嘘だろう、ふざけないでくれ!」
「本当です、鵜久森先輩。ふざけてなんかいません。殺人犯Xは紛うことなく、佐久間君なんです」
「そんなことあるもんか! だって、佐久間君は――」
「すべての事件でアリバイがありません。すべての事件に動機があります。そしてXである証拠も」
「証拠!? どんな証拠があるんだい? 言ってごらん、佐久間君がXなんて、そんな証拠、いったいどこに」
「ぼくも聞きたいですね、会長。どういう理由でぼくをXだと言うんです?」
佐久間君は、穏やかな声だった。
「じゃあひとつずつ、話していこう。佐久間君。君はある目的を達成するために殺人犯Xとなった。その最終目的はまた後で語るとして、さしあたっての目標は永谷先生を殺すことだった。理由は君自身がすでに語っていた通りだ。永谷先生は、運動が苦手な君を嫌っていたし、君もまた永谷先生を嫌い、恨んでいた。
そのために君は殺人を計画し、コーヒーや空き瓶など必要な道具を買い集めた」
第一の殺人で、コーヒーを使ったトリックで殺害時刻をごまかしたことを、僕は語った。
「永谷先生を殺し、トリックで殺害時刻をごまかした君は、殺人犯Xとしての手紙を残した。これにより『殺人犯Xは学校の中にいる』と人々に思わせることに成功した。と同時に、生徒会として犯行を検証することで『犯人は自分ではない』とすることにも成功した。
『殺人犯Xは学校の中にいるとみんなに思わせる』
『だが犯人は佐久間巧ではない』
この二点が殺人犯Xの根底に流れる行動動機になる。君はそのために手紙を何度も書くことになるんだけど、それもまた後で語ろう。
うまく永谷先生を殺した君だったが、計算外の出来事として、犯人は教師だ、あるいは外部犯だという流れになってしまった。これではいけないと思った君は、手紙で何度も、自分は学内の人間だとアピールした。と同時に、猿田君を殺害することに決めた。
猿田君を殺した理由は、Xを内部犯だと思わせたいためだが、もうひとつ。手紙からも分かるが、きっと恨みもあったんだろう。君と猿田君は一年生のときにクラスメイトだった。だが職員室で猿田君と君が会ったとき、君はお世辞にも友好的な態度をとらなかった。猿田君の親友だった里村君も、君に対して『なんで同級生に敬語なんだ』と、君の性格を気に入らないような態度をとっていた。こういった感情的な嫌悪感と恨み、そしてXとしての最終目的を達するために君は猿田君を殺した」
「……お、おっしゃる通り。ぼくは猿田君が、いや猿田が、嫌いでした」
佐久間君は、伏し目がちに答えた。
「一年生のときから、なにかにつけてぼくをからかってきて、授業中では僕が答えるたびに笑って、女子の前で僕をからかいの道具にして、体育の時間ではわざとボールをぶつけてきたり、最悪、もう、最悪でした」
「そんなことをしていたのか。猿田く、……猿田は」
ウグ先輩が、拳を握りしめる。
「で、でも、だからって殺すとなると、別じゃないですか。僕が猿田を殺した証拠が、あ、あるんですか」
「最終的には、ある。あるけれど、まず僕の推理を話そう。猿田君に狙いを定めた君は、事件当日の朝、公衆電話を使って猿田君の家に電話をかけた。携帯にかけなかったのは、猿田君の携帯の番号を知らなかったからだ。だけど家の電話番号なら分かった。
生徒会は、生徒全員の住所と保護者の電話番号を知ることができるからだ」
「……!」
高千穂翠とウグ先輩が、揃って息をのんだのが分かった。
「恐らく君は、猿田君の両親には猿田君の友達だと名乗り、猿田君本人にはXだと名乗ったんじゃないか。そしてこう言った。『雨合羽を着て、なるべく防犯カメラに写らないようにしながら、学校の屋上にすぐ来い』と。
雨合羽を着させた理由は、猿田君本人よりも君のほうにある。猿田君に雨合羽を着させて、自分も雨合羽を着る。そうすることで、防犯カメラに顔が映らないようにするんだ。
さて、君がどうやって猿田君を誘ったかは、想像になるが……。
君と猿田君は一年生のときにクラスメイトだった。猿田君は一年生のときに、同じクラスの女の子と付き合っていたらしい。思うに、その女の子を人質に取った、くらいのことは言ったかもしれない。元カノの命が惜しければ警察に誰にも言わずにすぐ来い、と。
君は、呼び出した猿田君と校舎の前で合流した。君はこう言ったことだろう。ぼくもXに呼び出された、一緒に行こう、と。猿田君は、まさか佐久間君をXだと思わなかっただろうから、ふたりで屋上に出向いただろうね。
そして屋上に着いたとき、君は猿田君をスプレーで襲撃し、殺した。ティッシュのトリックで、何時に殺害したのか、その殺害時刻をうまくごまかすことで、当時学校にいた生徒の大半を容疑者とした。
第一の事件のときもそうだったが、君は自分のアリバイを作らない。その代わりに、生徒の大多数が犯行可能な状態で事件を起こすことで、自分に疑いがあまり来ないようにしている。
『殺人犯Xは学校の中にいるとみんなに思わせる』
『だが犯人は佐久間巧ではない』
この思考は、第二の事件でも貫かれていることが分かる。
……そう、猿田君を屋上で殺したのは、雨のティッシュで時間をかけて鼻を詰まらせるだけじゃなく、屋上はふだん施錠されているから、ひとが滅多に来ないからだ。だから遺体発見は掃除時間になると確定的に予想できる。
そうそう、そう言えば、Xはどうやって屋上の鍵を開けたのか。数日間、Xが出てこず平和な時期があったね。あのとき僕らは、ごく普通の生徒会活動をしていたが、あのときさ。
君は生徒会の活動をするふりをして、雨の日の前日に職員室からカギを借りて、屋上に出るドアの鍵を開けたんだ。例えば旧視聴覚室など、他の特殊教室の鍵を借りるついでに屋上の鍵も借りたんだろう」
「ま、待ちたまえ、会長。里村君の家でも話題になったけれど、ビニールの雨合羽や手袋は、どこに消えたんだい。第一の事件でも第二の事件でも、行方不明になったけれど。家に持って帰ったのかい?」
「最終的にはそうしたと思います。ただそれまでの間、つまり犯行から帰宅までの間は、血まみれの雨合羽、水に濡れた雨合羽、痕跡まみれのビニール手袋。隠し場所は、……佐久間君。君が持っていた、あの大きな水筒はどこに行った?」
「えっ……」
佐久間君は、露骨に目を逸らした。
「初めて会ったときからずっと持っていた、あの水筒だよ。思えば君があの水筒を使っているのを見たことがない。まさにあれが、ビニール合羽とビニール手袋の隠し場所だったんだ。コーヒーのトリックと同じだ。あの水筒の中にあらかじめコーヒーを入れておいて、合羽と手袋を詰め込めば、水筒を開けたって分からない」
「…………」
佐久間君は、何度もまばたきを繰り返した。
「……そ、それじゃ会長。会長を襲ったのもぼくだと言うつもり、ですか?」
「もちろんそうだよ。全校集会で演説をした僕に対して腹を立てた君は、殺そうと思って僕を襲撃した。副会長に邪魔をされて、目的は達成できなかったけれどね」
僕は高千穂翠の横顔に目を向けた。
高千穂翠は無言のまま、絶句しているように見えた。
佐久間君は、僕の推理を聞いて、あちらこちらへと視線を飛ばしていたが、やがて、
「くっ」
と、口元に微笑を浮かべ、
「それで終わりですか、会長。本当に? し、証拠は。なんの証拠もないじゃないですか。馬鹿馬鹿しいですよ。ちょっと大きな水筒を持っていたからって、今日は持ってきていないからって、そんなの。水筒なら、い、家にありますよ。僕がXだという証明は、どこにあるんですか。全部、想像じゃないですか。……」
「そう、ここまでだと推測に過ぎない。だが証拠はある。残念だけど、ちゃんとあるんだ」
「どこに!」
「ここに」
僕は、まさに佐久間君自身が作った、Xの手紙を印刷したファイルを掲げた。
「その手紙がなんだっていうんですか。そ、そのファイルが、いったい」
「ふたつ、ある。まず一つ目を言おうか。このファイルはXから送られてきた手紙を、順番通りに並べたものだね?」
「そうですよ!」
「それがまずおかしいんだ。このファイルの四通目、五通目、六通目。十月八日に発見された、Xから来た手紙だ。順番通りに並べたというけれど、その順番がおかしい。テレビやネットに掲載された手紙とは、その順序が違うんだ」
「……なんですって!?」
佐久間君は、仰天の眼差しでファイルを見つめる。
僕は続けた。
「いいかい。十月八日に発見されたXの手紙三通は、テレビでもネットでも、この順番で掲載された。【私は本当にどこからでも現れて】、【昨日のニュースをご覧になりましたか】【昨日のニュースを見たのですか、みんな見ましたか】。なんでこの順番なのか。発見されたのがこの順序だからだ。
けれどもこのファイルでは、順序が【昨日のニュースをご覧になりましたか】【昨日のニュースを見たのですか、みんな見ましたか】【私は本当にどこからでも現れて】になっている。なんでこうなったのか。それは発見された順序ではなく、書いた順序に君が並べてしまったからだ。
手紙をよく読み返すと、君が書いた順番のほうで読んだほうがしっくり来る。バァーッと、のくだりなんか特にそうだ。君は思わず、自分が書いた順番に手紙の画像を並べてしまった。それができるのは、手紙を書いたX本人だけだ」
「なにを、なにを言うんですか、会長。ばか、馬鹿げている。そんなの、ちょっと間違えただけじゃないですか。そんなので証拠だって言われちゃ、た、たまらないですよ」
「そうだ、これはあくまでも状況証拠のひとつに過ぎない。だが、ここにもうひとつある。君が犯した命取りのミスが」
「ど、どんな!」
「思い出してくれ。
佐久間君だけじゃない、副会長も、鵜久森先輩も。
十月八日のXの手紙三通が、生徒みんなのSNSを駆け巡り、共有されたときのことを。みんなSNSで、Xの手紙三通を共有した。僕も鵜久森先輩から送られてきた。副会長は陰山さんから送られてきた。
さて佐久間君、君もあのとき、Xの手紙の内容を知っていたね。
ところで君は、誰から画像を送られてきたんだ?」
そのとき佐久間君の顔が、はっきりと歪んだ。
全身を硬直させている。ぴくり、ぴくりと顔全体が引きつっていた。
ウグ先輩も高千穂翠も、揃って佐久間君の顔に視線を送る。
「あのとき、僕は小さな違和感を抱いた。それがなんなのか、さっきまで分からなかったが、いまはもう理解した。
Xの手紙を撮影した画像はSNSによって学生みんなが共有した。けれどもSNSをやっていないひとや、SNSで友達が少ないひとには、当然だけど画像は回らない。佐久間君、君は普段から、友達がいない、友達がいないと連呼していたな。実際、SNSでも友達として繋がりがあるのは、僕と副会長と鵜久森先輩だけだと言っていた。
じゃあ、あのとき、十月八日の放課後――Xの手紙を君はどこで見たんだ?
手紙は発見されたばかりだった。まだテレビにもネットにも情報は上がっていなかった。僕も副会長も君に手紙の画像を送っていない。
じゃあ鵜久森先輩かというと、それも違う。あの直後、鵜久森先輩は君に対して『私からメッセージなんて普段はしない』と言っていた。君もスマホの操作には慣れていないようだった。
それなのに君はXの手紙の内容を知っていた。
なぜか。
もう分かるよね。
Xの手紙を書いたのが、君だからだ。
君が、殺人犯Xだからだ」
宣告。
深い深い、海の底にでも沈んだかのような沈黙が訪れた。
高千穂翠は暗い眼をしてうつむき、ウグ先輩はただ小さな身体を震わせ、佐久間君は、いやXは、首を何度も左右に揺らす。錆び付いたロボットのような、ぎこちない動きで。
「……SNSか。……繋がりか。そうか、結局そういうので、ぼくは負けるのか。そういう、もので」
「佐久間君。違うよな。違うなら違うと言ってくれ。ねえ――」
「……鵜久森先輩。……あのとき、ど、どうして、ぼくに、Xの画像を送ってくれなかったんです、か? そうすればこんなことに、ならなかったのに。ぼくは友達でも、なんでもなかったんですよね。分かってます、分かってます。だけれど」
「ち、違うよ。私は、ただ、君と普段、そういうことをしないから、最初のメッセージがいきなりXの手紙だなんて、失礼かなって思って、それで。本当にそれだけなんだ。だからその後には普通のDMも送っただろう?」
「さ、猿田君とは、あんなに楽しそうに話すのに、ですか」
「猿田なんかどうでもいい、あんなひとは好きでも嫌いでもなかった。だからポンポン話ができるんだよ。でも、でも君は違う。私は君のことを大切に思っているから、簡単にはできないよ。女の子から連絡なんて、本当に勇気がいるから。だから最初はXの手紙じゃなくて、もっと、こう、気軽な感じのDMにしたいと思って。……佐久間君、本当に? 本当に君がX――」
「ああ、そうですよ!!」
佐久間巧は。
殺人犯Xは、救いようがないほどの甲高い声で絶叫した。
「ぼくだ。ぼくがXだ。永谷も猿田もぼくが殺した。会長もぼくが襲った。手紙もみんな、ぼくが書いた! 全部、ぜえんぶ、ぼくがやったんだよ!!」
「そう、だったんだ……」
佐久間君の雄叫びを聞いても、高千穂翠はさほど驚いた顔を見せない。
ただ、悲しそうに目を背けた。
愕然としていたのは、ウグ先輩だった。
どうして、と、痛々しい声でうめいた。なんで、とつぶやいた。
「なんで佐久間君がXなんだい? 分からないよ。そんなに永谷先生や猿田が嫌いだったのかい? いや、それだけじゃないよね。目的があるって会長も言っていたものな。でもその目的って、いったいなに……」
「先輩。目的は手紙に書いてあります。特にこの八通目の手紙に。『会うな、会うな、一生会うな。安曇学園の人間とはもう会うな』。ここにXの、佐久間君の目的があります」
「……どういうことだい。まるで分からない」
「Xの目的は、安曇学園の生徒たちが、全員、お互いのことを殺人犯かもしれないと思うことにあったんです。
クラスメイトが殺人犯かもしれない。殺人犯かもしれない人間と仲良くなる人間はいない。ふたりきりになる人間はいない。休日に遊ぼうという人間はいない。Xの目的はそうだったんです。Xは、安曇学園の生徒たちの、友情なり仲間意識なり、そういった関係をすべて、永遠に断ち切るために、殺人事件を巻き起こしたんです。
この僕を襲ったのも、あの全校集会の演説が、Xにとって邪魔だったからです。あのとき僕はアドリブですが、こう言いました」
『卒業して何年か経ったら、あんなこともあったね、と振り返って、永谷先生や猿田君のことを悼みながらも、幸せな人生を送って、友達同士でまた集まることができる、そんな未来が必ずやってくる』
「そんな未来、Xにとってはたまったものじゃなかったんです。はらわたが煮えくり返る思いで、聞いていたと思います。そうだろう、X?」
「そうだ……」
佐久間君は、薄い笑みを浮かべながら言った。
「まだ言いたいことはあるけれども、ほぼ正解だ。よくそこまで、ぼくのことが分かったな」
「推理力より共感力とか想像力の問題。君が言った通りだよ。自慢じゃないが、僕も大概、友達が少ないからな」
「ふうん。そのわりには、……まあ、もう、どうでもいいか……」
「敬語を使わなくなったね、佐久間君」
「そういえば。どうしてかな」
佐久間君は、やけくそみたいに笑った。ウグ先輩は、その場にぺたりと座り込んでしまった。高千穂翠はくちびるを噛みしめて、眉間にしわを寄せて、肩を震わせている。どういう顔をしていいのか分からない、といった様子だ。
「そんな顔をしないでくださいよ、副会長。そんなに驚くほど、ぼくと副会長の間に友情や、良い思い出はないでしょう。まさにそういうところに、うんざりする。で、でも、それも、もうどうでもいい。……会長、僕が書いた手紙の八通目、そう、印刷したやつ。ちょっと、見せてくれないかな。……」
僕は少し迷ったが、持っていたファイルの中から八通目の手紙が印刷された紙を取り出すと、佐久間君に手渡した。佐久間君は、白昼夢でも見ているかのようなぼんやりとした眼差しで、その八通目を眺めると、
「これでおしまい」
それだけ言って、急に右手を、制服のふところに入れて――まずい!
「やめろ、佐久間君!」
僕が叫んだが早いか、佐久間君が早いか。
彼は右手にカッターナイフを握りしめ、刃を出すと、一気に自分の腹部を突いた。僕は飛びかかったが、間に合わなかった。だが僕よりも先に、高千穂翠が動いていた。佐久間君は自分の、胸と腹の中間あたりを刺していたが、さらに奥深くへ刃物を進める直前に、高千穂翠によって激しく頬を平手打ちされ、さらにその、右手に持っていたナイフを思い切り蹴り飛ばされたのである。
「ずるい!」
高千穂翠は、吠えた。
「そんなのずるい、佐久間君!」
彼女が流した涙を見て、そうか、高千穂翠もまた、佐久間君の、つまりXの行動動機を、その最終目的を、本能的に察したのだと僕は理解した。
佐久間君の、Xの、本当の目的。
絶望。殺人の動機。それは――
そのときウグ先輩がスマホを取り出して、電話をかけ始めた。
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……友達が。
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早く来てください!!」
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