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(๑><๑) ハーシア15歳♡
43:命の落とし物
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「婆さんの魔力は大したことねぇな」
「こっちのオッサンもだ。息子はそれなりだが…チッ半分も回復しねぇな。シケてやがる」
プレデータが気配を消し、部屋の中の様子を伺うとセシル伯爵夫妻は死んではいないものの虫の息。ギリギリまで魔力を奪われてしまったようで床に転がされていた。
ファクターはその前に魔力を奪われたらしく、同じく死んではいないけれどかなり危険な状態に思えた。
「ほら、お嬢ちゃん、ちゃんと奉仕しな」
「はぃ…」
「終わったらこっちだ。また血が噴き出しやがったじゃねぇか」
ユリアは数人の賊が負った怪我に魔力をあてさせられているが治癒ではなく、現状を維持する魔力なので休む暇もなく魔力を流している状態。
「朝早くから逢引きだったのに悪ぃ事しちゃったな」
「い、いえ…」
「しっかし、ショボいな。オラァ!とっとと治せよ!傷口全然塞がってねぇじゃねぇかッ!」
「きゃぁっ!」
鈍い音が聞こえたのでユリアは殴られたのだろう。体が浮いて滑るように落ちると床に突っ伏した。
様子を伺うに魔道士は3人。その他に2人の合計5人。
屋敷ごと吹き飛ばせばすぐに片付くが、その場合は防壁を張っていてもハーシアの乗った馬車も吹き飛んでしまうし近隣にも被害が出る。
もっと強い転移魔法が使えればハーシアの乗った馬車を飛ばすが、プレデータの転移魔法は自分自身を2,3mが限界だった。
「しっかし遅ぇな。お嬢ちゃん。魔力持ちはいつ来るんだ?もう10時だぜ?」
「も、もうすぐ来ます。時間だけは守る子なの。助けてくれるのよね?代わりがきたら私は逃がしてくれるんでしょう?」
「さぁ、どうすっかな。逃亡資金も用意して貰えれば解放してやるよ」
「そんなお金…」
「あるだろ?200万ポーンと払ってたじゃないか」
「ど、どうして…知ってるの?」
「知ってるも何も。あのイボ王子の傍にいる女は俺らの仲間なんだよ。まともな奴がいるわけないだろ?」
「そうそう。あぁやって毒杯待つだけの王子にせっせと金を持ってくる阿呆がいるからやめられねぇな」
「全くだ。落ちぶれても肩書に縋る阿呆。お嬢ちゃん、世の中女が1人でほいほい出かけるなら後をつけられてねぇかくらいは警戒しなきゃな」
ユリアは顔から血の気が引いた。
第3王子の元に行き、金を払ったばかりに悪党に目を付けられた事を知った。
オマケに肝心な王子は毒杯だなんて。頼んだことをしてくれないのなら金を返せと言いたい。
今日、セシル家に向かう馬車も馬が突然停まり、御者などあっという間。男たちが乗り込んできて家に連れて行けと言われたが、騎士のファクターなら助けてくれると思いセシル家に男たちを引き込んでしまった。
ファクターは何の役にも立たなかった。
光の玉がファクターに向かって飛んだかと思ったらファクターは壁に縫い付けられていたのだ。
魔力を吸われている間、ファクターはずっとユリアを罵り続けた。
金目のものを全て袋に詰め込んでセシル伯爵夫妻の魔力も吸い取り始めた。
なんとか自分だけでも助かろうとハーシアがここに来たら入れ替わりにベルマウス伯爵家に逃げ帰ろうと思ったのだ。ベルマウス伯爵家の人間であることは男たちにバレているだろうがに戻れば父がなんとか守ってくれると信じて。
「ずる賢い女は好きだが、嘘を吐く女は最低だな」
「うっ…嘘じゃないわ…私より魔力多いのがもうすぐ来るわ」
負傷部の処置をさせられるユリアはハーシアが来るのを耐えて待っていた。
――ハーシアを売ったのか。なんて女だ――
馬車を引く馬が制御出来なくなったのは、魔道士の魔力が原因だったのだろう。
人に気付かれないように家畜に影響する魔力は人間には感じる事が出来ない。魔力を使った魔道士も家畜が異常行動を始めれば気がつくので、見えていない場所では効果があったかどうかを感じる事も無い。
それでも外に見張りを置いてないのは、過去に何度もそうやって成功をさせているので失敗がないと自負していると思われる。
――掛けっぱなしなんて動物愛護に反するぞ――
過去のように強烈な力を持っていたとしても魔道士が1人で後は腕っぷしに自信のある雑魚ならなんとかなるが、3人となるとプレデータもそれなりに覚悟をせねばならない。
まして玄関先にはハーシアもいる。
――命の落とし物、しちまうかも知れないが…ハーシアなら拾得物で拾ってくれるかな――
ハーシアには治癒の魔力はない。
1つの命を守るには、1つ消すしかないとプレデータは覚悟を決めた。
「こっちのオッサンもだ。息子はそれなりだが…チッ半分も回復しねぇな。シケてやがる」
プレデータが気配を消し、部屋の中の様子を伺うとセシル伯爵夫妻は死んではいないものの虫の息。ギリギリまで魔力を奪われてしまったようで床に転がされていた。
ファクターはその前に魔力を奪われたらしく、同じく死んではいないけれどかなり危険な状態に思えた。
「ほら、お嬢ちゃん、ちゃんと奉仕しな」
「はぃ…」
「終わったらこっちだ。また血が噴き出しやがったじゃねぇか」
ユリアは数人の賊が負った怪我に魔力をあてさせられているが治癒ではなく、現状を維持する魔力なので休む暇もなく魔力を流している状態。
「朝早くから逢引きだったのに悪ぃ事しちゃったな」
「い、いえ…」
「しっかし、ショボいな。オラァ!とっとと治せよ!傷口全然塞がってねぇじゃねぇかッ!」
「きゃぁっ!」
鈍い音が聞こえたのでユリアは殴られたのだろう。体が浮いて滑るように落ちると床に突っ伏した。
様子を伺うに魔道士は3人。その他に2人の合計5人。
屋敷ごと吹き飛ばせばすぐに片付くが、その場合は防壁を張っていてもハーシアの乗った馬車も吹き飛んでしまうし近隣にも被害が出る。
もっと強い転移魔法が使えればハーシアの乗った馬車を飛ばすが、プレデータの転移魔法は自分自身を2,3mが限界だった。
「しっかし遅ぇな。お嬢ちゃん。魔力持ちはいつ来るんだ?もう10時だぜ?」
「も、もうすぐ来ます。時間だけは守る子なの。助けてくれるのよね?代わりがきたら私は逃がしてくれるんでしょう?」
「さぁ、どうすっかな。逃亡資金も用意して貰えれば解放してやるよ」
「そんなお金…」
「あるだろ?200万ポーンと払ってたじゃないか」
「ど、どうして…知ってるの?」
「知ってるも何も。あのイボ王子の傍にいる女は俺らの仲間なんだよ。まともな奴がいるわけないだろ?」
「そうそう。あぁやって毒杯待つだけの王子にせっせと金を持ってくる阿呆がいるからやめられねぇな」
「全くだ。落ちぶれても肩書に縋る阿呆。お嬢ちゃん、世の中女が1人でほいほい出かけるなら後をつけられてねぇかくらいは警戒しなきゃな」
ユリアは顔から血の気が引いた。
第3王子の元に行き、金を払ったばかりに悪党に目を付けられた事を知った。
オマケに肝心な王子は毒杯だなんて。頼んだことをしてくれないのなら金を返せと言いたい。
今日、セシル家に向かう馬車も馬が突然停まり、御者などあっという間。男たちが乗り込んできて家に連れて行けと言われたが、騎士のファクターなら助けてくれると思いセシル家に男たちを引き込んでしまった。
ファクターは何の役にも立たなかった。
光の玉がファクターに向かって飛んだかと思ったらファクターは壁に縫い付けられていたのだ。
魔力を吸われている間、ファクターはずっとユリアを罵り続けた。
金目のものを全て袋に詰め込んでセシル伯爵夫妻の魔力も吸い取り始めた。
なんとか自分だけでも助かろうとハーシアがここに来たら入れ替わりにベルマウス伯爵家に逃げ帰ろうと思ったのだ。ベルマウス伯爵家の人間であることは男たちにバレているだろうがに戻れば父がなんとか守ってくれると信じて。
「ずる賢い女は好きだが、嘘を吐く女は最低だな」
「うっ…嘘じゃないわ…私より魔力多いのがもうすぐ来るわ」
負傷部の処置をさせられるユリアはハーシアが来るのを耐えて待っていた。
――ハーシアを売ったのか。なんて女だ――
馬車を引く馬が制御出来なくなったのは、魔道士の魔力が原因だったのだろう。
人に気付かれないように家畜に影響する魔力は人間には感じる事が出来ない。魔力を使った魔道士も家畜が異常行動を始めれば気がつくので、見えていない場所では効果があったかどうかを感じる事も無い。
それでも外に見張りを置いてないのは、過去に何度もそうやって成功をさせているので失敗がないと自負していると思われる。
――掛けっぱなしなんて動物愛護に反するぞ――
過去のように強烈な力を持っていたとしても魔道士が1人で後は腕っぷしに自信のある雑魚ならなんとかなるが、3人となるとプレデータもそれなりに覚悟をせねばならない。
まして玄関先にはハーシアもいる。
――命の落とし物、しちまうかも知れないが…ハーシアなら拾得物で拾ってくれるかな――
ハーシアには治癒の魔力はない。
1つの命を守るには、1つ消すしかないとプレデータは覚悟を決めた。
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