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馬車が見えなくなると、俺は両親に聞いた。
「どうして、あんな大人数で迎えに?」
「あぁ。それはだな、このまま仕事に向かうらしい」
「このまま?」
父の返答に、俺は驚くと同時に心配の念が沸いた。
そうだとしたら、プリシラの休暇は、実質一日程度という事になる。
就業体制が、どんな感じなのか分からないが、働きすぎではないのだろうか。
ましてや、休暇が終わり次第、仕事に向かわなければならないとは。
「その、どんな仕事なんだ?危ない仕事なのか?」
プリシラの体調を心配する以外にも、もう一つ心配事がある。
まるで戦に行くかの様な、仰々しい格好をする連中が二百人程度。
そんな集団に付いていくのだ。
荒事に巻き込まれるに決まっている。
俺の質問に、母が答える。
「この近くにね、悪さをするグループが出たらしいの。それを討伐しに行くって団長さんが説明してくれたわ」
「悪さをする?」
「そう。その為には、プリちゃんが必要なんだって」
「そうか」
やはり荒事じゃないか。
うぅむ、心配だな。
俺が顔を顰めていると、母は陽気に背中を叩いた。
「大丈夫よ!プリちゃんは強いから!」
「母さん」
母カータの慈母の様な笑顔を見ると、俺の杞憂は薄れる。
そうだよな。
プリシラは『暴虐』の持ち主。
身体能力はズバ抜けている。
「魔王と呼ばれるくらいだしな」
「そうよ!でも魔王って悪者の一番上らしいわね?」
やはりそうだったか。
俺の常識は間違っていなかったんだな。
「そうだと思ったよ」
「ウチのプリちゃんを、悪者扱いするなんて許せないから、その呼び方はやめてもらう事にしたわ!」
「そうか」
珍しく声を荒げる母。
余程気に入らなかったのだろう。
だけど、最初喜んでいたんだがな。
まぁ、ズレが一つ修正出来たから、良しとするべきだな。
「それに自分達の事、『魔王軍』なんて名付けているのよ?プリちゃんに対して、酷いと思わない?」
まだ言い足りない様だ。
大人しく聴くとするか。
しかし自らを魔王軍と称するとは。
ん?
という事は、プリシラが一番偉い立場なのか?
いや、それはないか。
まだ半年しか働いていないんだ。
それはない。
それはない、よな?
正直なところ、妹の『暴虐』に平伏し、隷属的な扱いを受けていたとしても不思議ではない。
安易に想像できる辺り、それが真実であると思えてくる。
「聞いてるの?カイル」
「あ、あぁ」
まだ話が続いていたか。
「だからね?魔王軍って名称を変えたの!」
「そうか」
なんだろうな。
元々騎士団なのだから、また騎士団と称すれば良いと思うが。
俺が名付けるとしたら、そうだな。
『雷鳴騎士団』だな!
プリシラの呼ぶ雷雲を捉えた、素晴らしき命名だろう!
だが、母の口から出た言葉は、騎士団からはかけ離れていた。
「今日から『プリちゃん戦隊』になったのよ?正義の味方みたいで、格好良いわよね!?」
「僕もそう思うよ!困っている人達を救うヒーロー達!いやぁ、僕も子供の頃、憧れたなぁ!」
「あら、そうなの!?それじゃあ、今度プリちゃんが帰って来たら、私達も入れてもらいましょう?」
「い、良いのかな?」
「良いに決まってるじゃない!私達、家族なんだから!」
「そうか、そうだな!よぉし!」
ツッコミどころ満載の会話が、俺を置き去りにして流れていく。
何が『よぉし!』なんだろうか。
それに母の『私達』には、俺も含まれているんだろうか。
というか『プリちゃん戦隊』ってネーミングセンス。
「カイル!」
「な、なんだ」
父の鬼気迫る圧に、思わず気圧される。
「父さんは、『プリちゃん戦隊』で、人助けをするぞ!」
「そうか」
父の決意。
子供の頃夢見た存在に、彼は成ろうとしている。
彼の人生だ。
たった一度きりの時間だ。
いまさら目指したところでどうするなど、誰が言えようか。
というか好きにしてくれ。
「母さんも、『プリちゃん戦隊』で頑張るわ!」
「そうか」
父ベイルの夢を、寄り添って応援する母。
素晴らしい夫婦。
お互いに補いながら、戦隊としてやっていくのだろう。
そんな二人を誰が止めれようか。
というか好きにしてくれ。
「カイル!後方支援は私達に任せて、お前は、プリシラと一緒に、敵をやっつけるんだ!」
やはり、俺も含まれていたのか。
拒否権はないのだろうな。
「まぁ!もうそんなビジョンまで見えてるの!?貴方、流石ね!」
「フフッ!全てを見通し、的確な指示を出す。僕は、そんなボス的なポジションを担うよ!」
「もぅ!父さんったら、素敵!」
「そうかい?ハハハッ!」
リーダーはプリシラ。
『プリちゃん戦隊』って冠が付くからな。
そのリーダーやメンバーに、最適な行動を取らせるボス、か。
妹に指示を出せるのは、両親しかいないから、適任なんだろうな。
うん。
好きにしてくれ。
「いやぁ!プリシラ早く帰って来ないかなぁ!」
「フフッ!父さんったら。そうだわ!」
母が何か閃く。
「お揃いのコスチュームが要るんじゃない?」
「そうだね!プリシラがメインだから可愛い感じになるだろうけど、僕とカイルの分は少し男っぽさが欲しいなぁ!」
「そうなのね!これは忙しくなるわぁ!」
子供の様に、はしゃぐ両親。
このテンションについていけない俺は、人としておかしいのだろうか。
だが、一つだけ想うことある。
両親が仲良くて良かったなぁって。
という事で、『プリちゃん戦隊』の次回予告をどうぞ。
遂に結成された『プリちゃん戦隊』!
ドストラーデ率いる、悪の軍団を退治する為、プリちゃん戦隊は突き進む!
全ては家族の為!何より兄の為に、全てを討ち滅ぼすプリシラちゃん!
しかし圧倒的な数に押され、味方は一人、また一人と消えていく。
そして、プリシラちゃんにも、疲れが見え始めてしまう。
プリシラ「ちょっと、疲れてきちゃった」
ドストラード「フハハ!もはやここまで!楽しませてもらったぞ?人間の小娘よ」
追い詰められたプリちゃん戦隊は、この苦境を抜け出す事が出来るのか!?
『プリプリプリティ⭐︎プリシラちゃん』
次回、『希望は捨てない!』
プリシラ「ここで私は死ねない。死ぬわけにいかない!生きて、お兄ちゃんに抱っこして欲しいから!」
絶対見てくれよな!
「どうして、あんな大人数で迎えに?」
「あぁ。それはだな、このまま仕事に向かうらしい」
「このまま?」
父の返答に、俺は驚くと同時に心配の念が沸いた。
そうだとしたら、プリシラの休暇は、実質一日程度という事になる。
就業体制が、どんな感じなのか分からないが、働きすぎではないのだろうか。
ましてや、休暇が終わり次第、仕事に向かわなければならないとは。
「その、どんな仕事なんだ?危ない仕事なのか?」
プリシラの体調を心配する以外にも、もう一つ心配事がある。
まるで戦に行くかの様な、仰々しい格好をする連中が二百人程度。
そんな集団に付いていくのだ。
荒事に巻き込まれるに決まっている。
俺の質問に、母が答える。
「この近くにね、悪さをするグループが出たらしいの。それを討伐しに行くって団長さんが説明してくれたわ」
「悪さをする?」
「そう。その為には、プリちゃんが必要なんだって」
「そうか」
やはり荒事じゃないか。
うぅむ、心配だな。
俺が顔を顰めていると、母は陽気に背中を叩いた。
「大丈夫よ!プリちゃんは強いから!」
「母さん」
母カータの慈母の様な笑顔を見ると、俺の杞憂は薄れる。
そうだよな。
プリシラは『暴虐』の持ち主。
身体能力はズバ抜けている。
「魔王と呼ばれるくらいだしな」
「そうよ!でも魔王って悪者の一番上らしいわね?」
やはりそうだったか。
俺の常識は間違っていなかったんだな。
「そうだと思ったよ」
「ウチのプリちゃんを、悪者扱いするなんて許せないから、その呼び方はやめてもらう事にしたわ!」
「そうか」
珍しく声を荒げる母。
余程気に入らなかったのだろう。
だけど、最初喜んでいたんだがな。
まぁ、ズレが一つ修正出来たから、良しとするべきだな。
「それに自分達の事、『魔王軍』なんて名付けているのよ?プリちゃんに対して、酷いと思わない?」
まだ言い足りない様だ。
大人しく聴くとするか。
しかし自らを魔王軍と称するとは。
ん?
という事は、プリシラが一番偉い立場なのか?
いや、それはないか。
まだ半年しか働いていないんだ。
それはない。
それはない、よな?
正直なところ、妹の『暴虐』に平伏し、隷属的な扱いを受けていたとしても不思議ではない。
安易に想像できる辺り、それが真実であると思えてくる。
「聞いてるの?カイル」
「あ、あぁ」
まだ話が続いていたか。
「だからね?魔王軍って名称を変えたの!」
「そうか」
なんだろうな。
元々騎士団なのだから、また騎士団と称すれば良いと思うが。
俺が名付けるとしたら、そうだな。
『雷鳴騎士団』だな!
プリシラの呼ぶ雷雲を捉えた、素晴らしき命名だろう!
だが、母の口から出た言葉は、騎士団からはかけ離れていた。
「今日から『プリちゃん戦隊』になったのよ?正義の味方みたいで、格好良いわよね!?」
「僕もそう思うよ!困っている人達を救うヒーロー達!いやぁ、僕も子供の頃、憧れたなぁ!」
「あら、そうなの!?それじゃあ、今度プリちゃんが帰って来たら、私達も入れてもらいましょう?」
「い、良いのかな?」
「良いに決まってるじゃない!私達、家族なんだから!」
「そうか、そうだな!よぉし!」
ツッコミどころ満載の会話が、俺を置き去りにして流れていく。
何が『よぉし!』なんだろうか。
それに母の『私達』には、俺も含まれているんだろうか。
というか『プリちゃん戦隊』ってネーミングセンス。
「カイル!」
「な、なんだ」
父の鬼気迫る圧に、思わず気圧される。
「父さんは、『プリちゃん戦隊』で、人助けをするぞ!」
「そうか」
父の決意。
子供の頃夢見た存在に、彼は成ろうとしている。
彼の人生だ。
たった一度きりの時間だ。
いまさら目指したところでどうするなど、誰が言えようか。
というか好きにしてくれ。
「母さんも、『プリちゃん戦隊』で頑張るわ!」
「そうか」
父ベイルの夢を、寄り添って応援する母。
素晴らしい夫婦。
お互いに補いながら、戦隊としてやっていくのだろう。
そんな二人を誰が止めれようか。
というか好きにしてくれ。
「カイル!後方支援は私達に任せて、お前は、プリシラと一緒に、敵をやっつけるんだ!」
やはり、俺も含まれていたのか。
拒否権はないのだろうな。
「まぁ!もうそんなビジョンまで見えてるの!?貴方、流石ね!」
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リーダーはプリシラ。
『プリちゃん戦隊』って冠が付くからな。
そのリーダーやメンバーに、最適な行動を取らせるボス、か。
妹に指示を出せるのは、両親しかいないから、適任なんだろうな。
うん。
好きにしてくれ。
「いやぁ!プリシラ早く帰って来ないかなぁ!」
「フフッ!父さんったら。そうだわ!」
母が何か閃く。
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「そうだね!プリシラがメインだから可愛い感じになるだろうけど、僕とカイルの分は少し男っぽさが欲しいなぁ!」
「そうなのね!これは忙しくなるわぁ!」
子供の様に、はしゃぐ両親。
このテンションについていけない俺は、人としておかしいのだろうか。
だが、一つだけ想うことある。
両親が仲良くて良かったなぁって。
という事で、『プリちゃん戦隊』の次回予告をどうぞ。
遂に結成された『プリちゃん戦隊』!
ドストラーデ率いる、悪の軍団を退治する為、プリちゃん戦隊は突き進む!
全ては家族の為!何より兄の為に、全てを討ち滅ぼすプリシラちゃん!
しかし圧倒的な数に押され、味方は一人、また一人と消えていく。
そして、プリシラちゃんにも、疲れが見え始めてしまう。
プリシラ「ちょっと、疲れてきちゃった」
ドストラード「フハハ!もはやここまで!楽しませてもらったぞ?人間の小娘よ」
追い詰められたプリちゃん戦隊は、この苦境を抜け出す事が出来るのか!?
『プリプリプリティ⭐︎プリシラちゃん』
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