この結婚、ケリつけさせて頂きます

cyaru

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第10話  小さな家の使用人④-①

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翌朝、のんびりとした朝を迎えたミネルヴァーナとマリーは遅い朝食を済ませて、これからの役割分担を決めるため今まさに世紀の勝負。ジャンケンを行っていた。

買い物は仲良く2人で行くので問題ないのだが、家事の役割分担は時に朝寝坊も許して貰えない。

【床掃除・窓ふき・ベッドメイク・洗濯全般・食事の支度・後片付け】この6つの中から交互に選ぶのだが先に2回勝った方が先攻。

現在双方ともに1勝1負。次の勝負が運命の分かれ道。

――洗濯は苦手なのよ…負けないわよ――とミネルヴァーナ

――食後はまったりしたい!後片付けだけは絶対嫌だ!――とマリー


「ミーちゃん。泣きのもう一回はダメだからね!」
「マリりん。そちらこそ!後出しは許しませんわよ」

<< 最初は――  >>

カンコーン!カンコーン!

勝負開始のゴングではなく玄関のドアベルが鳴り響いた。
ハッと出そうとした手を空いた手で隠し、顔を見合わせた2人。
またもや声が揃う。

<< こんな朝から誰っ?! >>


玄関扉を開けてみればシルヴァモンドから「予定よりも早いが」と雇われた使用人だった。と言っても家は住み込みが出来るほど部屋数もなく、泊り勤務となれば廊下で寝てもらうか、食事室兼リビングで木の椅子をベッドに寝てもらうかになってしまう。

「私は清掃係のクーリンです。夜は孫の面倒をみているので夜勤は出来ませんよ?」
「私は雑用係のチョアンです。夜勤は出来なくもないですが通いと言われてますよ?」
「私は調理担当のマーナイタです。朝食の用意と夕食の後片付け以外を頼むと言われたのですが」


ベルセール公爵家も募集はかけたのだが、なんせ世話をするのが国を超えても悪評高いミネルヴァーナ。辞退者が相次ぎ、なんとか残った3人も「通いでいいから」と時間も「10時から16時まで。昼休憩1時間」と短い勤務。


「ミーちゃん。どうするの?」
「どうするって言っても…わたくしが雇ったわけじゃないのよ」
「だよねぇ…役に立つのかなぁ」
「そんな事を言ってはダメよ。一番役に立たないのは贅沢姫のわたくしなんだから」
「こんな贅沢姫がいたら引っ張りだこだから!」


マリーとしては一番避けたかった夕食後の片づけは結局ジャンケン勝負の選択肢に残ってしまう事にがっくりと肩を落とした。


だが、この3人の使用人との出会いがこの後、ミネルヴァーナの人生に大きく影響するとは夢にも思わなかった。
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