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(๑><๑) ハーシア15歳♡
18:相手間違ってない?
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「馬車を降りる場所に暴漢がいたそうね。大丈夫だった?」
ダイアナが心配そうにハーシアに問いかけた。
誰が取り押さえられたのかなんてダイアナには判っている筈なのに名前を言わないのはセシル家から婚約が申し込まれた事や、返事がお断り前提の保留になっている事も知っているからである。
「聞いた話ではしつこいらしいわよ。気を付けないと」
「しつこいの?」
ハーシアの記憶にある限り、ファクターはあっさりしていたように思う。
尤も、寝たきりになってからはハーシアの魔力が無ければ痛みに唸って、いや吠えていたのでしつこいかどうかを判別できる状態にはなかっただけ。
それまでもお役目なのだとハーシアは信じていたので留守がちで、屋敷に帰って来てからも夫婦生活を求められる事は少なかったのであっさりしていると思っていた。
ユリアを心から愛しているからこそ、もう1つ屋敷を構えて二重生活を続けたのもユリアには執務や経営なんて面倒な事をさせたくなかったのだろう。そう考えるとユリアへの愛はしつこかったとなるのかも??と考えた。
――ユリアだって私と同じ魔力はあるのに頼らなかったのは愛するが故なのね――
愛するが故に呪われた自分を見せたくなかったんだろうなと思える。
ダイアナが言う「しつこい」はハーシアとして経験がないし、どんな風に?と更にファクターの事を知る必要もないとそれ以上は聞くのをやめた。
観劇を終えて屋敷に戻ると、両親と使用人が困った顔をしてハーシアを出迎えた。
「どうしたの?」
「どうしたと言うか…。こっちに来なさい」
両親に先導されて、客間に行くとユリアが歓声を上げていた。
「これ!ユリアのものではないでしょう!」
母親のバーバラがユリアを叱るが、一番手前にあった箱を見てハーシアは「どうでもいい」と思った。
見えるだけで箱の数は50を超えている。ユリアが勝手に開封してドレスも帽子も散乱はしているが全てファクターからハーシアに届いた贈り物だった。
「ねぇ?見て。このワンピ、超可愛くない?」
ハーシア宛の荷物なのにユリアがワンピースを自分の体にあててどうだと問うてくる。
「似合ってるんじゃない?」
「羨ましいんでしょ?」
――何が?――
あぁ、ユリアはこういう人だった。
両親あてに荷物が届いても、自分が好きなものであったり欲しかったものだと、開封した時点でユリアのものだと認識をするのだ。
例え、宛名が違っていても。
「ハーシア、あぁ、どうしましょう、この荷物」
「ユリアの好きにさせてあげれば?セシル家からなら婚約者宛ての荷物でまかり通るじゃない」
両親も使用人も困惑していたのはまさにそこだ。
ファクターの婚約者はユリア。
しかし、荷物は全て婚約者ではないハーシア宛。
ユリア宛の荷物はカードの1枚すら届いていない。
「妹の婚約者に粉をかけたとか言われたくないわ。セシル家の従者にでも来てもらってこの状況を目視してもらったらどうかしら」
良い案だと思ったが、母のバーバラから帰ってきた返事は「したわ」だった。
なら問題はない。
あとはこの荷物をユリアの部屋に全部運べばそれでいい。
が、問題はこれだけではなかった。
届いたのは荷物だけではなかったのだ。
目くばせをする母に頷き、先に部屋に向かった父を追いかけると額を押さえた父に封筒を渡された。
「読んでも?」
「あぁ、わざわざ頭を痛くさせる事も無いが、知っておいた方がいいと思ってね」
なんだろうと封筒を見れば、父宛の手紙で差出人はセシル伯爵。
嫌な予感はしたが父に読めと言われて読まない訳にもいかず文面に目を走らせた。
「これって…」
「あぁ。婚約はユリアではなくハーシアがいいんだそうだ」
「なんで?どうして私なの?」
キョトンとするハーシアは勿論演技だ。
だが、紹介もされていないしファクターとは先日のカフェの前が初見。
セシル家はカフェで会うよりも先にベルマウス伯爵家に婚約を申し入れて来ている。
どちらと名指しはなかったが、ファクターとユリアが時折人目を忍んで会っているのは周知の事実。本人同士が惚けても証人は幾らでもいる。
ならば面識のあるユリアに申し込んできたと判断をしても不思議はない。
「子爵家とは2週間後に食事を兼ねて会う事になっているが…明後日父さんだけで会って来る。ハーシアには悪いんだが念のために心構えだけはしておいて欲しい」
それは食事会が初見になるけれど有無を言わさずにハーシアの婚約を結ぶと言う事だ。
――お父様、何か知ってるのかしら――
これは自分の夢だからと思っていたが、実は夢ではなく時間が戻ったのかと考えてみた。
――あ、時戻しの石??――
いやいや、そんなはずはない。
ハーシアは考えを打ち消し、父に「解りました」と返事を返した。
ダイアナが心配そうにハーシアに問いかけた。
誰が取り押さえられたのかなんてダイアナには判っている筈なのに名前を言わないのはセシル家から婚約が申し込まれた事や、返事がお断り前提の保留になっている事も知っているからである。
「聞いた話ではしつこいらしいわよ。気を付けないと」
「しつこいの?」
ハーシアの記憶にある限り、ファクターはあっさりしていたように思う。
尤も、寝たきりになってからはハーシアの魔力が無ければ痛みに唸って、いや吠えていたのでしつこいかどうかを判別できる状態にはなかっただけ。
それまでもお役目なのだとハーシアは信じていたので留守がちで、屋敷に帰って来てからも夫婦生活を求められる事は少なかったのであっさりしていると思っていた。
ユリアを心から愛しているからこそ、もう1つ屋敷を構えて二重生活を続けたのもユリアには執務や経営なんて面倒な事をさせたくなかったのだろう。そう考えるとユリアへの愛はしつこかったとなるのかも??と考えた。
――ユリアだって私と同じ魔力はあるのに頼らなかったのは愛するが故なのね――
愛するが故に呪われた自分を見せたくなかったんだろうなと思える。
ダイアナが言う「しつこい」はハーシアとして経験がないし、どんな風に?と更にファクターの事を知る必要もないとそれ以上は聞くのをやめた。
観劇を終えて屋敷に戻ると、両親と使用人が困った顔をしてハーシアを出迎えた。
「どうしたの?」
「どうしたと言うか…。こっちに来なさい」
両親に先導されて、客間に行くとユリアが歓声を上げていた。
「これ!ユリアのものではないでしょう!」
母親のバーバラがユリアを叱るが、一番手前にあった箱を見てハーシアは「どうでもいい」と思った。
見えるだけで箱の数は50を超えている。ユリアが勝手に開封してドレスも帽子も散乱はしているが全てファクターからハーシアに届いた贈り物だった。
「ねぇ?見て。このワンピ、超可愛くない?」
ハーシア宛の荷物なのにユリアがワンピースを自分の体にあててどうだと問うてくる。
「似合ってるんじゃない?」
「羨ましいんでしょ?」
――何が?――
あぁ、ユリアはこういう人だった。
両親あてに荷物が届いても、自分が好きなものであったり欲しかったものだと、開封した時点でユリアのものだと認識をするのだ。
例え、宛名が違っていても。
「ハーシア、あぁ、どうしましょう、この荷物」
「ユリアの好きにさせてあげれば?セシル家からなら婚約者宛ての荷物でまかり通るじゃない」
両親も使用人も困惑していたのはまさにそこだ。
ファクターの婚約者はユリア。
しかし、荷物は全て婚約者ではないハーシア宛。
ユリア宛の荷物はカードの1枚すら届いていない。
「妹の婚約者に粉をかけたとか言われたくないわ。セシル家の従者にでも来てもらってこの状況を目視してもらったらどうかしら」
良い案だと思ったが、母のバーバラから帰ってきた返事は「したわ」だった。
なら問題はない。
あとはこの荷物をユリアの部屋に全部運べばそれでいい。
が、問題はこれだけではなかった。
届いたのは荷物だけではなかったのだ。
目くばせをする母に頷き、先に部屋に向かった父を追いかけると額を押さえた父に封筒を渡された。
「読んでも?」
「あぁ、わざわざ頭を痛くさせる事も無いが、知っておいた方がいいと思ってね」
なんだろうと封筒を見れば、父宛の手紙で差出人はセシル伯爵。
嫌な予感はしたが父に読めと言われて読まない訳にもいかず文面に目を走らせた。
「これって…」
「あぁ。婚約はユリアではなくハーシアがいいんだそうだ」
「なんで?どうして私なの?」
キョトンとするハーシアは勿論演技だ。
だが、紹介もされていないしファクターとは先日のカフェの前が初見。
セシル家はカフェで会うよりも先にベルマウス伯爵家に婚約を申し入れて来ている。
どちらと名指しはなかったが、ファクターとユリアが時折人目を忍んで会っているのは周知の事実。本人同士が惚けても証人は幾らでもいる。
ならば面識のあるユリアに申し込んできたと判断をしても不思議はない。
「子爵家とは2週間後に食事を兼ねて会う事になっているが…明後日父さんだけで会って来る。ハーシアには悪いんだが念のために心構えだけはしておいて欲しい」
それは食事会が初見になるけれど有無を言わさずにハーシアの婚約を結ぶと言う事だ。
――お父様、何か知ってるのかしら――
これは自分の夢だからと思っていたが、実は夢ではなく時間が戻ったのかと考えてみた。
――あ、時戻しの石??――
いやいや、そんなはずはない。
ハーシアは考えを打ち消し、父に「解りました」と返事を返した。
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