この結婚、ケリつけさせて頂きます

cyaru

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第30話  大反省の夜、真っ赤な真っ赤な真っ赤な薔薇

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大通りに屋台を出していいのは15時から19時まで。

16時半には全て売りきれてしまったので、撤収をしようとしたのだが木製トレーが返却されてこない。

「何枚足らないの?」
「6枚が返ってきません」

片付けをチョアンとクーリン、マーナイタに頼んでマリーと一緒に探しに向かってみると、4枚はゴミ箱に捨てられていた。

あとの2枚は何処を探しても見つからない。
人も多いので既に回収されたゴミ箱に入れられていたのかと諦めて引き上げた。


初日とあって、全員が家族には「今日は帰れない」と告げている。
チョアンとマーナイタに「あらぬ疑いを持たれる可能性は?」と問うと「ない」即答だった。

前夜にそれぞれの奥様には断りも入れているし「どこかの夫とは信頼度が違うわね」とミネルヴァーナは先日押しかけて来た迷惑な夫を思いだしていた。

「今日は初めてだったけど、反省点がいっぱいね」
「あんなに客が殺到するなんて考えてなかったよ」

敵情視察ではないけれど屋台設置の認可に奔走していた時に、「場所はここだと良いね」と公園にはちょくちょく出向いていた。割り当てられたのはメインからは少し離れた「ハズレではないけど当たりでもない」区画。

1人、2人とポツポツ立ち寄る客を相手にする店ばかりだったので、ゆっくり販売が出来ると思っていたのだ。

人が集まると相乗効果もある。ついでだからとミネルヴァーナ達の屋台周辺も品物が飛ぶように売れた。
となりに屋台を構えていた海鮮焼きというスルメイカを焼いて売っている屋台も完売。逆側も野菜の苗を売っている屋台だったが「クサそう」という酔っ払いの余興で使う酷い香りの草まで売れた。

「来週もあの場所なのよね。販売する量を増やしてみる?」

ミネルヴァーナは全員に問うが「暫くは今回の量で」とミネルヴァーナ以外の意見が一致していた。

「ただ、あの場で食べられるっていうのは止めて、試食と量り売りのみ!そうした方がいい」
「私もそう思うよ。持ち帰りは10%、その場で食べると8%の売上税があるから計算も面倒だったし」
「思うんだけど、次回は今回と同じ、クーさんの言う通りその場でってのは無し。ただ周知をしないか?」

<< 周知?! >>

「そう。木製トレー結果的に2枚が無くなった。今回は端財を使ってるけど木製トレーは1枚で700g以上を売らなきゃいけない価格だ。だから器を持参して来てもらったら10%OFFどうだろう」

「なるほど!だから来週は周知ってことか」

「そうだ。周知は毎週するけれど、器を持ってきたら10%OFFなんだと知ればこっちも入れ物の容器を少なく出来る。持ち帰りの容器はこっちの持ち出しだから経費。そこも削減できると思わないか?」


5人は何でも話し合って今後を決める。
今回も次回以降の方針を決めた。

「あら、帰らないの?何かあった?」
「そうじゃなく‥昨夜の続きなんですけど」

前夜ミネルヴァーナはクーリンとマーナイタ、チョアンから提案をされていた。

「ここを出ませんか?平民区画でボロにはなるけど一軒家で庭もここより広い家があるんですよ」
「そうなのね。でも野菜が…」
「公爵家だってミーちゃんをここに閉じ込めて利用してるんだ。こっちも利用してやりましょう。明日の売上次第ですけど軌道に乗るまでは2軒の家を掛け持ち。軌道に乗れば引っ越し。どうです?」
「そうしなよ。こつこつやれば向こうの家に野菜が採れる頃になるだろうしさ。私達も…ね?」

――なに?なんなの?何かあるの?――

クーリン達は「公爵家の使用人を辞めようと考えている」と告げた。

3日に1度報告に行って事実を述べても鼻で一蹴されて公爵はまともに聞いてもくれない。
そんな報告に意味があるのかと思うし、何よりミネルヴァーナが5年でシルヴァモンドと離縁する約束をしている事を知った。ミネルヴァーナは5年を待たず離縁してもいい覚悟もしている事も知った。

なら、動くのは早い方がいいと話し合ったのだ。




「その話ね。うん。考えてるわ。来週以降の売り上げも――」

ミネルヴァーナが3人の意向に添うように考えていると告げようとした時、玄関でドアノックの音がした。昼間はドアベルだが、時間も21時過ぎ。静かな方のドアノックにマリーもやって来て全員が顔を見合わせた。

「誰だろう」

ここは男である自分が!とチョアンが玄関に向かい、「どちら様?」と問うと後ろの4人には聞こえなかったが、振り向いたチョアンの「げぇぇ」っと顎が外れたような表情に誰が来たのかを察知した。

面倒だが追い返す事も出来ない。
チョアンが扉を開けると、真っ赤な薔薇をざっと見ただけで2、300本抱えたシルヴァモンドが立っていた。

「おめでとう!」
「今日は誕生日ではありません」
「違うよ。今日は初日だろう?遅くなったが一緒に祝おうと思って」

――余計なお世話!!――

そう思ったが、迷惑な客は1人ではなかった。

「遅くなって申し訳ない!あれ?なんでここに・・・」

王都の花屋から真っ赤な薔薇が消えているんじゃないか。
続いてやって来たのはフェルディナンド。

「あ!」ミネルヴァーナは気が付いた。

「あの時の兵士さん?!」
「そうです。バイザー被ってたのにバレるとは。流石です」

デレたフェルディナンドだったが、「ドォォリャァァーッ!」掛け声とともにマリー渾身のタックルが決まり、手にしていた薔薇が宙に舞う。

「ヤマブドウ!横取りしやがって!」

食べ物の恨みは恐ろしい。
仁王立ちになったマリーは恨みを忘れていなかった。
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