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「竜次郎、ちょっとそこに座ってくれる?」

 機嫌をとる、で思いついたことを実行に移してみることにする。
 素直にソファに座った竜次郎の足の間に跪き、膝に手をかけてベルトに手を伸ばすと。
「おい、何してる」 
 低い声で手首を掴まれて、阻止された。
「え?竜次郎の機嫌を取ろうとしてるんだけど……」
「……お前な」

 何やら難しげな顔になってしまったが、もしかしてこういうのはあまり好きではないのだろうか。
 確かに、よく湊が竜次郎に触ろうとするのを止めるし、「煽るな」とかいう理由の他に、好きではないからというのもあったのかもしれない。
 失敗したかと手を引っ込めながら、おずおずと見上げる。
「あの……嫌かな。初めてだから、うまくはないかもしれないけど」
「なわけねえだろ。そうじゃなくて、お前が……」
 竜次郎は、初めてとか言うな、と口の中でぶつぶつ言ったかと思うと、黙ってしまう。
「?俺が?」
「……まあいいか。一度痛い目みりゃ懲りるかもしれねえし」
「痛い目?」
 気にするなと続きを促されて、よく分からないが嫌ではないようだと判断した。

 拒否されなかったことに安堵してベルトに手をかけ、前を寛げる。
 下着の中から目当てのものを取り出そうとすると、その熱さに驚いた。
 竜次郎のものに触るのは機会は少ないながら初めてではないが、そのどれも快楽に頭が侵されているタイミングだったので、こんな風にじっくり手にとって見るのは初めてだ。

「(竜次郎の匂い……)」

 誘われるようにちゅっとくちづけると、ぴく、と反応した。
 育ってくるのが楽しくなって、色々試してみる。
 形状に沿って舌を這わせてみたり、吸い付いてみたり、両手で扱いてみたり。
「ん…りゅ、じろ、きもちい…?」
「…っ…いいに決まってんだろ。っコラ、噛むな」
 ごくごく軽く甘噛みすると叱られたが、声が笑っている。
 竜次郎も楽しんでくれてるかな、と思うと嬉しくなって、今度はパクリと先端を口に含んだ。
「……ぅんっ……」
 竜次郎のものは大きいので、半ば程度までしか口に含めない。
 歯を立てないように気をつけながら、まずは慎重に出し入れする。
「んっ……んう」
 閉じられない口から涎が滴り、服を汚してしまうと慌てて啜ると、じゅるっと卑猥な音が立って、ゾクリと背筋が慄いた。

 大きいものを頬張って苦しくないわけではないが、口の中を満たされるというのは意外と気持ちがいいのだと知った。
 上顎が摩擦されると、後ろを抽挿されている感覚を思い出し、下腹部が反応するのがわかった。
 竜次郎の機嫌をとっているのに自分が気持ちよくなってどうする、と戒めるが、酸欠気味なせいかぼんやりして、熱心に吸い付きながらも突き上げられている妄想を止められなくなる。

 夢中で奉仕を続けていると、不意に痛くない程度に髪を引っ張られ、視線を上げた。
「おい、……もういいから、放せ」
 見上げた先の竜次郎は、頰が上気し、息も少し乱れている。
 口の中のものは収めておくのが困難なほど大きくなっていて、限界が近いのだと思った。
「ん……、」
 このまま飲ませて欲しいと咥えたまま小さく頭を振るが、それは叶わなかった。

「っあ………」

 頭を掴まれて引き抜かれ、唇から唾液と竜次郎の体液の入り混じったものが糸を引く。
 口の中をいっぱいに満たしていたものがなくなり、湊は少し寂しい気分になる。
「最後まで……したかったのに」
 竜次郎は湊の抗議に何も言わず、突然湊を両手で持ち上げ、ソファに転がした。
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